バイクの無免許運転で捕まった父を交番に引き受けに向かうぼく。豪胆を気取っていても本心は気弱で家族にやっかいばかりをかける。しょうがない人-父親をうとましく思う反面、胸底には深い愛情をいだく息子の気持ちを軽快に描く表題作をはじめ、「非のうちどころのない球形」のメロンを求めて街を彷徨するぼくの、過去と現在が交錯する物語「メロンを買いに」など、繊細で豊かな傑作作品集。
Posted by ブクログ 2009年10月04日
はじめてこれを読んだのは、なんと高校のとき、大学入試の模試でだった。現国の小説分野の題材として「しょうがない人」が取り上げられていて、いつものように試験問題を解くつもりでこれを読んで行くうち…なにかが胸に込み上げてきて問題が解けなくなった。主人公の父親に対する気持ちが、まさに当時の自分の気持ちとリン...続きを読む
Posted by ブクログ 2009年10月04日
4つの短編が入った小説集。
表題作は、昔はセールスマンとして成功していた父親が、今は借金を抱え、その日暮らしで家族にやっかいばかりかけるようになっている。その父と息子である「ぼく」が語る父への心情。「です・ます調」で書かれているのが、客観的に冷静な視点で話しているように見える。父親への愛憎入り混じ...続きを読む