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【坪田譲治文学賞受賞作】両親を事故で亡くした小学生の太輔は「青葉おひさまの家」で暮らしはじめる。心を閉ざしていた太輔だが、仲間たちとの日々で、次第に心を開いてゆく。中でも高校生の佐緒里は、みんなのお姉さんのような存在。卒業とともに施設を出る彼女のため、子どもたちはある計画を立てる……。子どもたちが立ち向かうそれぞれの現実と、その先にある一握りの希望を新たな形で描き出した渾身の長編小説。
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Posted by ブクログ
朝井リョウさんて小学生なんですか? と思うくらい小学生のあの頃しか見えない景色、会話の温度、大人の怖さ、大人の優しさ、夜の静けさ、期待と不安、どうにもならないこと、、が絶妙に表現されていて 多分この本に出会わなければ思い出さなかったであろうあの時のあの感じが沸々と湧き上がりました。
自分が何不自由なく暮らし誰かの逃げ場を奪っていないか。 自分が誰にも話せないことがあるように、周りの人も話せない悩みは少なからずあって、心の中では怯えている・助けを求めている・辛く逃げ場を求めている・求めることすらできなくなっている人が周りにいないか。 いつも接する人の本当の思いに踏み込んだりは...続きを読むしないけど、少し想像力を持って接しないと、辛い思いをさせてしまうかもしれない。
児童養護施設で暮らす4人の小学生と1人の高校生のお話 ひと言では表せられないほどの理不尽を背負わされた子どもたちが、知恵を搾ったりおとなたちに抵抗したりして世の中を知っていく、知っていってしまう 無邪気な子どもたちの描写に見え隠れする各々の苦悩が読んでいて涙を誘います 読めて良かった
「約束したことをちゃんと守っても、それでも変わらん人がおるってことを、麻利に知ってもらいたかった」 小学6年生の潤也がそう語ったシーンで号泣してしまった。 ほんとうにそう、それはもう悲しいけれど、あきらめて逃げることが自分を守ることになる。 この本を作者が 「逃げる場所がある』という想像力を失いか...続きを読むけている誰かに届けたいと考えた。 と語っていたとあとがきで読んで、すごく感動したし納得した。
最近ちょっと時間が取れなくて少しずつ読もうかと思いましたが、読み始めたら一気に読みたくなりました。 児童養護施設で暮らす子供達が主役のお話です。 本人達にどうする事も出来ない事情を抱えてここでの暮らしが始まり、また新たな出来事に向き合う姿に現実の厳しさを思います。そして自分達で決めた答えに、自分の人...続きを読む生を決める決断には大人と何も変わらない、不安であっても乗り越えなくてはいけないのは子供であっても一緒。 新しい場所はどうなるのかは分からなくても、怖くても希望を持ちながら進もうとする子供達。 人におすすめしたい本です。
「世界地図の下書き」という素敵なタイトルに惹かれて読み始めたが、この小説に「世界地図」は出てこない。児童養護施設「青葉おひさまの家」で暮らす子供たちの話である。 両親が交通事故で亡くなったあと、預けられた親戚の家で虐待を受けて「おひさまの家」に来た大輔。同じく両親がもういない淳也と麻莉の兄妹。母...続きを読む親の虐待を受けている美保子。両親がおらず、弟が入院していて、遠方の親戚から経済的援助を受けている高校生の佐緒里。この5人が同じ1班として、「おひさまの家」で一つの部屋を共有している。自分を守ってくれるはずの親を亡くしていたり、親に傷つけられたりと心に傷を負った子供たちだが、施設の中では互いに心配しあい、助けあい、家族のように暮らしている。 私の身近には「児童養護施設」の生活を体験した人はいない。朝井リョウさんの身近にはそういう方がいらっしゃったから、よく知ってられるのか?それとも取材されたのか?と初め少しだけ頭を掠めたが、いやいやそういうことでは無いだろう。 朝井リョウさんは人の気持ちに対する「想像力」がすごく長けているのだと思う。児童養護施設の生活を書きたかったのではないだろう。究極的に書きたかったのは、後書きに紹介されていた坪田文学賞受賞の時の作者の話にあるように「逃げ場のない小さな子供たちに「逃げる」という選択があることを伝える」ことである。 1班でみんなのお姉さんだった高校生の佐緒里。その佐緒里が高校を卒業したら大学進学の夢を諦めて親戚の家で働かねばならないことになった。落胆し、そして遠い所に行ってしまう佐緒里に対し、あとの小学生の4人の1班のメンバーはなんとかして佐緒里の夢を一つだけ叶えてあげたいと思い、力を合わせる。夜、布団を被っての作戦会議。夜、学校の図工室に忍び込んでの材料集め。神社に集まっての製作…。学校の先生も自分達を虐めるクラスメイトもみんな巻き込んでの大胆な作戦。そして、そして…。 ああ、この作品は、是非映画化してもらいたい。最後の映像が美しい…!!そして、是非、上手くて、嫌味のない子役たちに演じてもらいたい。 この「おひさまの家」の子供たちは休日の外出許可で実家や親戚の家に行くたびに「何があった?」と様子で察せられるほど、傷ついて帰ってきたり、外で出会うクラスメイトの様子から明らかに虐められいることが分かったりするのだが、お互いに踏みこまずに労わっている。 佐緒里の旅立ち前に行った作戦は成功し、その美しい光の中で、佐緒里だけでなく、美保子も淳也、麻莉も旅立つことを明かす。その先の道は明るいのか険しいのかは分からない。だけどこの「1班」の仲間はこの先の人生でまた、同じような仲間にきっと出会うことがあると信じて旅立つ。逃げたくなるようなことがあったら「逃げていい」。そして、逃げた先にも道があってきっとどこかでまた佐緒里、太輔、淳也、麻莉、美保子のような仲間と出会うことが出来るから。最後にそう信じることが出来るのだった。 朝井リョウさんが「ある高校の男子バスケ部の部長が顧問からの体罰が原因で自殺した」というニュースを見て、「逃げる」という選択肢が彼の頭の中に浮かばなかったのはどうしてだろうと考えたことから生まれたというこの小説。一昔前のように「頑張れば、我慢すれば報われる」という子供へのメッセージではない。子供にも社会に出始めた若者にも、仕事や育児に疲れ「虐待して」しまう大人にも読んでほしいと思った。
ちょっと涙拭くから待って… 児童養護施設で暮らす、子どもたちの一生懸命な物語。交通遺児、児童虐待、イジメなど、読むのがしんどくなるような内容がたくさんありましたが、「実際にこういうことが世の中にあるし、もしかしたらもっともっとひどいこともあるんだろうな」と思いながらモヤモヤしながら読みました。 自分...続きを読むたちだけではどうしようもない現実に置かれながらも、一生懸命に向き合い、なんとか希望を描きながら前に進んでいく子どもたちの姿に心打たれました。みほちゃんとまりちゃんの強さには本当に涙。 逃げたっていい。きっと素晴らしい人との出会いが待っている。そう思わせてもらいました。 子どもたちにも読んでほしいな。
小学生の日々の小さな事がすごく鮮明に描かれていて、7年前の小学生の頃を思い出した。 「世界地図の下書き」っていうタイトルから、なんか複雑で理屈っぽいイメージだったけど、暖かくて素敵なお話。こういう小説大好き。
最近再読した本。 もともと朝井リョウは表現が好きで読んでたんだけど、これは読んだことなくて、大学の時に友達におすすめしてもらったもの。 子どもたちについて書いてあるから本当に色々考えたし、先生になるにあたっても、大切な見方だなあと思って読んでた、まだまだ何回も読みたい。
「逃げた先にもちゃんと、これまでと同じ広さの道がある」 この言葉がすごく好き。 子どもだからまだまだ親の都合に振り回される。その中でも前を向いて頑張る主人公達が本当にかっこよく思えます
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朝井リョウ
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