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誰とも比べなくていい。
そう囁かれたはずの世界は
こんなにも苦しい――
毎日の繰り返しに倦んだ看護師、クラスで浮かないよう立ち回る転校生、注目を浴びようともがく大学生、時代に取り残された中年TVディレクター。交わるはずのない彼らの痛みが、植物状態の青年・智也と、彼を見守る友人・雄介に重なるとき、歪な真実が露わになる。自滅へひた走る若者たちが抱えた、見えない傷と祈りに触れる物語。
文庫版特典:特別付録/本作と螺旋プロジェクトに寄せて
解説/清田隆之
【電子版巻末に特典QRコード付き。〈螺旋プロジェクト〉全8作品の試し読みを読むことができます】
※〈螺旋プロジェクト〉とは――
「共通ルールを決めて、原始から未来までの歴史物語をみんなでいっせいに書きませんか?」伊坂幸太郎の呼びかけで始まった8作家朝井リョウ、伊坂幸太郎、大森兄弟、薬丸岳、吉田篤弘、天野純希、乾ルカ、澤田瞳子による前代未聞の競作企画
〈螺旋〉作品一覧
朝井リョウ『死にがいを求めて生きているの』(本作)
天野純希『もののふの国』
伊坂幸太郎『シーソーモンスター』
乾ルカ『コイコワレ』
大森兄弟『ウナノハテノガタ』
澤田瞳子『月人壮士』
薬丸岳『蒼色の大地』
吉田篤弘『天使も怪物も眠る夜』
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Posted by ブクログ
あえて敬称をつけずに言わせてもらうが、朝井リョウの作品は読んでいて胸が苦しい。
一致しているわけではないが同じ時代を生きてきているからか、社会からの圧力に右往左往し影響を受けまくっている登場人物たちに痛々しいくらい同情してしまう。自分の過去と重なる部分が多い。だから読み進めたくなくなる。
仕事、仕事、仕事の日々は頭の中に全く文章が流れてこなかった。5日間という奇跡のシルバーウィークの後半2日間でようやく読み終えた。精神的に余裕のある時にしか読めない本だ。
生きがい。死にがい。自分は何のために生きているの?なんのために生まれたの?何を残せるの?何も成し遂げてないのに生きていていいの?
自分を見失うたびに、
あいつより劣ってる、あいつのあそこには優れてる。あいつもきっと問題を抱えてるはずだ。人は見せないだけで不幸を抱えてる。
そうやって安心してきた。
でもそれをすればするだけ疲れるだけだ。
じゃあ、人は何を生きがいに生きるのか?
自分のためだけには生きられない私は、誰かのために生きたいし、誰かのありがとうを聞きたくて他人に手を差し伸べる。
人という生き物は難儀だ。
どの世代に生まれても、どの社会に生まれても、誰しもが抱える問題。誰しも繰り返す悩み。この悩みを持っている私は平凡だ。平凡がいい。
Posted by ブクログ
朝井リョウらしさ全開の小説だと思った。生きづらさの描写がとても上手い。
自分は「生きがい」というものを普段あまり意識していないし、生きづらさにも鈍感なほうだと思う。それでも朝井リョウの作品を読むと、普段は無自覚でいることを否応なく意識させられ、自分の立場まで危うくされるような感覚がある。だからこそ、朝井リョウの小説は面白い。
本作で特に印象に残ったのは、智也自身も「生きがいなんてなくてもいい」と考えているようでいて、実際には「雄介を止めること」を自分の生きがいにしてしまっているところだ。相手を否定することで、自分の存在意義を作ってしまう。この構造こそが本作の核心であり、これを軸に一つの小説に仕立て上げた朝井リョウは、まさに天才だと思う。
本作品は「対立」というテーマで描かれているが、現代の生きづらさは、対立そのものよりも、他者との比較から生まれるものなのではないかと思った。
そもそも「自分らしさ」というものも、他者と比較して初めて自覚できるものなのではないだろうか。
SNSが普及したことで、身近な人だけでなく、本来ならば分断され、知ることのなかった人たちの生活まで簡単に覗けるようになった。その結果、私たちは必要以上に自分を他人と比較するようになったと思う。
さらに今は、価値観そのものが一気に多様化している。仕事、恋愛、結婚、家族、お金、趣味など、「こう生きるべき」という一つの物差しではなく、さまざまな物差しが存在するようになった。
一見すると自由になったようにも思える。しかし、物差しの種類が増えたことで、かえって自分がどの物差しで自分を測ればいいのか分からなくなっているのではないか。
他人と比較するための基準は無数にあるのに、どの物差しも自分を測るには曖昧で、自分がどこに立っているのか分からなくなる。
これが、私が考える現代の「生きづらさ」なのかもしれない。
朝井リョウの作品は、普段なら考えもしないことを考えさせてくれる。そして、一度考えてしまうと、以前と同じ場所には戻れないような感覚がある。だから、朝井リョウの小説は面白い。
Posted by ブクログ
すごいものを読んだ。そう思った。
堀北雄介。
一話目に登場する彼に対する印象は最終話を迎える頃には180°違うものになっているだろう。
読んでいると心に刺さってくる言葉の多さに驚く。
雄介が言った「俺は、死ぬまでの時間に役割が欲しいだけなんだよ。死ぬまでの時間を、生きていていい時間にしたいだけなんだ。」という言葉には 昔やり場の無い漠然とした不安を抱えていた頃の自分が思い出された。
雄介のキャラクターは強烈で 嫌悪感を抱いたけれど 一方で強い共感もあった。
ただそれは自分の隠したい部分であって雄介のように わかりやすく行動に移したりはしない。
そしてその雄介のわかりやすい行動こそが嫌悪の対象になるんだろうと思う。
最後 あれから智也は目覚めることができたのだろうか? そして雄介はどんな行動をとったのだろうか?
知りたい… 。
違うまま、脱落できない世界の中で対立と対話を繰り返し いつか〝違い〟こそが、実は大きな繋がりをもたらすのだという実感が持てる時が来るのだろうか?
深すぎる
雄介を見て存在意義とは、生きがいとは、といった難しいことだけど、少しは誰もが考えたことはあるようなことになんとも言えない気持ちになった。生きがいとはなんだろう、読み進めていくほど考えさせられる本だった。
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