【感想・ネタバレ】死にがいを求めて生きているののレビュー

あらすじ

誰とも比べなくていい。
そう囁かれたはずの世界は
こんなにも苦しい――

毎日の繰り返しに倦んだ看護師、クラスで浮かないよう立ち回る転校生、注目を浴びようともがく大学生、時代に取り残された中年TVディレクター。交わるはずのない彼らの痛みが、植物状態の青年・智也と、彼を見守る友人・雄介に重なるとき、歪な真実が露わになる。自滅へひた走る若者たちが抱えた、見えない傷と祈りに触れる物語。

文庫版特典:特別付録/本作と螺旋プロジェクトに寄せて
解説/清田隆之

【電子版巻末に特典QRコード付き。〈螺旋プロジェクト〉全8作品の試し読みを読むことができます】

※〈螺旋プロジェクト〉とは――
「共通ルールを決めて、原始から未来までの歴史物語をみんなでいっせいに書きませんか?」伊坂幸太郎の呼びかけで始まった8作家朝井リョウ、伊坂幸太郎、大森兄弟、薬丸岳、吉田篤弘、天野純希、乾ルカ、澤田瞳子による前代未聞の競作企画

〈螺旋〉作品一覧
朝井リョウ『死にがいを求めて生きているの』(本作)
天野純希『もののふの国』
伊坂幸太郎『シーソーモンスター』
乾ルカ『コイコワレ』
大森兄弟『ウナノハテノガタ』
澤田瞳子『月人壮士』
薬丸岳『蒼色の大地』
吉田篤弘『天使も怪物も眠る夜』

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

ネタバレ

死ぬまでの時間に役割が欲しいだけ、という雄介の悲痛な叫びに心がギュッとなった。
私は、目標(=生きがい)がないと虚無感と不安で生きる事への絶望を感じる性格だ。
目標を見いだせなくなり、先を行く道が真っ暗になった時期があり、生きづらさを強く感じていた。
私が生きづらさを感じる要因と、小説の中でそれぞれの登場人物が感じる痛みが自分と重なり、共感や納得感を得られた。
終盤の、智也による「どうせ歩き続けるしかないのだから、きれいごとに聞こえる話を絶望と一緒に一度呑み込んでみるのも手ではないか」という言葉。
私は軽い衝撃を受けた。そうか、と。
どうせ生きていくしかないのだから(それだけでも有り難い事は承知の上)、降伏しようと。
人と比べて自分を卑下して自信を持てず不安の中歩いているのは自分だけじゃない。多くの人が周りの状況を伺いながら、自分の立ち位置を確認しながら、自己評価しながら、生きてる。
大事なのは、今出来ることや手にしている物に目を向けることだ。ないものねだりではなく、あるもの探しは忘れないようにしたい。

まとめ
中盤までは、生きづらさや絶望、正体の分からないモヤモヤを自覚ししんどくなる事もあった。しかし、そのモヤモヤを言語化し表現されており、最終的には前を向ける小説だった。

1
2025年09月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読み終わった後に、もう一度序盤のページを開いて読み直した。
p22の雄介のセリフ
「小さなころからずっとずっと一緒で、二人でいろんなことを助け合ってきたのに、あの瞬間だけ、助けることができなかったんです。二十年間の中で、あの一瞬だけ、俺はどうすることもできなかったんです。そのことがずっとずっと許せなくて…こいつの人生が止まった瞬間に何もできなかったから、せめて、こいつの人生がもう一度始まる瞬間には、絶対に立ち会いたいって、そう思ったんです」
この言葉の背景を知ってしまった今、もちろん素直には受け止められない。
自分本位過ぎるほどの裏面を知ってしまった今、
ここに純粋な友情は見えない。

オンリーワンになりたくて痛々しい若者たち。
自分の若かりしころや周りにいたエネルギッシュな友人たちを思い出して雄介や智也に投影してしまう。

対話をする覚悟が決まる智也も、
未熟で凡庸な選択をし続けてしまう雄介も、
自滅的でしんどかった

正解のない終わり方に、
正解がなくて当たり前なんだけど
重いものがのしかかったような読後感。

0
2025年12月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

私が生きてて疑問に思ってたことを言語化してくれて、スカッとした。人助けはその人のため、その人の生きがい、死にがい、生きてるための理由。人助けされてる人はそれに利用されているだけ。でもこんなことに気付かずに人助けしたり、されたりする人生がよかったなあと思ったり。ここで終わっちゃうの!ってなったり、逮捕されちゃったり、報われなかったり、続きが気になるけど、それでこそその人の人生ってことなのかなあ。私は生きがいも死にがいもないから、雄介みたいに無理矢理でも見つける熱量があるのは羨ましい。地味に礼香の職場体験の時の一言一言が核心をついてて、読んでいて辛かった。

0
2025年11月16日

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強烈な読後感だったのを覚えていて、たまに読み返してみたくなるものの、さらっと読み返すにはヘビーすぎるので諦める一冊。

0
2025年10月30日

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結構好きかも。
ナンバーワンじゃなくてオンリーワン。でもこれは自己責任の入り口。
自分自身、大体のことはできるけど、何か秀でたものがないことにいつも悩む。でもそれは自分が他人と比べた時にそう思ってしまうのかもしれない。つまり勝手に自分が人と比べて何も秀でてないと思い込んでる。でも人間は弱いからどうしても優位に立ちたがる。だから足を引っ張りあう。生きることに正解はないと思うけど自分自身を正解だとも言い切れずにもがく。人間はみんなそうやってもがいて生きていくしかないのかもしれない。

0
2025年10月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

なんでこんなにもこの人の小説は、自分自身の内面に眠る嫌〜なところをチクチクついてくるんだろう。。
本作は特に刺さってしまった
結局、自分を自分で肯定するために敵を作って戦うこと、何かを見下したい欲求から逃げられないのが人なのか。そうでないと信じたい智也ですら、自分も父という敵があったからこそ自分を保ってきたことに気づきどん底に落ちてゆく。
最近別で読んだ哲学書に通づるところもあった

では、私自身はどうなのか。この本で感じた感情が新しいうちに、智也のように、自分が何を「生きがい」...いや「死にがい」として生きてきたのか?丁寧に考えを積み上げてみる作業をしてみたい気持ちになった(が、どん底に落ちそうで怖くもある)。

0
2025年09月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

朝井リョウはなぜ自分の痛いところを確実に突いてくるのだろうか、言語化の鬼だといつも思う。特に解説にあった「当事者性を求めて生きる」という言葉刺さった。
あなたのままでいい、という言葉って残酷だな〜実際に進学したり就職したりするためには「人より特別な経験」が必要とされてるのに!
自分はかなり他者評価重視にんげんであり、他者評価軸を捨てなければと思う時は何度も何度もあったけれど、そしたら自分のエネルギーはどこから発生するんですかね ひとりで自発的にエネルギーを生み出せる人がこの世にどれだけいるんだろう?でも世の中では、そういう人がよくかっこいいスマートだと言われて普通にムカつく
そういう世の中だとしても、雄介のように泥臭く生きている方が人間味があると私は思うし、それでいいと誰かに言って欲しい。

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2025年08月14日

Posted by ブクログ

平成という時代ならではの生きづらさをテーマにした作品。初めは章ごとに全然関係ない話のように見えて、徐々にいろんな繋がりが見えてくる構成は見事。全部読み終わってから初めの章を読み返すと、見え方が全然違ってこわいくらい。

競争や順位づけをやめ、ナンバーワンではなくオンリーワンであることの良さが押し出されるようになった平成。むしろそれは「自己責任社会」の始まりで、自分らしさや夢中になれるものが見つけられない人は自己否定に苦しむようになる。
自分も人生の大半を平成で過ごしてきて、好きなことで生きる人が社会的に目立つようになってきたり、生き方の多様さもどんどん増していったりする中で、「自分の好きなことを選んで、生きる道を自分で選んでいるんだからもし失敗したら自己責任だな」と不安に思うことが何度もあったから、この作品の中で「生きがい」を必死に探している登場人物たちの焦りもよくわかるなあと思った。

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2025年12月07日

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ネタバレ

雄介のこと、すごく嫌だなあ、こういう人苦手だなあと思いながら読んでいたけど、後半気づいたら智也よりも雄介に感情移入してた。
「俺は、死ぬまでの時間に役割が欲しいだけなんだよ。死ぬまでの時間を、生きていていい時間にしたいだけなんだ。」って台詞が印象に残った。生きていていい理由とか価値が欲しいっていうのはすごくわかるけど、雄介はそれを自分で生み出しにいくところが、人とは違うところなのかな

産まれてきたくなんかなかったと思ってしまうから、「生きがい」とか「自分が生きていていい理由」とか、いつも考えてしまうけれど、答えは出ないし、「生きているだけでいい」と短期的には思えても、やっぱり納得できないし、どうしても人と比較して、私はどうして生きてるんだろうって。人との繋がりがないと自分の価値を見出すのは難しくて、絶対評価よりも相対評価で考えてしまう。そういうことをこの小説全体で書いているのかな、と思った。

智也の「俺たちは二人とも、違うまま、脱落できない世界の中で生きるしかないんだよ。」の台詞が、何となく、私の中では納得のいく答え。ただ生きるしかない。それは結局生きてるだけでいいとか、人と比べなくていいとか、そういう言葉と同じかもしれないけど、脱落できないから生きるしかないし仕方がないんだ、と納得したい。

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2025年10月01日

Posted by ブクログ

ちょうど今の自分に刺さる内容だった。
夢中になれることを探すのってすごく難しい。そういうのって探せば探すほどわからなくなるものだと思う。
周りが、何かに夢中になっていたり、意味のあることをやっていると、なんとなく焦ってしまう。
同級生と数字で比べない世界になっても、逆に突出した人が目立つことが多くなり、自分との差にがっかりしてしまうこともある。
そういうのって、いくつになってもある。むしろ、大人になってからの方が、自分の限界が見えてきている分現実的にのしかかってくるようにも思う。

結局、自分の軸で、自分が満足できるものを探すしかない。
けど、生きがいというほど大それてないくていい。自分が心地良いと思うこと、小さな幸せを、日常で感じられることが大切なんじゃないかと思う。
家族と過ごす時間や、休日二度寝する瞬間や、朝コーヒーを飲んでるときでもいい。
その瞬間があるだけで生きていける気がした。

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2025年08月18日

購入済み

深すぎる

雄介を見て存在意義とは、生きがいとは、といった難しいことだけど、少しは誰もが考えたことはあるようなことになんとも言えない気持ちになった。生きがいとはなんだろう、読み進めていくほど考えさせられる本だった。

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2023年01月15日

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生きる意味とは何か。そもそも生きる意味なんてないんだからナンバーワンになろうとせず、オンリーワンで自分なりの生き方や幸せを見つければいい。
でも、オンリーワンな生き方も結局、今の社会でどう生きるかという制限のなかの自由な生き方でしかない。つまり、どこまでいっても他人と比較されたり、相対的にこの人の生き方はよい、この人はよくないといった価値観のある社会で生きている。その価値観は資本主義社会、多数派が異性愛個体であること、教育現場のシステムなど、当たり前になっている今の社会の構造によって作られていると思う。

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2025年12月10日

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ネタバレ

雄介が言う人間は3種類いるという話が印象に残った。とりあえず働くのは、三つ目の人間に堕ちたくないから。自分はたまたま家族がいるので、雄介のいう一つ目の人間に当てはまるのかもしれない。でも、三つ目の人間とも言えるような気がする。というか、三つ目の人間になりたくないと思いながらなってしまっているような感覚になり、焦燥感に駆られることがある。今後子供が巣立ってしまったら、自分に何もない気がする。この辺りの雄介に共感したが、それも何だか自分でショックだった。自分は雄介と同じなんだと思った。自分が見たくない部分を書かれて、何だか処理しきれずぼんやりしてしまう。朝井さんの本は大体こういう衝撃を受ける。
朝井さんの本はミステリーじゃないのに続きが気になる。今回は、人の秘密というか行動の動機となる心情の部分が巧妙に描かれないまま話が進んでいくので、気になって読んでしまった。でも最後までにはしっかり描かれる。知りたかったけれど見たくなかったもの。考えさせられる。

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2025年12月01日

Posted by ブクログ

各登場人物の視点での物語進行のなかで、時々現れる海族山族という物語が不穏さを感じさせる。それもそのはず、この作品は「螺旋プロジェクト」という海族山族の対立の物語を8人の作家が描いた競作であり、この朝井リョウさんは対立という構図が表面上は消失した平成という時代を表現している。

学校では成績を提示したり、運動会での順位付けが行なわれなくなったゆとり教育が主流となり、テレビではSMAPが「ナンバーワンよりオンリーワン」と唄っていた時代、そのような競争や対立が失われていく状況を憂う一人の主人公として堀北雄介が登場する。彼はスポーツ万能で成績も良くクラスの人気者であったが、やりがい・生きがいを求めることに執念を燃やしている。

もう一人の主人公は南水智也、物静かで事を荒立てるのを好まない性質なのに、なぜか雄介と親友となって小学校から大学まで同じところに通うようになる。事故によって植物状態となり病院に入院している智也のもとに、毎日のように足繁く見舞いに通う雄介の姿は、看護師の目から見て美しい親友想いの青年と映るのだった。

しかし登場人物が増えるにしたがって、この二人の関係性に不穏な影が見え隠れするようになる。そしてところどころに注入される海族山族というキーワードに、この平成ゆとり世代の置かれる「やりがい探し」のような状況が明らかになっていく。個人としての物語を求める姿と、もっと俯瞰的な螺旋プロジェクトとしての物語に収斂されていく流れが交錯していく。なかなか難易度の高い構成を緩急をつけつつまとめ上げる技量はさすが朝井リョウさんといった印象だった。

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2025年11月05日

Posted by ブクログ

話も面白いが、毎回作者の言いたいことがありそのメッセージに痺れる。

【以下本文より】
自分とは何かが必ず違う誰かと共に、この世界で生き続けるしかない、今その方法を考え続けることは考え続けながら生きることは、これまで連綿と続いた分断の歴史という巨大なものに立ち向かうこと、そのものではないだろうか。
それって、結局生きてるだけでいいってやつを言い換えただけじゃないのか?
そうかもしれない。だけど、実際に何も特別なことはしなくていいんだ、自分だけにできることも、世の中への多大な影響力もいらない。自分とは必ず何かが違う誰かとここで暮らし、対立しては、対話をする、それでいい。その繰り返しの先には対立を生む原因だった、「違い」こそが、実は大きな繋がりをもたらすのだという実感が待っているはずだ。

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2025年10月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「やりたいことを見つけた人は今何してるのって聞いてくる〜じゃあ何かやりたいこと見つけるって話だから」の部分がわかるーーーーーーーってなった
今何してるのって聞かれるのが嫌な理由がここに詰まっていた

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2025年10月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

おそらく、この本を読んだ誰もが最初のシーンをもう一度振り返りたくなるのではないだろうか。
私は「一度読んだ後に、読む前とは受け取り方が変わる物語」が好きである。そのため、この作品は読み進めるにつれてパズルのピースが自分の中で少しずつはまっていくような感覚があり、とても楽しめた。

私は大学生という立場から、登場人物たちの姿に自分の見たくない部分を突きつけられるような場面が多くあった。何かに対立しなければ自分の価値を見出せない雄介。彼を諭そうとしながらも、自身も父親という存在に疎ましさを抱き、同時にそれを生きがいとしているのではないかと悩む智也。彼らの姿は、「私にとって生きがいとは何か」と改めて考えさせるきっかけとなった。

SNSでの承認欲求に駆られた投稿は、いつから当たり前になったのだろうか。実際に雄介のような人物が身近にいたら、私は距離を置くかもしれない。だが、己の生きがいという問題に真剣に向き合い、「ヘラヘラ生きる」ことを選ばなかった雄介の姿には、少しの尊敬すら覚えた。オンリーワンの価値が叫ばれる現代で、それ自体が悪いとは思わない。しかし、私を含め、その風潮に胡坐をかいている人は多いのではないだろうか。今後も他者と比べ、優位に立ちたいという心が消えることはないだろう。だが、少なくとも自分を見つめ直し、手段と目的を取り違えていないかを意識し続けたいと感じた。

今回、朝井リョウさんの作品を初めて読んだが、他にも有名な著作が多く見受けられた。是非そちらも読み進めていこうと思う。

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2025年09月26日

Posted by ブクログ

承認欲求が強く他人と比較することが多い私にとって、とても深く刺さる本だった。
絶対って言葉を多用してしまう未熟さや、対立することで自分の価値を見出すこと、生きがいを求めてしまうことが自らの経験と重なり考えさせられた。
年代的にも重なり、何のために生きるのかという目的意識をもたないと自分を見失ってしまいそうになる危うい感覚が描かれていた。

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2025年09月23日

Posted by ブクログ

本編を読んでるうちは相容れないところにもやっとしたり、そういう人間もいるのかと考えさせられたりはした。まあまあ面白かったかな、くらいで留まる予感がしてた。
でもあとがきと解説を読んで、そのまま思う壺にハマってたんだと思う反面、平成のこの表現し難い不安感や都合の悪さをドンピシャで当てられれた感じが気持ちよかった。だいたいの人間はいろんな意味で汚いしくさい!!それを知ってる気持ちも大切にしたい。

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2025年09月16日

Posted by ブクログ

何でもいい、何かに没頭していたい。生きがいが欲しい。そんな自分でいたい。賛否分かれるであろうこの主題の元、ある人たちを取り巻くさまざまな人間を描いている作品。
それを生きがいと呼ぶのか、死にがいと呼ぶのか。
読んだ人と感想を話し合いたい作品であった。

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2025年09月08日

Posted by ブクログ

「自由と言われて嬉しいのは、その中でお揃いにしたくなる友達がいるから」
今作のベスト・オブ・心に残ったワード
「ドリンクバーくらいすぐ命注ぐ」
人生で初めて、小説読みながら声出たワード

死ぬまでの時間に役割が欲しいだけ、死ぬまでの時間に意味がないと不安でたまらない、だからいつも何かと戦って命を燃やす。
私はこれまで、自分で自分の価値を築き上げないといけないこの時代に、勉強というわかりやすいかつ他人と比べることが正当化されているもので自分の存在価値を見出してきた人間なので、それ以外を求められる大学に突入し(というより勉強で得られる最強の肩書を手にした上で勉強を捨てることを選んだ)、ほんとうに気が狂いそうな四年間を過ごしたし狂い終わるより先に大学生活が終わりそうだし、この小説に書いてあることは「あぁ、わかるよ……」でしかなくて、それ以上のことを言葉にできない、まだ。
あなたはあなたのままでいいという励ましは無責任に感じられるし、その眩しさに目がつぶされることも大いにある、というか目潰ししかされていない。
解説にあった通り、こんなふうに光の眩しさに心地よさを感じられない、あるいはやたらと考えすぎてドブに着地してしまうような人間のために文学が存在しているのかも、ていうかそうであって欲しい。

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2025年12月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

作中に、女性が活躍していることを快く思わないシーンが出てくる。実際には女性だからではなく、その女性が社会のニーズをいち早くキャッチできたから評価されているんだと思うけれど、ひとではなく女性だからと思ってしまうほど男性性の特権の強さが脅かされることへの恐怖を感じた。仮にもしそれが女性故に評価されているのだとしても、それは女性が社会的弱者の立場だから気付きやすいということの影響がある。

あとなんかしんどいなと思ったのが、陰謀論に絡め取られていく過程がリアルだったこと。裏事情は何ごとにもあると思うけど、そんな重大な事案の裏事情がいとも簡単にSNSでわかると思えるのはどうしてなのか。昔から今の過激な動画サイトのような週刊誌はあったけど、どうも性質が違う気がする。
自分とは何ものかを模索している途中の、自他境界線が曖昧な年ごろに、より刺激の強い動画のみで情報収集していくことに何かがあるのかなと感じている。

全体的に有害な男性性が散りばめられていて、読んでるのがしんどい部分もあったけれど、この有害な男性性をよしと考えて絡め取られる女性の姿もよぎった。正直にいうとあまりのめり込めなかったんだけど、たぶんそれは自分もその有害な男性性を内面化してしまっていることに対する羞恥なのかもしれない。

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2025年11月23日

Posted by ブクログ

少し主人公に対してストレスを感じた内容だった。
でも、おもしろかった。

この本を読む前は、伊坂幸太郎さんのを読んでいたので、
アイムマイマイのことが出てきて、テンションあがった笑

他の作家さんのやつも読もうかな。

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2025年11月22日

Posted by ブクログ

自分の存在価値を周囲の人や環境によって定義するのは得策ではないと思った。なぜなら、周囲は変動するから。だけど、うっすらでも必ず人と繋がってしまっている世の中で、確固たる自分自身の物差しだけで生きていくというのは矛盾である。

つまり、「受容」と「姿勢」に注力すべきだと思った。現実を受けいれ、現実から逃れようとする自分を受け入れ、自分を誤魔化すための行動を受け入れ、自分自身の変化・進化を答えとするのではなく進み続ける姿勢をゴールとすべきだと感じた。

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2025年11月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

螺旋プロジェクトそのものを知らずに、作家で選んで読んだ。
タイトルから暗い話かと思ったら、そうでもなくて。ここで終わるんだという感じもあった。

雄介みたいなタイプ、いるよね…。私も苦手だな…。対立を生んで優位に立ちたい、リーダーになりたい人。私は対立、順位付けが全くモチベにならないし、逆にモチベが削がれるけど、父は自ら対立は生まないにしても対立、順位付けのある環境の方が好転するタイプだろうなあと思ったりした。

生殖記を読んだあとに読んだから「生産性」をさらに感じた。自分の「生きがい」「死にがい」ってなんだろう。何も思いつかない。本当にそれってなきゃダメなものなの?と思っている。

最初の雄介の献身さにそんな唯一無二の友達ってできるもんだなあと思ってたのに、読んでる途中からあれはエゴだ…と思ってしまって。
怖い。と思った。当事者じゃないのに寮の伝統行事で旗振るのとかとても怖い。この怖さを言葉にするの難しい。

生きる理由ってそんな見つけられないよね。私は見つけようとして、そんなものなくていいかと諦めたような気がする。だから今死んでもいいように「生きている」より「過ごしている」感覚の方が合ってる。

最後の会社の火災はどういう理由で起きたんだろう。私見落としてるのかな…。

智也の言う「グラデーション」って大事だよね。

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2025年11月04日

Posted by ブクログ

・螺旋プロジェクトの一冊
・客観的に見る、小さい頃からどこか歪みながら成長していく雄介の人生をみて、なんて過酷な人生だろうと思うと同時に、形は違うけど、自分もそうやって歪んだ成長をしてきているよなあと考えさせられた。
・主人公として自分から見る人生と、客観的に見たときの自分の人生って、相手の数だけまったく違ったように見えているはず。だとしたら本当の自分ってどこにあるのだろうとも思う。
・生きがいと死にがいって表裏一体で、客観的にみた自分の生きがいと死にがい、自分の目から見た生きがいと死にがい。人生を積み重ねるほどにどんどんと移り変わっていく生きがいと死にがい。何のために生きているのか。死んでいくことを正当化するためにどう生きるのか。死にがいってどこにあるのか。
・人はだれでもいつか死ぬ。だれもが死にがいを求めて生きているとも言えるし、そのためにはどう生きるのかを考えないといけない。
・自分って今、どうやって、生きているのだっけ。

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2025年10月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読む前は「死にがい」の意味がわからなかったけど、読み進める中で後半ようやくしっくりきた。自分に当てはまることは少ないきがするけど、もう一度最初を見返したくなった。その人の本性は、外からどのように見られるかは分からないが、外から見られている自分が間違っている訳でもない。そう思うと何が正しいか考えるのはむずかしいなと思った。

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2025年10月15日

Posted by ブクログ

後半どんどん世界観に着いていくのに必死になった
分かるな〜と思うこともあったけれど、自分にはあまりリンクしなかったかな そんな自分には適度な(小さな)生きがいが今あるんだと感じた

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2025年10月06日

Posted by ブクログ

現代に多くある「生きているだけで偉い」という風潮に切り込む作品。

ナンバーワンよりオンリーワンを重視されているけれども、自分のいわば上位互換がこの世界には存在していることに、目を背けることはできない。オンリーワンを目指す世界も、実質的には他人との差別化が意識される。そういう意味では、世界はまだ違う個性を比べて、より役に立つ個性を選ぶというナンバーワンの世界と何ら変わっていないのかもしれない。

生きているだけでいいと、他人と比べなくていいと言うが、何を目指して生きていけばよいかわからない。生き方について考えさせてくれる作品。なぜ作者は「生きがい」ではなく「死にがい」というタイトルを選んだのかも考えるとさらに深く読み込めるように思った。

本作は螺旋プロジェクトの1作品であるため、人間の種族の話が絡んでいる。単体で読むと少し唐突なような印象を持ってしまったため、プロジェクト全体の一部とするのなら、このような設定も面白さの一つとして読めるのではないだろうか。

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2025年08月29日

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都合の良い言葉で人間の一筋縄ではいかない精神を誤魔化してきたことのツケが回ってきている。

っていう言葉がすごく心に来た。
みんながやるから自分もする、しないとか、流行ってるから欲しいとかってのは本当にSNSの弊害なんだろうな

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2025年08月07日

Posted by ブクログ

他作品との競作作品で、海族と山族の争いというベースを置きながら、平成を生きる人間を描く物語。軸は雄介という何かへの争いを求め現場への反発を繰り返す人物と、その幼馴染で雄介を見守る智也という人物で、それらの周りの視点から物語が進む。(最終章は智也視点)

少し競作の軸である海族、山族との紐付けが朝井リョウらしくないファンタジーさを出していたが、その中でも現代のリアルを描く非常に面白い作品だった。
ナンバーワンからオンリーワンが重視されるようになり、競争から調和へと学校教育など社会が変わった。競争の時代では、他社から明確に優劣を定められることに苦しんだが、調和の時代は自らで自らの優劣を決める必要があり、それに苦しめられるという著者からのメッセージ。
人より優れている点が顕著な人間は、人に僻みもせず優劣も特に意識せず生きていけるのかもしれない。(本当にそんな人がいるのかは些か怪しいが)少なくとも自分は、特に優れている点はないと自認しているため、少しでも優れている点を見つけ出そうと人を見下したり人に負けていると落ち込んだり、自分で自分を評価している。自覚はないが結構自己肯定感が高いので、そこまで落ち込むことは少ないが、これで自己肯定感が低ければ確かに追い込まれていくのだろう。ダメな自分をそれでも愛そう。その中でも、頑張ってナンバーワンを目指して好循環のサイクルを作り出そう。頑張ろう。

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2025年12月12日

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