あらすじ
誰とも比べなくていい。
そう囁かれたはずの世界は
こんなにも苦しい――
毎日の繰り返しに倦んだ看護師、クラスで浮かないよう立ち回る転校生、注目を浴びようともがく大学生、時代に取り残された中年TVディレクター。交わるはずのない彼らの痛みが、植物状態の青年・智也と、彼を見守る友人・雄介に重なるとき、歪な真実が露わになる。自滅へひた走る若者たちが抱えた、見えない傷と祈りに触れる物語。
文庫版特典:特別付録/本作と螺旋プロジェクトに寄せて
解説/清田隆之
【電子版巻末に特典QRコード付き。〈螺旋プロジェクト〉全8作品の試し読みを読むことができます】
※〈螺旋プロジェクト〉とは――
「共通ルールを決めて、原始から未来までの歴史物語をみんなでいっせいに書きませんか?」伊坂幸太郎の呼びかけで始まった8作家朝井リョウ、伊坂幸太郎、大森兄弟、薬丸岳、吉田篤弘、天野純希、乾ルカ、澤田瞳子による前代未聞の競作企画
〈螺旋〉作品一覧
朝井リョウ『死にがいを求めて生きているの』(本作)
天野純希『もののふの国』
伊坂幸太郎『シーソーモンスター』
乾ルカ『コイコワレ』
大森兄弟『ウナノハテノガタ』
澤田瞳子『月人壮士』
薬丸岳『蒼色の大地』
吉田篤弘『天使も怪物も眠る夜』
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
朝井リョウさんの作品は、いつも人間の心の闇を垣間見せられているような感覚になります。登場人物たちの心情に共感すると同時に、どこか虚しさを覚えることも少なくありません。しかし、そうした心の揺れこそが深く記憶に残り、最終的には「読んで良かったな」と思わせてくれるのです。有名どころな作品からでも、手に取って損はない作家さんだと思います。
Posted by ブクログ
平成の描き方が鮮明すぎて、とても懐かしくちょっとこそばゆい感覚も感じる本だった。
競争や順位づけってとても簡単に自分のポジションを表現してくれるものなのだと思う。中学生になって、テストで初めて順位が知らされた。特段張り出したりしなかったので、「自分だけが学内の順位を知っている」という状態だったが、頑張り方を理解することができてスッキリした感情を持った。
雄介の考え方は全然他人事ではなく、自分も少なからず、ポジションに安心したい気持ちを持っている。何かに挑戦して何者かになりたい自分と、安定した場所に身を置きたい自分が常に自分の中にいる。平成という時代によって、この感情が作られたかはわからないけれど、こんな豊かな時代に生まれても、少ないとも私は不安も苦しさも強くなりたい欲求も持っている。強欲だな。
Posted by ブクログ
雄介が生きがいを求める矛先を智也に向けた時、とてもゾワっとした。ホラーかと思った。そのくらいの恐怖があった。生きてるだけでいいなんて綺麗な世界に生きることはできなくて、それぞれの目線から見たそれぞれの世界がある。交わることと繋がってしまうことは別物。
Posted by ブクログ
他人からの評価でなく、自分で自分を認めてあげればいいってそれ過酷すぎない??っていう話なんだと思う。
自分を価値づけるために行動してしまうけどその行動の種類が人それぞれ違う。競争に勝つことで価値付ける人、何かを成し遂げることで価値付ける人を山族で表現したのだとも思う。
自分を価値づけているものを整理してみようかな。
Posted by ブクログ
すっきりではなく、もやもやする読後感。
だけど、確実に心は刺していく、そんなお話。
高校生ではテストの順位が出て、客観的に評価される。大学に進学すると相対的評価はほとんどされない。自分で「自分らしさ」や「価値」を探さなければならない。それにしんどさを感じたことを思い出した。
作者あとがき
「本作で見つめた地獄というのは、他者や世間の平均値からの差異でしか自分の輪郭を感知できない人間の弱さです。」
Posted by ブクログ
ずっと読みたいと思っていた本を、今年中に読みたい目標冊数達成のために大急ぎで読んだ。
ところどころ内容や表現にくらった。
絶対にまた読み直したい本。
死にがい、生きがい、今生きている意味を見出してしまいがちなのは私もそうで、それが良い悪いは言語化できていない。
私も、この期間は何をやり抜きたい、何かを成し遂げたい、何もやっていない期間は嫌だ、という気持ちがある。
目の前の対立に目を向けるのではなく、どうしても繋がってしまう今のために背負っている歴史に目を向けるという考えは納得した。
雄介の、「ドリンクバーくらいすぐ命注ぐ」性格は、私は持ち合わせていないため見習いたいと思った。
メモ
「自滅」=目に見えない毒素=自分なんてこの世界に存在していたって意味がないと思い込むこと
世界に一つだけの花-SMAP
Posted by ブクログ
いるいる〜こういう人!小学生の時からめちゃくちゃ存在感出してる人!って人の物語。最後まで、とことん期待を裏切らなくて良かった。そして、いるいる〜こういう人!なんでココとココ仲いいかわかんないよね〜なんか達観してるよねーって人。実はこっちの人もその状況を楽しんでたりして。あー面白かった。最後までページをめくる手が止められず。なしてこうも心情を書くのが上手いんかね。すごいわ。
深すぎる
雄介を見て存在意義とは、生きがいとは、といった難しいことだけど、少しは誰もが考えたことはあるようなことになんとも言えない気持ちになった。生きがいとはなんだろう、読み進めていくほど考えさせられる本だった。
Posted by ブクログ
看護師のところを読んでる時はただただ雄介が健気に見えていたのに、ラストでの死にがいに固執する姿はとても恐ろしかった。結局山族と海族に囚われた人生を送る智也を見ていると、人は死ぬまでの間明確な生きる理由がないと生きていけないという事実を突きつけられたように思えた。
Posted by ブクログ
手段と目的が逆になってるという言葉にざわざわした。雄介が他者から注目されることが行動の原動力になっている所が自分にも当てはまる所があってざわざわした。他者の評価に左右されて生きていることを思い出して苦しい。
自分自身を自分が認められるように生きていきたいと思った。
Posted by ブクログ
これ系は結構好き
改めて浅井りょうの今までの読後感想読んだら
好きな作家さんだった
確かに昔とくに中高ぐらいか
男子が集まって話すと何かというと競いたがる
風潮あったかも
くだんねー自慢話とか
どっちが酒が飲めるとか
原付免許持ってるとか
それも自分じゃない知り合いの先輩がどうとか
せめてお前の話をしろよと思った
ホントその中に存在することが苦痛だったけど
我慢してたな
だから集団じゃなくてもいい
自分で選択できる
大人になってからは
しあわせになった気がする
てか堀北君は試験の順位や運動で競ってんだから
むしろ健康的じゃないかw
ボクの周辺はもっとずっと低レベルだけど
Posted by ブクログ
全部持っていかれた。著者の現代の生きづらさを言語化する明瞭さがハンパない。自分の人生に投写してしまうぐらい共感した。正論と個人主義と死にがいと人間の性みたいな抽象的な概念が、温度感を持ちそのまま人になり群像劇になっている。生きがいを求めないと自分の存在確認ができない、他者との好善なつながりを担保できないのは、育ってきた生育環境を省いても、そういう葛藤はあるのだろうと思った。人間の性として著者は、弱さに重きを置いてる気がする。ダメだけどやってしまう、不安でたまらない、求めてしまう、人間の土台は弱いからこそ、その上時代の変化になんなく影響されてしまったり。そういうところを取り出して保存してるのが好き
Posted by ブクログ
大学生の時、私も死にがいを求める症候群になっていたことを思い出した。今思えば、周りの人とは違うと自分を肯定してあげたかったことが理由だと思う。
そんな私を変えてくれたのは夫で、社会問題は考え出したらキリがないし、誰かがかならず全力で解決してくれるのだから、自分の好きなように生きたらいいという、ある意味生殖記的な考えを持っていた。
今は彼の言葉で楽に生きられているし、生活や趣味を大切にしている自分(むしろ、仕事のように、よく見えない誰かのためにすることの重要度を下げている自分)に満足している。
…と書いていてふと思ったのだが、令和の時代は、他者との分断、自己責任論を超えて、それを放棄する「無責任論」が主流になっているのではないか?AIも発展して、誰かのために頑張らなくても、そこそこの努力があれば仕事はできるようになったし、他者に気遣わなくても生活ができるようになった。他者との対話なんて重要じゃなくなってる気もする。好きなことをしていて、好きなタイミングで他者と交わればいい、みたいな。争いは減ったし、熱くなる場面も減ったけど、より個人間の分断が進んでる気がする。どうだろうか?
あと、脈絡ないけどこの本は幼少期時代の描き方がとてもリアルだった。小学校時代の「その人の背景が変わるだけで、その人の所属している場所が変わるだけで、その人まで変わってしまったように見える」は大共感だった。いまだに同じことを感じる。
Posted by ブクログ
雄介のイタいかんじ、めちゃめちゃ伝わってきた。友達にいたら引いちゃうと思うけど、じゃなんでコロコロ生きがいを変えちゃダメなのかはわからない。
でも、人から感じる胡散臭さとか信用できない感じって、雄介みたいに自分の見栄とか理想を優先して追求しまくって、周りの人を自分を輝かせる照明的な存在としてしか見れてない人から醸し出されるものなのかなって思った。
自分が何をしたいか、どうなりたいのか、何が好きか、みたいに自分の考えを感じられるようにならないと生きがい地獄からは逃れられないような気がする。人を勝手にランクづけして、負けた勝ったを無意識に判断するの心当たりありすぎてキツかった。今もやっちゃってるかも。
智也も生きがいに囚われてるって言ってるけど、智也は生きがいと自分の考えがちゃんと一致してるんじゃないかな?あと、山族vs海族の件は、名前が付いて概念があることを知ってしまったから争いが生まれる的なことじゃない?海族山族はあまり話の本筋とは関係ないと思う。
Posted by ブクログ
最近イン・ザ・メガチャーチの宣伝で色々なところで目にするので、積読していた本を読んだ。
やっぱり朝井リョウさんの書く暗くて重い世界観がとても好き。
自分の中の雄介が顔を出してしまうことあるなと、ふと思った時にすごく嫌な気持ちになった。周りからどう思われてたんだろうと不安になったし、反省した。
でも、誰かと自分を比べて自分の方が優位に立ってるアピールをしたくなることってある。自分だけを見つめて、自分に向き合うのはすごく胆力がいるから。
Posted by ブクログ
ある人物を中心に、関わりのある人たちの視点で幼少期からの様子を描写していく。
生きがいがないと生きている意味がないという考えにとりつかれた彼にとって周りの人々は翻弄される。生きがいとはなにか、生きがいがないとダメなのかを問う。
こーゆー人いたよね、という感じの人物。側から見ると痛いやつだが、本人はいたって真剣で自分に酔っている面もあったりする。だんだんと暴走していく感じが面白い。
一目置かれるのが気持ち良いのは心当たりがあったりするからこそ先が気になる。
Posted by ブクログ
最後の最後で全てが繋がった感じが爽快でした
現代の問題の根元をシンプルに表すな〜と
これは何回も読む価値あり
朝井リョウにハマっちゃいました笑
Posted by ブクログ
「これからの時代はナンバーワンじゃなくてオンリーワンだから」大学の受験期に差し掛かる直前、中学のときに尊敬していた先輩にそう言われた。
ナンバーワンよりもオンリーワン、SMAPと全く同じ言葉に私はストンと納得し先輩に感謝の言葉を伝えた記憶がある。
(歌詞を書いたのは槇原敬之)
当時の私は受験期を前にして何もしていなかった。
何もしていなかった、くせに自分は周囲の人間とは違う、と信じて疑わないような能天気さと愚鈍さがあった。
それからしばらくして生まれついて運が良い私は運良く自分の行きたい大学を見つけ、運良く周りの人間に受験のサポートをしてもらい、運良く合格し、運良く親に消して安くはない(高い)学費を払ってもらい、運良く楽しく大学に通っている。
所謂、美大と言われる場所に通っていると度々「ここには普通の人はいないから」「みんな変わり者だし」「美大に通ってるウチらってヤバいよね」といった言葉を聞く。
確かに、先輩からSMAPの名曲と全く同じ言葉をもらった頃の私と似たような境遇を歩んできた人が大学には少し多くいる、ように感じる。
(歌詞を書いたのは槇原敬之)
けど、それだけだ。
美大に属しているからアナーキー、役所で働いているから社会適合者、とかそんな単純な話は無い。
あってたまるか、と思う。
人はそれぞれちがう形をしていて、それぞれの思想がある。
全ては"ここ"に存在しているだけなのに。
全てが、ただ曖昧に存在していて響きあって存在しているだけの世界で私は比較をしてしまうし少しでも自分が優位でありたいと願ってしまう。
「手段と目的が逆転してる」
大学デビュー(のようなもの)を果たし承認欲求を得るためにサークルを利用する安藤与志樹。
俺らと違って他の大学生はこんなこと考えていないと悦に浸る革命家飲みのメンバー。
「常識から外れて見える決断さえすれば、その常識の中で競争してきた人たちに対して一矢報いることができるとでも思ったんでしょうね。常識に縛られすぎた人間がする、典型的な行動ですよね。」
過去の成功が己のクリエイティビティを信じ続ける呪いに変わり生産性の無い日々に切迫感や焦燥感を感じる弓削晃久。
総合大学を目指さずに美大に入る選択をした私は手段と目的が逆転していないだろうか。
自分は周囲とは違う、という根拠のない幼さ故の進路選択では無いと言い切れるだろうか。
当時の私に少しでも周囲と違っていたいという欲が無かったと言い切れるだろうか。
「資格が取れるから」という理由で総合大学を選んだ友人と「潰しが効かない」と言われがちな美大を選んだ自分を比較して自分の方に物語性を感じて酔いしれていなかったと言い切れるだろうか。
私は私の愛する人の背景に見えるもので愛を判断していないだろうか。
将来、周りに比べて自分だけが幼い顔をしていたらどうしよう、とか、また比較して怖くなった。
安藤と弓削には特に自分を重ね合わせて苦い気持ちになった。
晃久から見た晃子のように大学には活き活きと創作に励む人たちがいる。彼ら彼女らは自分たちにはこれしかないと言わんばかりに目を輝かせて創作に励んでいる。
そんな彼らの姿を見て私はまた比較をしてしまう。
果たして私は彼らと同じように夢中になれているだろうか。
自分の存在を疑ってしまう、呪いたくなってしまう。
資格を取る為に好きではない分野の勉強をすること、親の都合で行きたい大学にいけないこと、そっちの道の方が楽だと思ってしまう、最低だ。
そう思ってしまう自分が醜くて大嫌いだ。
比較をして自分の居場所を確認しなくても私は私を許せるはず、けどそれって何よりも難しい。
私は私を客観視出来ない。
生きることは許すこと。
自分とは相反する人やものを少しずつ許す、じんわりと境界線を滲ませていく。
自分がしていること学んでいることを好きだと胸を張って言うことが出来る(気がする)
比較をしても、しなくても苦しい。
生活は私が思うよりも、きっと、ずっと苦しい。
生産性が無くても死ぬまで淡々と丁寧に生きるしか無い。
自分や世界の曖昧さを許したいし、日々を実直にこなしたいと思った。
平成時代が過ぎ冷笑(笑)蔓延る令和の時代では雄介のような存在を自分が常に客観視する側だと思っもてしまいがちな気がする。
いつどこで自分が自分に都合の良い正義という名の暴力を振りかざすのかは分からない。
ときに雄介のような命注ぎパワーも必要なのかも、と思ったり。
けど命を注ぐなら慎重にならなくては。
舞台の北海道にはとても馴染みがあったので頭の中で鮮明に情景が思い浮かんだ。
螺旋プロジェクトによってSFじみた(?)雰囲気になってるのも面白い。
坂本亜矢奈の章とかは青春小説らしさも感じられて面白かった。
付録の解説で平成の犯罪者のインタビューに対して著者の朝井リョウさんが言及していて、その深いリサーチ力に驚いた。
Posted by ブクログ
明確に時間を示す言及はないものの、場面や時が移り変わったことが自然に理解できて面白い。どの登場人物も少しずつ自分に当てはまるところがあり、引き込まれた
p235「集団の中にあるグラデーションを見逃さないようにしたいなと思う」 これは対立の文脈とは思うが、智也のどんな考えに基づく発言だったのだろう。最後に言及あるかと思ったが無かった
Posted by ブクログ
SNSに流れてくる人を見て、この人イタイな、このノリずっと続けてるな、って感じていた違和感の正体を事細かく言語化された。そしてその要素、自分も持っているのでは??と気付かされて耳が痛い。
自分も雄介みたいな発言してないかな?痛くないかな?けど、それって本当に悪いことなのかな?と反面教師的な目線で読んでいた。
世間が良いものとして掲げているものの、裏にある闇を突きつけられた感じ。でもそれがやみつきになる。
Posted by ブクログ
病院以外それぞれの年代で雄介みたいな人が誰かしら思い浮かぶ。他の人物はそうでもないので世の中の雄介率が高いのかもしれない。
海山の話が苦手で退屈だったけれど、他がかなり面白く読めた。
Posted by ブクログ
手段と目的が逆転してるんだよ
性格も行動も真逆に思える雄介と智也は何故縁が続いているのか、彼らの人生を追いながら現在の状況になった理由を紐解いていく物語
螺旋プロジェクトの「平成」を担うこの作品
大SNS時代である令和の今でも、今だからこそより刺さる作品だと感じた
誰が何をしているのか、どんな人生を送っているのかが現代は常にリアルタイムで見えてしまう
自分なりの人生を、生き方を!が素敵だとされる風潮だからこそ、その「自分なり」を見つけるために必死になって自分のやりたいことをSNSや誰かの話から見つけようとする、真似しているのかもしれないな
本来は自分のやりたいことがあってそれを実行していくうちにその軌跡が「その人らしい人生」になるはずなのにね
自分も例外ではない面もあるし、何かをしていないと衰退していく気がして怖いと思ってしまうのも現代病かもしれない
これを生きがいではなく、死にがいと表現する朝井さん………切り方が鮮やかすぎる……刺さりまくりました……
ただ生きているだけでいいと思うことは、言葉の穏やかさとは裏腹に、自分自身の確固たる軸がないと難しいことなのだと思った
Posted by ブクログ
智也があえて口にしない静観する選択をとったことで、雄介の精神的成長に繋がらず、幼稚さが今も健在しているように思えた。気づきを与えてくれる人が1人でもいればまた変わったのだろうか。
Posted by ブクログ
雄介の何事にも首を突っ込んで夢中になろうとする姿勢は最初こそ無理して生きがいを作るためのものだと思ったが行動をしている状態というよりも行動したという実績を求めているように感じたことを踏まえると"生きがい"よりも死に際になっても残る"死にがい"という言葉の方がしっくりくる気がした。
智也も感じていたように自分は外的環境によりたまたま夢中になれるものがあっただけで1歩間違えば雄介のようになっていたかもしれないというのは最もだと思った。
普段生きがいを考えながら生活をしていなかったがそれはそれで幸せなんだろうと思った。生きがいを作ることに夢中になってしまうとやりたいことが分からなくなってしまいそうなので、自分が好んで行っていることをふとした時に生きがいだと感じられるのが1番ではないかと自分は思う。
人間は生きている以上、様々な人や物と繋がってしまっているのだからそこに抗うよりも繋がってしまっている絶望を飲み込み対処していくのが良いのかもしれないと感じた。
総じて智也の考えはハッとさせられるものが多かった。
雄介はてっきり次の死にがいとして親友の看病を選んだとばかりに思っていたが自分がいない時に智也が目を覚まし自分が智也を突き飛ばし植物状態にしたという事実を知られたくないという思惑も存在すると気づいた時にはゾッとした。
Posted by ブクログ
何者と共通するテーマが通っていると感じた。それは「生きがい」に関することで。人は何か立ち向かうことや熱中することがないと辛く寂しく虚しくなる。それを他者に誇示して認めてもらわないとこの世に所属していいと感じることが難しいのかもしれない。登場人物みんながわざとらしく痛々しく、その要素が自分にも備わっているように感じてさらに痛々しくなる。作品単独ではやや消化不良な点はあるが、朝井リョウ作品を複数読んでいると朝井リョウの視点が見えてような気がした。
Posted by ブクログ
人の細かな機微や言葉にまとまらない感情を言語化するのが、とてつもなく上手だなと感じました。初めは素敵だとまで感じた雄介と智也の関係性が、人物像がハッキリしていくにしたがって、ものすごくいびつであったことに気づきます。平成以降の対立をさせない教育方針に対する問題提起のようなテーマも含んでおり、個人の個性を伸ばしているようで、対立が見えにくく陰湿になったとも捉えることができるのではとも思いました。
Posted by ブクログ
作品名に惹かれて買った。ちょっと長かった。途中で少し飽きてしまったけど智也の顛末を知りたかったため最後まで読んだ。
他作品とキャラクターや発言がリンクするなと思う節が何個かあった。
Posted by ブクログ
世の中でよく見かける違和感。
彼らは何に対し怯え、何に対し声をあげ
どうしてそこまで自分を卑下しながら要らないプライドを捨てられないのか。
そんな矛盾を上手く表現してくれた本だった。
自分が思い描く私という個体を他人に押し付け、理解させ受け入れて欲しいのかもしれないと感じた時全て腑に落ちた気がする。
他人なんてどうでもいい。
他人を気にしてる善人を演じ、私という個体を強調することだけに支配されてると考えると単純で頭の悪い思考のように感じてしまった。
でも、私含め皆そんなもんなんだなと思うと
とても肩の荷がおりた気がした。
結局、私を認めさせたい個体も私が認められない個体も自分の事しか考えられないのだから、もっと気楽にもっと素直に生きてもいいのかもしれない。
今息苦しさや世間の窮屈さに苦しんでるなら、息抜きとして現実を見るために読んでみて欲しいと思った。
Posted by ブクログ
「自由と言われて嬉しいのは、その中でお揃いにしたくなる友達がいるから」
今作のベスト・オブ・心に残ったワード
「ドリンクバーくらいすぐ命注ぐ」
人生で初めて、小説読みながら声出たワード
死ぬまでの時間に役割が欲しいだけ、死ぬまでの時間に意味がないと不安でたまらない、だからいつも何かと戦って命を燃やす。
私はこれまで、自分で自分の価値を築き上げないといけないこの時代に、勉強というわかりやすいかつ他人と比べることが正当化されているもので自分の存在価値を見出してきた人間なので、それ以外を求められる大学に突入し(というより勉強で得られる最強の肩書を手にした上で勉強を捨てることを選んだ)、ほんとうに気が狂いそうな四年間を過ごしたし狂い終わるより先に大学生活が終わりそうだし、この小説に書いてあることは「あぁ、わかるよ……」でしかなくて、それ以上のことを言葉にできない、まだ。
あなたはあなたのままでいいという励ましは無責任に感じられるし、その眩しさに目がつぶされることも大いにある、というか目潰ししかされていない。
解説にあった通り、こんなふうに光の眩しさに心地よさを感じられない、あるいはやたらと考えすぎてドブに着地してしまうような人間のために文学が存在しているのかも、ていうかそうであって欲しい。
Posted by ブクログ
他作品との競作作品で、海族と山族の争いというベースを置きながら、平成を生きる人間を描く物語。軸は雄介という何かへの争いを求め現場への反発を繰り返す人物と、その幼馴染で雄介を見守る智也という人物で、それらの周りの視点から物語が進む。(最終章は智也視点)
少し競作の軸である海族、山族との紐付けが朝井リョウらしくないファンタジーさを出していたが、その中でも現代のリアルを描く非常に面白い作品だった。
ナンバーワンからオンリーワンが重視されるようになり、競争から調和へと学校教育など社会が変わった。競争の時代では、他社から明確に優劣を定められることに苦しんだが、調和の時代は自らで自らの優劣を決める必要があり、それに苦しめられるという著者からのメッセージ。
人より優れている点が顕著な人間は、人に僻みもせず優劣も特に意識せず生きていけるのかもしれない。(本当にそんな人がいるのかは些か怪しいが)少なくとも自分は、特に優れている点はないと自認しているため、少しでも優れている点を見つけ出そうと人を見下したり人に負けていると落ち込んだり、自分で自分を評価している。自覚はないが結構自己肯定感が高いので、そこまで落ち込むことは少ないが、これで自己肯定感が低ければ確かに追い込まれていくのだろう。ダメな自分をそれでも愛そう。その中でも、頑張ってナンバーワンを目指して好循環のサイクルを作り出そう。頑張ろう。