Posted by ブクログ
2017年10月30日
アテルイを主人公にした作品は、陸奥甲冑記(澤田ふじ子)、火怨(高橋克彦)に続いて三作目ですね。
前半を過ぎまでは、なかなか良いのです。アテルイの登場の仕方もモレとの出会いも。熊谷さんらしい力強さが有って、次々にページをめくってしまいます。しかし、最後はちょっと。というより、「火怨」の余りにヒロイッ...続きを読むクなアテルイの行動解釈を読んだ後では、どうしても負けてしまいます。こちらを先に読んでいれば、それなりに収まったのかもしれませんが(とは言え、ちょっと納得できないところもあります)。
ところで、この作品、「火怨」と比べ幾つかの大きな相違があります。
まず第一に、この戦いの先陣を切るアザマロの子(私生児)がアテルイだったとういう設定。更に戦いの初期はアザマロが全軍の指揮をとり、その病死後にアテルイに引き継がれて行くのです。
もっと違うのはモレを隣村の女性(巫女)首長としていることです。当然ながら、そこにはロマンスがあるわけでして・・・。
二人の出会いは鮮烈で、それはそれで成功だったように思えます。