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Posted by ブクログ
父の本棚から拝借。
この数年熊の被害が毎日のようにニュースになる昨今で、思わず手に取った。
この本が出たのは2000年。もう25年も前のこと。
この頃から人が熊の生息地を荒らし不足する食べ物を求めて人里に現れることが課題となっていて、駆除するだけではなく、根本的な解決のために人と熊と棲み分けが必要なことや、熊が絶滅すれば、生態系の異常の現れとなることが言われていたことがわかる。今読んでも何も効果的な対策はされたなかったことがよくわかった。そして、今その絶滅がぐんと近づいていることも。。
クマなんて絶滅しても何にも困らないという浅はかな意見をよく聞くが、それがどんな状況を示しているのか良く知ってほしい。
人間さえ良ければ、
自分さえ良ければ、
本当に嫌な世の中だ。
私が歳をとって見えてきただけなのか、世界中でモラルや他者、ここでは他の種へのリスペクトが失われているのか。
新人賞を取ったデビュー策だったようだが、映画さながらの始まりでグッと引き込まれ、
また、謎の能力をもつ不思議な女性の存在、魅力、場面の展開に引き込まれて2〜3時間で読み終えてしまった。
とても平易な文章で読みやすかった。
エンターテイメント要素の高い本として楽しむのはもちろん、クマ被害の根本理由を知り考えるきっかけのためにも、手に取ってほしい。
Posted by ブクログ
熊谷達也のデビュー作です。
アイヌの人々は善い羆のことを山の神『キムンカムイ』いい、性悪の羆を『ウエンヤップ』という。そして人間を食ってしまった羆のことを、真の悪神『ウエンカムイ』と呼ぶ…
北海道で撮影旅行中だった動物写真家・吉本は、ある日巨大な羆と遭遇してしてしまう。しかし今まさに襲われそうになったとき、彼はひとりの女性に救われた。その女性はまるで羆を魔法にでもかけたかのように自在に操り、山へと導いた。
なぜそんなことが出来るのか。彼女は何者なのか。
一方でそれとは別の羆が、キャンプ旅行中の学生たちを襲い3人を惨殺してしまう。一度人間の味を覚えた熊は警戒心より、人肉への嗜好のほうが勝ってしまい再び襲う。『ウエンカムイ』だ。
羆の生態や、北海道の生態系が直面している自然破壊、そして羆を保護する調査研究の実態や、駆除か放逐かを分ける法律的基準など、羆に関するあらゆる情報が詰め込まれているし、羆から身を守るための様々な防御法なども詳しい。通勤の行きと帰りの電車の中で読みおわってしまうほど薄い本なのに内容は非情に濃い。
羆の恐怖という点では吉村昭『羆嵐』には及ばないし、ラストが意外とあっさりだったので物足りなさもありますが、いろいろと勉強になるので、自然保護とか動物の生態に興味がある人にはとくにオススメします。
Posted by ブクログ
熊にもいい熊、悪い熊がいるらしい。
アイヌの言葉で、いい熊は「キムンカムイ(山の神)」悪い熊は「ウエンカムイ(悪神)」。
たとえいい熊だとしても、山の中でばったり出会ったら、怖いはず。熊は熊。
それもでかいヒグマならなおさら。
都会で生活しているとそんなシチュエーションは想像しにくいけれど、この「ウエンカムイの爪」を読むと、熊の息遣いを耳元に感じるような気がします。
駆け出しのフォトグラファー吉本は、北大の熊の研究チームのフィールド調査を取材する。
自然と対峙する世界へ踏み出した吉本と、金色に輝く毛並みの巨大な熊「カムイ」との出会い。
日本最大の野生動物であるヒグマを取り巻く自然環境の変化と人間社会との関わり。
自然と人間とがどのように関わっていくべきかを問いかけながら、シンプルかつ力強く、ヒグマとの緊張感あふれる対決を描いています。
子供の頃に「シートン動物記」を読んだときのドキドキ感を思い出しました。
この「ウエンカムイの爪」は熊谷達也のデビュー作。
文庫本はとても薄くて、すぐ読めちゃうのですが、「俺はこういう小説を書くんだ!」という作家自身の宣言のような小説です。
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