昭和40年代、宮城県。捕鯨船の漁師たちは捕獲禁止の流れに不安を覚え、稲作農家は減反政策で前途多難な状況を迎える。庶民生活には自家用車が登場し、団地が建ち始めるが……。日本の高度成長期、消えゆくものと始まるものが混在する時代に、地方の人々は未来への希望と不安を抱えてたくましく生きていた。人の暮らしの真の豊かさに気づかされる実力派短篇。
Posted by ブクログ 2016年09月16日
郷土の作家ですが、残念ながら今まで読んだことがありませんでした。初めて読んでみたのですが、当に郷土を舞台にした高度成長時代の頃の昭和の時代の短編が8つ。いわゆるズーズー弁を喋る登場人物たちや馴染みの地名に、そこに自分がいるような臨場感が湧き起こりぐいぐい読み進むことができました。良く考えてみると話し...続きを読む
Posted by ブクログ 2013年05月04日
昭和四十年代の宮城県を舞台に描かれる珠玉の短編集。いずれも懐かしく、心に訴えるものがあり、なかなか面白い作品に仕上がっている。
『酔いどれ砲手』は牡鹿半島を舞台に廃れゆく捕鯨をユーモアを交えながら描いており、ユーモアの中に潜む哀しさが何とも言えない。
『稲穂の海』は宮城県北を舞台に減反政策にあが...続きを読む
Posted by ブクログ 2016年06月19日
昭和40年代を舞台にした短編集です。
熊谷さんといえば東北、自然、動物、マタギなんてキーワードが浮かびます。この作品は東北を舞台としているものの、人情ものというのが相応しそうです。
衰退する捕鯨の砲手を描いた「酔いどれ砲手」、米の減反政策に翻弄される農民を描く「稲穂の海」、民話の語り部を主人公にする...続きを読む