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Posted by ブクログ
花火の季節になったら読もうと思いながら5年以上積んだまま。今年こそ!と思ったのに、コロナのせいで花火大会ないやん。
花火工場の息子として生まれながら、訳あって家を飛び出した主人公。祖父に呼ばれて戻ってみれば、そこには自分とさほど歳の変わらない女性の花火職人がいた。
花火を見られなかったところで死ぬわけじゃなし、なのになぜ人は花火を見たがるのか。打ち上げ花火の演出を求める個人客の想いがちょっとした謎、かつて村で起きたことにこの花火職人がどう関わっているのかが大きな謎。ちょっぴり軽めの遠田潤子作品のようにも思えます。
せめて本の中だけでも打ち上げ花火。
Posted by ブクログ
花火師という特殊な職業故に起こる衝突、苦悩を軸に主人公の成長を描いたお仕事小説
花火師は一瞬にその人生の全てを賭ける。
この本の主人公は過去のある事件がきっかけで家業である花火師から逃げ続けている。そんな彼が、だんだんと逃げ続けていた過去と向き合っていく姿が花火と共に描かれていく。
物語の中で大きな役割を果たす、花火の描写は音や光、色のみではなく、振動といった部分まで含まれ描写されている。その為、過去に見た花火を思い浮かべることができる。さらに、普段知ろうともしない花火の雑学もわかりやすく、また自然に解説され、物語の背景が容易に理解できた。
主人公の回りを取り囲む登場人物たちもそれぞれに思いを抱え、それぞれが主人公と関わり合うことで成長し、また主人公を成長させていく。この本にはドラマでいうエキストラは不在だが登場人物の多さで悩まされもしない。背景にある物語の奥深さがそう感じさせているのだろう。
しかし、話ができすぎているとは言えるだろう。職人7年目に高難易度の花火を作らせて良いのか、またその玉貼りを素人同然の主人公に任せて良いのだろうか。などなど疑問を感じる箇所はいくつかあった。しかし、花火師という題材の斬新さ、魅力ある登場人物など考えれば、荒削りに思えるストーリー展開も許容範囲ないだろう。
Posted by ブクログ
この季節に読むのがピッタリなのは、美奈川護さんの書かれた「ギンカムロ」という一冊。花火職人を主人公とした物語だが、花火職人の一家だけではなく、花火に関連した町全体の悲しみや苦しみや喜びや幸せを描いた物語だ。
《あらすじ》
幼い頃に実家の花火工場で起きた爆発事故で両親を亡くし、父と同じ花火職人お祖父に育てられた昇一は、高校卒業後に生まれ育った町を飛びだし東京でアルバイトをしながら一人暮らしを続けていた。そのまま東京に住み続けるつもりだった昇一の元に、ある日届いた祖父からの電話。何かあったのかと驚きながら四年ぶりに帰郷した昇一の前に、祖父の元で花火職人として修業中の風間絢がいた。12年前に起きた様々な不幸な出来事。それぞれの悲しみを抱えながらも、それを乗り越えるために打ち上げられる花火。昇一の祖父が、町の人々が花火に託している想いが交錯しながら物語は進んで行く。
花火職人を題材とした物語はそれほど多くはないと思うが、職人としての苦悩や葛藤が見事に描かれているとともに、夜空に輝く打ち上げ花火がどのようにして作られているのかということも知ることができて興味深い。
「ギンカムロ」とは何のことなのか、何のためにあるのかなど、題名に込められた意味も深い。
夜空に打ち上げられた花火が明るく輝くのは、作られる期間の長さと反対にほんの数秒のことだ。その短い時間のなかで輝く花火は、素晴らしい輝きと音とで、見ている者の記憶のなかに永遠に刻み込まれるものもある。
そんなことを思い浮かべながら読み進めることのできるこの物語は、読後に心のなかに爽やかな風が吹き抜けるような素敵な物語だ。真夏のこの季節に読みにはぴったりな一冊だと思う。皆さんもぜひ。
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小説・文芸
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