九歳の夏休み、少女は殺された。あまりに無邪気な殺人者によって、あっけなく――。こうして、ひとつの死体をめぐる、幼い兄弟の悪夢のような四日間の冒険が始まった。次々に訪れる危機。彼らは大人たちの追及から逃れることができるのか? 死体をどこへ隠せばいいのか? 恐るべき子供たちを描き、斬新な語り口でホラー界を驚愕させた、早熟な才能・乙一のデビュー作品。
死体視点という設定のおかげで一人称を使いながら実質的な神の視点を作り出している。
また死体視点というファンタジー要素を見せたり、田舎の風景を色濃く書くことにより物語のリアリティのレベルをあやふやにしている。
設定から面白い。
Posted by ブクログ 2023年05月16日
幼馴染の兄に担がれ運ばれる私は、木から落ちて死んでしまった。幼馴染に押されて落ちて即死したのだ。
兄は泣きじゃくる妹をなだめて冷静に死体の処理を考え、怪しまれないように隠ぺい工作する。それを淡々と解説する私。未練など微塵も感じさせない落ちつきぶりで兄妹の行動を実況している。
ありえない現象なのに蠢...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年04月25日
乙一の振り出しに戻る。1996年ジャンプ小説ノンフィクション大賞。
まさかの死体の擬人化(元人だから違うのかな?)ではなくて、語り部。何が気持ち悪いかって、死体が冷静で、主人公なのにモブキャラと化している。友人をこの死体にしてしまった女の子の兄が妹思いで行動力があり、これまた冷静。この斜めからのホラ...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年03月20日
「かごめかごめ」までの感想
死体目線で描かれる話が斬新。読みやすくて面白い話だと思っていたけど、最後は鳥肌が止まらないくらいゾッとしました。
この話で好きな段落は下の文章で、田舎の夏のノスタルジックさと、光景の綺麗さが、起こっている事実とのギャップを感じてより一層この不気味さを演出しているように感じ...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年03月16日
かなり以前、中田永一さんの『くちびるに歌を』を読み、後になって乙一さんの別名義だと知りました。作風による使い分け? と思いながら、これまで乙一さん作品は未読でした。
本書が、乙一さんが1996年に16歳で執筆したデビュー作品という事実に驚き、空恐ろしさを覚えました。
表題作「夏と花火と私の死...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年03月05日
小学生、秘密基地、夏祭り、水が引かれる直前の土が乾いて割れた田んぼ、近隣で起こる連続少年誘拐事件、幼い兄妹の前に出来上がった幼い死体
エモいんですよねー。
舞台設定だけで既に心がざわついちゃいます。
裏表紙の煽り文でもわかる通り、被害者加害者が誰かというのは分かりきっているのでそこは問題ではなく、...続きを読む