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Posted by ブクログ
もう何周したかわからない程読んでます。雨の季節になると開きたくなる世界。閉じてて潔癖で痛々しくて儚くて、大好き。雨の降る、美しい小説でした。
心のなかに、さくらしかいなかった矢咲、母親しかいなかった小津、お互いしかいなかった三島と都岡、4人の関係が交差していき、仲良くなったり嫉妬したり壊れたり愛したり。
逃げてきたり捨てられたりした彼女たちには、いつかはなくて今しかないから、余計に閉じていって相手しか見えなくなるのかも。
小津は一足先に世界から消えたけど、矢咲と三島と都岡は岬の学園を出てどう生きていくのかな。特に三島…後ろ盾が無い人は三島だけだから、1番強くならないといけないのが彼女な気がします。使われるにしても。
4人を取り巻くアイテムも好き…煙草は吸わないけど、特に彼女たちが食べてるものが食べたくなります。明日シュークリーム買ってこよう。。
ラプンツェルの塔
雨の塔を見上げた矢咲は
その小さな窓から
救いの髪が降りてくるのを願った。
窓から見下ろした小津は
垂らす事の出来ない
うなじで切り揃えられた髪の毛で
あがっておいでとただ願うのみ。
妄想を最大に働かせると
もうここで彼女達の命運は決まっていたように思える。
小津はもう限界だった。
母に捨てられた時。
鳴く事を知らない鳥は
骸となって鳥籠に横たわった。
父に捨てられた時。
鳴けない鳥は悲しみと共に
籠の底に切り捨てられ動かなくなった。
そして
矢咲を失う時。
鳴く事を知ってしまった鳥はもう
鳥籠には帰れない。
海を選んだのは
海流に乗って潮風に運ばれて
母のそばに矢咲のそばにいけるかもしれないなんて
微かな希望もあったのかもしれない。
それが不可能なのは
頭の良い彼女なら分かっていただろう。
一度求められる事を知ったら
もう知らない頃には戻れない。
矢咲は?
きっと彼女はもっと少年的だった。
だから追いかけられなかった。
黒川さくらから逃げて
背負いきれないものを拭い去るように
アルカトラズへたどり着き、
もう一度恋をした。
さくらとは似ても似つかない少女に。
皮肉にも小津の元を離れる事になって
初めて「今」ではない「未来」を
真剣に考えたんだろう。
だからこその去り際の明るさ、そっけなさ。
彼女は監獄を出て自分の人生を歩み、
小津と共に生きる道を
見つけられるという希望が見えたのだと思う。
矢咲が手を握ったらきっと
小津はその手を握り返すから。
三島は最後都岡に救われ
そしていずれ来る別れを思い髪を切る決意をする。
うなじに切り揃えられた黒髪と
さくらの面影を宿す顔で
彼女はその後何を望むのだろうか。
少女4人の視点から綴られる物語は
とてもとても耽美なもので
私にとって大切な一冊となりました。
Posted by ブクログ
ずっと読みたい本リストに載っていたのですが、やっと読めました。
資産家の娘だけが入れる、岬の学校。
学生証をかざせば、キャッシュレスでブランドものからスイーツまで何でも手に入る。手に入らないのは、情報と自由だけ。読ませる設定で、独自の世界観を描いているのが、さすがです。
耽美な世界に溜息がでそうになりながら、それでいてあまりに閉鎖的な世界に息を詰めながら読み切りました。
宮木さんの本はいろいろと読んできましたが、その中でもこの作品の個性は特に強いですね。リアリティがどうとか、そんなの関係なしに、引き込まれます。
この少女たちの年齢特有の潔癖さとか、視野の狭さとか、美しさとか・・・なんでこうも如実に描けるんでしょう。
当たり前ですが、私にもこんな年齢の頃があって、こんなに美しい世界ではないものの、女子校に通っていたから感じる似たようなにおいみたいなものがありました。
あの頃は、生きにくかったなぁ。
大人になればもっと楽になることもあると今ならわかるけど、当時は常に刹那的で余裕がなく感じていた気がします。
ガラスの結晶に閉じ込めたかのような、この美しくも儚い世界は、今にも壊れそうな危うさを孕んで人を魅了しますね。
既読ですが、再び太陽の庭を読みたくなってしまった。
それにしても、宮木さんは一体なんて世界を作り上げるんだろう。雨の日に読んだせいか、なかなか現実に戻ってこれなかったです。
Posted by ブクログ
宮木さんの日本語が好き。 あえかな とか初めて現代小説で見かけたのではないだろうか。綺麗で、柔らかで、的確で。すごいなぁ。
隔絶された大学に住まう、訳ありで裕福な四人の少女たちがたおやかに惹かれあい傷つけあうお話。
地の文で気になったのは他者の存在感。確かに学校の在り方として人との接触を極力減らすようになっているんだろうなぁ。と読める描写をしているのだけど、それでも不自然なほど他人が細かく描かれない。興味のない人間はいないと同じ、というある意味当然な感覚なんだけど、その中に気遣いと残酷さと自己愛がない交ぜになったような歪みを感じて、なんだか少し怖い。
愛しいから近づかれたくないみたいな相反する描写がやっぱり巧いなぁ。震えるね。
軽やかに逃げ出せた子、誰からも選ばれなかった子、何も知らず弱く幼い子、どこまでも優しい子。最後に思いを馳せるのは誰ですか。
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