文春文庫作品一覧

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  • 老い力
    3.0
    ただ今80代真っ只中! ジタバタしない! 50代から80代、各年代をいかに上手に枯れるか。夫婦、親友、化粧からボケまで、気概に満ちた愛子節が元気を呼ぶ痛快エッセイ。 いつまでも若く元気に、美しく!? そんなことを言ったって、老衰、病苦、そして死は必ずやってくるのである。ならば現実を静かに受け入れ、ジタバタせずに人生を全うした方がよくはないか――著者50代から80代の現在まで折に触れ記した「老い」についての“超”現実主義な言葉たち。なぜか心が軽くなる傑作ユーモアエッセイ集。
  • 台所のオーケストラ
    4.4
    戦前戦後の日本映画界を駆け抜けた大女優・高峰秀子は大の食いしんぼうで料理上手。そのレパートリーのなかから「3分から小一時間ほど」で出来あがるレシピを選び、素材別に紹介。料理初心者にも最適な、和食、中華、洋風、その他129レシピ収録。
  • お庭番吹雪算長 上
    3.0
    服部半蔵の命を受け東海道を行く伊賀忍者・吹雪算長のすさまじき任務! 開幕直後。江戸は大都市建設の景気に沸きかえるも、いまだ整わぬ街には盗賊たちも跋扈していた。 治安維持にあたる伊賀二百人組の吹雪算長は、次々と襲いかかる強大な敵との闘いに明け暮れる。 もと北条家臣の鳶沢甚内、関八州を牛耳る風摩小太郎、そして脇差で頭蓋骨をも打ち破る坂崎出羽守。津本陽が描く、迫力の伝奇長編!
  • オレがマリオ
    4.3
    新しい光に満ちた第五歌集。 「電信柱抜けそうなほど揺れていた」震度7とはそういうことか 空腹を訴える子と手をつなぐ百円あれどおにぎりあらず 子を連れて西へ西へと逃げてゆく愚かな母と言うならば言え 東日本大震災発生当時、東京にいた著者が仙台の家に帰れたのは、4日後だった。余震と原発事故が落ち着くまでと思い、翌朝息子の手をひいて、西へ向かう。 醤油さし買おうと思うこの部屋にもう少し長く住む予感して 第三者的には「軟禁」とも言える車を持たぬ離島の暮らし 「オレが今マリオなんだよ」島に来て子はゲーム機に触れなくなりぬ 紆余曲折ののち、沖縄の石垣島に住むことになった親子。豊かな自然、地域の人々との密な触れ合いは、様々な変化をもたらした。 愛、発見、出会い――。かけがえのない石垣島の日々から生まれた第五歌集。 解説・松村由利子(歌人)
  • 愛と悲しみの墓標
    3.0
    独身の実業家・五十嵐が殺された。容疑は男が生前つきあっていた三人の女に向けられる。さつき──身長175センチ、モデル。友美──和服が似合う銀座のクラブのママ。知恵──十九歳のテレビタレント。捜査がおよび、たがいに疑心暗鬼に陥る三人。莫大な遺産を巡って第二、第三の悲劇が起こる。十津川警部は、事件の裏で糸を引く狡猾な真犯人の存在を察知。美女たちの疑惑をめぐり、会津と日光を舞台に展開する傑作長篇トラベル・ミステリー。
  • サロメ
    4.3
    現代のロンドン。日本からビクトリア・アルバート美術館に派遣されている客員学芸員の甲斐祐也は、ロンドン大学のジェーン・マクノイアから、未発表版「サロメ」についての相談を受ける。 このオスカー・ワイルドの戯曲は、そのセンセーショナルな内容もさることながら、ある一人の画家を世に送り出したことでも有名だ。彼の名は、オーブリー・ビアズリー。 マクノイア曰く、「とにかく、世界は知ったわけだ。あのオスカー・ワイルドを蹴散らすほどの強烈な個性をもった若い画家が存在するということを」。 保険会社に勤める病弱な青年・ビアズリーは、1890年、18歳のときに本格的に絵を描き始め、ワイルドに見出されて「サロメ」の挿絵で一躍有名になるが、その後、肺結核のため25歳で早逝。 フランス語で出版された「サロメ」の、英語訳出版の裏には、彼の姉で女優のメイベル、男色家としても知られたワイルドとその恋人のアルフレッド・ダグラスの、四つどもえの愛憎関係があった……。 退廃とデカダンスに彩られた、時代の寵児と夭折の天才画家、美術史の驚くべき謎に迫る傑作長篇。 ※この電子書籍は2017年1月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 火天(かてん)の城
    4.2
    信長の夢は、天下一の棟梁父子に託された。安土山のいただきに巨大な城を築け、天にそびえる五重の天守を建てよ! と命じられた岡部又右衛門と息子の以俊は、その難題を形にする、前代未聞の巨大プロジェクトに挑む。いまだかつてない、南蛮風の天守にせよ。見上げれば、思わず掌を合わせとうなるほど秀麗な…信長の野望と大工の意地、情熱、創意工夫、膨大な労力──すべてをのみこんで完成した、安土城。その築城の真相に迫る、松本清張賞受賞作。
  • 「空気」の研究
    3.8
    昭和52年の発表以来、40年を経ていまだに多くの論者に引用、紹介される名著。 日本人が物事を決めるとき、もっとも重要なのは「空気」である。 2018年3月にも、NHK Eテレ「100分deメディア論」で、社会学者・大澤真幸氏が本書を紹介し、大きな反響があった。 日本には、誰でもないのに誰よりも強い「空気」というものが存在し、人々も行動を規定している……。 これは、昨今の政治スキャンダルのなかで流行語となった「忖度」そのものではないか! 山本七平は本書で「『気』とはまことに大きな絶対権を持った妖怪である。一種の『超能力』かも知れない。」「この『空気』なるものの正体を把握しておかないと、将来なにが起るやら、皆目見当がつかないことになる。」と論じている。 それから40年、著者の分析は古びるどころか、ますます現代社会の現実を鋭く言い当てている。 「空気を読め」「アイツは空気が読めない」という言葉が当たり前に使われ、誰もが「空気」という権力を怖れて右往左往している。 そんな今こそ、日本人の行動様式を鋭く抉った本書が必要とされている。 『「水=通常性」の研究』『日本的根本主義(ファンダメンタル)について』を併録。 日本人に独特の伝統的発想、心的秩序、体制を探った名著である。 解説・日下公人
  • 最後の将軍 徳川慶喜
    4.2
    ペリー来航以来、開国か攘夷か、佐幕か倒幕かをめぐって、朝野は最悪の政治的混乱に陥ってゆく。 文久二年、将軍後見職として華々しく政界に登場した、のちの十五代将軍徳川慶喜は、優れた行動力と明晰な頭脳をもって、敵味方から恐れと期待を一身に受けながら、抗しがたい時勢にみずから幕府を葬り去った。 さまざまなエピソードを連ねて描かれる、“最後の将軍”の生涯。 解説・向井敏
  • セカンド・ラブ
    3.6
    1983年元旦、僕は、会社の先輩から誘われたスキー旅行で、春香と出会った。やがて付き合い始めた僕たちはとても幸せだった。そこに春香とそっくりな女、美奈子が現れるまでは……。清楚な春香と大胆な美奈子、対照的な二人の間で揺れる、僕の心。ラストで読者を驚愕の淵へと叩き込む、恋愛ミステリー。ベストセラー『イニシエーション・ラブ』に続く、二度読み必至の傑作!
  • パン屋再襲撃
    3.9
    堪えがたいほどの空腹を覚えたある晩、彼女は断言した。「もう一度パン屋を襲うのよ」。それ以外に、学生時代にパン屋を襲撃して以来、僕にかけられた呪いをとく方法はない。かくして妻と僕は中古のカローラで、午前2時半の東京の街へ繰り出した……。表題作のほか「象の消滅」、“ねじまき鳥”の原型となった作品など、初期の傑作6篇を収録した短編集。
  • 円朝の女
    3.7
    全盛を支えた名妓から、淋しい晩年を看取った娘分まで――。スーパースターと五人の女が現代に甦る。 時代の絶頂を極め、近代落語の祖といわれた大名人・三遊亭円朝と、彼を愛した五人の女。 江戸から明治に変わる歴史の転換期を乗り越えた、大名人と女たちの人生が深い感慨を呼ぶ傑作時代小説。
  • Op.ローズダスト(上)
    4.2
    1~3巻682~722円 (税込)
    ネット財閥「アクトグループ」を標的とした連続爆弾テロ事件が発生。赤坂のビル地下、臨海副都心の巨大建設現場が爆破され、さらにサイバーテロも…。迷走する捜査、隠蔽される真実。公安のはみだし者、並河警部補は、防衛庁から出向した若い丹原三曹とたった2人で調査に乗り出すが、丹原はテロの実行犯「ローズダスト」のリーダーと面識があるらしい。テロ集団の正体は? 『亡国のイージス』の福井晴敏が、東京の心臓部を舞台に、史上最大級のスケールで描く力作長篇。
  • 鉄で海がよみがえる
    4.0
    “鉄炭ダンゴ”でメバルや海藻が劇的に増えた! 磯焼けで荒れ果てた海も、鉄の力で生命力溢れる海の森へと生まれ変わる。海洋の豊かな森はCO2を固定化し、地球温暖化対策の切り札となる可能性をも秘めている。世界的な海洋学者ジョン・マーチンの鉄仮説を、新たな視点で検証し、実践した異色の本。震災後、大注目を集める著者の新たなる挑戦! 「一漁師の真摯な探求心に脱帽! 生命の大循環をつかさどる鉄の話はぞくぞくするような興奮に満ちている」──養老孟司
  • 永遠のとなり
    3.8
    部下の自殺をきっかけにうつ病に罹り、損保会社を辞め、妻子とも別れ、何もかも捨てて故郷・博多に戻った青野精一郎。煙草も吸わないのに40歳の若さで肺がんを発病し、死の恐怖から逃れようとするかのように、結婚と離婚をくりかえす、津田敦。48歳になって故郷の町で再会し、せいちゃん、あっちゃんと呼び合う小学校以来の親友のふたり。人生の幸せとは、本当にかけがえのないものとは何なのか? やるせない人生を、共に助け合いながら歩んでいく、感動の再生物語。
  • 耳袋秘帖 妖談へらへら月
    3.0
    年の瀬の江戸で、「そろそろ、月が笑う」と言い残して、突如、人がいなくなる“神隠し”が、頻発した。根岸は、同心の椀田と家来の宮尾、岡っ引きの梅次や、下っ引きのしめたちに、消えた人々の身辺を探るように命じるが、その陰では危険な動きが……。根岸肥前が江戸の怪奇を解き明かす、耳袋秘帖「妖談」シリーズ第5巻。文春文庫オリジナルの書き下ろし時代小説。
  • 運命の絵 なぜ、ままならない
    値引きあり
    3.9
    争い、信じ、裏切る人々……刺激的な絵画エッセイ 初々しい恋の始まり。 だが、この後まさかの嫁姑問題勃発――。 カバーを飾るのは、フランソワ・ジェラールの『プシュケとアモル』。 王の娘プシュケの美貌は天界にまで鳴り響き、美の女神ヴィーナスの怒りを買う。 女神は息子アモルに命じてプシュケを不幸の底へと落とそうとしたが、 アモルはたちまちプシュケに恋してしまい……。 「怖い絵」シリーズなどで大人気の絵画エッセイの名手が 西洋絵画に潜む人気ドラマを描き出す人気シリーズの第3弾。 知的でスリリングな刺激にみちた17篇を収録。 ダヴィッド『マラーの死』、ミケランジェロ『デルフォイの巫女』、 レンブラント『エマオの晩餐』、ドガ『ベレッリ家の肖像』、 ブリューゲル『悪女フリート』、ゴヤ『マドリード、1808年5月2日』など、 名画31点をすべてカラーで掲載。 ※この電子書籍は2020年11月に文藝春秋より刊行された単行本『中野京子と読み解く 運命の絵 なぜ、ままならない』の文庫版を底本としています(文庫化にあたり改題)。
  • 源氏物語の女君たち
    4.5
    世界最古の大恋愛小説のストーリーを追いながら、個性あふれる王朝の女性たちのキャラクターを分析した、源氏物語の入門書。 1997年4月から6月の3カ月間、NHK教育テレビ「人間大学」で「源氏物語の女性たち」という番組を書籍化した作品です。この番組は寂聴さんが毎回、源氏物語ゆかりの地に出かけていき、語るという内容。作者の紫式部をはじめ、光源氏が最も愛した紫の上、男を虜にした魔性の女・夕顔、誇り高くインテリ女性・六条御息所、情熱的で官能的な朧月夜など、光源氏を取り巻く女たちをわかりやすく解説しています。 「紫式部は仏教に帰依してもなお物語を書きつづけたことで、救われていたのではないでしょうか。『源氏物語』の底には、女人成仏の悲願がかく流れているように私には思われてなりません」 といった具合に、寂聴さん独自の見解が満載です。
  • 「粗にして野だが卑ではない」 石田禮助の生涯
    3.8
    三井物産に35年間在職し、華々しい業績をあげた後、78歳で財界人から初めて国鉄総裁になった“ヤング・ソルジャー”──自らを山猿(マンキー)と称し、欧米流の経営手腕を発揮した高齢のビジネスマンは、誰もが敬遠した不遇のポストにあえて飛び込む。問題の山積する国鉄の改革を通し、明治人の一徹さと30年に及ぶ海外生活で培われた合理主義から“卑ではない”ほんものの人間の堂々たる人生を、著者は克明な取材と温かな視線で描いた。ベストセラー作品を電子書籍化。
  • ダチョウは軽車両に該当します
    3.6
    県民マラソン大会のコースを駆け抜けてくるのは「ダチョウだって?」――そして発見された焼死体。捕獲したダチョウと被害者とをつなぐものとは? キリン飼育員・桃くんにツンデレ女王・鴇先生、変態(?!)・服部くん、アイドル飼育員・七森さんら、楓ヶ丘動物園の怪しく愉快な面々が活躍する動物園ミステリー第2弾!
  • 吉原暗黒譚
    3.5
    江戸の吉原で黒い狐面の集団による花魁殺しが頻発。北町奉行所の貧乏同心、今村圭吾は花魁たちを抱える女衒に目をつけ、金で殺しを解決してやるともちかけた。一方、大工の幸助は思いを寄せていた裏長屋の華、おようの異変に気づき過去を調べ始める──。「姫川」シリーズの著者初の時代エンターテインメント。謎あり、恋あり、活劇ありの<江戸時代版警察小説>登場!
  • 菩提樹荘の殺人
    3.7
    「臨床犯罪学者・火村英生」斎藤工×窪田正孝で2016年1月より連続ドラマ化 お笑い芸人志望の若者、アンチエイジングのカリスマ等、「若さ」をモチーフとした作品集。学生時代の火村英生の名推理もキラリ
  • 逃亡
    4.1
    戦争に圧しつぶされた人間の苦悩を描いた傑作 戦時下の緊迫した海軍航空隊で、若き整備兵が背負った過酷な運命とは? 軍用飛行機をバラせ……その男の言葉に若い整備兵は青ざめた。昭和19年、戦況の悪化にともない、切迫した空気の張りつめる霞ヶ浦海軍航空隊で、苛酷な日々を送る彼は、見知らぬ男の好意を受け入れたばかりに、飛行機を爆破して脱走するという運命を背負う。初期の力作長篇が待望の再登場。 解説・杉山隆男
  • 小さいおうち
    4.2
    昭和6年、若く美しい時子奥様との出会いが長年の奉公のなかでも特に忘れがたい日々の始まりだった。女中という職業に誇りをもち、思い出をノートに綴る老女、タキ。モダンな風物や戦争に向かう世相をよそに続く穏やかな家庭生活、そこに秘められた奥様の切ない恋。そして物語は意外な形で現代へと継がれ……。最終章で浮かび上がるタキの秘密の想いに胸を熱くせずにおれない、上質の恋愛小説。第143回直木賞受賞作。山田洋次監督で映画化。
  • 耳袋秘帖 妖談ひときり傘
    3.0
    雨の中あでやかな傘の群れが舞うと、死体がひとつ――「ひときり傘」が引き起こす連続殺人事件が江戸の町を震撼させる。一方、明日の天気を奇妙なほどぴたりとあてる女おせんが誘拐されて……。毛の雨が降り、川が血の色に染まり、雷の糞が取りざたされる江戸の天変地異に根岸肥前守が挑む! 書き下ろし妖談シリーズ第6弾!
  • IWGPコンプリートガイド
    3.7
    池袋ウエストゲートパーク(IWGP)シリーズの全てが分かる! キャラクター図鑑、全エピソード解説、マコトのいけてる音楽ライフから、スピード感溢れる文体の秘密まで、IWGPワールドを徹底解剖。池袋詳細マップを片手にマコトの住む商店街をめぐるもよし、作中の名場面を彩ったクラシック音楽を全制覇するもよし。堤幸彦監督が語る、ドラマ制作秘話も加わったファン必須の一冊。
  • 沖で待つ
    3.9
    第134回芥川賞受賞作。待望の電子化! 仕事のことだったら、そいつのために何だってしてやる。そう思っていた同期の太っちゃんが死んだ。約束を果たすため、私は太っちゃんの部屋にしのびこむ。仕事を通して結ばれた男女の信頼と友情を描く芥川賞受賞作。待望の電子化。「勤労感謝の日」「みなみのしまのぶんたろう」併録。
  • ドラママチ
    3.6
    私が欲しいものは、子ども、周りからの称賛、愛する男、自分にふさわしい華やかな仕事、やる気、人生を変えるドラマチックな何か。でも現実に私の目の前にあるのは、単調な生活に、どうしようもない男、中途半端な仕事、むずかしい性格の義母……。高円寺、荻窪、吉祥寺と、東京・中央線沿線の生活感あふれる「街」を舞台に、毎日ほんの少しの変化を「待ち」のぞむ女たちは、あなたにも、きっとどこか似ている。ほのかに射す明るさが心揺さぶる、8つの短篇。
  • だれかのいとしいひと
    3.7
    転校生じゃないからという理由でふられた女子高生、ジミ・ヘンドリックスのポスターを盗みに元カレのアパートに忍び込むフリーライター、親友の恋人とひそかにつきあう悪癖のある女の子、誕生日休暇を一人ハワイで過ごすハメになったOL……。どこか不安定で、仕事にも恋に対しても不器用な主人公たち。何度傷ついても、もう二度と恋なんかしないと思っても、まただれかを愛してしまう……切ない8つの恋の形を描く短編小説集。
  • 死体は語る
    3.9
    偽装殺人、他殺を装った自殺、猟奇的殺人と見誤る奇妙な死体……。どんなに誤魔化そうとしても、もの言わぬ死体は、背後に潜む人間の憎しみや苦悩を雄弁に語りだす。法医学は死体と語り合い、死をとおして人間の生き方を考える学問である。浅沼稲次郎刺殺事件、日航機羽田沖墜落事故、三河島駅列車事故等の現場に立会い、変死体を扱って三十余年の元監察医が綴る、ミステリアスな事件の数々とそれにまつわる人間ドラマ。映像化もされた法医学入門の大ベストセラー。
  • 走ることについて語るときに僕の語ること
    4.1
    走ることについて語りつつ、小説家としてのありよう、創作の秘密、そして「彼自身」を初めて説き明かした画期的なメモワール。
  • 耳袋秘帖 妖談うつろ舟
    3.1
    曲亭馬琴も書き残した江戸版UFO遭遇事件と目される「うつろ舟」伝説。海辺に流れ着いた異国風の女の裏には何があるのか。幽霊を食った男、深川の白蛇、牢から忽然と消えた男……さまざまな怪奇が入り乱れる中、闇の者たちとバテレンさんじゅあんの謎を根岸肥前守はついに解き明かすのか? 大人気妖談シリーズ、堂々完結篇!
  • 大江戸ゴミ戦争
    3.5
    下ッ引きの惣吉が考えた新商売は、正月飾りや供物を集めて焼却する“お送り屋”だったが……「くくり猿」。ゴミ取り人足、佐吾平に儲け話が舞い込んだが、その瓜の摘み取りにはどうも妙なことが……「瓜長者の野望」。医者のぐうたら息子・小金吾は町の発明家、この度ひらめいたのは生ゴミを利用して高価な初物の促成栽培、当たれば大儲けのはずが……「ひらめき息子」。大量のゴミ処理は江戸でも万人共通の悩み。今も昔も変わらぬゴミの問題をユーモラスに描く歴史短篇七篇。
  • 三陸海岸大津波
    4.2
    その時、沖合から不気味な大轟音が鳴り響いた――「ヨダだ!」大海嘯ともヨダとも呼ばれる大津波は、明治29年、昭和8年、昭和35年の3度にわたって三陸沿岸を襲った。平成23年、東日本大震災で東北を襲った巨大津波は「未曾有」ではなかったのだ。津波の前兆、海面から50メートルの高さまで上り家々をなぎ倒す海水、家族を亡くした嘆き、地方自治体の必死の闘い…生き延びた人々の貴重なインタビューや子どもたちの作文が伝える、忘れてはいけない歴史の真実。
  • 恨みの三保羽衣伝説
    2.5
    ごったがえす新宿駅構内で、見知らぬ和服美人から警視庁捜査一課の西本刑事に手渡された一通の手紙。そこには「ミス羽衣」を名乗る女、竹田幸美の謎のメッセージがしるされていた。事件のにおいを嗅ぎとった西本は、さっそく三保の松原を訪れたが、幸美はすでに死亡しており、西本に脅迫状、そして凶悪な犯人の魔の手が迫る! 表題作ほか、箱根仙石原、芦ノ湖、浜松を舞台に十津川警部と仲間たちが活躍するトラベルミステリー3篇。
  • 死神
    3.6
    本当に困っている人はだれ? 市の福祉事務所に勤めるケースワーカーの仕事は、毎日が事件の連続だ。金もなく、子どもと公園で野宿する女性は、それでも働こうとしない。ケースワーカーを脅迫するバーのママ。結婚詐欺を繰り返してきた72歳の老女。アルコールに人生を蝕まれた男。かつては成功しながら栄養失調で保護された作家。社会からはみだした、ときにしたたかな「弱者」たちにどう対したら良いのか、日々奮闘するワーカーたちの事件を描いた連作短篇集。
  • サイゴンから来た妻と娘
    4.5
    戦火のサイゴンで日本の新聞記者が、大輪の花のような笑顔に惹かれて子連れのベトナム女性と結婚した。サイゴン陥落後、日本に移り住んだ親子3人だったが、妻のベトナム式生活ぶりと子育て方はまったく変わらず。親に絶対服従のスパルタ教育にショックを受け、可愛いペットのウサギ料理に度肝を抜かれ……毎日のように巻き起こる小事件を通して、アジア人同士のカルチャーギャップを軽妙な筆で描く。大宅壮一ノンフィクション賞受賞作品。
  • 旅行者の朝食
    4.4
    その名を聞いただけでロシア人なら皆いっせいに笑い出す「旅行者の朝食」というヘンテコな缶詰や、数十年前たった一口食べただけなのに今も忘れられない魅惑のトルコ蜜飴の話、はたまたロシアの高級輸出品キャビアはなぜ缶詰でなく瓶詰なのかについての考察や、わが家を建てる参考にとはるばる神戸の異人館を見に行くも、いつのまにか食べ歩きツアーになっていたエピソードなど、ロシア語通訳として有名な著者が身をもって体験した、誰かに話したくなる食べ物話が満載です!
  • 本気になればすべてが変わる 生きる技術をみがく70のヒント
    4.1
    本気で喜んだことがありますか。本気で怒ったことがありますか。〈本気〉になってはじめて人生は楽しくなる。〈修造流〉人生術70のヒント!
  • 泣かないで、パーティはこれから
    3.9
    1巻540円 (税込)
    27歳の琴子は、勤務先の貿易会社が倒産、失業する。このまま結婚して家庭に入ろうか、と心が揺らいだ矢先、恋人からも振られてしまう。やっとの思いで始めた再就職活動。しかし望むような就職先はなく「もう限界。このまま田舎に帰ろうか」と思うように。そんな折、友人からパーティへの誘いが舞い込む…。世界をかけまわる仕事につきたい、よい結婚をしたい、という夢を諦めず、失敗しても前向きに進む琴子が、最後に見つける「私の居場所」とは?
  • 亜玖夢博士の経済入門
    3.8
    1巻569円 (税込)
    歌舞伎町のとあるビルには、あらゆる学問を極めた亜玖夢(あくむ)博士が、悩める民を救おうと開いた研究所がある。「相談無料。地獄を見たら亜玖夢へ」のチラシを握りしめて来るのは、多重債務者、シャブの売人、いじめに悩む小学生にマルチ商法の営業マン…。突拍子もない処方と、美少年助手の暴走で、彼らの悩みを増幅…いや解決する博士。読むうちに「囚人のジレンマ」「ネットワーク経済学」「ゲーデルの不完全性定理」など、最先端の経済理論が身につく経済コメディ!
  • 何度でも食べたい。 あんこの本
    4.4
    京都、大阪、東京……各地で愛される小豆の旨さが詰まった菓子と、それを支える職人達の物語。あんこ名店ガイドとしても役立ちます! みずみずしいあんこ、ふわふわのあんこ、ジャンクだけれど泣きたくなるあんこ……あんこが苦手だった著者が「手のひらを返すように」開眼し、京都、大阪をはじめ、全国36軒を訪ねたあんこを知る旅。小豆の旨さの活きる菓子と職人達の物語がぎゅっと詰まった一冊です。7年半分の「あんこ日記」も特別収録。解説・横尾忠則
  • 消えたなでしこ 十津川警部シリーズ
    4.0
    選手は全て実名で登場! 壮大なる誘拐劇 米国遠征から帰国したなでしこジャパン21人が消えた――。十津川警部は一人難を免れた澤穂希選手と協力しながら捜査を進めていく。
  • 上役のいない月曜日
    5.0
    「月曜の朝」は「最低の気分」と同じ意味。あーあ、今日からまた仕事だよ。ところが、ある月曜日、出社してみると、うるさい上司たちはなんと全員が会社を休んでいた。最高の月曜日だ! 十年に一度の珍事に喜んだのも束の間、クレーマーに不倫に事故! 次から次へと難題が起こり……。表題作のほか、「花束のない送別会」「禁酒の日」「徒歩十五分」「見えない手の殺人」と、平凡なサラリーマンが思わぬ事件に巻き込まれる五つの短篇を収録。
  • ナンシー関「テレビ消灯時間」リミックス
    3.5
    2002年に急逝した消しゴム版画家・ナンシー関。テレビ評を批評の1ジャンルとして確立させた、不世出の人でした。テレビを見る眼の鋭さたるや、まるで色あせず、その後の展開を予言するようなものも。芸能界で「橋田傘下」に入ることの意味とは? 黒柳徹子の本当のすごさとは? そして愛してやまなかった大食い番組の栄枯盛衰まで、週刊文春に連載された「テレビ消灯時間」から、ナンシー・エッセンス満載でリミックス! もちろん消しゴム版画もそのままで収録です!
  • 対談 中国を考える
    3.4
    古来、日本と中国は密接な関係を保ってきた。だが現実には、中国人は日本にとって極めて判りにくい民族なのではないか。ぶつからないためには理解すること、理解するためには知ること――両国の歴史に造詣の深い司馬遼太郎と陳舜臣という二人の大家が、この隣人をどのように捉えるべきか、長い歴史を踏まえて深く思索する中国論・日本論。
  • 壊れたおねえさんは、好きですか?
    4.0
    とりあえず仕事も収入もある。女友だちもライフパートナーもいる。ただいま40代半ば。うさぎ女王様に足りないもの、それは性的魅力だった! 男ぎらい→ホストクラブ通い→モテたい!と公言→15歳年下のホストにハマる→プチ整形→本格整形で美人に。フェロモンやレイプ妄想やオナニーや老け専についての考察。「ダメ男好き」は自傷嗜癖? 六本木SMバーの夜、何が起きた? ……この本は、女王様がジタバタと悪あがきした1年間の輝かしい記録である。
  • 隣りの女
    3.8
    夫の給料をつましくやり繰りして、家事と内職で毎日が過ぎていく平凡な主婦に訪れた恋。“人妻の恋の逃避行”(そして、気になるその後)をあざやかに描いた表題作。家族のために頑張って、気がついたらそろそろ30歳…な主人公の微妙な恋心を衝いた「幸福」と「胡桃の部屋」。大人になって出会った異母兄弟の愛憎をえがく「下駄」。突然の飛行機事故により、向田邦子の絶筆となった「春が来た」。いずれも読んだら忘れられなくなる、まさに珠玉の5篇。
  • それもまたちいさな光
    3.7
    デザイン会社に勤める悠木仁絵は35歳独身。いまの生活に不満はないが、結婚しないまま1人で歳をとっていくのか悩みはじめていた。そんな彼女に思いを寄せる、幼馴染の駒場雄大。雄大と宙ぶらりんな関係のまま恋愛に踏み込めない仁絵には、ある理由があった…。2人の関係はかわるのか? 人生の岐路にたつ大人たちのラブストーリー。「オール讀物」掲載と同時にTBS「開局60周年記念番組」としてラジオドラマ化した、異例のコラボレーション企画原作。
  • 落談まさし版 三国志英雄伝
    4.7
    さだまさしの「語り」で甦る中国英傑たち。 さだまさしが、あの古典を語ったら……? 劉備が、曹操が、そして諸葛孔明が、なんだかおかしい。有名な中国英傑たちが、近所のおじちゃんに思えてくる。 桃園の契りから三顧の礼、劉備の死まで。定評ある話芸の才で挑戦した6時間の口演を紙上で再現。 初心者にはまたとない水先案内、上級者にも全く新鮮な「笑える三国志」!
  • したたかな敗者たち
    5.0
    目の前にいつも戦争があった。傷つき斃れる同世代の若者たちがいた。五月革命に揺れるパリでのベトナム和平交渉を留学生として、サイゴン陥落による南ベトナムの崩壊を海外特派員として目撃した。インドシナ戦争報道にその青春を賭け、さらに国境地帯の砲声を追って今なお戦う人びとの真実を取材した書下しノンフィクション。北ベトナム軍の一兵士からジャングルの中で祖国再興をめざす老宰相まで、みずからを傍観者と位置づけながらも、彼らを描く筆致は愛情にあふれている。
  • 妻と娘の国へ行った特派員
    4.0
    インドシナ情勢を的確にとらえ、繊細な視線で人間の生を見つづけた報道記者・近藤紘一。ノンフィクションの真髄を味わわせる著作と爽やかなまなざしは今も多くの読者を魅了してやまない。彼はサイゴン、バンコクの特派員として東南アジアの人々の喜怒哀楽や生活につねに関心を向け、ベトナム人の妻と娘を通じてこの地域との縁はいっそう深まったが、惜しくも四十五歳でガンに斃れた。複雑な国情と厳しい風土に生きる人々のダイナミックな姿を活写したこのエッセイ集は遺作となる。
  • タイムスリップ・コンビナート
    3.8
    海芝浦に向かう「私」を待ち受けるのは浦島太郎、レプリカント、マグロの目玉…。たどり着いた先はオキナワか? 時間と空間はとめどなく歪み崩れていく。言葉が言葉を生み、現実と妄想が交錯する。哄笑とイメージの氾濫の中に、現代の、そして「私」の実相が浮び上がる。話題騒然の第111回芥川賞受賞作の他、二篇を収録。
  • あ・うん
    3.7
    つましい月給暮らしの水田仙吉と、軍需景気で羽振りのいい中小企業の社長、門倉修造との友情は、まるで神社に並んだ一対の狛犬のように親密なものだった。門倉は、水田の妻たみに、長年ひそかな慕情を抱いてもいる。太平洋戦争をひかえた慌しい世相を背景に、男の熱い友情と秘めた思慕が織りなす、市井の家族の情景を鮮やかに描いた、向田邦子・唯一にして絶品の長篇小説。東宝による映画化では、高倉健が門倉、板東英二が水田、富司純子がたみを演じた。
  • High and dry (はつ恋)
    4.2
    14歳の秋。生まれて初めての恋。相手は20代後半の絵の先生。ちょっとずつ、ちょっとずつ心の距離を縮めながら仲良くなっていくふたりに、やがて訪れる小さな奇蹟とは……。毎日を生きる私たちに、ひととき魔法をかけてくれる、美しい魂の物語。かわいらしいイラスト満載で、心がぽかぽか温まる宝石のような一冊。
  • 生命の星の条件を探る
    3.0
    早逝した天才研究者による科学ジャーナリスト大賞受賞作 満天に星が輝くこの空のどこかに、生命を宿す星はあるのだろうか。誰もが抱く疑問に、宇宙生命学の泰斗が答える。もし地球の水の量が10分の1だったら? もし太陽系に木星がなかったら? 様々な「if」を想定しながら、生命が存在できる惑星の条件を明らかにする。 解説・阿部彩子/須田桃子
  • 幻の指定席
    4.0
    変心した恋人を殺した医学生は、さらに彼を目撃した友人を殺害し新幹線ひかり号の指定席を利用した“完璧”なアリバイをつくりあげた。聞き込みにきた刑事も、彼の二重、三重の壁にはねかえされるが──。表題作「幻の指定席」ほか「死人が夜ピアノを弾く」「密会のアリバイ」「新幹線ジャック」「不用家族」「小さな密室」「危険な忘れ物」の七篇。女流トリック・メーカーが鮮やかに展開する、さまざまな仕掛けと結末で推理小説のおもしろさが堪能できる秀作短篇集。
  • ヨーロッパ横丁たべあるき
    5.0
    食通おせいさんがカモカのおっちゃんと、ローマ、ヴェニス、マドリッド、バルセロナ、パリの五都市で赤堤燈、屋台(もちろん、一流レストランも)を求めて飲み食いのハシゴをしながら、ヨーロッパの食文化、そして日本の食文化を大考察する。はたしてふたりがたどりついた「横丁の味」とはなんだったのか? 名所旧跡めぐりの旅では見えてこない、現地に住むひとびとが味わう等身大の食を通して、ヨーロッパの下町の生活を胃袋で体験したグルメ紀行。
  • 勝つ経営
    3.0
    ソニー、ホンダ、富士フイルム――。なぜ、これら三社は異例の飛躍をつづけることができるのか。組織と人間の関わりを長年にわたり考察した著者が、該当企業のトップとじかに向き合い、彼らの本音を引き出し、経営の舵取りを問うた連続インタビュー。ほか文藝春秋読者賞を受賞した「本田宗一郎は泣いている」、「朝風を運ぶ人々――日本人が失ったもの」を収録。金融不祥事が長引くなど闇の深い日本経済界に、光明をもたらす企業人たちの言葉は世代を超えて心に響く力がある。
  • 幽霊劇場
    4.0
    売れない若手女優・田村里沙と間違えられて、人が殺された。里沙の夫である演出家は大女優・吉川真帆を追いかけ回し、大女優は数多くの浮き名を流している。愛憎渦巻く芸能界で、殺したいほど里沙を恨んでいたのはいったい誰? 女子大生・永井夕子と、オニ警部・宇野喬一のご存知、名コンビは、事件解決のため、ある芝居を打つ。表題作ほか「同情、買います」「夢路、はるかに」「間の抜けた告白」を収録した、好評シリーズ第9弾。
  • 女のいない男たち
    3.8
    舞台俳優・家福をさいなみ続ける亡き妻の記憶。彼女はなぜあの男と関係したのかを追う「ドライブ・マイ・カー」。妻に去られた男は会社を辞めバーを始めたが、ある時を境に店を怪しい気配が包み謎に追いかけられる「木野」。封印されていた記憶の数々を解くには今しかない。見慣れたはずのこの世界に潜む秘密を探る6つの物語。村上春樹の最新短篇集。
  • 原始人
    3.7
    男は“獣欲”を満たすために棍棒を振るって女を犯し、“食欲”を満たすために他者の食物を強奪して殺す……。“弱肉強食”時代の人類の始祖・原始人の欲望むき出しの日常を描いた衝撃の表題作をはじめ、束縛されることのない異様な社会を描いた「アノミー都市」、次々と不運に巻き込まれる男の物語「おれは裸だ」など独特の筒井ワールドな作品に、小説という枠を超えたメタ小説ともいうべき「怒るな」「読者罵倒」「筒井康隆のつくり方」を加えた、元気の出る作品13篇を贈る。
  • ひかりの剣【電子特典付き】
    3.5
    1巻1,100円 (税込)
    『チーム・バチスタの栄光』でお馴染みの面々が、メスの代わりに竹刀で鎬を削る。 医療ミステリーの旗手が放つ鮮烈な青春小説! 1988年、バブル真っ盛りの頃。 いずれ医療の世界で悪戦苦闘する医学生も最初は医学の素人で、普通の大学生のようにサークル活動に部活に励んでいた、そんな時代。 桜宮・東城大剣道部の猛虎・速水晃一と天下の官僚養成大学、東京・帝華大の臥龍・清川吾郎もまだ医学生で、剣道部員だった。 医学部剣道部の象徴的大会「東日本医科学生体育大会」(東医体)。 この大会の覇者は将来、外科の世界で大成するという言い伝えがあった。 優勝校に送られる「医鷲旗」をめぐって、速水と清川による伝説の闘いが繰り広げられる。 解説・國松孝次(元警察庁長官) 【電子特典】 全電子版共通の「あとがき」、付録(「海堂尊・全著作リスト」「作品相関図」など)のほかに、本書には以下の文章を収録。 電子版あとがき 『ひかりの剣』 【関連小文】1 「ジェネラル・ルージュの伝説」自作解説より『ひかりの剣』 【関連小文】2 「夢はいつか叶う」 【関連小文】4 「すべては剣道場から始まった。」 【関連小文】5 「大学道場で剣道 体にたたきこむ」
  • アンネの日記 増補新訂版
    4.3
    「アンネは、死んでも私たちの心の中に生き続けているのです。そして、世界の歴史を変える存在になりました」(池上彰『世界を変えた10冊の本』より) ユダヤ系ドイツ人の少女アンネが、ナチスの「ユダヤ人狩り」から逃れるため家族と共に二年間潜んだアムステルダムの“隠れ家”。彼女はそこで、架空の友人キティーに宛てて日記を綴りました。戦後、残された父オットー・フランクにより編集・公表されたこの「アンネの日記」は各言語に翻訳され、2009年にはユネスコ世界記憶遺産にも登録されました。わが国も同様で、1952年に「光ほのかに」のタイトルで文藝春秋より刊行されて以来、綿々と読み継がれています。 実は、アンネの綴った日記は二種類あります。アンネが自分のためだけに書いたものと、後の公開を期して清書したもの。そのふたつを編集し直した〈完全版〉をもとに、さらに1998年に発見された5ページ分を加えたのが本書〈増補新訂版〉です。尋常ではない環境の中で、13歳から15歳という思春期を過ごした少女の夢と悩みが、より瑞々しく蘇り、私たちの胸を打ちます。平和を愛し、誰かを愛するすべての人に改めて贈る、永遠不滅の一冊です。
  • 少年と犬
    4.4
    1巻850円 (税込)
    第163回直木賞受賞作! 犬を愛するすべての人に捧げる感涙作 傷つき、悩み惑う人々に寄り添う一匹の犬は、なぜかいつも南の方角に顔を向けていた。 2011年秋、仙台。震災で職を失い、家族のため犯罪に手を染めた男。偶然拾った犬が男の守り神になった(男と犬)。壊れかけた夫婦は、その犬をそれぞれ別の名前で呼んでいた(夫婦と犬)。人と犬の種を超えた深い絆を描く感涙作。解説・北方謙三 「少女と犬」を文庫で初収録。 ※この電子書籍は2020年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 悲しみの秘義
    4.5
    もしあなたが今、このうえなく大切な何かを失って、 暗闇のなかにいるとしたら、この本をおすすめしたい――(解説・俵万智) 宮沢賢治、須賀敦子、神谷美恵子、リルケ、プラトン、小林英雄、ユングらの、 死者や哀しみや孤独について書かれた文章を読み解き、人間の絶望と癒しをそこに見出す26編。 「言葉にならないことで全身が満たされたとき人は、言葉との関係をもっとも深める」 ―-自らの深い悲しみの経験を得た著者が、その魂を賭けて言葉を味わい、深い癒しと示唆を与えてくれる26編。 「一日一編読んでいる」 「自分の無意識のどこかに必ず染みてきて、涙がにじむ」 「どんな仕事でもそれを支えているのは、『語り得ない何か』。その一つが悲しみである、という言葉の凄さに慰められた」 日経新聞連載時から話題を呼び、静かなロングセラーとなった一冊。 東日本大震災後の福島にて、柳美里さんが営む書店「フルハウス」では2018年売り上げベスト6位に本書が入っている。 文庫化に際して「死者の季節」「あとがき」を増補。 解説・俵万智 ※この電子書籍は2015年11月にナナロク社より刊行された単行本『若松英輔エッセイ集 悲しみの秘義』の文庫版を底本としています。
  • 赤川次郎クラシックス 幽霊愛好会
    -
    傑作中篇「幽霊」シリーズ第3弾の新装版。 永井夕子は高校時代の親友・片倉敦子の邸宅を、宇野とともに訪れる。敦子は57歳の会社社長・泰長の後妻となり、自分より年上の義理の息子・靖夫と、自分より一つ年下の娘・不眠症の亜里沙と暮らしていた。 誰もがうらやむ豪邸に暮しているとはいえ、気苦労が多いんじゃない、と心配する夕子に、敦子は 「なにも問題はないわ。あるといえば主人が月に一度、亡くなった先妻に会いに行くくらい」と驚きの告白。 そんな話をしているところへ、亜里沙の部屋が何者かに荒らされていることが発覚。そしてベッドの上には、冷たくなった亜里沙の身体が横たわっていた――。 表題作ほか、「名探偵の子守唄」「青ひげよ、我に帰れ」「赤い靴はいてた女の子」「コウノトリは本日休業」「殺された死体」の計6篇を収録。
  • ノモンハンの夏
    4.1
    「絶対悪」が、背広をきてソファに座っている……著者が辻政信に初めて会った感慨である。師団によっては76%という絶望的な損耗率のノモンハン事件を扇動しながら、狂いもせず、戦後は国会議員となった男。この戦いを可能にしてしまったのは、いったい何だったのか? 参謀本部作戦課と関東軍作戦課、二つのエリート集団が齟齬をきたし、満蒙国境の悲劇がはじまった。モスクワのスターリン、ベルリンのヒトラーの野望、中国の動静を交えて雄壮に描く、ノモンハン事件の決定版。
  • 赤・黒(ルージュ・ノワール) 池袋ウエストゲートパーク外伝
    3.6
    ギャンブルにはまって借金をかかえる映像ディレクター・小峰渉のもとに、池袋最大のカジノの売上金を狂言強盗する計画がもちかけられる。計画は成功、時給の1億円が手に入ると思った鼻先で金が奪われ……。本作は「池袋ウエストゲートパーク」シリーズの外伝で、お馴染み氷高組のサルが小峰と組んで、池袋を拠点にするヤクザたちの巧妙な罠から起死回生を狙います。息つく隙(ひま)もないスピーディな展開の末、最後にルーレットの玉がおちるのは、赤か、黒か!
  • 夜が明けたら
    4.0
    家族団欒の夜、ちょっとした地震が起こった。被害は停電だけかと思われたが、トランジスタラジオが鳴らない。車を動かそうとしたら、バッテリーがあがっている。そのうちいつもの生活に戻るだろうと高をくくっていた人々が、冬の寒空のもと、ようやく異変に気づく……。表題作ほか、山で迷った男が驚天動地のもののけに追われる「葎生(むぐらふ)の宿」、若者のささいな不謹慎が引き起こす悲劇「禁忌」ほか、トリックを超えた奇抜なしかけをちりばめた逸品揃いの一冊。
  • ゆれる
    3.9
    「ディア・ドクター」「夢売るふたり」「永い言い訳」など、 濃密な人間関係を題材に作品を生み出し続けてきた映画監督・西川美和氏の小説処女作 田舎を嫌って都会に出た奔放な弟・猛と、田舎に残り実家を継いだ実直な兄。 対照的な二人の関係が、幼馴染みの女性の死をきっかけに、大きく揺らぎはじめる……。 2006年に公開され数々の映画賞を受賞した同名映画を監督自らが初めて小説化。 文学の世界でも第20回三島由紀夫賞の候補になるなど、大きな評価を受けた。解説・梯久美子
  • きれぎれ
    3.6
    1巻499円 (税込)
    絵描きの「俺」の趣味はランパブ通い。高校を中途で廃し、浪費家で夢見がちな性格のうえ、労働が大嫌い。当然ながら金に困っている。自分より劣るとしか思えない絵を描く知人の吉原は、認められ成功し、自分が好きな女と結婚している。そんな吉原に金を借りにいく俺なのだが……。現実と想像が交錯し、時空間を超える世界を描いた芥川賞受賞の表題作と短篇「人生の聖」を収録。町田康ならではの、息もつかせぬ音楽的な文体。読むことがめくるめく快感、そんな作品です。
  • 嗚呼 江戸城(上)
    -
    天下を握った徳川家康には金がなく、一大名になり下った豊臣秀頼には巨額の金銀があった。貧しい天下人家康は、富有な大名を滅ぼしてその財宝を奪うべく兵を起す。大坂の役とは、それだけのことであった……。しかし三代将軍家光はその大金の埋蔵場所を知らされていなかった。ドラマはそこから始まる。将軍家から大名、旗本、はたまた浪人、商人、いかがわしい町奴に吉原の遊女までが縺れ合い、江戸城の建設と莫大な太閤の遺金をめぐって展開される雄大な長篇の幕開け。
  • 合気を極めた男・佐川幸義 孤塁の名人
    3.0
    指1本で大男を吹き飛ばす合気を極めた男・佐川幸義。 「大東流合気柔術」を実際に体験した著者が名人の生涯と合気の秘密に迫る。 わずかに身体を動かすだけで、つかみかかる猛者たちを宙に吹き飛ばす「大東流合気柔術」。 その創始者である武田惣角から直伝を受け、さらに高みを目指した伝説的師範・佐川幸義。 彼の魔法のような強さはどこから来たのか? 1998年に95歳で亡くなるまで、10年にわたって師事した著者が、高弟たちの証言をもとに描いた本格評伝。
  • 愛子戦記 佐藤愛子の世界
    -
    1巻1,100円 (税込)
    2023年11月でめでたく100歳を迎える 作家・佐藤愛子の魅力と情報が詰まった完全保存版! <作家対談>  又吉直樹 小池真理子 田辺聖子 <直木賞受賞作>  直木賞選評 +「戦いすんで日が暮れて」全文掲載 + 受賞ドキュメント <自薦傑作小説+自作解説> 「ソクラテスの妻」 「オンバコのトク」 「沢村校長の晩年」 <交友録&グラビア> 遠藤周作・北杜夫・川上宗薫 <抱腹絶倒エッセイ> <生涯年譜> etc… ※この電子書籍は2021年7月に刊行された文春ムック「佐藤愛子の世界」の文庫版を底本としています。
  • 逢沢りく(上)
    完結
    4.5
    第19回手塚治虫文化賞マンガ大賞受賞作! 逢沢りく14歳、おしゃれなパパと、カンペキなママと暮らしている。タレントのように美しく、クラスメイトからは特別な存在と思われ、みずからもそう信じている。彼女は、蛇口をちょっとひねるように、ウソの涙をこぼす特技も持っているが、本当の悲しみがどんなものなのかは、わからないでいた――。そんな彼女が、ある日、大嫌いな関西にある親戚に預けられることになり……。あたたかな笑いと涙に包まれる感動長篇マンガ。
  • 愛する源氏物語
    4.2
    源氏物語には795首の和歌が登場する。 ここぞ、というときの和歌は、恋のゆくえを大きく左右する。 心の結晶である和歌を、小石のように飛び越えてしまうのではなく、 氷砂糖をなめるように味わったならば、 源氏物語の世界はさらに豊かな表情を見せてくれるだろう。 千年の時を越え、「万智訳」でよみがえる愛の物語。 解説=東直子 ※この電子書籍は2003年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 甘いもんでもおひとつ 藍千堂菓子噺
    3.8
    菓子職人の兄と番頭の弟。上菓子屋兄弟の繁盛記。「藍千堂菓子噺」シリーズ第1作。 両親亡き後、叔父に実家を負われた晴太郎と幸次郎。 兄弟は、かつて父の許で修業していた職人の茂市と一緒に、 菓子司「藍千堂」を開く。優しい職人肌の晴太郎と、 しっかり者で商才に長けた幸次郎は、亡き父の教えを守りながら、 叔父の嫌がらせにも負けず、知恵と工夫を凝らした季節の菓子で店を切り盛りする。 解説=大矢博子 ※この電子書籍は2013年10月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • Iターン
    3.8
    1~2巻743~785円 (税込)
    広告代理店の冴えない営業マン・狛江が単身赴任したのは、リストラ対象のQ支店。思わぬトラブルでヤクザに絡まれ、大借金のうえ身売りの大ピンチに。鉄拳の雨と禁断のレバ刺し、爆弾を抱えたダイ・ハードな日常。生き地獄に陥った男のI(=自分)ターンとは!? 悲惨、暴力のち爆笑! 修羅場を踏みまくった狛江が到達するタフな境地が笑える、新感覚リーマン・ノワールの誕生です。
  • 会津執権の栄誉
    3.5
    狙いはただひとつ。伊達政宗の馘(くび)――。 四百年の長きにわたり会津を治めながら、相次ぐ当主の早世で嫡流の男系が途絶えた芦名家。 常陸の佐竹家より新たな当主として婿養子を迎えたものの、家中に軋轢が生じ、北からは伊達政宗の脅威が迫る。 芦名家の行方は家臣筆頭の金上盛備の双肩にかかっており、ついに伊達との摺上原での最終決戦を迎えた。 東北の名家の存亡を描き、直木賞候補となった出色のデビュー作。 本屋が選ぶ時代小説大賞2017受賞! ※この電子書籍は2017年4月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 愛と憎しみの高山本線
    2.5
    〈次の月曜日に、Aを爆破する K〉予告状が警視庁に送られた直後、成田空港のロビーで爆破事件が起きた。AとはAirportのことだったのか。では署名のKとは誰なのか? 愉快犯による犯行、と思われた事件だが、B、Cと犯行が進むにつれ、別の可能性が……一連の犯行は何のため? 本部長の意向に背いて、十津川警部は相棒・亀井と独自捜査に取り組む。表題作ほかトラベル・ミステリーの傑作、全4篇。日本各地の鉄道を舞台に、愛の果てに起きた犯罪を十津川警部が追う!
  • 愛読者 ファンレター
    3.4
    謎の覆面作家・西村香をめぐる怪事件・珍事件。全編手紙形式で綴る、異色の「――者」シリーズ! 本にサインして送って下さい。写真送りますから、会って下さい――熱狂的読者の要求はエスカレートし、やがて悲劇が……(「覆面作家」)。作家の了解も得ず講演会を企画する図書館司書(「講演会の秘密」)。下手な小説を送りつけ、添削せよと迫る作家志望者(「ファンレター」)など、珠玉の全10編。
  • 愛のかたち
    -
    1巻710円 (税込)
    親子の葛藤、女の友情、そして運命の出逢い。5人の男女のさまざまな愛のかたちを、パリと京都を舞台に描き出す大河恋愛小説です。 表題作「愛のかたち」に加え、「南の島から来た男」を収録。いずれも、悲痛な運命に抗って力強く生きる登場人物の姿が、静かな感動を呼びます。国際派女優そしてジャーナリストとして世界中で活躍をしてきた岸恵子ならではの贅沢でスケールの大きな人生賛歌です。 ※この電子書籍は2017年9月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 愛の顛末 恋と死と文学と
    4.5
    悲恋、秘められた恋、ストーカー的熱情など、文学者たちの知られざる愛のかたちを追った珠玉のノンフィクション。 ●小林多喜二――沈黙を貫いて亡くなった小林多喜二の恋人、田口タキ。多喜二に深く愛されながらも、自分は彼にふさわしくないと身を引き、それゆえ伝説的な存在になった。 ●近松秋江――女性に対する尋常でない恋着を描いて明治・大正の文学史に特異な足跡を残した近松秋江。いまでいうストーカーのごとき執着と妄執は、「非常識」「破廉恥」と評された。 ●三浦綾子――旭川の小学校教師であった三浦綾子は、敗戦による価値観の転倒に打ちのめされ退職、自死を図る。光を与えたのはクリスチャンである一人の青年だったが、彼は結核で逝き――。 ●中島敦――母の愛、家庭のぬくもりを知らずに育った中島敦が選んだ女性は、ふくよかで母性的な人だった。だが彼女には親同士が決めた婚約者がいた。そこから中島の大奮闘が始まる。 ●原民喜――最愛の妻を失ったときから、原民喜はその半身を死の側に置いていた。だが広島で被爆しその惨状を目の当たりにしたことで、彼は自らの死を延期したのだった。 ●梶井基次郎――宇野千代をめぐって、その夫、尾崎士郎と決闘-そんな噂が流れるほど話題になった梶井基次郎の恋。では、千代はどう思っていたのか。二人の出会いから別れを丹念にたどると、恋多き女の心情が浮かび上がる。 他に取り上げたのは、鈴木しづ子、中城ふみ子、寺田寅彦、八木重吉、宮柊二、吉野せい。 解説・永田和宏
  • 愛の宿
    4.2
    もし、あの夜、あのホテルに泊まらなければ――。 ある夜、ラブホテルに偶然泊まり合わせた男女の性愛の営みを、官能と情念の名手が描き出す短編集。 京都の繁華街にひっそりとたたずむラブホテル。土曜日の夜、逢瀬を楽しんだカップルたちは、翌朝、思わぬ理由でホテルに足止めされる。 不倫、初体験、出会い系、元恋人との再会……、それぞれの理由で身体を重ねた女と男だが、予期せぬ展開に本音と嘘が露わに……。 解説・逢根あまみ ※この電子書籍は2016年4月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 愛の領分
    3.7
    妻に先立たれ、一人息子を育てながら静かに仕立て屋を営む中年の男。28年ぶりに突然現れた、かつての親友。その妻で、むかし男が恋焦がれた女。そして35年ぶりに訪れた故郷で出会い、男が年齢差を超えて魅かれる絵描きの女。度重なる再会が、互いのあやうい過去を明らかにしていく。許したいけど許せない、忘れたくても忘れられないことが4人には多すぎた……。大人の男女の愛憎、心の陰影を妖しく描いた直木賞受賞作。母親への想いを綴った、自伝エッセイも収録。
  • I love letter アイラブレター
    3.5
    小学生からの殺害予告に引きこもり人間からの告発――。 文通会社に届くワケありの手紙には、手紙で立ち向かえ! 「ねぇ、まめに手紙をくれてた人と急に音信不通になるって、どんな場合だと思う?」 叔母さんが突然切り出した質問にたじろぐ、17歳の岳彦。 叔母さんのむぅちゃんは秘密裏に、ILL(I love letter)という会員制の文通会社をやっている。 年会費を納めると、会員は自分のペースでILLの社員宛てに手紙を書いて出す。 毎日でも、ひと月に一度でも構わないが、姓と住所は本物を明記しなくてはならない。 子供の頃、せっせと叔母さんに手紙を書いていた岳彦はその腕を見込まれ、ILLの臨時スタッフとして雇われることに。 二年間、ずっとILLと文通していた水元さんに何があったのか。 岳彦は叔母さんに変わり、水元さんに手紙を書き始めるが……。 「ぼくはママをころそうと思います」――八歳の少年からの殺害予告や、「どうしても、あの恋文を見つけたい」――大女優からの無茶な依頼などなどの難問に、自分自身の言葉を便箋に書き連ねて向き合う岳彦。 メールや電話では伝わらない想いがある――。 温かくて切なくて、ちょっと怖い六つの物語。 ※この電子書籍は2016年10月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • アイロニー?
    4.0
    「アンアン」の人気モデル・Oka-Changは、7年間続けたファッションモデルを休業し、向島の花柳界で芸者「蛍」に転身!(元)夫はゴンゾライター、石丸元章。新婚ほやほやなのに、夫は覚醒剤取締法違反で逮捕され、3ヶ月帰宅せず。妻はその間、東京コレクションで大忙し。高3での雑誌「オリーブ」デビューから、おしゃれのこと、金銭感覚、着物話、プロレス愛、特殊な恋愛……その美貌からは想像もつかない、凶暴でスピード感あふれる人生コラム45篇!
  • アウトサイダー 上
    4.0
    スティーヴン・キングが描く、不可能な事象の裏に潜む圧倒的恐怖 完璧な証拠で逮捕された少年惨殺事件の犯人。しかし彼には鉄壁のアリバイがあって──。事件の裏に隠れた恐ろしい存在とは。 平穏な町で起きた、11歳の少年の惨殺事件。ラルフたち地元警察は、複数の目撃証言を得て、高校の教師で少年野球のコーチとしても慕われるテリーを逮捕した。しかし、彼には完璧なアリバイがあることが判明する。自身の潔白を主張するテリー。一方で、異常犯罪への憎悪を募らせる遺族と住民たち。そして、町を新たな悲劇が襲う。 ※この電子書籍は2021年3月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 蒼い記憶
    3.4
    オゾンの匂いがきっかけで、脳裏に蘇った幼馴染みの面影。幼少の一時期をすごしたあの小さな村で、私の唯一の遊び相手だった女の子。やがて家の火事で両親は焼死、私は村を離れた──。記憶に導かれ、村を訪れた男が見たものは!?(「蒼い記憶」)。いい大人のくせに、私はなぜか床屋が怖い。剃刀も、頭を洗われるのも……旅先で仕方なく入った床屋の椅子で、古ぼけた鏡の中に写った風景が、何十年ぶりの記憶を呼び起こした──(「鏡の記憶」)ほか、粒揃いのホラー12篇!
  • 青い月曜日
    4.0
    1巻569円 (税込)
    「青い月曜日」は、英語のブルーマンデー(宿酔)に由来する。「私にとって少年時代と青年時代はいつもとめどない宿酔であった」と著者は言う。戦中戦後の混乱し、かつエネルギーみなぎる日本。ある日爆撃で死んでゆく友、見たこともない外国の話と目がまわるような空腹、生活力あふれる庶民たち。大阪に生きたひとりの少年の魂の彷徨、青春なるもののあらゆる陰影を詩情あふれる文体で定着させた開高文学の傑作。この自伝的小説には、開高健の真髄がある。
  • 青い虚空
    4.0
    天才ハッカーvs.奇才ハッカー、白熱の電脳戦! 護身術のウェブサイトを主宰するシリコン・ヴァレーの有名女性が惨殺死体で発見された。警察は周辺捜査からハッカーの犯行と断定。コンピュータ犯罪課のアンダーソン刑事は容疑者特定のため、服役中の天才ハッカー、ジレットに協力を要請する。ゲーム感覚で難攻不落の対象のみを狙う連続殺人犯の正体を追え――息詰まるハッカー同士の一騎打ちが始まる!
  • 蒼ざめた馬を見よ
    3.6
    ソ連の老作家が書いた痛烈な体制批判の小説。原稿の入手を命じられた 外信部記者の鷹野は、新聞社を離れ、身分を偽ってソ連に潜入する。 運よく手に入った小説は全世界でベストセラーとなり、ソ連は窮地に立つ。 ところが、その裏には驚くべき陰謀があった! ――「蒼ざめた馬を見よ」 東京で神経をすり減らした男は、休暇をとり、友人を頼ってモスクワへ飛んだ。 そこで出会ったウクライナ出身の美女の過去とは。――「赤い広場の女」 バカンスのためブルガリアの首都ソフィアを訪れた商社のパリ駐在員は、 妙な雰囲気を漂わせる日本人夫妻と知り合う。その妻に手を出した男が 寝物語で聞いた二人の関係。――「バルカンの星の下に」 愛する妻、良縁の決まった娘、大学進学を控えた息子に囲まれ、幸せな 生活を送る地方大学の助教授、慎吾。教授昇進も目前に控えていた、 ある日、不気味な電話がかかってきた。 「エラブカから何を持って帰ってきた?」 記憶の深部にきざまれた二十年前の約束がよみがえる。――「夜の斧」 Q商業高校山岳部のパーティー6人は北陸二県の県境で墜落事故を 目撃する。その直後、吹雪で立往生したため、顧問の黒木は救助を求めて 一人、近くの集落を目指すが・・・。――「天使の墓場」 直木賞受賞作の表題作をはじめ、いまなお魅力を失わない初期の5編を おさめた代表的作品集。
  • 青葉繁れる
    4.0
    青葉繁れる城下町、東北一を誇る名門校・仙台一高に、日本一の名門・日比谷高校から転校生がやってきた。しかも編入されたのは名門校にも存在する落ちこぼれクラス。料亭の息子で映画マニアの稔くん以下、ユッヘ、デコ、ジャナリの仲良し四人組はいろめきたったが、異性への過度の関心という共通の悩みから、日比谷の劣等生、俊介くんはあっという間に仲良くなって、女子校合同英語劇公演、松島合ハイと愛すべき珍事件をまき起す! 抱腹絶倒、爆笑とペーソスあふれる青春文学の傑作。
  • 青森ねぶた殺人事件
    2.5
    十津川警部「祭り」シリーズ、遂に電子化! 化粧をほどこされた美女の死体が、ねぶた祭りの大太鼓の中から発見された。青森県警が逮捕した容疑者に、十津川警部は首を傾げる。公判では若い女性弁護士が「真犯人は別にいる」と追及したが、審理は難航。そしてねぶた祭りの夜に起きる第3の殺人事件! すべてを操った本当の犯人は誰か? その恐るべき動機は何か?
  • 赤い風
    -
    前代未聞の開拓事業「三富新田」を描く長編歴史小説 荒涼とした原野を二年で畑地にせよ――。川越藩主柳沢吉保は無謀な開拓を命じる。軋轢を抱える武士と農民の共同事業は成功するのか。 武蔵野原野は赤土で水源に乏しく、田畑は拓けない。 秣場(まぐさば)に利用する村々の争いを止めるため、川越藩主柳沢吉保は荒野の開墾を命じる。 だが、家老の嫡男・啓太郎は、侍を憎む百姓の正蔵と衝突、互いに反目して計画は進まない。 二年の期限が迫るなか、下役人が不審な死を遂げて……。 大地に生きる人々の歴史長編。 解説・福留真紀 ※この電子書籍は2018年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 緋(あか)い記憶
    3.8
    生まれ故郷の古い住宅地図には、あの少女の家だけが、なぜか記されていなかった。あの家が怖くて、ずっと帰らなかったのに。同窓会を口実に、ひさしぶりに故郷を訪ねた主人公の隠された過去、そして彼の瞼の裏側に広がる鮮やかな“緋色のイメージ”とは、一体何なのか……。直木賞受賞の傑作ホラー。表題作ほか、選考委員の激賞を受けた「ねじれた記憶」など、粒よりの七篇を収録。痺れるように怖いのに、とてつもなく懐かしい――高橋克彦ならではの独自の世界を満喫できます。
  • 赤い砂
    3.8
    1巻880円 (税込)
    男が電車に飛び込んだ。現場検証を担当した鑑識係・工藤は、同僚の拳銃を奪い自らを撃った。電車の運転士も自殺。そして、拳銃を奪われた警察官も飛び降りる。工藤の親友の刑事・永瀬遼が事件の真相を追う中、大手製薬会社に脅迫状が届く。「赤い砂を償え」――自殺はなぜ連鎖するのか? 現代(いま)を映し出した書き下ろし傑作! 『代償』50万部突破 『悪寒』30万部突破の著者が放つ 感染症×警察小説 国立疾病管理センター職員、鑑識係、 運転士、交通課の警察官――4人の死の共通点は、 「突然錯乱し、場合によっては 他者を傷つけ、最後は自殺する」こと。 彼らに何が起きたのか――?
  • 赤い博物館
    3.8
    1~2巻800~815円 (税込)
    『密室蒐集家』で第13回本格ミステリ大賞を射止めた著者がミステリ人生のすべてを賭けて贈る渾身作! 松下由樹主演ドラマ「犯罪資料館 緋色冴子シリーズ『赤い博物館』」原作。 キャリアながら《警視庁付属犯罪資料館》の館長に甘んじる謎多き美女・緋色冴子警視と、一刻も早く汚名を返上し捜査一課に戻りたい寺田聡巡査部長。 図らずも「迷宮入り、絶対阻止」に向けて共闘することになった二人が挑む難事件とは――。 予測不能の神業トリックが冴え渡る、著者初の本格警察小説! 〈収録作品〉 パンの身代金 復讐日記 死が共犯者を別つまで 炎 死に至る病 解説・飯城勇三
  • 赤い夜
    -
    「弥生の体は、日々燃える度合いを強めていた。芸者をして、しょっちゅうその体を客に抱かれて男の肌に慣れ過ぎていたせいか、それとも、彼女の中になにかの理由で、感じまいとする防禦の姿勢があったためか、弥生は、初めの頃は深い反応を示さなかった。浦川の方は、そんな弥生にいつか悦びを思い知らせてやるという意気ごみがあった」女体遍歴に熱心な流行作家にとって、不思議な魅力をもつ弥生との生活は充実したものだったが、あるきっかけから女への不信と疑惑はふくらんでいく。

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