文春文庫作品一覧

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  • 文春文庫電子書籍ベスト100【文春e-Books】
    無料あり
    5.0
    1巻0円 (税込)
    文春文庫は2014年、創刊40周年を迎えました。「安く、手軽に」読める文庫は、読者の高い支持を得て出版界に貢献しました。そして現在。より手軽で読みやすい形として電子書籍が登場しました。いつでもどこでも買いたいときに買えて、品切れがない。端末の中に数十冊入れて持ち歩けどこでも読める電子書籍は、新しい読書の形を作っています。文藝春秋は、2014年8月現在、約2000作品を電子書籍化しています。その中で、約8割が文庫本からの電子化です。そこで、文春文庫から電子書籍化されている作品から、100冊を選び『文春文庫 電子書籍ベスト100』を制作しました。時代、ジャンルをこえて魅力的な作品が並んでいます。 電子で読んでも、紙で読んでも、1冊でも多くの作品に読者の方が触れていただければ幸いです。 浅田次郎┴ 有川浩┴ 池井戸潤┴池上彰┴池波正太郎┴伊坂幸太郎┴ 石田衣良┴乾くるみ┴植村直己┴魚柄仁之助┴内田康夫┴岡田真理┴小川洋子┴奥田英朗┴奥野修司┴角田光代┴風野真知雄┴片山洋次郎┴加藤廣┴貴志祐介┴桐生操┴小林秀雄┴近藤誠┴今野敏┴坂木司┴桜木紫乃┴桜庭一樹┴佐々木譲┴佐藤優┴ジェフリー・ディーヴァー┴重松清┴司馬遼太郎┴城山三郎┴新野剛志┴辻村深月┴筒井康隆┴堂場瞬一┴中島京子┴濱嘉之┴葉室麟┴林真理子┴半藤一利┴宮崎駿┴平岩弓枝┴藤沢周平┴藤沢武夫┴誉田哲也┴万城目学┴マックス・ブルックス┴松本清張┴麻耶雄嵩┴三浦しをん┴道尾秀介┴向田邦子┴村山由佳┴山崎豊子┴山本一力┴山本兼一┴山本七平┴唯川恵┴夢枕獏┴横山秀夫┴吉田修一┴吉村昭┴米澤穂信┴米原万里┴渡辺淳一
  • イントロダクション『キャプテンサンダーボルト』
    無料あり
    3.5
    現代を代表する人気作家ふたりが合作した問答無用のノンストップ・サスペンス『キャプテンサンダーボルト』完全攻略本! 世界を揺るがす秘密は蔵王に隠されている! 大陰謀に巻き込まれた小学校以来の友人コンビ、相場と井ノ原。 異常に強い銀髪の殺し屋と警察に追われるふたり(と犬一匹)は逃げ切れるか。 すべての背後にあるのは、蔵王の火口湖「御釜」が発生源とされる「村上病」。太平洋戦争末期に蔵王山中に墜落した米軍機の謎、そして主演男優のスキャンダルを理由に封印された戦隊ヒーロー映画に何が映っていたのか? 破滅へのカウントダウンが点滅する中で、物語は白熱のクライマックスに突入する! 文春文庫『キャプテンサンダーボルト』の電子版配信に当たり、物語の冒頭を抜粋したお試し版と、著者2人の対談を収録した無料ガイド本をお届けします。

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  • 純白のライン
    5.0
    「忘れてはいけなかった。働き、走り、考えつづけて生きる毎日を、体と心は求めてやまないのだということを」。突然の社長命令でニューヨークシティーマラソンに参加することになった広和。かつて家庭教師をしていた社長の娘、真結を監視しろというのだが――。さわやかな読後感を残す中編。文春文庫『シティ・マラソンズ』収録の中編。
  • フィニッシュ・ゲートから
    -
    「ランナーとは走る者を言う。現世の何を背負おうとも、ただ純粋に真っ直ぐ走り続けられる者だけをランナーと呼ぶのだ」。東京マラソンを舞台に、友情と、遠い日の恋心を優しく紡いだ中編。文春文庫『シティ・マラソンズ』収録。
  • 金色の風
    4.0
    「たぶん、走ることは祈りに似ている。身体の隅々まで酸素を行き渡らせて、身体を透明にして、祈る」。フランス語を学ぶため、パリにやってきた夕(ゆう)。街角で出会った女性、アンナに影響され、夕は走り始めるが――。文春文庫『シティ・マラソンズ』収録の中編。
  • 何も起きなかった
    -
    「雪の匂いはカエルの生臭い匂い」…高校の帰り道、どっちが匂いをうまく表現できるか競って言葉遊びができる親友だった、真樹子と品子。連絡が途絶えていた二人だが、同窓会を機にメール交換が始まる。互いの競争心や嫉妬をオブラートに包んだやりとりから暗い過去が炙り出され、次第に本音が見え隠れしだす。二人の間の緊張感が最高潮に達したとき、真樹子が送ったラストメールは…。これは「忘れられない香り」の記憶をテーマとして競作されたアンソロジーの一篇です。
  • コーヒーもう一杯
    4.0
    1巻102円 (税込)
    19歳の頃、当時同棲中だった3歳上の彼女がバザーでコーヒーミルを買った。早速マンデリンの豆を挽き、丁寧にコーヒーを淹れてくれた。「ねえ、もう一杯お代わりしない?」何事にも想像力に乏しく幼かった僕には、昨夜帰省先から戻った彼女に訊きたくても訊けないことがあった。もやもやした気持ちで苦いコーヒーを啜っていると、彼女が「とても大切な話」を切り出した…。これは「忘れられない香り」の記憶をテーマとして競作されたアンソロジーの一篇です。
  • スワン・レイク
    -
    久しぶりに叔母を訪ねたサツキ。信州の小さな町でバーを営む叔母は、何でも話せる唯一の存在。でもこの厳寒期に突然きた理由は話していない。きっかけは、一本の古いビデオテープだった…。3年前交通事故で夫を亡くしたサツキが、人生を新たにやり直そうと20年勤めた会社を辞める際、引き出しの奥で見つけたビデオ。そこに映っていたのは…。今、小雪が舞う中その場所へ。これは「忘れられない香り」の記憶をテーマとして競作されたアンソロジーの一篇です。
  • ロックとブルースに還る夜
    -
    編集者の私は、予備校時代を過ごした仙台を30年ぶりに訪れ感傷的になっていた。ハードロックとギターに明け暮れていた浪人時代、レコードを聴きたくて授業をサボって通った国分町のロック喫茶。それがいま目の前にある。まさかこの店が残っていたとは…。タイムスリップしたような錯覚を覚えながら、片想いの“彼女”を思い出しハッとする。閉じていた心の引き出しが開いた瞬間だった。これは「忘れられない香り」の記憶をテーマとして競作されたアンソロジーの一篇です。
  • いちば童子
    -
    ちょっと不思議な話をしたろか、大阪万博の前の年のこと──俺がいた環状線のT駅の近くに小さな市場があった。肉屋、魚屋、乾物屋、果物屋、食い物屋、ふとん屋にゲームセンター。市場を歩き回る俺は、同い年くらいの男の子があちこちにいるのに出会った。いちば童子だ。座敷ワラシの親戚みたいなもんやな。そんな頃、新しい道路と市場をつなぐ話が持ち上がり、市場は賛否で割れた……。これは「忘れられない香り」の記憶をテーマとして競作されたアンソロジーの一篇です。
  • 父とガムと彼女
    -
    小学4年生のある日まで、忙しい母にかわって学校の送り迎えをし、自分の世話をしてくれた初子さん。脚本を書きあぐねていた父と、家計をささえていた母。母が実家に行ったきりになったときは、父と初子さんと私で数か月暮らしたこともあった。そしてある日を境にふいに消えてしまった。父が亡くなり、通夜ぶるまいの席で再会した初子さんは……。これは「忘れられない香り」の記憶をテーマとして競作されたアンソロジーの一篇です。
  • 夢の香り
    -
    35歳の季理子は、中学生のころ夢で嗅いだ“男のにおい”が未だに忘れられない。それはどこか懐かしい、いくつものにおいが混ざり合った複雑なハーモニーだった。年を重ね、デートの誘いも減ってきたある日、海外紛争地帯に長期取材に赴く元同僚の壮行会のため、友人たちと集まった。あ、この男の香りは、あの夢のにすごく似ている……けれど、100%同じではない……。これは「忘れられない香り」の記憶をテーマとして競作されたアンソロジーの一篇です。
  • アンタさん
    -
    駆け出しライターの私が、後輩の結婚式の2次会でワインを思い切り引っかけて知り合った男は、なんと宮大工。食事に誘われてみれば、食べ物の好みが合い、肩がこらず、話がはずむ。うーん、宮大工の女房もいいかも。親しくなるうちに結婚相手と意識するのだが、それをほのめかした途端、男は青森の山寺修復に行くよ、携帯の電波も届かないような山奥だ、と音信不通に……。これは「忘れられない香り」の記憶をテーマとして競作されたアンソロジーの一篇です。
  • 最後の変身
    -
    入社数年後、ふっつり会社をやめて、実家の私室に引き籠もりはじめた男の手記──男はカフカの『変身』を読んで思う。これは俺だ。いまの俺は巨大な虫だ。老いた両親は怯えて俺を観察している。『変身』の主人公、すなわちある朝起きたら虫になっていた男、グレーゴル・ザムザの感じたことが俺にはよく分かる。それはこんな気持ちに違いない……ネット上に漂う、現代のグレーゴル・ザムザ。引き籠る人間の内面を完璧に描き出した、精緻な文学の結晶。
  • 壇蜜日記 0(ゼロ)【文春e-Books】
    4.5
    グラビア付電子書籍オリジナル! 裸単騎で現代日本を生き抜く33歳女子の生活と意見をつづった『壇蜜日記』(文春文庫)。この『日記』執筆のきっかけとなった月刊文藝春秋「この人の月間日記」を再録し、さらに『壇蜜日記』をテーマに撮影された週刊文春グラビア「原色美女図鑑」+セクシーアザーカットを完全収録したのが本書だ。週刊文春「阿川佐和子のこの人に会いたい」記事や、直木賞作家桜木紫乃さんとの対談「魅せる女の流儀」も必見。壇蜜の魅力が余すところなく詰まった壇蜜読本! やっぱり壇蜜はすごかった!!
  • アメリカの壁 小松左京e-booksセレクション【文春e-Books】
    2.0
    アメリカにトランプ大統領が誕生して以来、「いま読むべき作品」「現実がSFに近づいた」と改めて注目を浴びている作品。 ときは冷戦時代。ベトナム戦争以降のアメリカは国外問題への関心を急速に失いつつあった。「輝けるアメリカ」「美しいアメリカ」というスローガンを掲げて当選した大統領は、国内問題には熱心だが、対外政策はどこか投げやり。 そんなとき、アメリカは突然、出現した「壁」に囲まれ、外部との交通、通信が一切、遮断されてしまう。 しかし、なぜか大規模なパニックは発生せず、「アメリカは生きつづけるだろう」と語る大統領のもと、アメリカ国民は意外に落ち着いていた。 「どう考えたって・・・・・・これはおかしい」 アメリカ国内に閉じ込められた日本人ライターは、そんな状況を不審に感じて調査を始める。 「アメリカは、“外”の世界に、ひどくいやな形で傷つき、萎縮(シュリンク)しはじめた。そいつは認めるだろ? 今の大統領は、その方向をさらに強め、妙な具合にカーブさせた。彼は“幸福な新天地時代”のアメリカのノスタルジイに訴え、そこからの再出発を考えているみたいだった」 「たしかにアメリカにとっては、“すてきな孤立”だ」 そして男がたどりついた真相とは・・・・・・。 1982年に文春文庫から発売された短編集『アメリカの壁』から、表題作「アメリカの壁」だけを取り出し、電子書籍オリジナルとして発売!
  • ゆるいまんげつ: ショートショート
    2.0
    1巻220円 (税込)
    【概略】: 肩の凝らない、ゆる~いおはなし。 ショートショート54話 + 読書感想文4編。 1話10秒から4分ほどで読めます。 総文字数:約5万2千。 【目次】: 【ファンタジー・童話】まあくんのぼうけん/かわいい孫~見習い天使1/耳をすませば/電柱でゴンタロ/いとしい娘~見習い天使2/雪だるま/入学式/天使の卒業試験~見習い天使3/〇んこ星人の故郷/岩太郎/タヌキのポン吉/孔雀 【小休止の読書感想文1】『厭な小説(祥伝社文庫)』京極夏彦 【いろんな人】だるころネエちゃん/動機/怖いタクシー/笑って笑って!/夫婦の会話/ドライブ/帰ってきた強打者/洗濯屋のツェンツァオ婆さん/寝床にて/床屋風景/殿ぉ~/リズムあるいは周期/ジャンケンぽん 【小休止の読書感想文2】『千日の瑠璃(上)(下)(文春文庫)』丸山健二 【小さな生き物】ヤドカリのおもいで/振り子蜘蛛/セミとアリ/身投げ/アリ/プライド/みにくいメダカの子/子雀よ/蚊 【小休止の読書感想文3】『人間の條件(文春文庫)』五味川純平 【からだ】パパの手品/奇病/大先生、ほえる/田舎の味/雑巾/便秘/孤島にて/頑固なやつ/変装/ヤセ薬 【小休止の読書感想文4】『霊長類 南へ(講談社・角川文庫)』筒井康隆 【家族】ばあちゃん、まいご/誘惑/きずな/一家/ボクのお兄ちゃん/家族団らん/地下室/スター、故郷に錦を/宇宙の子供作文集より/お弁当
  • ―空― 戦国あやかし恋華【文春e-Books】
    -
    文春文庫×エブリスタ 第3回バディ小説大賞受賞作が電子書籍化! 文春文庫が小説投稿サイト「エブリスタ」とコラボして開催した「バディ小説大賞」。 「キーアイテム」がテーマの今回は、時代ファンタジー小説『-空- 戦国あやかし恋華』が大賞を受賞しました。 【あらすじ】 救世の旅をする僧侶・空穏(くおん)とお供の神獣・塩竈(しおがま)が湖で見つけたのは、巨大な白い繭。 その中には、全身が生糸のように白い美少女が眠っていた――。 少女は一体何者なのか? 村で流行する疫病の正体は? 徐々に、人と妖の罪業が解き明かされる……。 「文章力、構成力ともに抜きん出ており、非常に読み応えがあった」 「すぐに惚れられてしまう僧侶の空穏や、バディとなる神獣の牛もチャーミング」 選考委員も絶賛した、絢爛豪華な謎解き時代ファンタジー。
  • 美しいだけの世界――Do Archives Dream of Art?【文春e-Books】
    -
    第2回バディ小説大賞受賞作が電子書籍化! ユートピアともディストピアともつかない近未来のイメージが鮮烈なSF小説。 文春文庫が小説投稿サイト「エブリスタ」とコラボして開催した「バディ小説大賞」。 「ロケーション」をテーマとした第2回を制したのは、瑞々しい感性で近未来社会を描き、その中で芸術の在り方を追究したSF&美術小説。 新時代を予感させる大型新人の出現です! 【あらすじ】 前方性健忘で記憶が1日しかもたない美術商の有栖と、その助手でやはりある時期以前の記憶を失った少女・キリ。 しかもキリは透明人間で、初対面の人間には見えないらしい。 この奇妙なバディが生きるのは、ある日、突然世界中の都市から大量の人間が消失した〈ドゥームズ・デイ〉後の世界だった。 廃墟のようになった街で暮らす人間たちは、わずかな例外を除いて、頭蓋骨の額の部分の裏側に埋め込まれたSmartTagと呼ばれるチップによって脳とネットワークが直接接続され、管理されている。有栖はSmartTagを入れていない例外的人間、〈ブルーイリス〉だった。 二人は有栖が求める美術作品とアーティストを捜し、世界を旅するのだった――。
  • BURNT OUT ROOM【文春e-Books】
    -
    1巻305円 (税込)
    文春文庫×エブリスタ 第1回バディ小説大賞受賞作が電子書籍化! 文春文庫が小説投稿サイト「エブリスタ」とコラボして開催した「バディ小説大賞」。 「お仕事」をテーマとした第一回にはたくさんの応募が寄せられ、「BURNT OUT ROOM」が栄えある大賞を受賞した。 その受賞作が電子書籍として登場する。 【あらすじ】 40万人の人口を誇る東京都夕暮市。 棉苗上亮(わたなえじょうすけ)は夕暮消防署ではたらく現場ひとすじの消防士だ。 上亮は人知れず悩んでいた。一昨日、ジャワ・ハイツ203号室で起きた火事。 その現場で、要救助者を救うことができなかったことを――。 上亮はその火災現場を調査する警察に呼び出され、再びジャワ・ハイツを訪れる。 そこで上亮を待っていたのは、個性豊かな警察官の面々。 中でも群を抜いて奇抜なのは、VRのヘッドギアをつけて捜査する男。 「火事場の奇人(シャーロック)」の異名をとる天才刑事・穂村彗星だった。 事故として片付けられていた火災現場を不審がる彗星は言う。 「僕たちの仕事は実にシンプルだ」 「この焦げ付いた空間から、真実という名のダイヤモンドを拾い上げること」 熱血消防士×変人警察官!? 性格も考え方も正反対のふたりは、「真実という名のダイヤモンド」を見つけ出すことができるのか? 「作品としての個性があって、他作品からひとつ抜けていました。」 「ミステリーとしての構成も達者」 と選考委員から絶賛された、新世代のバディ小説の誕生。
  • 中国経済の危うい実態(WEDGEセレクション No.22)
    -
    【WEDGEセレクション No.22】 不動産バブルの崩壊から環境汚染の深刻化まで、中国経済が抱えている破綻リスクを、徹底的に分析する。 ※本書はウェブマガジン「WEDGE Infinity」で2013年5月から2014年2月までに掲載された記事を電子書籍化したものです。電子書籍化に際し、一部加筆・修正を加えております。 ◆中国経済転落の可能性/岡崎研究所 ◆上海株急落で露呈した 中国経済の深刻な「歪み」/石平 ◆中国バブル崩壊序章 習近平政権「袋小路」 引きずられる韓国/WEDGE編集部 ◆多発する暴力事件に経済の凋落 深まる中国の混乱/石平 ◆米国の不動産買い漁る地下銀行マネー その額年1兆円超/富坂聰 ◆空気汚染より深刻な中国の“水”問題/富坂聰 <著者プロフィール> 富坂聰(とみさか・さとし) 1964年、愛知県生まれ。北京大学中文系に留学したのち、豊富な人脈を活かした中国のインサイドリポートを続ける。著書に『苛立つ中国』(文春文庫)、『中国という大難』(新潮社)、『中国官僚覆面座談会』(小学館)、『チャイニーズ・パズル―地方から読み解く中国・習近平体制』(ウェッジ)などがある。 石 平(せき・へい) 1962年、中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒業。1988年に来日。神戸大学文化学研究科博士課程修了。2002年に『なぜ中国人は日本人を憎むのか』(PHP研究所)を著して以来、評論活動へ。近著に『私はなぜ「中国」を捨てたのか』(ワック)『日中をダメにした9人の政治家』(ベストセラーズ)などがある。
  • 翼あるもの1
    -
    1~4巻330円 (税込)
    ジョニーこと今西良は、ロックバンド“ザ・レックス”のボーカリスト。豹のような琥珀色の瞳と少女のように可憐な容姿、聴く者の心を震わせる歌声で、名実ともにトップスターである。その人気を買われドラマの主役に抜擢されるが、共演俳優・巽竜二には悪い噂が。良の庇護者を自認する作曲家・風間は猛反対するが、ドラマ収録は始まり、良を取り巻く男たちの愛憎が渦巻きはじめる──。著者・栗本薫がデビュー前夜に執筆した、記念碑的作品! 「真夜中の天使」の姉妹篇。
  • 真夜中の天使1
    5.0
    1~6巻330円 (税込)
    芸能界きっての敏腕マネージャー・滝俊介は、場末の音楽喫茶で痩せっぽちの少年と出会う。サロメのような妖しい美貌と甘い声をもつ、ジョニーこと今西良。この出会いが自分の運命を変えるとは知らず、スカウトする滝。金、コネ、ライバルを追い落とすための汚い手段、そして倒錯した性がうずまく非情な世界で、ふたりの魂の闘いがはじまる。「グイン・サーガ」シリーズを物した著者の記念碑的作品であり、当時としては過激な同性愛描写が話題を呼んだ名作の第1巻。
  • 精神科に行こう!(上) 心のカゼは軽~く治そう
    4.0
    勇気をだして精神科に行ってみたら……“ものすげぇラクになる。こうとしか言いようがない。「ハイハーイ、みんなつらくなったら精神科に行きましょうね」と日本中に伝えたい”(プロローグより)。仕事のストレスから、パニック障害やうつ病になった著者2人が、治療法を渡り歩いた末にたどり着いたのが、精神科。上巻では、2人が体験した症状と身体を張って試してみたさまざまな治療法(泥酔療法・催眠療法・飲尿療法・潜水療法・お祓い療法etc)を紹介します!
  • 自動起床装置
    3.7
    1巻379円 (税込)
    聡とぼくは仮眠室の「起こし屋」。昼間の毒気を吐きながら、養分を貪るように眠るモーレツ社員たちを、うまく目覚めへと導くのが仕事だ。ところがある日、自動起床装置が導入された…。眠りという前人未到の領域から、現代文明の衰弱を衝いた芥川賞受賞作。カンボジアの戦場への旅を描く「迷い旅」を併録。 解説・村田喜代子
  • 題未定 怪奇SF
    3.0
    〈読者各位──「題未定」は「題」ではありません。いつも作品の題には大変苦しみ、書き上げてからつけるのですが、今度は、締切りが来ても、どうにも適当な題が思いつけず、とうとう題未定のままに〉はじまるという前代未聞の幕開き。そこまで行き詰まっているのか、と思いきや、そこは「日本沈没」の著者。またもやどえらいことを企んで……。未来の自分から手紙が届き、作家・小松左京みずからが時間と空間をドタバタかけめぐる長篇怪奇ユーモアSF、電子書籍で待望の復刊!
  • 不良少年の映画史 PART1
    -
    敗戦後まだ二、三年というその時代、ぼくは不良少年だった──とはじまるこの本には、初めて名を聞く戦前戦後の珍品傑作映画がずらり! 重厚な“名画”ぎらいで“笑い”にはちとウルサイ(つまり成人後とそっくりな好みの)早熟な少年の記憶は、数々の笑いのシーンを甦らせる。かのエノケン、ロッパ、ロイドの主演作や「客にうけても、悲しいかなキネ旬の批評にとりあげてもらえない」B級爆笑映画のきらびやかなオンパレード! 筒井ファン垂涎の告白的自分史でもある。
  • 忘れ得ぬ翼
    -
    これは、太平洋戦争末期、絶望的な戦いを強いられた軍用機と飛行機乗りたちの物語である。敗戦とともに、空の男たちは操縦席から降りることを余儀なくされ、それぞれの戦後を生きたが、彼らの運命を決定した愛機は、いまもなお、彼らの心の中を飛び続けている。著者・城山三郎は、敗戦後四半世紀の時点から太平洋戦争を逆照射することによって、あの戦争と、戦後の日本が何であったかを問うている。同時に、男たちがともに戦った“翼たち”への愛情は、あふれるばかりである。
  • 高台の家
    5.0
    「どうぞ、お上りあそばして」と若い未亡人は客を迎えた。南麻布の高台の洋館──そこには老夫婦と、早逝した息子の嫁とが住んでいる。美しい未亡人に惹かれてか、その家のサロンには次々と青年たちが出入りする。老夫婦はなぜ嫁に青年たちを歓迎させるのか? 奇妙な豪邸の正体を暴く表題作。キャリア女性ばかりが住む、一見華やかな世田谷の独身アパートの浴場の湯槽で起こった殺人事件に潜む人間関係を描く「獄衣のない女囚」。昭和の色濃いサスペンス2篇!
  • 南くんの恋人
    完結
    3.9
    全1巻407円 (税込)
    高校生の南くんの恋人・ちなみが、ある日突然小さくなってしまった! 南くんは自分の部屋でちよみと一緒に住みはじめるのだが……。南くんとちよみが繰り広げる、少し甘く、ちょっぴり切ないラブ・ストーリー。3度ドラマ化された、漫画史上燦然と輝き続ける青春恋愛ドラマ。
  • 原始人
    3.7
    男は“獣欲”を満たすために棍棒を振るって女を犯し、“食欲”を満たすために他者の食物を強奪して殺す……。“弱肉強食”時代の人類の始祖・原始人の欲望むき出しの日常を描いた衝撃の表題作をはじめ、束縛されることのない異様な社会を描いた「アノミー都市」、次々と不運に巻き込まれる男の物語「おれは裸だ」など独特の筒井ワールドな作品に、小説という枠を超えたメタ小説ともいうべき「怒るな」「読者罵倒」「筒井康隆のつくり方」を加えた、元気の出る作品13篇を贈る。
  • 世界悪女物語
    3.9
    ルクレチア・ボルジア、カトリーヌ・ド・メディチ、ブランヴィリエ侯爵夫人、エリザベス女王、則天武后にマグダ・ゲッベルス……世界史上、名高い12人の女たち。美貌と権力、魔性と残虐性によって人びとを恐怖に陥れた彼女たちは、並外れた虚栄心、戦慄すべき美への執着、狂気のごとき愛欲に身をゆだね、罪を重ねて、孤独なあるいは非業の最期を遂げた。なぜ彼女たちはかくも魅力的なのか。耽美と悦楽のカリスマ、作家・澁澤龍彦の愉楽に満ちた人物エッセイ集。
  • 珠玉
    4.0
    1巻407円 (税込)
    青い海の色をしたアクアマリン──床にオガ屑を撒いた酒場で出会ったのは、海で行方不明になったらしい息子を探し続ける医者だった。赤い血の色をしたガーネット──渋谷の中華料理屋の主人が貸してくれた宝石は、スランプだった「私」に赤い色にまつわる記憶を呼び覚ます。乳白色の月の色ムーン・ストーン──その石を手に入れたときから、心に生まれた白い核。若き女性編集者と情事を重ねながら、その核心を追い求める「私」。三つの宝石に託して語られる、作者絶筆の三部作。
  • それいぬ 正しい乙女になるために
    4.3
    “乙女の聖書(バイブル)”として語り継がれた伝説のエッセイ登場! 乙女はみんな根性ワルで、お食事より悪口が好きなもの。品性を保ちつつ、ゴージャスで貴族で孤独であれ……野ばらのエレメントがちりばめられた乙女論は、ロマンチックでお上品でクラシカルで意地悪! 映画化された『下妻物語』を正しく理解するための必修教科書的エッセイ。さあ、乙女たちよ、リボンをつけて、Vivienne Westwoodに身を包み、いざ読まん!
  • 屁タレどもよ!
    3.0
    私達は「悪口」が大好きな生き物だ。自分の短所を高い棚に上げ、他人をコキおろしているときの昂揚感といったら……。カフェやホモバーで大好物の悪口を言いまくっていた女王様が、愛と毒にまみれた著名人の悪口を、愉快痛快なエッセイに。和田アキ子、広末涼子、田村亮子、中村江里子、今井美樹、久本雅美ほか著名人42人を力いっぱいメッタ斬り。過激さゆえにお蔵入りの危機にあった本書だが、潔い文章で民草のメラメラ嫉妬をさっぱりと流しさる、溜飲のさがる1冊。
  • マンション買って部屋づくり
    5.0
    慎重すぎる性格なのに、ふとのぞいた不動産屋で運命の出会い。こんな部屋に住みたかった!と住宅ローンを組んで、中古マンションを購入。勢いで購入したのはいいけれど、何もしなければタダの箱。長年の賃貸時代には思いもよらなかったリフォームに挑戦、庭づくりにご近所ネットワーク。カーテンをめぐる煩悶。収納問題を解決するには? 地震にどう備えるか? 30代ひとり暮らしのよさを生かして、自分のための空間を作り出す、ドキドキあたふた軽快エッセイ。
  • 週刊文春版[お徳用] 愛子の詰め合わせ【文春e-Books】
    -
    「面白中毒」ともいうべき性癖ゆえに自ら災難に突進し、波乱の人生を歩んできた作家・佐藤愛子。そんな彼女の、読めばなせだか元気がでるエッセイ41篇を収録。93年の人生の軌跡をたどる、秘蔵写真館、人生年表も入った、とってもお得な詰め合わせの一冊です!※本書は文春文庫『お徳用 愛子の詰め合わせ』に所収されたエッセイを再録、さらに「九十三歳のお正月」「私の覚悟」の二篇、グラビア、対談を加え再構成したムックです。
  • すっぴん魂
    3.5
    1~6巻408~509円 (税込)
    たとえメイクはしていても、心の中はいつもスッピン。フェロモンふりまきの赤パンツを履いた「ロケ弁女優」は、ビビッド・メイクのミニスカポリスに遭遇。試してみた5百万円の超高級納豆のお味は? 話題になったがんばれ猿岩石ツアーと盛岡食いだおれの旅の顛末……大笑いのあとにホロリと泣ける「週刊文春」に連載され大好評を得たエッセイ集第1弾!
  • まんぷく劇場
    3.3
    なつかしい、あの日あの頃の自分。淡い思い出にとどまらず、ムロイならではの珍事件が連続する。突然届いた得体の知れない謎の小瓶の中身はいったい? 帰宅すると必ず電話をしてくるストーカーの正体は? 実は十数回体験しているお見合いの意外な顛末とは……ニヤニヤしながら、ほっこりさせられる珍エピソードが詰まった、ムロイ節全開のエッセイ集。(※電子版では一部収録されていない写真などがあります)
  • 洞爺丸はなぜ沈んだか
    4.7
    昭和二十九年の青函連絡船洞爺丸沈没事故。タイタニックに匹敵する多くの犠牲者を出したこの事故の全貌を、時間の経過を追って克明に再現し、事故の真因にせまる。
  • 京都殺人地図
    5.0
    江夏冬子は二十九歳、東大法卒、スタイル抜群の美人。そして京都府警の捜査一課への新任検視官でもある。着任の翌日、早速、事件が起きた。密室の勉強部屋で中学三年生の女の子が死んでいたのだ。外傷ナシで死因は不明。現場に急行した冬子はたちまち、少女が妊娠三、四カ月で、首を絞められて殺されたことを見破り、才女をケムたがっていた橋口部長刑事を驚かせる。事件を解決するごとに、冬子と橋口はいいコンビに成長して行く。ミステリの女王によるみごとな推理八連作!
  • 勝つ経営
    3.0
    ソニー、ホンダ、富士フイルム――。なぜ、これら三社は異例の飛躍をつづけることができるのか。組織と人間の関わりを長年にわたり考察した著者が、該当企業のトップとじかに向き合い、彼らの本音を引き出し、経営の舵取りを問うた連続インタビュー。ほか文藝春秋読者賞を受賞した「本田宗一郎は泣いている」、「朝風を運ぶ人々――日本人が失ったもの」を収録。金融不祥事が長引くなど闇の深い日本経済界に、光明をもたらす企業人たちの言葉は世代を超えて心に響く力がある。
  • フルハウス
    3.6
    1巻427円 (税込)
    “家を建てる”が口癖だった父は、理想の家族を夢みて、払える金もないのに、いきなり立派な家を建てた。しかし成人した娘たちも、16年前に家を出た妻も、その家に寄りつかない。そこで父はホームレス一家を家に招き、ニセモノ家族と一緒に暮らし始めるのだが……不気味な味わいの表題作は、泉鏡花文学賞を受賞。ほかに、不倫する女が体験する、不倫相手の妻の奇矯なふるまいを通して、家族の不在をコミカルにえがく「もやし」を収録。才気あふれる2短篇。
  • タイル
    3.6
    性的不能になり離婚した、40歳のデザイナー。タイルを偏愛する男は、自室をモザイク画で埋め尽くそうと、赤い海パン姿で制作に没頭する。その部屋をこっそりうかがうのは、盗聴が趣味の自称“非行老人”。タイル貼りの作業に女の専門学校生が加わり、いっそう妄想が亢進した老人は男をけしかける──いっしょに楽しもうじゃないか。標的はある女性ポルノ作家。狂気、罠、監禁……誰にでも起こりうる狂気をひたひたと描き出す、ホラー純文学の傑作。
  • 幽霊劇場
    4.0
    売れない若手女優・田村里沙と間違えられて、人が殺された。里沙の夫である演出家は大女優・吉川真帆を追いかけ回し、大女優は数多くの浮き名を流している。愛憎渦巻く芸能界で、殺したいほど里沙を恨んでいたのはいったい誰? 女子大生・永井夕子と、オニ警部・宇野喬一のご存知、名コンビは、事件解決のため、ある芝居を打つ。表題作ほか「同情、買います」「夢路、はるかに」「間の抜けた告白」を収録した、好評シリーズ第9弾。
  • 花妖譚
    3.5
    清の八十翁・松齢の庭に突如咲いた一茎の黒い花。不吉の前兆を断たんとしたその時に現われたのは(黒色の牡丹)。人間稼業から脱し、仙人として生きる修行を続ける小角がついに到達した夢幻の世界とは(睡蓮)。作家「司馬遼太郎」となる前の新聞記者時代に書かれた、妖しくて物悲しい、花にまつわる十篇の幻想小説。
  • 乳と卵
    3.6
    2008年の第138回芥川賞受賞作! 娘の緑子を連れて大阪から上京してきた姉でホステスの巻子。巻子は豊胸手術を受けることに取りつかれている。緑子は言葉を発することを拒否し、ノートに言葉を書き連ねる。夏の三日間に展開される哀切なドラマは、身体と言葉の狂おしい交錯としての表現を極める。日本文学の風景を一夜にして変えてしまった傑作。
  • 中陰の花
    3.7
    自ら予言した日に幽界へ旅立ったウメさんは、探し物を教えてくれる“おがみや”だった。臨済宗の僧侶である則道はその死をきっかけに、この世とあの世の中間=中陰(ちゅういん)の世界を受け入れ、みずからの夫婦関係をも改めて見つめ直していく──現役僧侶でもある著者が、生と死を独特の視点から描いて選考委員全員の支持を集めた、第125回芥川賞受賞の表題作。人口2万人の小さな町で、人目をしのんでひっそりと働き、暮らす女の日々を描く「朝顔の音」を併録。
  • 黒焦げ美人
    3.3
    大正初年の岡山。妾稼業をして両親と妹を養っている珠枝は、金回りのいい旦那から与えられた家で気ままに暮らしている。そこに近在の高等遊民たちが集い、優雅なサロンのような様相を呈していた。しかし大晦日の夜、珠枝は惨殺されてしまう。家ごと焼かれ、後ろ頭の髪の毛と右の耳以外は黒焦げの姿で。「近年稀な大事件」として広がる波紋、妹を通して語られる意外な犯人像。仄暗い場所から語りかけてくるものとは……。岡山で実際に起きた猟奇事件に取材した力作長篇。
  • しょっぱいドライブ
    3.5
    港町に暮らす34歳のミホが、九十九さん(なで肩で筋肉がなく七面鳥のように皮膚のたるんだ天然パーマのへなちょこ老人)と同棲するに至るまでの奇妙な顛末。就職の保証人を「いいですよう」とふたつ返事でひき受け、町内会長の葬式で見かけた別居中の妻と愛人から逃げ隠れる九十九さん。ゆったりと走る車からオレンジ色の海を見たり、はんぺんのように軟らかく湿った唇と唇を合わせたり…。「人間と人間関係を描ききった」と絶賛された芥川賞受賞の表題作ほか、二編収録。
  • 快楽の動詞
    3.9
    大分昔の話になるが、私の部屋に女友達とその恋人が泊まったことがある。私は、ひとりでベッドに寝て、彼らは、離れたところに布団を敷いて寝た。図々しくも、彼らは、私を無視して、こっそり性行為を始めたのだった(表題作より)。隠しても、もれ聞こえてくるぼそぼそ声は、ありふれた「いく」と「死ぬ」。でも、2人が文学的なロマンあふれる会話を交わしていたら、もっと薄気味悪かったはず。文学の中の性行為と実際の性行為はどう違う? 奔放で緻密な8篇の短篇小説。
  • 龍馬残影
    4.0
    初航海の途中、海援隊のいろは丸は事故で沈んだ。相手船、紀州藩籍の明光丸艦長高柳は、いろは丸の代表者、才谷梅太郎のとらえどころのない対応に不安を覚える。激動の時代、野心と志のために手段を選ばず行動する男たちと、藩の生き残りのため奔走する男たちを背景に、坂本龍馬のしたたかな策略家ぶりを描く異色の幕末小説。
  • 砧をうつ女
    -
    1巻440円 (税込)
    和服にパラソルをさして、日本から母は帰って来た。貧しいなかをおおらかに生きた母の生涯を清冽な文体で描く鎮魂の譜。ひろく共感を呼んだ芥川賞受賞作品。この表題作と表裏をなす「人面の大岩」は、喜怒哀楽ははげしかったがきわめて平凡な人生を送った父の肖像を感動的に綴った。ほか、在日朝鮮人の哀切な魂の唄を歌い上げ、著者の文学的基点を示す珠玉の短篇「半チョッパリ」「長寿島」「奇蹟の日」「水汲む幼児」の四篇を収録する名品集である。
  • 戦火と混迷の日々 悲劇のインドシナ
    5.0
    アジアモンスーンの恵みをうけた肥沃な土地、おっとりとした国民性で知られるカンボジアを突然襲った「赤いクメール」の嵐。ポルポト政権下の粛清と強制農村隔離政策は百万人といわれる犠牲者をだし、国土を荒廃に追いこんだ。なぜ悲劇は起きたのか? 現地で外交官の夫とふたりの息子をつぎつぎと喪い、数年におよぶ強制労働に従事した日本女性の体験談から事実を、また、証言を考察可能な距離まで一度切り離したうえで政変の深奥を掘り起すことを試みる。
  • クレージイ・ドクターの回想
    -
    精神科医の私の家に、美人の患者が訪ねてきて、こともあろうに女房の前で“あたい、センセの子供、うんでみたいな”などと口走ったら……。さよう、愛することは、ままならぬものだが、愛されることは、更にままならぬ。個性あふれる患者たちの話、フランス人の妻の話、医学生時代のエピソードなど、さまざまな人間を登場させながら語られる、愛されるということ、試験のこと、車のこと、親子のこと、苦笑いというもの、殺すということ……人生の智恵とユーモアあふれるエッセイ集。
  • 東京十二契
    -
    <十二景と名づけず、「十二契」としたのは、ぼくと土地との契りをつづってみたかったからだ──>(本文より)。銀座、青山南町、六本木、そして新宿、四谷、沼袋、東伏見。住み替え、住み替えて生きてきたそれぞれの街、淡く濃く交わったそれぞれの女たちは、今どうしているだろう。戦後の焼跡時代からはるかに三十数年経って、風来無頼のままに年月を過した十二の町を、当時の記憶をたどって再訪し、巷に失われた時を探す、極私的な東京センチメンタル・ジャーニー。
  • 贋作ゲーム
    5.0
    謎の画家といわれるオイレングラス、コンピューター管理の貨物列車で運ばれるこの画家の作品を奪うために、綿密な計画と果敢な行動力で“作戦”を成功させる男たちのドラマ「贋作ゲーム」をはじめ、爆発物処理のスペシャリストが撤去不可能といわれる機雷の除去に取り組む「スエズに死す」、ハイジャック犯をいかにして逃がすかに映画屋が立ち上がった「エアーポート・81」など、いずれも実行不可能な作戦を遂行するために命がけで挑む男たちの姿を描く“泥棒小説”の傑作短篇集。
  • 演歌の虫
    4.0
    演歌歌手を育てて世に出すことに情熱を燃やすレコード会社のディレクターの夢と挫折を、冷めているようで暖かい女性作詞家の眼で描く「演歌の虫」、毎日美しく髪を結っては旦那が訪ねて来るのを待ち続ける老芸妓の心境を淡々と描く「老梅」の第93回直木賞受賞作2作のほか、だめな男に金を貢ぐのをやめられない女の心理をおそろしいほど正確に描く小説「貢ぐ女」、プロ野球選手とポルノ女優のしがらみを生々しく描く「弥次郎兵衛」を収録した著者会心の短篇集。
  • れくいえむ
    5.0
    1巻440円 (税込)
    死への道はあまりにも近く、生への道はあまりにも遠い……あの太平洋戦争のさなか、ひたすら“立派な軍国少女”になろうと努めた女学生の青春がここにある。激しい空襲をうけ、次々にかけがえのない肉親や友人を失いながら、なお「お国のため、戦争に勝つため」に生きた主人公、大泉節子。彼女の努力の行きつく先は、結局愛をも美をも滅ぼしつくすことでしかない。そのひたむきな純粋さ、無残さが読者の心を深くとらえた芥川賞受賞作。
  • 殺意のまつり
    4.5
    二十年前に起きた殺人事件の真犯人が突然名のりをあげた。しかし、別に捕えられた男は無実を叫びながら十五年の刑期を終え、事件もすでに時効を迎えている。真相を追う弁護士の前に過去の殺意がつぎつぎ露呈する──。冤罪を巧みに利用しようとした悪意なのか、それともまことの罪悪感からのがれたい人間の善性を信じるべきか。元犯人、真犯人を幾重にもとりかこむ思惑と愛憎がベールをさらに厚くする。人間模様を見事に捉えた表題作をはじめトリックメーカーが織りなす傑作推理七篇。
  • 風の扉
    -
    染織工芸界の巨匠が破門中の弟子の恨みを買い、メッタ突きにされて殺された! しかし事件はいっこうに報じられない──そして弟子は生きている巨匠を目撃する。一方、ボーイフレンドを交通事故で亡くした娘は、彼の死体に奇妙な違和感を感じる。癌に苦しむ病床のホテル会社社長、脳死状態に陥った初老の男、見ず知らずの4人の運命が交錯するとき……医学の未知の世界に挑み、時代を先取りして従来の推理小説の枠を大胆に打ち破った、衝撃的な医学長篇ミステリー。
  • 食通知つたかぶり
    4.0
    うまいものには目がない著者が、各地の美味を定評ある名文で綴ると、さあどうなるか? いずれも目次から「信濃にはソバとサクラと」「長崎になほ存す幕末の味」「ヨコハマ 朝がゆ ホテルの洋食」「岐阜では鮎はオカズである」「伊賀と伊勢とは牛肉の国」「岡山に西国一の鮨やあり」「由緒正しい食ひ倒れ」「利根の川風ウナギの匂ひ」「春の築地の焼鳥丼」「雪見としやれて長浜の鴨」……どうです、食指が動きませんか? しかも夷齋學人(石川淳)が格調高き序を寄せています。
  • 塀の中の懲りない面々
    -
    1~2巻440円 (税込)
    お役所専門に狙う大泥棒、堂々と脱獄した赤軍派兵士、短歌を詠むだけが楽しみの殺人犯、手形、借用証等ヨロズ消化する紙食い男、腕前は日本一を誇るニセ外科医等々、刑務所を出てはまた戻ってくる「懲りない面々」たち。そんな犯罪のプロフェッショナルばかりが集められている府中刑務所を、これまた中学生で安藤組入りしたベテランが案内する。本物の悪党たちを、人間への限りない好奇心と巧みな観察眼で描いた著者のミリオンセラー、ついに電子書籍化。
  • 手鎖心中
    4.0
    材木問屋の若旦那、栄次郎ときたら、いずれ大店を継ぐ安楽な身の上のくせに、他人を笑わせ、他人に笑われ、ちょっぴり奉られもしたいがために、絵草紙の作者になりたいと思い焦がれている。悲しいかな、その才能は皆無なのだが、それを知らぬは本人ばかり。暢気でお調子者の若旦那を主人公としたこの小説、江戸・寛政期の風俗と実在の戯作者たち、洒落や地口を綺羅星のごとくちりばめて、あまりのばかばかしさに読者が吹きださずにはいられない、第六十七回直木賞受賞作の傑作時代小説。
  • 尋ね人の時間
    3.3
    1巻440円 (税込)
    第九十九回芥川賞受賞作。「ある日、気がつくと、自分の内部に昔はたしかにあった筈の主体としての<われ>が失われていたのだ。わが心のうちなる岡にのぼって、いくら自分の名を呼んでみても、いたずらにただ山彦がかえってくるばかり。<われ>に置き去りにされて抜け殻になった<われ>のがらんどうの中を、うそ寒い風が通り過ぎて行くばかり。そうは思いませんか。小説“尋ね人の時間”とは、自分捜しの物語なのかもしれない」(あとがきより)
  • 考えるヒント
    3.6
    「常識を守ることは難かしいのである。文明が、やたらに専門家を要求しているからだ。私達常識人は、専門的知識に、おどかされ通しで、気が弱くなっている。私のように、常識の健全性を、専門家に確めてもらうというような面白くない事にもなる。(中略)生半可な知識でも、ともかく知識である事には変りはないという馬鹿な考えは捨てた方がよい。その点では、現代の知識人の多くが、どうにもならぬ科学軽信家になり下っているように思われる」(本文より)
  • ちょっといい話
    -
    堀口大學さんのところに、こういうふしぎな手紙がきたという。「貴大学の入学規則をお送り下されたく候」……文壇、芸能、スポーツの世界から学界、政界、財界にいたるまで、古今東西の著名人のエピソードを秘蔵のメモと交友録から精選し、“ちょっといい”ブームをまきおこした話題の逸話集。一つ一つの挿話を小さな芝居と感じさせる絶妙な語り口で運び、人間性の諸相を凝縮した表現の中で鮮やかに描き分けたユーモア小話集成の決定版。
  • 幼年
    -
    東京の街が、まだ東京であったころ……。東京屈指の繁華街として大きく変貌した渋谷を再訪し、著者の幼年期をはぐくんだ大正初年の渋谷界隈の地理、風物、時代の感触を、精緻な記憶力と端正な文体で再現する異色自叙伝。優しく厳しかった母の追懐、思い出深い小学校生活、時間の経つのを忘れた幼な友達との遊び、数回にわたる引っ越し、そしてヰタ・セクスアリスまでを、のびやかだった渋谷の変遷を背景に旧友との再会をまじえて、回想する。本書は懐しき大正年間の東京案内でもある。
  • 女の長風呂 I
    4.0
    男と女がかもしだす性の微苦笑をこれほどおもしろおかしく訴えてベストセラーになった読物は、古今東西に例を見ない。軽妙洒脱、ここと思えばまたあちら、おだやかな語り口にのせて、やんわりほんわり、はたまたずんばらり──本書俎上にあがったお題は、男の欲望、女の性欲、セーラー服に乱交パーティ、痴漢に混浴、身内とエッチ、面食い男の単純回路、女からみたキビシイ男の品さだめ。たおやかなカマトト顔で男性の本音に迫りくる才女作家の、あっけらかんとしたお色気談義!
  • ロマネ・コンティ・一九三五年 六つの短編小説
    4.0
    1巻440円 (税込)
    精緻玲瓏の文体で描きつくし、絶賛された六つの作品。この作家長年の旅と探求がもたらした、深沈たる一滴、また一滴。古美術にふさわしいヴィンテージワインを前にして、作家の脳裡をかすめる映像は鮮明、濃厚ながら瞬時に茫漠とした虚無へと変貌する。作家の体内で熟成された、食、阿片、釣魚など、官能の諸相、その豊饒から悲惨まで、散文表現の頂点ともいうべき成果がこの名短篇小説集である。川端康成文学賞を受賞した「玉、砕ける」を収める。
  • 棒ふりのカフェテラス
    4.0
    指揮棒一本小脇に抱え、世界を股に大活躍している筆者がこれまでに会った音楽家たちの中から27人を選び、彼らとの心に残るふれあいをユーモラスなタッチで描いた交遊録。国電を止めろ! と怒ったスーパースター・カラヤン、遊びもパワフルなマエストロ・バーンスタイン、パンツ1枚になってリハーサルにはげんだ巨匠リヒテル、バラの花束と派手なパジャマで失恋をなぐさめてくれた親友・山本直純など、気高くて、野蛮で、優しくて、どこかおかしい天才たちがぞくぞく登場する。
  • 響灘 そして十二の短編
    -
    休みでもとってみるか。家族サービスでなし、ゴルフでもなし、休暇の理由はとくに会社には言わずに……。一見ごくありふれたサラリーマンが思いついた、わずか二日間の旅の行き先は暖流と寒流がぶつかりあって、波が立ち、音をたてるという響灘だった。六年前に別れた愛人から電話をもらった男は、二日だけ休暇をとって、そこを訪ねることにした。──不思議な海が二人だけの景色となって騒いでいる──。再会した男と女の一夜を美しく描いた表題作と、家族をテーマにした連作短篇十二篇。
  • 犬と歩けば
    -
    「コンタはじつに善い犬であった。しかし、その善さについて、私はどう言いあらわしていいか、表現するすべを知らないのである。つまり、それはコンタの中に、それだけ私を超えてすぐれた資質があったということであろう」(あとがき)。気品と孤高の雰囲気を併せ持った愛する紀州犬の死を看取った時、「私の壮年期はコンタと共にありコンタと共に去った」という思いが著者を襲う。犬と人との出会いもまた、一期一会のものなのだ。よき伴走者にめぐまれた作家の切なくやさしい視線。
  • ホンダ神話(上) 教祖のなき後で
    5.0
    鍛冶屋の息子として生まれ、自動車修理工場の丁稚から身を興した天才技術者・本田宗一郎。金を集めることにかけては天才的な経営者・藤沢武夫。二人の運命的な出会いがホンダを創り、ホンダを独自の文化を持つ世界企業に育て上げた。ところがF1の世界チャンピオンを目指すホンダの足元を欠陥車騒動が揺るがした。藤沢は、水冷エンジンを嫌って、あくまでも空冷エンジンに固執する宗一郎への”クーデター”を敢行せざるを得なかった――。第27回大宅賞受賞作品。
  • ふしぎの国の犯罪者たち
    4.0
    「犯罪というゲームにそなわっているスリル、ゾクゾクとするような快感に、ぼくたちはすっかり魅せられてしまったのだ」──職業や本名も明かすことを禁じられている奇妙なバーの客たちのあいだで、ある相談がまとまった。襲撃不能・絶対安全の現金輸送装甲車を作り上げたと喧伝する警備保障会社にひと泡ふかせてやろうと、現金輸送車襲撃を計画したのだ。人生最大のゲーム“犯罪”に足をふみいれてしまった大人たちの“犯罪遊戯”を描く連作長篇。
  • スチュワーデス物語
    -
    アテンション・プリーズ! TVシリーズ化されて高視聴率をとった、あのドラマの原作です。空の上の仕事に憧れて入社してきた極東航空スチュワーデス577期生は、超個性的なメンバー揃い。鬼の村沢教官の特訓を何とかしのいだ“ドジでノロマのカメ”たちは、ついに見習い乗務に移り、羽田の訓練所から世界へ羽ばたいたのだが、慣れない機内で次から次へと珍騒動を巻き起こす。松本千秋以下、同期の新人スチュワーデスたちがくりひろげる、さわやかな涙と笑いの空の青春物語。
  • ネコババのいる町で
    3.8
    わずか三歳でロスアンジェルスから一人、日本へ送られた恵里子は、実の母に捨てられたショックで失語症に陥る。家にいるのは気性のはっきりした叔母と口さがない祖母のふたり。隣家には「ネコババ」と祖母が呼ぶ女性。ネコババの家にはやさしいおじさんと「ネコバン」。行き場のない幼い少女の心をなぐさめるのはネコたち。生みの親が不在の家庭で、恵理子は人間のきずなというものを学んで成長していくが……。芥川賞受賞の表題作ほか二篇を収録。
  • 京都西陣殺人事件
    5.0
    老舗西陣織織元の当主・小林総左衛門のもとをアメリカ副大統領の美人令嬢キャサリンが訪問する。華やかな着物に目をみはるキャサリンだが、業績の不振ぶりをうわさされるわりには趣味にお茶屋遊びにと大金をつぎこむ旦那の生活ぶりを不思議に思う。そんな折、総左衛門が入れあげていた舞妓が殺され、小林家の財産を狙う百鬼夜行の正体が白日のもとにさらされるが……。伝統社会と開発とのあいだで揺れる古都の様態を洒脱なトリックを絡めながら描いた傑作ミステリー。
  • 熟れてゆく夏
    3.3
    夏。北海道。瀟洒なリゾート・ホテル。共通の“女主人”を、それぞれの思いで待ち受ける、美しく不安な若い男女。ときに反発しあい、ときには狎れあいながら、たゆたゆと待つ日々が過ぎてゆく。女主人の望みはいったい何なのか? 愛と性のかかわりの背後にうごめくエゴイズムや孤独感、焦躁感、そして混沌とした愛欲の世界をあざやかに描いた表題作は、第100回直木賞受賞作。藤堂作品の原型がここにある。他に「鳥、とんだ」「三月の兎」の二篇を収録する。
  • ワルシャワ猫物語
    -
    かたことの会話にすら事欠くポーランドに夫の赴任で降り立った著者は、異境の地の孤独をかみしめていた。が、黒猫チャルと出会うことで一転して幸福な日々を見出すこととなる。天性の人なつこさで周囲を魅了するチャルを介し、まことの友情を得、したたかな社会主義国の一面に苦渋を覚えながらも、あるがままのポーランドに触れてゆく。しだいに街に溶けこむいっぽう、猫との別れはやってきた……。チャルを筆頭に16匹の猫たちとの哀切きわまる日々を誠実な視線で描いた感動作。
  • ヨーロッパ横丁たべあるき
    5.0
    食通おせいさんがカモカのおっちゃんと、ローマ、ヴェニス、マドリッド、バルセロナ、パリの五都市で赤堤燈、屋台(もちろん、一流レストランも)を求めて飲み食いのハシゴをしながら、ヨーロッパの食文化、そして日本の食文化を大考察する。はたしてふたりがたどりついた「横丁の味」とはなんだったのか? 名所旧跡めぐりの旅では見えてこない、現地に住むひとびとが味わう等身大の食を通して、ヨーロッパの下町の生活を胃袋で体験したグルメ紀行。
  • 遠くへ行きたい
    -
    「昭和八年に神田で生れ、浅草の寺で育った。このことが今の僕と、どうかかわりあっているのかが気になる。学童疎開に始まって生活の半分以上が常に旅の暮しになってしまった。このタイトルの中で、下町と、小さな寺の暮しと、旅の中の僕を見つけたい」……。ちょいと町内を歩いてみるのも旅のうちだし、飛行機を乗り継いで6日間で世界一周をするのも、またしかり。出かけては戻ってくる、さまざまな旅に明け暮れる著者が、本音で語る“男の旅”とは……。
  • おんなの一人旅
    -
    「せまい日本、そんなに急いでどこへ行く」ってヒネくれた標語ねえ。ソリャ確かにせまいけど、歩けば歩くほど、面白いことがあるわよと原稿執筆とテレビ出演のはざまをぬって講演に、取材にと日本全国津々浦々へ。エンヤトットと大漁節で迎えてくれた女学校、名物の牛なべを食いそびれて涙した夜、講演料を定期預金でくれた銀行、見上げるほどの大女芸者で歓待してくれた新聞社等々、気軽さと心細さを道連れに駈け巡った旅先で起こった立腹、抱腹の旅エッセイ。
  • 狙撃者たちの夏 サミット・コンフィデンシャル
    -
    チタニウム合金製の特殊アーミーライフルを前にしたふたりの男。交渉の報酬は一万ドル。仕事の内容は、銃の改造である。折りしもゲリラテロの頻発する不穏な世界情勢下、東京では先進国首脳会議(サミット)開催に向けて、アリ一匹這い入るすきもない厳重な警戒網が張りめぐらされた。だが、圧力をかける警察と取材陣とのもみあいが続く中、その網の目をくぐって、アメリカからの侵入をこころみる男の鞄には、件の銃が仕込まれていた……。鮮烈な刺激に満ちたサスペンス長篇。
  • 少女と武者人形
    -
    「武者人形の剣に血が噴きだしてきたとき、人が死ぬ……」母親と弟の事故死。少女のなかで武者人形と葬式がひとつに重なった。そして別荘での父と叔母の情事──思春期の少女の、揺れ動く複雑な心理と夢魔の世界を描く「少女と武者人形」。ネコをかわいがっている家に赤ん坊が生まれると、ネコと赤ん坊で“運”をとりあい、ネコが死ぬ。でもネコの“運”が赤ん坊の“運”に勝ったとしたら──「ネコのいる風景」など、「奇妙な味の小説」十二篇を収めた直木賞候補の連作短篇集。
  • ナンシー関「テレビ消灯時間」リミックス
    3.5
    2002年に急逝した消しゴム版画家・ナンシー関。テレビ評を批評の1ジャンルとして確立させた、不世出の人でした。テレビを見る眼の鋭さたるや、まるで色あせず、その後の展開を予言するようなものも。芸能界で「橋田傘下」に入ることの意味とは? 黒柳徹子の本当のすごさとは? そして愛してやまなかった大食い番組の栄枯盛衰まで、週刊文春に連載された「テレビ消灯時間」から、ナンシー・エッセンス満載でリミックス! もちろん消しゴム版画もそのままで収録です!
  • 天使たちの肖像
    -
    1巻440円 (税込)
    妻子も安定した仕事も捨てて“蒸発”し、運輸会社の運転手となった曾木。社長の愛人のフィリピン女性・セべリアから、社長のもう一人の愛人・川西槙子の幼い娘を身代金目的で誘拐する計画を打ち明けられ、その話にのる。金のためではない。無一文で炭鉱で働いていた遠い日の自分と、社長から約束のお金をもらえないと家族が待つ国に帰れない、というセべリアの境遇に、共鳴するものを感じたからだ──男の生きざまを鮮烈に描く長篇ハードロマン!
  • 狼がやってきた日
    -
    昭和四十八年の石油ショックは戦後最大の危機であった。当時の状況を、未発表の資料や当事者の証言を基軸に再現し、危機状況においていかに行動すべきかを考えるドキュメント。
  • それ行け狐狸庵
    3.2
    草深き柿生の里から虎(狐?)視眈眈、尻尾ふり立て駆けつける、天下の大事に異変はありや。さみしきアタマを隠さんとかつらに手をのばし、六本木のお化けバーで怪物になりすまして女の子を追いかけ、ホスト・クラブに潜入して難癖のし放題、さてまたデパートでホントの万引きを決行、フリチン芝居、身を挺しての東奔西走、あげくの果てのムチ打ち症、さらに加えて犯人容疑。世の平穏を乱す人騒がせな遠藤センセイの狐狸庵シリーズ決定版。抱腹絶倒まちがいなし。
  • ぼくと、ぼくらの夏
    4.0
    高校二年の気だるい夏休み、万年平刑事の親父が言った。「お前の同級生の女の子が死んだぞ」。偶然のことでお通夜へ出かけたが、どうもおかしい。そして数日もしないうちに、また一人。ぼくと親しい娘ではなかったけれど、可愛い子たちがこうも次々と殺されては無関心でいられない。担任の美人教師とやくざの娘で心ひかれる少女と力を合わせて、ぼくは真相を解きあかそうとこころみる。ほんのりと大人びた少年少女が体験する鮮烈な心の揺れを描き、開高健氏に絶賛された都会派青春小説。
  • 黒パン俘虜記
    4.5
    「軍隊は運隊だ」という言葉どおり、運悪く、敗戦と同時に送りこまれたモンゴルの収容所は、まさにこの世の地獄だった。軍律の崩壊した集団に君臨するやくざあがりの大ボス・小ボス。食糧といえば、黒パンとわずかなスープ、それも搾取され、強制労働にかり出される毎日。栄養失調、疾病、私刑で、つぎつぎと失われる生命。襲いくる不条理に耐えながら、帰国を待ち侘びる日々を支えてくれたのは、小説と映画と流行歌への熱い思いだった。死んでいった戦友たちへの祈りをこめた第89回直木賞受賞作。
  • てんのじ村
    3.3
    大阪は通天閣の下に、漫才師、奇術師、浪曲師といった芸人たちがあつまり住む一郭“てんのじ村”があった。戦前、戦後、そして高度経済成長期と、大阪芸人の活躍の場が、寄席からラジオ、テレビへと移りゆくなか、時代の波にとり残された八十二歳と五十五歳の漫才コンビ。しかし、その二人に、たった一度だけ華やかなテレビのスポット・ライトが当てられる日が来たのだが──。身を寄せあって生きていく善意の人々の哀歓を、しみじみと描いた第91回直木賞受賞作。
  • 火神被殺
    5.0
    松江で起こったささいな宿帳書き換え事件と出雲で起こったバラバラ殺人、一見無関係に見える二つの謎に古代史マニアの医者が挑む「火神被殺」、ありがちな事件──そう思っていた国選弁護人が容疑者の無罪主張をきっかけに事件に引き込まれていく「奇妙な被告」、愛人のためにひそかに買ったベルギー土産のテーブルクロスが思わぬトラブルを招く「葡萄唐草文様の刺繍」など、予想もつかない運命に翻弄される人々を描いた松本清張ならではの本格推理5篇。
  • アリバイの彼方に
    -
    ホステス殺人事件の容疑者として浮かんだのは、捜査を担当する刑事の元同級生。男らしい堂々とした人生を歩む彼に対し嫉妬を抱く刑事は、アリバイを崩すために執念を燃やす……表題作「アリバイの彼方に」、自分を捨てた男と偶然再会した女が甘い言葉で殺人事件のアリバイ作りの協力を求められる「滑走路灯」、子宮外妊娠で死んだ亡き親友の姪が実は殺されたのではないかと疑った男の推理「彼女の死を待つ」など、事件と関わってしまった人々の揺れ動く心を描いたミステリー短篇集。
  • 陸行水行 別冊黒い画集2
    4.0
    耶馬台国はどこにあったか。朝鮮半島から耶馬台国に至るルートに魅せられて、古代人の道を辿ろうと思い立った2人はどうなったか? 古代史のロマンと推理がみごとに結晶した表題作「陸行水行」のほか、“村に道路が通る!”と土地の買い取りで沸き立つ村社会の心理の駆け引きをえぐり出す「形」、邪魔な恋人を切ろうとする男をクールに描いた「寝敷き」、若いツバメがひきずりこまれる蟻地獄とは……「断線」と、最後の1行までサスペンスが続く、名推理4篇。
  • 猛スピードで母は
    4.0
    1巻447円 (税込)
    「私、結婚するかもしれないから」「すごいね」。小6の慎は、結婚をほのめかす母をクールに見つめ、母の恋人らしき男ともうまくやっていく。現実に立ち向う母を子どもの皮膚感覚であざやかに描いた芥川賞受賞作に加え、大胆でかっこいい父の愛人・洋子さんと小4の薫の奇妙な夏の日々を爽やかに綴った文學界新人賞受賞作「サイドカーに犬」を収録。子どもの視点がうつしだすあっけらかんとした現実に、読み手までも小学生の日々に引き戻される傑作短篇2篇。
  • 幽霊散歩道(プロムナード)
    5.0
    女子大生の恋人・永井夕子に強引に誘われて、テレビドラマのエキストラに出演することになったオニ警部・宇野喬一。ところが撮影中のスタジオ内で主演女優が殺された。更に女優と噂のあったタレントの首吊り死体が! これは無理心中か、それとも殺人事件なのか?(表題作)そのほか、営業中のデパート、保育参観日の幼稚園、そして雨宿りさせてもらった豪邸で…事件はいつでも待ったなし。名コンビの推理が冴えわたる、“幽霊シリーズ”好評の第8弾。
  • 幽霊記念日
    5.0
    年の差カップルにして名コンビの、女子大生・永井夕子とオニ警部・宇野喬一。いつも冴えた推理をみせる夕子も、本業は学生。だが、彼女が通う大学で事件が勃発! 英文学教授・水科恭子の息子を偲ぶ会の当日、その会場となった教室で幽霊さわぎが、そして女子学生が刺された。さらに“水科先生は講義中に殺されます”という怪電話も……絶好調の表題作ほか「幸い住むと、ポチが鳴く」「白鳥の歌を聞くとき」「裏の畑でミケが鳴く」を収録した、大好評シリーズ第7弾。
  • 幽霊園遊会
    4.0
    天下の警視庁捜査一課オニ警部、宇野喬一と自称「捜査一課顧問」の女子大生、永井夕子の名コンビ。本篇ではかずかずの華麗なパーティを舞台に大活躍。あるときは大富豪の誕生会に潜む暗殺者を、またあるときは高校の同窓会で夕子の同級生が遭った惨劇を、ふたりはときに袋小路に迷い込みながら、さわやかな推理で解決してゆく。おなじみ大食いで巨漢のよき相棒、原田刑事をまじえ、予測のつかないアップテンポな筆致で進む、大人気「幽霊シリーズ」第6弾。
  • ジュージュー
    3.7
    下町の小さなステーキ&ハンバーグのお店「ジュージュー」を舞台に繰り広げられる、おかしくも切ない物語。美津子は両親から受け継いだお店を、遠縁で元恋人でもある進一と共に切り盛りしている。常連のお客さんたちは、みんなどこかに欠落を抱えながらも、精一杯今日を生きている人ばかり。世の中はどうにもならないことばかり。でも、おいしいハンバーグを食べれば、つらいことがあっても元気を取り戻せる! 生きることの喜びをギュッと閉じ込めた傑作。

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