Posted by ブクログ
2019年06月16日
先日(2019/6/6)に亡くなった田辺聖子のエッセイ。風呂=ハダカであり、そっち方面の話ばかり。
小松左京や筒井康隆がハバを利かせていた、というか、日本SF界が元気だった頃と同時期の話で、筒井康隆「狂気の沙汰も金次第」に同じような話があったような気がするし、星新一や小松左京の本にもあったなあ。
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性をテーマに、エロとも社会学、行動学とも読めるような、うねりながら進む各エッセイにおいて、やっぱり特筆すべきはその語彙の豊富さ。いやほんと、こういうのを読んだときに、ネット上の文章と同じだと感じる人は、言葉に対する感受性が低すぎると注意したほうが良い。
また、田辺聖子の専門ではあるが、古典から和歌から教育勅語まで、豊富な知識をベースに絶えることなく引用され、「エッチやわあ」とやられるわけだが、源氏物語はともかく、古典は美しく真面目なものであるというような読み方しかできないガクシャの皆さんには見習っていただきたい。
さて、エッセイとはいうけれども、ボケとツッコミのボケ役に重要なのが、かの「カモカのおっちゃん」である。ちゃんと語源を見たのは初めてかもしれない。女性雑誌に載っていたら「おっちゃん=保守、お聖さん=革新」という感じなのだろうが、こちらは文春に載っていたのであるから、どっちもどっちなのだ。この「本なんか読まん」というおっちゃんが、なかなか辛辣でツボを付いた話を振ってくるところが、本書のポイントであろう。
とはいえ、電子書籍に「カモカのおっちゃんシリーズ」というデリカシーのないタイトルを付けるのはやめてくれよ。