作品一覧

  • 戦火と混迷の日々 悲劇のインドシナ
    5.0
    アジアモンスーンの恵みをうけた肥沃な土地、おっとりとした国民性で知られるカンボジアを突然襲った「赤いクメール」の嵐。ポルポト政権下の粛清と強制農村隔離政策は百万人といわれる犠牲者をだし、国土を荒廃に追いこんだ。なぜ悲劇は起きたのか? 現地で外交官の夫とふたりの息子をつぎつぎと喪い、数年におよぶ強制労働に従事した日本女性の体験談から事実を、また、証言を考察可能な距離まで一度切り離したうえで政変の深奥を掘り起すことを試みる。
  • 妻と娘の国へ行った特派員
    4.0
    1巻495円 (税込)
    インドシナ情勢を的確にとらえ、繊細な視線で人間の生を見つづけた報道記者・近藤紘一。ノンフィクションの真髄を味わわせる著作と爽やかなまなざしは今も多くの読者を魅了してやまない。彼はサイゴン、バンコクの特派員として東南アジアの人々の喜怒哀楽や生活につねに関心を向け、ベトナム人の妻と娘を通じてこの地域との縁はいっそう深まったが、惜しくも四十五歳でガンに斃れた。複雑な国情と厳しい風土に生きる人々のダイナミックな姿を活写したこのエッセイ集は遺作となる。
  • したたかな敗者たち
    5.0
    目の前にいつも戦争があった。傷つき斃れる同世代の若者たちがいた。五月革命に揺れるパリでのベトナム和平交渉を留学生として、サイゴン陥落による南ベトナムの崩壊を海外特派員として目撃した。インドシナ戦争報道にその青春を賭け、さらに国境地帯の砲声を追って今なお戦う人びとの真実を取材した書下しノンフィクション。北ベトナム軍の一兵士からジャングルの中で祖国再興をめざす老宰相まで、みずからを傍観者と位置づけながらも、彼らを描く筆致は愛情にあふれている。
  • サイゴンから来た妻と娘
    4.5
    戦火のサイゴンで日本の新聞記者が、大輪の花のような笑顔に惹かれて子連れのベトナム女性と結婚した。サイゴン陥落後、日本に移り住んだ親子3人だったが、妻のベトナム式生活ぶりと子育て方はまったく変わらず。親に絶対服従のスパルタ教育にショックを受け、可愛いペットのウサギ料理に度肝を抜かれ……毎日のように巻き起こる小事件を通して、アジア人同士のカルチャーギャップを軽妙な筆で描く。大宅壮一ノンフィクション賞受賞作品。
  • サイゴンのいちばん長い日
    4.4
    1975年3月23日、サイゴン(現・ホーチミン)の空港に降り立った新聞記者が同5月24日、サイゴンを去るまでの2ヶ月間に体験したのは……窓を揺るがす爆発音、着弾と同時に盛り上がる巨大な炎の入道雲、必死の形相で脱出ヘリに殺到する群衆、そして戦車を先頭に波のように進攻してくる北・革命政府軍兵士……。4月30日サイゴン陥落前後の大混乱を、ベトナム人の妻をもち、民衆と生活を共にした新聞記者が、自らの目と耳と肌で克明に記録した極上のルポルタージュ。
  • サイゴンから来た妻と娘

    Posted by ブクログ

    生活の叙述の中で、ベトナムの人の物の考え方や大切にしていることも感じられたし、筆者のベトナム観にも大いにうならされた。

    ベトナムの人々の強さ、生きる力を見せつける数々の実話と、その背景にあると思われ歴史・風土的背景。
    国際社会の中での、外交的あるいは文化的な立ち位置。
    ベトナムの風土がもつ資源や自然の豊かさ、食の写しさ。
    そして、翻って、日本が心がけるべきこと。

    ベトナムを知るための一冊として必須だろう。

    以下、印象に残った記述(一部、簡略化して転記)

    ・妻は一家の家長で、働きもので、大家族制の名残を残す国では、一般に家長依存の風習が強い、しかも相手の稼ぎがいいとなると遠縁とか昔馴染み

    0
    2023年07月23日
  • サイゴンから来た妻と娘

    Posted by ブクログ

    産経新聞記者としてベトナム駐在していた筆者のエッセイ。筆者と奥様の馴れ初めも、妻や娘とのかなりオープンな発言や関係も、陥落前のサイゴンの混沌とした様子も全て興味深い。この頃ボートピープルが出てきたんだな、与那国に流れ着いた人に会いに行く話も強烈だ。登場人物、そしてとくにベトナムの人にパワーに圧倒された。

    0
    2021年01月10日
  • サイゴンのいちばん長い日

    Posted by ブクログ

    初めて読んだのは1992年前後だと思う。昨年、再読。
    10年近く暮らしたアメリカではベトナム移民コミュニティが近くにあったり、もちろん周りにベトナム系の人達も多くいた。とにかく親切な人が多かった。

    ホーチミンではマジェスティックホテルに宿泊。朝食は本文にも出てくる川を見渡せるレストラン。宿泊者以外でも利用可能。食事の料金は欧米並みだがサービス良しメニュー良しビューも良しで、この本片手にまた利用したい。

    私にとってホーチミンに限っていえば、地元を歩くのに必要なのは地球の歩き方やるるぶ等ではなくこの1冊。

    0
    2020年06月24日
  • サイゴンのいちばん長い日

    Posted by ブクログ

    3年くらい前に読んだ。戦時中の街の暮らしから陥落の瞬間までの記録。首都が無くなるってどんな感覚なんだろう。この本を読んでからベトナムに行けてよかった。

    0
    2019年04月20日
  • サイゴンのいちばん長い日

    Posted by ブクログ

    戦争前夜までの記者らのゴタゴタのみならず、サイゴンという街のいとおしさ、妻への思い、記者としての歴史が変わる瞬間をみることへの渇望など…。想いがストレートに、整理されずに述べられていて、惹き込まれる。

    静かな政変(?)だったとはいえど、さまざまな混乱があり、血も流れたこともわかる。
    著者の心の揺れも、人々も、ピュアに記されている面白さがある。

    戦争というものへの複雑な見方も印象的。もちろん多くの命が失われ、不幸も多く作る。しかし戦争がベトナムの国民性を露にしたのも事実。価値判断次第で色んなものがみえるし、ベトナムの強さも窺い知る。

    生々しくまるごとを見せつけて考えさせてくれた、極上のジャ

    0
    2018年12月31日

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