尋ね人の時間

尋ね人の時間

440円 (税込)

2pt

3.3

第九十九回芥川賞受賞作。「ある日、気がつくと、自分の内部に昔はたしかにあった筈の主体としての<われ>が失われていたのだ。わが心のうちなる岡にのぼって、いくら自分の名を呼んでみても、いたずらにただ山彦がかえってくるばかり。<われ>に置き去りにされて抜け殻になった<われ>のがらんどうの中を、うそ寒い風が通り過ぎて行くばかり。そうは思いませんか。小説“尋ね人の時間”とは、自分捜しの物語なのかもしれない」(あとがきより)

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尋ね人の時間 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    月子という名の女の子が出てくる。
    以前から、こういうタイプの登場人物(それが男でも大人でも)に強く惹かれる方。
    肌になじむというか、どこかすーっと自分の中に溶けていくような感じ、かな。

    小説を無理やり太陽と月に分けるとするなら、まさに月の部に入る小説だと思う。
    淡々とした語り口で暗いわけではないけ

    0
    2013年09月19日

    Posted by ブクログ

    作品集らしい
    「水母」と「尋ね人の時間」の二つ。
    「水母」は30ページの短編でもう一つの後に書かれた作品で、それのプロローグみたいなもん。現代小説らしい作品だなーって。

    0
    2011年05月21日

    Posted by ブクログ

    存じ上げなかったが、「千の風になって」の作詞もした作曲家で、写真を撮ったりとマルチに活躍する人の小説。

    中堅写真家の神島は、男性的不能となり、妻と別れてから評価の高い作品を作り活躍している。たまに会う、ボーイッシュな実娘月子や駆け出しのモデルの圭子など、様々な人達と絡む人間模様を描いた、連作短編

    0
    2019年12月18日

    Posted by ブクログ

    インポテンツがマッチョイズムの喪失に根差すものであるとして
    マッチョ否定が戦後民主主義の目指す理想であるとするならば
    勃起回復の願望は、マッチョイズム回帰の願望でもあるわけだが
    それはもちろん戦後民主主義への憎悪をともなうもので
    同時に、それを押し付けてきた女性(母親)たちへの憎悪をも
    含むことにな

    0
    2016年04月18日

    Posted by ブクログ

    1988年上半期芥川賞受賞作。それぞれの場面は鮮明でありながら、統体としては夢の連鎖であるかのような印象を受ける。月子のイメージなどはことにそうだ。また、それはあえてそのように書いているのだが、登場人物同志の関係性も極めて儚く、主人公は敢えて孤独を選ぶ。ただ、主人公の神島をあえて性的不能に設定するの

    0
    2013年11月23日

    Posted by ブクログ

    誰がつくったのか知らないけどそれは神様からの試練だという人もいるかもしれないけど。その世代にはその世代がちゃんと受け入れていかなきゃいけないものがあるってこと。問題をクリアする知性とか経験とか相当タフになってきたはずなのに。なかなか越えさせてくれない。自分はどこへいってしまったのか。ちょっと読むのは

    0
    2011年09月15日

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