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Posted by ブクログ
▪️サイドカーに犬
洋子さんが薫に「私の脚さわってみる?」と聞くシーンが好きだ。寂しさや怖さを紛らわせるために抱きつく場合を除いて、子供が大人に触れることは何かタブーのような気が当時はしていた。少なくとも大人の脚に触れた記憶は自分にはない。(忘れているだけかも知れないが)
脚に触れるとき、きっと薫はドキドキしたであろう。大人ってこうなんだと。大人ってかたいんだと。脳内にある大人という存在に感触が加わることは薫の世界を広げてくれたであろう。
ヤマシタトモコさんの『違国日記』(漫画)を読んだ際にも感じたが、ルールは大人から与えられるものではなく自分で決めていいものなのだ。大人なんて実は大したことないのだ。と気づかせてくれる存在は本当に貴重だと思う。
自分が初めてそれに気づいた時、おい、だったら人生ってめちゃくちゃ楽しいじゃねぇかと、まだ自分は人生のスタートラインに立っていなかったのかと、瞳孔を開いてこれまで見ていた景色を再度見渡したことを思い出した。
修羅場から逃亡するお父さん、ダサくて最高だったな。
Posted by ブクログ
『サイドカーに犬』と『猛スピードで母は』の2編
個人的には前者の方が好みなのでそちらについて感想を書きたい。
ドイツ製のライトは洋子さんの芯の通った1人の女性を体現するアイテムだったと思う。
洋子さんと私の一夏の関係を描いた作品だったが洋子さんの存在が現在の私にどう影響し最後の「そろそろ」とは何を指すのか。
恐らくこの期を逃せば、私は独り立ちのできない理想をいえば洋子さんのような女性にはなれないのだろう。母のハンドバックを借りたと言う描写から未だに親離れしていと考える。
偽装硬貨が夏休みの終わりを知らせるベルというのは粋で最高のオチであった。
この作品は夏休みという限られた期間、無駄のない文といくつかのアイテム(チェーホフの銃)という必要最小限に洗練された話だった。
後者について一言書くとすれば
憂鬱でどんよりとした話であったが心が沈むほどには重く感じない。慎の成長とラストの爽快な絵がそうさせているのか救いようのないバッドエンドの手前であったからなのか。
Posted by ブクログ
111108さん、ようやく長嶋有さん読みました!
良い小説でした…。
・サイドカーに犬
母が家出し、小学生女子の薫が、父と、一風変わった父の愛人の洋子さんと、弟と、父の仕事仲間たちと過ごした一夏の物語。
淡々と綴られていく気だるい夏のエピソード、父の不祥事によって意外に派手にバタバタと幕を閉じるラスト、偽造硬貨で鳴り響く「夏休みの終わりを告げるベル」に、大切なものがなくなる前の最後のきらめきとノスタルジーを感じた。
何より、大人になった薫が、洋子さんを思い出して「そろそろなんじゃないか」と、人生が劇的に変わる何かを予感するような最終ページが、すごく良かった。
子供の目から描いているからこそ、洋子さんのかっこよさが際立っている。
また夏に読み返したいような中編で、個人的には表題作より好き。
・猛スピードで母は
とにかく、母が団地の梯子を登って、ベランダ伝いに自室まで渡っていくシーンからラストにかけてが心に残った。
私としては、「猛スピード」な母の型破りな愛情が、遠回りして慎に届く場面のように思った。
こちらの小説も、何度か読み返したらいろいろ発見がありそう。
Posted by ブクログ
「サイドカーに犬」5…小4女子と父の愛人・洋子さんとの交流。著者と同世代だから余計そう感じるのかもしれないが、完全に精神がタイムスリップした。
「猛スピードで母は」4…母子家庭の小6男子の淡々とした日常。子供の思考描写がすっと納得してしまうような生々しさがある。
どちらの作品も「破天荒なオトナ」により閉鎖空間に楔を打ち込まれたときの子供たちの衝撃が描かれていた。
自分は幸か不幸か周囲が真っ当な(?)大人ばかりだったので、このパラダイムシフトがめちゃくちゃ遅かった。それがコンプレックスでもあり、20代の放蕩生活の遠因になったと思っている。
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小説・文芸
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