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「ちゃんと愛せていたんだろうか……?」「そうだった そういうとこが好きだった 傷つけ合って別れた人の」――男にとって別れはいつも「寝耳に水」。家の鍵は取り換えられ、妻の雇った弁護士から身に覚えのない非難の文書が……。親権をめぐる裁判所での話し合いは、想像を絶する冷酷な展開に……。子どもたちに会いたい! 男女の温度差が激しいとされる「離婚」を、男の視点で描き、賛否両論を呼んだ、あまりに率直で赤裸々な、衝撃の実録小説!
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Posted by ブクログ
意外に面白かった。 もっと嫌になるかと思ったからだ。 私は主人公よりもその妻に近いところにいる。 2人にとっての真実がどこにあるかはわからないから、ここでその是非を問うても意味はないだろう。 そもそも、人と人との関係において正しさは無力で、正しくても正しくなくても暮らせないものは暮らせない。そし...続きを読むて、自分がどうしても子供を失いたくないと思えば、正しくないことだって私ならするなと思った。 ただ、著者はおそらくとても正直な人で、ここに書かれたことは彼の世界の真実なのだということは信じられる気がした。 書評という体裁を取っていることは、私には功を奏しているように思えた。ことの顛末についてそのままのエッセイにされるよりも読みやすかったと思う。 生活や自分の頭の中というものは、実際に本書のようにその時に読んだものや見たものと分かちがたく結びついていて、生活と本は互いに確かに影響を与えるものだと思うからだ。 著者はこの日々に思ったことを書き出しておく必要があったと思うし、残したものがいつか子供に届くこともあるかもしれない。いつか届いて欲しいなと思った。 追記:主人公の職業をAV監督としたことは、私に取っては無駄に不快だった。
妻とのケンカ中に読む。著者をモデルにした小説風、書評風。みんな自分は正しいと思うものなのだ。 (300)
本当に率直で赤裸々。枡野さんは純粋だが、相手の気持ちを想像するのは下手なんだろう。 解説は納得できる部分もあった(速水の送ったメールはありえない。あれは離婚もしたくなるだろう。)が、それでも香もかなりひどいように思った。あとフィクションみたいだけど、女性弁護士が腹立つ。 収録された短歌は心の透明さが...続きを読む伝わるようで、とてもよかった。
「あるきかたがただしくない」と違って、離婚後のことが著者の心情も含め、小説という形を取ってはいるが詳細に書いてある。書評がとってつけた感があって白々しいが案外読んでみたくなった。裁判所によって身に覚えのないDV夫と見なされ、月一回という裁定が決められるところは詳細でよい。
書評と言いながら書評をあまりしていない。 離婚という場面に遭遇した男の苦痛の姿がリアルに描かれている。 不条理さにもがく姿は、解説で、幼稚だと痛烈に批判されるてるけど、そういう風に考えてもがいてしまう時期はすごくあると思う。 法律家たちの冷たい姿もおもしろい。 たしかに法律家の対応って理不尽なと...続きを読むころあるよなー そうなっちゃうのは、仕方ないとこもあるんだけど。 「とにかくだれかに好かれるのは幸せなことだ、それだけはたしかだ」 「そのことを忘れるために今はただ小さいことにくよくよしたい」
一冊を通して、様々な視点から著者の人柄を見つけることの出来る本。 そのことが本人は意図してなさそうに見えるのも面白い。 辛辣な解説も見もの。個人的には全面的に感情移入して読んでいたので、なんだか覆されてしまったような読後感。著者を見る目が、ひいては自分自身を見る目が変わることにもなるような印象を受...続きを読むけた。 それを踏まえてどちら側に立つか、これがこの本を味わうのに必要なことかも知れない。
町山智浩の解説を読んで、ようやく腑に落ちた。この解説を含めてひとつの作品だと思う。印象に残ったのは、解説内で「人間の通過儀礼が弱体化したなか、失恋は例外」という言葉。「思想地図β」での菊池成孔の「無条件に素直に従えるものが、この国には恋愛以外残っていない」という指摘と重なった。
町山さんの解説が読みたくて購入。小説部分を読みながらうっかり主人公に共感してしまい、町山&穂村両氏の解説を読んで、その指摘のもっともさにうなだれた。正しさを振りかざしてしがみつく感じ、自分にもあるなー。主人公が内田春菊を例に出し、そういったタイプの女性を非難するくだりが印象的。私も似たようなことよく...続きを読む考えます。器のちっちゃいやつです。
まず、カテゴライズに悩んだ一冊でした。「書評」としてもよかったのだろうけど、それは何だか違うだろうと。書評という軸を持った私小説だろうと判断したので、私小説としました。 AV監督である主人公が離婚調停中の妻への気持ちと我が子への想いを、調停などの過程に沿って綴ったものです。ひとつひとつのチャプタごと...続きを読むに一冊の本を取り上げて進んでいきます。あくまでフィクションとして。 町山智浩の解説までぜひ読んでほしいです。 ふと思ったことは、穂村弘はモテ、枡野浩一は非モテだということ。 暗い気持ちになるし、離婚のごたごたばっかり文章にしやがって、という気持ちもあって、評価に悩みました。でも、それだと読まなきゃいいだけの話ですし、歌人が自分の心情を文章にせずにどうすんだと思ったので、評価は読んで面白かった分だけつけました。
ああ、もう、どうしようもない、とここまで思わされたのも久し振りである。主人公速水の正しさのベクトルが常に自分に向いているのだ。方向を変えるチャンスは幾度か訪れているというのに。正しさは諸刃の剣であるかもしれない。振りかざすと相手を傷つけ自分をも傷つける。 特別寄稿や解説の素晴らしさもさることながら、...続きを読む速水のすっとんきょうな律儀さに無理やり泣かせられるような一冊。 また、収録されている短歌「夢について」に少し救われる。やっぱりこうでなくっちゃ。
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結婚失格
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枡野浩一
町山智浩
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