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マンモス大学の診療室に勤める春菜、シングルマザーの美里、二人の謎めいた友人の神子。震災の年の夏、「偶然の訃報」でつながった彼女たちの運命が動き始める――。 新聞に載る死。テレビで騒がれる死。どこかでひっそり終わった死。有名人の死。身近な人の死。名も知らぬ遠い国の誰かの死。 そのどれもが身近で、私たちの人生と隣り合わせにある。死を描くことで今を生きることの意味を見出す、著者新境地。
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Posted by ブクログ
一言でいえば、「死を扱った小説」ということになろう。 そのうえで長嶋有らしいなと思ったのは、物語の中で特にクローズアップされているのが「著名人の訃報に触れた(知った)瞬間」「大規模な災害で亡くなった人(とそれを知った瞬間)」というところ。 私たち一般人は、著名人の訃報を、それも、名前だけ知っている...続きを読むといったような人のそれを最初に知った時、何を思うのか。時代を象徴したような人、有名な出来事の渦中だった人、または同じ一般人だけれど、突然の事故でその命を奪われてしまった人など。 簡単に「R.I.P」と「発信」出来るようになったところも時代の大きな変化だし、それを少し皮肉な視点で描いているのもとても共感できた。 もちろん、死は新聞やテレビやスマホなどの「四角い枠」の中だけの出来事ではなくて、私たちにも死は地続きであり、大抵「唐突に」やってくる。 「死」という、もはや唯一とも思える、生物に平等に訪れる出来事をこういう形で描くのは新鮮だと思ったし、自分が様々な年齢になった時に何度も読み返したいと思った。
有名人も含めたあらゆる人の死を扱いながらも、どこか淡々としている、のはまさに私たちの毎日そのものなのかもしれない。センセーショナルな報道だって、一時が過ぎれば過去のただの死。でも、身近な人の死は十分に苦しく、でも日々を生きている。なんだか日々の当たり前を、妙に生々しく突きつけられた気がして、とても不...続きを読む思議な魅力を持った本だと感じた。
読み応えがある。ずるずる惹き込まれる。年によって立場が変わっていって、それも当たり前なんだけど、面白い。
文庫本を買ったので再読。単行本を2回読んでいたので3回目。 現実やフィクションの、さまざまな死と訃報を通じて、、通じて、何を描きたいのかな。 ひとまず文庫の裏にあるような「死を見つめることで、生の大切さを描いた感動作」ではないことは確か。でも、色々な距離感がとても良いです。 全体的には感動しないけど...続きを読む、ちょっとした一つ一つの文に感動、というかしみじみします。 ジョン・レノン、スティーブ・ジョブズから、X JapanのTaiji、声優さん、登場人物の持ってるマックまでいろんな人が亡くなる。 新年早々読む本でもないな、と思いつつも読んでて、で、この本を読んでる1月15日に、高橋幸宏の訃報があって、でも軽々しくRIPなんてとてもツイートできなくなる本だった。 登場人物が妙にオタクというか、アニメとゲームに詳しいのが、少し引っかかったのは、前に読んだ時と変わらず。 そういえば、長嶋有の作品は「愛のようだ」にしろ「佐渡の三人」にしろ今作にしろ、結構死が重要なテーマの作品があります。 なんだか謎めいた存在感でフキンシンちゃんのキャラが出てきます。
東日本大震災の爪痕も生々しい2011年7月~2014年4月までの出来事を春菜、美里、神子の三人を中心に綴られている 実際にあったことをベースに書かれているので、誰かのゴシップや亡くなったことなど…ああ、こういうことあったなと当時を思い返すことが多かった 辛い出来事がどれだけたくさんあっても、それでも...続きを読む日々は続いていくという予感で終わっている所が良い そこにただ生きる人々を真摯に描いている 読み終わったあと、トムラウシ山遭難事故を調べたけど、中々凄惨な内容だった… こんな大規模な遭難事故なのに、全く知らなかった自分にちょっとショックを受けた
事故、自殺、早逝…誰かの不慮の死の報せに触れたとき、人は全く関わりがなく関心もなかったはずの他人の人生に思いを馳せたくなる。 誰もが思い当たるこの心情に踏み込むニッチな語り口。 この小説は、2011年の大震災で多くの生命が失われたことを契機にしている。2024年の元旦、能登でまた大きな地震があり予...続きを読む期せず失われた生命が多くあったことを報じる様子を聴きながら、このレビューを書いている。 巻末に「本作に登場する主な死者と死因」のリストが掲載されている。殆んどは現実に起きた(2014年以前のものだが)有名・無名の人の死ではあるが、明確に憶えているものもあれば、すっかり忘れかけていたものもある。 人は自分の生き方を選ぶことはできても、自分の死に方を選ぶことは難しい。 ましてや自分の死が他者にどのような思いを抱かされるのかなど制御のしようもない。 そんな儚い普遍に改めて気づかされる。 久々に長嶋有を読んだが、登場人物の境遇や心情の機微を拾う視点のユニークさは相変わらず。 そのディテールの綿密さを、書くほうも読むほうも楽しむという面がある。 セガサターンへの偏愛は著者の趣味の反映そのものだと思うし、大学講師・布田や蕗山フキ子の造形なんかはちょっと悪ノリを感じる。
うーむ思ったのと違う。それぞれの思いを同時期に起きた事件に死んだ有名人に絡めながら綴るんだが、先が明るくもないし、感動作の本の紹介文を見て購入したのですが、感動とは違うよ。なんで感動と書いてあるんだろうか、死は確かに悼む気持ち以外にないけど、受け取った登場人物の気持ちが私の気持ちではないですね。佐渡...続きを読むの三人を読んでここに来たんだが、あの流れとも違うし、戸惑いました。フダもゴルフのアイアンで殺されてしまうし、そこで今まで適当に相槌してた表現が理解出来た皮肉な結末。奥田英朗の様な何も可能性のない未来だなあー
変わったお話。 最初、構成についていけず、ついていけても、なんなんかなー、このお話はと思いながら、最後まで読めました。
フィクション(小説)の中にノンフィクションである『死』(有名人であったり)が散りばめられてる。 同じように(?)『死』は私たちの生活の中に突然入り込んできたりと散りばめられてる。 そういう予期しない『死』というものが、心を動かしたり、止めたり、衝撃的であったり、無関心であたったり。 ま、ま、そんな...続きを読む感じに捉えました。 最初は、う〜ん…とは思ったけど、だんだんと世界に入り込んでく感じでした。 終わりもすーーーっとフェイドアウトのような終わり方。 よかったと思います。
有名人の死や、話題になった事件の死に関して、世間話·雑談の中で、話されていく少し変わった話。話のつじつまを考えながら読むと、なかなか進められなくて、やっと読み終えた本。 「死」と聞くととても重いテーマなのか…と思うけれど、この物語は、ドライに話されていて、1つ1つの死が新聞やニュースで取り上げられて...続きを読むいるくらいの軽さで終わってしまう。何が言いたいのか、何となく消化不良な感じは否めない。
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