名著だと目にはしていたけれど…エンタメだろうと高を括っていた頭に鉄槌を受けた。映像作品に落とし込まれたものを一切目にしてこなかった私は「日本沈没をなんとか止める物語」だと、ハリウッド映画的な内容予測をしていたから。
これほどの微に入り細を穿ったシュミレーションが50年もの昔に書かれていたとは。書かれ
...続きを読むた御本人が一番恐ろしかったのではないだろうか。地震が起こるたびに「このあと日本はどうなるか」なんて聞かれても「読んで考えろ」としか答えようがないと思うのだが…
視点がとてもグローバルで、外から見る日本を少し理解できたと思う。
地球内部の動きを、気象に当てはめて説明されるのは驚くとともにとっても面白かった。富士山が吹き飛び、日本が割かれ、没していく描写がリアルすぎて、いつも見ている富士山の方に視線をやるのが怖くなったほど。
溢れ出る昭和感と今は使われない「裏日本」という表現に執筆当時の意識を感じた。良いも悪いもない。当時はそうだったのだから。
日本民族のアジア諸国に対する優越感、豊かになりすぎて自分を見失う若者、官民の意識の差などは今もって横面を張り飛ばされるような鋭い指摘だと思う。
最近の情勢も相まって、脱出する日本人の行く末を、どうしても受難の民族に重ねてしまう。
日本人は民族として子供というのも頷ける。歴史を振り返れば、独立国としての今のあり様は不思議でしかない。多くの人の努力があった事は確かだけれど、綱渡りを幸運でもって渡っているという感覚がある。だけど平生、意識して生きていない。だからそれは守られている子供で間違いない。
民族として安定するには国土が必要。それが物理的に無い。今ある以上感覚として理解できないが、考えるだけで背筋が凍る。絶対に体験したくない。
「第一部完」で終わるとは知らず、驚いた。谷甲州共著の続編を読みたいと思うけれど、辛いものだろうな…
タドコロ先生の熱っ苦しさ嫌いじゃないけど、こんな上司厄介だろうなぁ。オノデラさんは死んじゃうのだろうか…
あぁ…もう日本は無いのだな…