小松左京のレビュー一覧
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怒涛の如く崩壊が進む一方で、きな臭い政府連中の動きが妙にリアルでした。
「今の世界には、ひとつの国を受け入れる力がない」
このセリフを聞いて、ハッとしました。ホームステイとかバカンス程度の旅行ならまだしも、移住となると話は別。
移民の受け入れについて、日本人の半数近くが消極的なことが報道で明らかにされていますが、他方で海外においても同じなんです。結局のところ、外国人が移住してくることに対して、それぞれの文化が寛容になるまで発展していないんです。
ただのディザスターパニック小説かと思ったら、本質に触れやがりました。
小松左京は天才です。
※第5章内で明らかにいらんかった部分がありましたが -
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[岬にて]
一見けだるい、なんてことのない話のような雰囲気が漂ってるが、想像力を刺激されまくった。たんに岬のある場所が南半球だってだけなんだけど、太陽が北にあるっていう描写から、地軸が歪むような大異変があったんじゃないかとか、島が連なっているという風景からは、それが沈んでしまった日本の山脈ではないかと想像したりして。まあ勝手にこっちが想像力を働かせすぎただけなのかもしれないけど、この短編には、静かながらもそうさせるだけのエネルギーがあるのかもしれない。なんか我ながら、えらく思い入れが激しいな。
明快なオチがあるという種類の話ではないし、琴の音色とともに、時間が流れていくような描写はちょっと -
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SFがSFではなくなってきている。
はるか昔に書かれた作品なのに、新型コロナの時を思い出させる。
各国の思惑と疑心暗鬼による、誰も救われない状態。みながみなを思えばこうはならない。信頼がないとこうなるのだろう。
ワクチンに鶏の卵が使われていることを初めて知った。僕らはたくさんの生物の上で成り立っている。
勝手に核を落としたり、勝手に細菌をばら撒いたり、なんと酷いことをするのだろう。
人間に対してだけでなく、あらゆる生物のおかげで僕らは生きていることを考えなければならない。
国同士で争っても仕方ない。しかし、競争があるから発展することもある。今の資本主義経済はそうしてできた。この物質的豊かさ -
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「やぶれかぶれ青春記」。1969年に受験雑誌『蛍雪時代』に連載されたというのだから驚きだ。学生運動が最高潮に達していた頃である(東大の入試も中止になった)。読んだ高校生・浪人生には相当なインパクトがあったかもしれない。
「青春記」には、戦中と戦争直後にかけての、旧制中学から旧制高校のことが赤裸々に綴られている。破天荒、過激な行状、壮絶ともいえる経験。そして教育への不信、国家への不信、政治への不信。あきらめと打たれ強さ。ペシミズムとオプティミズムが交錯する。小松左京の作品の持ち味はこの時にできあがったのかもしれない。中学時代の友人には高島忠夫も登場する。
ところが、この「青春記」には書かれていな -
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スゴイぞ、小松左京。
はるか昔の60年前に書かれた小説なのに全く古臭さを感じない(という感想は、「復活の日」に感じたことと同じだ )
エンタテインメントとして面白いだけではなく、マイノリティに向けられた偏見と差別や弾圧、政治の無能さなど、現在のリアルの世の中への批判としてそのまま成立してしまう。
小松左京が凄いのか、60年経っても進歩していない現実世界がだらしなく無様なのか、はたまたその両方なのか。
その後に執筆された「日本沈没」につながる、「政治的日本沈没」「種族的日本沈没」とも言える作品。
子供の頃SF少年でありながら、なぜか流行りものが嫌いなひねくれ者で、小松左京を読まずにいた自分を -
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「家が呼ぶ」に大興奮して以来、すこしずつ朝宮運河さん編纂のアンソロジーを買い集めている。今作も大興奮!
✂-----以下ネタバレです-----✂
はじめに収録されたタイトルドンピシャの「恐怖」は、短くもラストにドキッとする極上の作品。最初からこの作品…もう期待しかないが、続くは小松左京「骨」。じっくり掘り進められた恐ろしく壮大な情景が、蘇る記憶とともに一気に駆け抜ける大迫力に感動…。
「夏休みのケイカク」「正月女」は現代の割と身近な景色を思い浮かべつつ読み進めていたけど、オチに違ったカラーのダークさがあり面白い。
今回すごく好きだった「ニョラ穴」は、SFチックな作風。日本のこ -
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この本を手に入れたのは今から3年前のコロナ禍だった。ずっと「読まなきゃな」と思いながら、ずっと積読にしていた。今年の3月末ごろに読み始めたが、一気読みしてしまった。
率直な感想は、小松左京、天才か?に尽きる。
細かな設定は本作で詳しく説明されるが、大まかに言えば「バイオハザードのち世界崩壊」。しかし、この物語はもちろんそれに留まらない。未知のウィルスから生き残った人たちの苦悩が希望的観測なしに描かれている。
文明も文化も失われた地球上で、もっとも矮小な生き物となった人類は、誕生の時と同じく、幾重もの奇跡と偶然のお陰で、復活の日を迎える。
小松左京、天才か? -
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ネタバレ名著だと目にはしていたけれど…エンタメだろうと高を括っていた頭に鉄槌を受けた。映像作品に落とし込まれたものを一切目にしてこなかった私は「日本沈没をなんとか止める物語」だと、ハリウッド映画的な内容予測をしていたから。
これほどの微に入り細を穿ったシュミレーションが50年もの昔に書かれていたとは。書かれた御本人が一番恐ろしかったのではないだろうか。地震が起こるたびに「このあと日本はどうなるか」なんて聞かれても「読んで考えろ」としか答えようがないと思うのだが…
視点がとてもグローバルで、外から見る日本を少し理解できたと思う。
地球内部の動きを、気象に当てはめて説明されるのは驚くとともにとっても面白 -
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「日本沈没」小松左京 氏
~自然の脅威と人間心理の深層~
【災害の深刻さと自然の不可解さ】
小松佐京氏の「日本沈没」は、科学の限界と自然災害の深刻な影響を描いた作品です。この小説は、読者に災害時のパニック状態や人間の不合理な行動をリアルに感じさせます。
【1970年代の日本を舞台に】
物語は、1970年代の日本を舞台に展開します。主人公は、潜水艇操縦士です。教授とともに、頻繁する地震災害の原因を探ります。この小説は、島が海に沈むという衝撃的な事象を発端として、地震そして火山の噴火という自然の力に対峙する人間を描写します。人間そして科学の限界は何か?について考えざるをえない物語です。
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