小松左京のレビュー一覧
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ネタバレ小松左京作品をちゃんと読んだのは初めてだと思います。ショートショート「ある生き物の記録」は「誤解」とかいくつか既読の作品があるのでアンソロジーとかで読んだのかもしれません…記憶違いでなければ。
ハードなSFで好みでした。日本を、人を諦めたくない…何度でも戦争や災害の危険を警告する、そんな作品が多かったように感じます。地球や日本が消滅したり、消滅していたりする世界がたくさん。
加えて、自動車の描写が印象的でした。自動車を信用していないのかな。平城京建設のお話も好き。
長編も読みたくなりました。星新一さんのショートショートはSFなのもそうでないのもあるので実写もいけるけど、小松左京さんのショートシ -
購入済み
ドラマをみて
ドラマを見てマンガを読みました。リアルタイムでTVや映画の「日本沈没」を見ていた世代で、このコミックはKindleで初めて手に取りました。スピリッツで連載していたことは知りませんでした。たぶん作者は(少なくともリアルタイムでは)かつての作品を観てはいないでしょうから、もちろん、日本沈没に対する考え方が全く異なることは承知の上でのレビューです。
作者の考え方を否定はしませんが、日本沈没という有名な作品を使用した上で、自分の主義主張や思想を語ることは、面白いか面白くないか以前に、忌むべき行為だと思うので★1つとさせていただきました。作品自体は、絵は上手いと思いますし、全体の構成も良いと思いますが、 -
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SFというより哲学小説、とても興深い作品。作者は渾身の力を込めている。
「岬にて」
孤島の岬で人生の終盤を迎える人々の姿に、宇宙とのつながりを見られるのか。
「ゴルディアスの結び目」
恐ろしいほどねじれてしまった心の闇、その固く複雑な結び目をほどくにはどうするのか、
時間をかけてほどいていくのか、刃物で断ち切ってしまうのか。
そこも宇宙のひとつなら、行ってみるしかない。
「すぺるむ・さぴえんすの冒険」
全地球の人々の生命を犠牲にすれば、絶対一人に授けるという「宇宙とは何かの悟り」
どちらを選ぶのか、するとどうなっていくのか。
「あなろぐ・らう”」
人間に備わっていると思われる「実在意識 -
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「自選恐怖小説集」と銘打たれている。収録作は1963(昭和38)年から1976(昭和51)年に発表された15編。
2011年に亡くなった小松左京さんの本は、1,2冊しか読んでいなかった。良いSF作品で、印象も残っているけれども、何となく多くは読まずに来た。日本のSFを牽引してきた大家である。
「恐怖小説集」とは言っても、明確にホラー小説っぽいのは数編。いやこれはSFだろう、と思われるのが同じくらいに数編。まあ、面白いのでジャンルはどうでも良いのだが。小松さんが得意としたとおぼしいSFパニック的なものもあった。
はっきりとホラーらしい作品の内「秘密(タプ)」は特に印象の強い、衝撃的な短編だっ -
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マントル対流や地殻変動のロジックがどこまでがフィクションなのかわかりづらいところはあるが、次々に発生する地震や火山噴火、津波などによる被害の描写は阪神大震災や東日本大地震を彷彿とさせて痛々しい。
物語が発表された約50年前はネットやSNSもなく、日本を取り巻く各国間のパワーバランスも今とは随分と違っている。日本人を取り巻く環境が大きく変化しているので、同じ題材でもいま執筆したらまったく異なる作品になると思う。そういう意味で、何度も映画化やドラマ化される理由もよくわかる。作者は日本という国を失った後、日本人がどう生きるかを描きたかった、とのことなので、その主題が取り扱われている第二部も読んでみた -
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実は映画化されたとき観てるし、その頃に本の方も読んでいる。でも、ほとんど忘れていたので30年ぶりに。
SFとしての迫力空想が売りなのに、コロナパンデミックの今や切実になってしまってる。ウイルスや細菌などの化学的なことも詳しく描かれてあるのは、前ならちんぷんかんぷんで飛ばし読みしていたと思うが、今、違和感なくよくわかるのがちょっと怖い。当時それだけしっかりし調べあげて書かれたのもすごいと思う。
小説のおもしろさはもちろんだが、作者の述べたかった思索、哲学的な部分も奥深く、メッセージも厚みのある力作。1964年(半世紀以上前だ!)に書かれたとは思えないというか、空想予言力に満ちみちていて、読み -
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最近、何故かあちこちで見かけると思ったら、文庫本が再版されたのですね。
小松左京のデビュー作。若い頃はSFが大好きで、小松左京も良く読んだけど、この本は初読(のはず)です。
「本書が無ければ『日本沈没』は生まれなかった!?」の帯が示す様に、確かに色々と『日本沈没』を思い起こさせるところがあります(と言いつつ、読んだのは30年以上前なので怪しげなものですが)。危機的状況の中で旧弊にしがみつこうとするもの、私利私欲に走る者達と、個人レベルで英雄的に活動する人々。そういうパターンが多い気がします。
しかし危機的状況一つにしても政治や経済、軍事、文化などいろんな面で見せて行き、リアリティーを(嘘か誠か