【感想・ネタバレ】地には平和をのレビュー

あらすじ

あと5時間でこの世界は消滅する――。歴史を正しい方向に戻さなければ! 直木賞候補作となった記念碑的作品。

「あの戦争」で無条件降伏したはずの日本が本土決戦をしている――! 「その年」の10月にはいると、ソ連軍は敦賀に、アメリカ軍は四日市に大上陸作戦を展開した。18歳までの男子で本土防衛特別隊が組織されたが、ほとんどは全滅。いまや、山奥の農村の村民までもが敵に通じている。俺は敵弾をあび、頻死の重傷だ。その時、Tマンと名のる男が現われ、「この世界はまちがっている」と告げた――。時空を超えて日本の歴史の変革を謀る男の見たものとは?! 第50回直木賞候補作となった小松左京初期の傑作。貴重な図版を含む解説も収録。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

小松左京作品をちゃんと読んだのは初めてだと思います。ショートショート「ある生き物の記録」は「誤解」とかいくつか既読の作品があるのでアンソロジーとかで読んだのかもしれません…記憶違いでなければ。
ハードなSFで好みでした。日本を、人を諦めたくない…何度でも戦争や災害の危険を警告する、そんな作品が多かったように感じます。地球や日本が消滅したり、消滅していたりする世界がたくさん。
加えて、自動車の描写が印象的でした。自動車を信用していないのかな。平城京建設のお話も好き。
長編も読みたくなりました。星新一さんのショートショートはSFなのもそうでないのもあるので実写もいけるけど、小松左京さんのショートショートはSF色が強いのでアニメの方が合うのかも。GAINAX制作のアニメも観たいです。

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2022年08月13日

Posted by ブクログ

先生に勧められて、小松左京さんの本を初めて読んだ。短編集ということもあるかもだけれど、ちょっと内容の詰めた星新一さんみたい。

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2022年05月10日

Posted by ブクログ

小松左京は「日本沈没」や「復活の日」などの長編が有名だけど、中編や短編の方が面白いと思う。
小松左京の文庫本が本屋の書棚に並ばなくなって久しいが、
この人の作品が日常的に当たり前に手に取れないのが、残念でならない。

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2021年01月17日

Posted by ブクログ

時間移動、タイムスリップ系のSFの大家、小松左京のここから始まった、
「もし、あのまま戦っていたら、太平洋戦争で日本が降伏せず戦い続けたら、どうなっていたか?」という作品。

なるほど、夢想するだにむごく厳しいことだ。

わたしは4歳だったから知らなかったけど、後から母に聞いたところによると、「こうなったら、家族四人で死ななければならない」といったとか。父34歳母26歳、普通の勤め人、疎開して田舎の辺鄙なところに住んでいたのだが。

まして、中学生だった作者、柔らかい頭の中に埋め込まれた気持ちの持っていきどころがなかっただろう。

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2024年08月11日

Posted by ブクログ

初期作品群を改めて読むと、多くの小松左京さんの作品の根底には、戦時の暮らしの体験が色濃く込められている。もう少し年齢が進んだら、自分も戦場に出て死ぬのだと思って暮らしていた10代。それが突然肩透かしに終わり、手のひらを返した様な世の中がやってくる体験。

いま、読んでよかった。

後半の短編集は、こんなに星新一ばりの作品も多かったのかと再発見した気持ちになりました。

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2023年12月22日

Posted by ブクログ

小松左京のSF小説である。

戦争の苦しい経験をした著者からの、現代に対する風刺が利いているが、当然ながらSFであるので、論理の飛躍がみられる。

後半に短編小説がいくつも乗っているが、これだけ短い文章の中にも大きく視点を変える試みがされており、面白かった。

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2019年10月08日

Posted by ブクログ

本作のような風刺が失われている現代。切れ味鋭い風刺は、鮮やかに世相を映し出し、人々に気付きをもたらす。薄っぺらな情報に溺れ、権力と資本に流されていては、地についた平和を手に入れることは決して叶わない。

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2019年09月03日

Posted by ブクログ

「100分de名著」の小松左京スペシャルの第一回テーマ。
初の小松作品で、SFは馴染まないことが多かったが、短編だし初心者の自分には良かった。
表題作は、戦争体験の描写がなかなかに生々しく陰鬱で、自分たちの生活がその時代の後に紛れもなく続いているのを再認識した。もしも、の掛け違いがあったなら、まだあの世が継続していたかもの想像は、何より恐ろしい。

他は、コップ一杯の戦争がシニカルで好き。
あれくらいの気軽さで、世界が崩壊に向かったとしても今の世界ならあり得るかも。ゾッとする。

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2019年07月20日

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