小松左京のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「お召し」だ、とすぐにわかった。
巻末にもそのことが書いてあるが、小松左京の「お召し」と違うのは、本作での年齢ラインが18才であることと、両方の世界が描かれていることである。
「お召し」の方は、混乱のあとの「明日はお召しの日だ」という少年の静かな思いが印象的なのだが、本作はもちろん、まったく違うテイストで、オープニングはとても「萩尾望都的」である。ここからどういう世界が展開されていくのかとても楽しみである。
本当に、「平穏無事な日常生活を送って行くこと」って実はとてもむずかしくて、危うい均衡の上にかろうじて成立しているものなんだよなあと思う。 -
Posted by ブクログ
なんかの小説で「SFは難しい」と書かれてて、そのときはよく分からなかったのですが…ああそういうことね、と骨身にしみて理解させられた一作。
製作当時、やっとこさっとこ一般化したくらいのプレートテクトニクスを理解しきった上で、その上にフィクション的な設定を載せてきてる。フィクション設定を載せる前の背景が正確・緻密であるが故に、フィクションであるにも関わらずどこまでがホントでどこからがフィクションかが分からなくなる、そんな一作。
製作当時は「SF」であった部分の一部が、40年の年月を経て「現実の科学的モデル」となっているところもあり、さらに読みとくのが難しくなっている一冊。
こんな本も含めて乱読し消化するのが「文芸趣味」の人で、それを消化しきって新たなものを作り出すのが「文学者」なのか、といろんな意味で思い知らされた一冊でした。 -
Posted by ブクログ
近年読んだアンソロの中で一番面白かったです。質が違うなと思いました。ついこの前読んだホラーアンソロを藁とした時、こちらは完全に煉瓦。造りが頑丈すぎて我々は煙突からしか入れない。が、その唯一の入口さえ地獄へ直通ですからね。まったく、感謝して落ちていきたいですね。
特に素晴らしかったのは初っ端わずか8ページほどの恐怖、どこか童話みのある骨、妙にリアルな正月女、それから大トリの人獣細工ですよね。頭抱えました、読後。こんな詰め込まんとってくれよ。俺をどうしたいねん。ほんまありがとうな。
最近のホラーがことごとく好みじゃない俺には、こういうのはもう刺さりすぎて息ができないですね。穴だらけになった心を取り出して見せてあげたいぐらいです。あまりに鋭利。真の名作は劣化しないということを、この傷をもって証明したいぐらいです。