小松左京のレビュー一覧
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「虚無回廊」のような頭がぐらぐらするような壮大なビジョンはないけど、このスピード感は気に入った。それにしても、小松左京がこういうエンターテイメントに徹した作品を書いていたというのは、ちょっと意外。もっとも俺が読み始めた頃には、もう大作ばっかりになってたからしかたないのかもしれないけど。アイディア自体は平凡な部類に入るんだろうけど、ストーリーテラーとしての小松左京の実力が発揮されたというところかな。SFとしては、「果てしなき」の方がこれよりすごいけど、勢いはこっちの勝ちだな。
エスパーによるスパイ戦から始まったときには、最後の敵はちょっと予想つかなかった。結構強引だよなあ。ちょっと説教臭くなる -
Posted by ブクログ
01
絶望と悲観の書のように見える.世界は数度にわたり破滅する.最終的な復活には,創世記やキリストの復活のニュアンスがないわけではなく,終末論や黙示録といった全体の捉え方もできるのだろう.
それにしても科学や社会は,痛く批判にさらされているように感じる.また巨視的に地球の活動を眺めた時,人類の破滅は必然であるようにも思えてくる.
最初と最後には現れている日本人(02),吉住という人物がいる.彼が日本だけでなく世界の廃墟を観察する.彼は南極で時間すら凍結したような世界から飛び出し,解体され解凍されたような世界を目にするが,そこには浦島太郎のようなプロットがないわけでもない.
02
日本だけが滅 -
Posted by ブクログ
1973年に発表され、社会現象ともなった小松左京(1931~2011年)氏の『日本沈没』の続編で、2006年に小松左京氏と谷甲州(1951年~)氏の共著(執筆は谷氏)として刊行された。「続」ではなく「第二部」とされているのは、小松氏にはもともと、難民となって世界中に散っていった日本人の行く末を描く第二部の構想があったためで、小松氏と氏を慕う若手SF作家(谷氏や森下一仁氏)を中心に執筆プロジェクトが立ち上げられ、老齢であった小松氏の代わりに谷氏が執筆を担当したものである。
舞台は、日本が沈没した25年後の世界で、日本人は、ニューギニアやカザフスタンなど世界各地に散らばり、難民として様々なコミュニ