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Posted by ブクログ
怒涛の如く崩壊が進む一方で、きな臭い政府連中の動きが妙にリアルでした。
「今の世界には、ひとつの国を受け入れる力がない」
このセリフを聞いて、ハッとしました。ホームステイとかバカンス程度の旅行ならまだしも、移住となると話は別。
移民の受け入れについて、日本人の半数近くが消極的なことが報道で明らかにされていますが、他方で海外においても同じなんです。結局のところ、外国人が移住してくることに対して、それぞれの文化が寛容になるまで発展していないんです。
ただのディザスターパニック小説かと思ったら、本質に触れやがりました。
小松左京は天才です。
※第5章内で明らかにいらんかった部分がありましたが、それもまた一興。
Posted by ブクログ
地殻変動により日本列島で地震や火山の噴火が相次ぎ、最後には海面下に沈没してしまうというシナリオに突き進んでいく。
・不確定な未来に向き合うリーダーシップ
・社会情勢に興味を持たず、日常の延長が続くと信じたい心理
・国が何とかしてくれるだろうという無知な人達の環境依存
・有事の際における優先順位(命の選択)
・単一民族国家
これらの要素は、コロナ禍&地政学リスクが向上している
現代にも当てはめて考えることができる。
「他国の侵略を受けにくい」「島国の閉鎖的で自己完結するマーケット」
という歴史的に恵まれた環境に身を置いてきた日本人たちが、
日本沈没により海外へ集団意味を余儀なくされ、将来どうなっていくのか
とても興味がある。日本沈没第2部の続編も楽しみである。
Posted by ブクログ
日本という島が沈む時、「日本」は消え去ってしまうのか。この作品を通して、歴史や文化という側面から改めて日本を見つめ直したと思う。
私はこの作品は地震という自然災害をテーマにした科学ドラマのように思えるが、この作品が描くのは、日本人の内面に焦点を当てた、文化的要素が強いと思う。
科学的根拠に基づいて描き出される地震のリアリティはもちろん圧倒されるが、それ以上に主人公を含めた様々日本人の心が生み出す描写に、自分自身の心境を重ねてみたくなる。
・もし、日本が沈むとしたら、あなたはどうしますか?
作品を通して、骨格にあるのは、この問いかけなのではないか、と私は思う。
Posted by ブクログ
1973(昭和48)年刊。
何度も映画化・テレビドラマ化・劇画化され頗る有名な作品。小松左京さんの本は数冊読んだこともあって嫌いな作家ではなかったが、これは初めて読んだ。
私はいわゆるパニック映画が好きで、「ポセイドン・アドベンチャー」「タワーリング・インフェルノ」新しいものでは「デイ・アフター・トゥモロウ」など、何度も観た。建物等が大がかりに破壊され、大勢の人びとが叫び、逃げまどうの様子、そのカタストロフに一種の痛快さを感じてしまう。
小松左京さんは群衆が驚き逃げまどうようなパニックものが得意であったようだが、本作はまさにこの路線の究極のものである。なにしろ一国が消滅するというレベルの大災厄なのだから、その破壊のスケールは凄まじい。
読み始めると最初の第1章は海洋探査に関わる馴染みのない用語に惑わされ、あまり面白くもないように感じたが、日本列島の破局の兆候がいよいよ濃厚になってくるにつれどんどん面白く、手に汗握るように読んだ。上巻の終わりの方で第二次関東大震災と称される東京の大地震が生々しく描写されるに及んで、痺れるような興奮を覚えた。
現在を舞台としたSFでは、いや、人物が多く登場し写実を基本とする小説は全部そうだろうが、「シミュレーション」の展開が書くことの核心となる。その想像が生み出す像がリアルさを持って読む者に迫る時、小説は傑出したものと受け止められるだろう。
小松さんはSF作家だからもともとそういうことが得意であったのだろうが、きっとこれを書くためにもの凄い量の資料を読み込み、多数の取材を経たに違いない。そうした作家の凄まじいほどの努力が窺われ、全く敬服するほかない。地球科学から政治・社会、あらゆる知識が総動員され、壮大なシミュレーションが繰り広げられ、そこには胸をうつ迫力が醸し出される。その上、自然とともに生きてきたという「日本人」の心性への深い了解も語られ、作品は更に奥行きを深める。
本作の中で打ち出されるマントル対流の科学的理論はもうかなり古いだろうし、国内随所を大地震が襲う中で(東日本大震災で我々が目撃したような)原子力発電所が引き起こす深刻極まりない二次災害の要素が出てこないことなど、現在の知見からはやはり「古さ」が見受けられるものの、読んでいてそれが気になるということは無かった。圧倒的なシミュレーションのメカニズムが小説ストリームを強靱に生成するので、我々は唖然としながら読むばかりである。
「芸術ではない」と断じる人が大半だろうけれども、シミュレーションという近代小説の定石を極度に延長した迫真のリアリティを示すことにおいて、これは実に見事な作品だと私は考える。日本文学史に本作のタイトルが刻まれてあっても何の不思議もないと私は思う。
Posted by ブクログ
今またテレビドラマもやっている名作を読みました。
1973年の作品ですが、その後の阪神淡路大震災、東日本大震災を予知したかのような地震の描写がとても生々しく感じられます。プレートテクトニクス理論をもとにした日本沈没の理屈もリアルに感じられて怖くなります。また、島国の中で長い歴史を保ち、独自の文化を形成してきた日本人が、国を失い、難民となり、そしてその先に待ち受ける苦難を予感させるストーリーにはハッとさせられました。日本にいると、ユダヤの人々の歴史や、世界各地の難民の問題は、遠い世界の出来事に感じてしまいがちですが、こういうストーリーで語られると、難民となることの恐ろしさをゾクっと疑似体験した気分になります。さすがの名作です。
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