小松左京のレビュー一覧
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小松左京氏のといえば、日本SF界の巨匠、ベストセラー作家とか知の巨人とか称される。その小松氏がまだ若かりし頃のお話。
この本の前半は、蛍雪時代に掲載された「やぶれかぶれ青春期」。旧制中学、旧制高校、そして新制大学の学生時代を振りかえっている。連載当時は、戦争体験者というか実際に戦場に赴いた人も多かった時代。ホントーに貴重な話が載っている。あと小松氏のご子息の一文『「青春記」に書かれなかったこと』は必読。
後半の「大阪万博奮闘記」も、これまた貴重な話が載っている。小松氏のか「限りない知性」とでもいうべきものが見てとれる。もとネタのひとつ「万国博覧会資料」は、現物が確認できていないとの -
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今を見透かされているような
専門的な話の部分は難しいですが、続きが気になってなかなか途中でやめられませんでした。
今の世の中を見透かされているような描写があり、ドキッとしました。
この半世紀前の話を今に合わせて書きなおしたら、どんな感じになるかな… -
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小松左京『日本沈没(下)』角川文庫。
下巻。瀕死の日本に残された時間は僅か10カ月。田所博士の最悪のシナリオに従い、日本政府が動き出すが……
何十年か振りで読み返すと、改めて違うことが見えてくる。本作では自然の猛威による天災の恐怖が描かれると同時に日本政府の危機管理のあり方も描かれている。
世界をパンデミックの渦に巻き込んでいる新型コロナウイルス感染症では日本政府の危機管理の甘さ、未熟さを露呈した。さらに困ったのは日本政府が国民の命や安全よりインバウンドによる経済効果と東京オリンピック開催を選択したことだ。
こうした脅威を前にした時、瞬時に何を最優先にし、何をすべきか決断することが危機 -
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小松左京『日本沈没(上)』角川文庫。
何十年か前にノベルズ版で既読。言わずと知れた災害シミュレーション小説の大傑作。1973年の作品。高度経済成長期の浮かれる日本人に日本沈没という予想だにしない天変地異の可能性を提示したことはエポックメイキングなことだった。
伊豆諸島の小島が一夜にして海中に沈んだことを受け、深海潜水艇の操艇者・小野寺俊夫は急遽現地調査にあたる。相次ぐ火山の噴火と頻発する地震。やがて、小野寺は地球物理学の権威・田所博士と共に日本海溝で起きている深刻な事態に気付く。
そして、ついに起きた第二次関東大震災は悲劇への序章に過ぎなかった……
描かれる描写は阪神淡路大震災や東日本 -
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ネタバレSFの魅力は数あれど、私にとって「理屈の通ったホラ話」が第一だ。小学生の頃、アシモフ『われはロボット』所収「堂々めぐり」を児童向けにリライトした話に熱狂したものである。
『虚無回廊』、まずSS(スーパーストラクチャー)の大風呂敷の広げっぷりに圧倒される。地球から5.8光年。この微妙な距離感はどうだ。そこへ到達するためのAE(人工実存)の開発。
AEひとりでは間が保たないので、VP6人を設定。唯一の女性はベアトリス。ダンテの恋人ベアトリーチェ。あれ? ベアトリーチェはアンジェラEの役回りなのでは?
瀬名秀明によって続編が書かれているのを知った。大先輩の広げた大風呂敷を、どう畳んでくれるの -
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ネタバレ第二部はあまり評判が良くないようであったが、私は非常に楽しめた。
ただ、第一部では小野寺と阿部玲子との関係性や、「異変」を前に各個人がどのような思惑で動くかといった個人レベルでの感情の動きがよく見えて面白かったが、第二部では政治的な駆け引きや「異変」後の世界情勢等の描写が多く、それでいてページ量は第一部と同じ程度のため、個人の感情の動きや思惑があまり見えづらかったのが残念だった。特に小野寺が25年の間、どのように生活してきたかの描写が少ないため、阿部玲子と再開した際のp375「無にしてしまうには、この26年間は重すぎる」の重たさが伝わったこなかったのがもう一つ物足りなかったように思う。
ただし -
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夜更かしの布団の中
私がこの物語を初めて読んだのは、小学五年生頃。部屋の明かりを消した夜の布団の中で、小さな懐中電灯の光を頼りに読みました。親には夜更かしの読書が内緒だったからです。
それ故か想像の翼が高く羽ばたきました。目、耳などの五感が主人公と共に小松左京さんの言葉(日本語)の世界へ誘われたのです。
とてもハラハラドキドキしました。手の平に汗をかきながらページを繰ました。
なんて不思議な話だろう。なんて素敵な話だろう。
この物語は以来、私の目や想いを空(宇宙)へ向けさせ続け、身近な風景や地球の見果てぬ場所へ向けさせています。
この素晴らしい物語がたくさんの人に読まれると良いな! -
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超有名作品をとうとう手に取った。いわずと知れた日本列島大災害スペシャル。
昔から読まねばならないとおもいつつ、ここまで引っ張った理由はなんだったか?じゃ、どうして読んだのか?
引っ張った理由は、昔のSFで、今から読むと昔の物語みたいに思っちゃうのではないかと思い込んでいたこと。だって私が子供のころから父の書棚にありましたから。
読んだ理由は、そんなにくっきりはしていないのだけど、名作にはふれておかねばと思ったこと。これまた失礼な話だが、藤沢周平とか読まなきゃ読まなきゃと思っても読んでいなかった小説が、やっぱり面白かったなと。『日本沈没』が歴史小説というつもりは決してありません。
それで、 -
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小松左京『日本SF傑作選2 小松左京 神への長い道/継ぐのは誰か? 』ハヤカワ文庫。
現代日本SF誕生60周年記念シリーズの第2弾。小松左京のSF中短編と長編傑作8篇を収録。
いずれも既読作品であり、読み返したのは何十年ぶりだろうか。昔は早川文庫をはじめ、角川文庫、集英社文庫などで手軽に小松左京の作品を楽しむことが出来た良い時代だった。作品については今さら語るまでもなく、SFの王道といった面白い作品ばかりであり、恐らく数多くの小松左京作品からのセレクトには大分悩んだことだろう。
中短編『地には平和を』『時の顔』『紙か髪か』『御先祖様万歳』『お召し』『物体O』『神への長い道』に、長編『継ぐ