小松左京のレビュー一覧
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ネタバレさすがだなあというのが、まず第一。ホラーというより、SFだったり民俗学っぽかったり。
読み終えた感じは柳田国男の遠野物語と近かったです。
くだんのははが読みたくて購入したのですが、印象に残ったのは、その他のお話でした。
ここでいくつか挙げようかと思いましたが、あれもこれもとなってとりとめなくなりそうなのでやめておきます。
一篇一編が長編にしてもさしつかえないのでは?と思えるほど重厚で、通勤時間にサクッと読むには疲れました。
すぐそこ 道迷い
まめつま 赤ちゃんが泣く時は米をまく
くだんのはは 予言する怪物とその継承
秘密〈タプ〉 人を食べた秘密を共有する
影が重なる時 未来のスーパーノヴァで -
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ネタバレ角川ホラー文庫ベストセレクションの第二弾。今回も8名の作家の8作品だった。特に印象に残ったのは以下の3作品。
「骨」小松左京
なにかに突き動かされるように庭を掘り続ける主人公の姿が最後に悲しみを誘った。何かを思い出しかけているという描写がよかった。
「或るはぐれ者の死」平山夢明
こんなにも悲しい話だとは思わなかった。自分だけでも死者を埋葬しようとしたその清らかな心は悪意に踏み躙られる。
「人獣細工」小林泰三
この作品が最も衝撃だった。自分と父の秘密を探らずにはいられない、そのはやる気持ちが痛いほど伝わってくる。凄まじいラストだった。 -
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ついに読み切った。
上巻に比べ、地政学的な話や現場の臨場感を伝える描写がリアルでだいぶ、引き込まれた。
特に印象に残っているシーンが、小野寺の奥さんのシーンだった。
なんども作中で語られてるが、日本という国、自分たちの国を失った日本人の末路を考えると、本当に恐ろしい。流浪に流浪を重ねたユダヤ人の気持ちが少しわかる気がした。
たとえ、外国に住んだとしても、帰る場所というのがあるのは、そうとうな心の支えになると思う。
作中でも、日本列島を竜や母親の様に擬人化していたが、まさに母なる大地だという事を感じた。
また、作者のあとがきにあった本作を書いた動機で、太平洋戦争後の、弛緩した日本人への警鐘。 -
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なぜこの本を予約したのかさっぱり思い出せません。ともかく読んでしまう。
1993年角川ホラー文庫創設。そこから30年あまりの作品の中から精選収録のアンソロジー。
竹本建治「恐怖」1983
小松左京「骨」1972
SFっぽさあり
宇佐美まこと「夏休みの計画」2017
新しいなって思う
坂東眞砂子「正月女」1994
女の嫉妬の怖さ
恒川光太郎「ニョラ穴」2013
平山夢明「或るはぐれ者の死」2007
都会の隅で見過ごされる悲しさ
服部まゆみ「雛」1994
雛人形の怖さと女の情念の怖さのダブル
小林泰三「人獣細工」1997
ありえなくもない豚と人間の相互移植
坂東さんの正月女は、言い伝 -
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小松左京文学忌 1931.1.28〜2011.7.26
沈没忌 良い文学忌名だあ。
日本沈没!復活の日‼︎ 名作多いです。
「日本以外全部沈没」は、筒井康隆氏です。大丈夫なのこれ?と心配してましたが、小松左京氏の許可は取っていたそうです。日本以外が沈没して、日本がぎゅうぎゅうになっていく話ですよ。
厳選恐怖小説集。短編16編。都市伝説「牛の首」を活字で読みたくて、今回はこの作品集を。
ほんと、この話を知ってしまうと生命の危機が。誰も知らないほどの恐ろしさです。誰も知らない実体のない恐怖ですね。
他は、文豪ホラーというより、世にも奇妙な物語風昭和的な怪談。
「安置所の碁打ち」
心臓が止まっ -
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ネタバレ“恐ろしくてとても口には出来ない”伝説の怪談「牛の首」他、恐怖と幻想の色濃い15編を収録。
「SFならあらゆる表現が可能」と考えていた著者とあってか、宇宙が舞台の「十一人」「飢えた宇宙」は勿論のこと、収録作の殆んどがSF色が強い。他作家の作品、特に昨今なら現象だけを描写して説明を加えないような不条理な展開でも何かしらの説明なり解釈を加える(但しそれらもトンデモ系なのだが)のもこの作家の味というところか。ちょくちょく艶系な描写が混じってくるのは、収録作が執筆された昭和40年代頃、この手のSF系小説(&発表媒体)の主な読者層が成人男性だったが故の読者サービス、なのかな。
◆印象に残った作品 -
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小松左京の自選恐怖小説集。
小松と言えば昭和のSFを牽引した1人。ではSFと恐怖小説の接点とは何かというところだが、著者自身による「あとがき」に、「近代SFはそのスタートのときから、伝統的なホラーをモダンホラーに仕立て上げるというひとつの伝統を持って」いたとある。なるほど、そうした側面はあったのかもしれない。
本書収録は全15編。
そこここで、どことなくSF的な印象を受ける。特にSFを思わせるのは、「影が重なる時」「召集令状」「蟻の園」「骨」あたりだろうか。
冒頭の「すぐそこ」は、<近くて遠きは田舎の道>といった話に、安部公房の「砂の女」を思い出させる不条理も滲ませている。
古代史や神話・異