小松左京のレビュー一覧

  • 霧が晴れた時 自選恐怖小説集

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    ネタバレ

    さすがだなあというのが、まず第一。ホラーというより、SFだったり民俗学っぽかったり。
    読み終えた感じは柳田国男の遠野物語と近かったです。
    くだんのははが読みたくて購入したのですが、印象に残ったのは、その他のお話でした。
    ここでいくつか挙げようかと思いましたが、あれもこれもとなってとりとめなくなりそうなのでやめておきます。
    一篇一編が長編にしてもさしつかえないのでは?と思えるほど重厚で、通勤時間にサクッと読むには疲れました。

    すぐそこ 道迷い
    まめつま 赤ちゃんが泣く時は米をまく
    くだんのはは 予言する怪物とその継承
    秘密〈タプ〉 人を食べた秘密を共有する
    影が重なる時 未来のスーパーノヴァで

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    2025年09月28日
  • 恐怖 角川ホラー文庫ベストセレクション

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    ネタバレ

    角川ホラー文庫ベストセレクションの第二弾。今回も8名の作家の8作品だった。特に印象に残ったのは以下の3作品。
    「骨」小松左京
    なにかに突き動かされるように庭を掘り続ける主人公の姿が最後に悲しみを誘った。何かを思い出しかけているという描写がよかった。
    「或るはぐれ者の死」平山夢明
    こんなにも悲しい話だとは思わなかった。自分だけでも死者を埋葬しようとしたその清らかな心は悪意に踏み躙られる。
    「人獣細工」小林泰三
    この作品が最も衝撃だった。自分と父の秘密を探らずにはいられない、そのはやる気持ちが痛いほど伝わってくる。凄まじいラストだった。

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    2025年05月23日
  • 日本沈没2020

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    ライトノベルだと思って読み始めたら、結構重たくて衝撃的な場面もあった。2020年らしい展開やまとめは納得できますが、やっぱり後味が今一つだった。

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    2025年04月05日
  • 厳選恐怖小説集 牛の首

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    さっぱりとしていて読みやすい話が多かった。妖怪とか怪物とか意外と人間以外ホラーが多めだけれどSF感は少なめ。ショートのほうが個人的には好みだった。

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    2025年03月25日
  • 厳選恐怖小説集 牛の首

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    恐怖小説集とあるけど、SF感が強めな気がする。
    ホラー色が強くはじまったのに途中からSF色が強くなる話が多くて、私はそういう展開はあまりハマらなかった。

    一番怖いなぁと思ったのは「生きている穴」。
    宇宙のような底がなく暗くてだだっ広い場所というのを想像すると私は怖くなるタイプなので、読んでて一番ゾワゾワした。

    「牛の首」は有名な話だけど、改めて読めてよかった。
    掌編なのであっという間に読める。

    一番私好みだったのは「沼」。
    読後とにかく嫌な気持ちになる。

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    2025年03月06日
  • 日本沈没(下)

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    パニック部分を目当てで読み始めたら思った以上にそれ以外の方から攻めてくるストーリーだった。けど、これを読んだ後だと日常の景色を見る目が変わるなと思った。

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    2024年12月08日
  • 日本沈没(下)

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    ついに読み切った。
    上巻に比べ、地政学的な話や現場の臨場感を伝える描写がリアルでだいぶ、引き込まれた。
    特に印象に残っているシーンが、小野寺の奥さんのシーンだった。

    なんども作中で語られてるが、日本という国、自分たちの国を失った日本人の末路を考えると、本当に恐ろしい。流浪に流浪を重ねたユダヤ人の気持ちが少しわかる気がした。
    たとえ、外国に住んだとしても、帰る場所というのがあるのは、そうとうな心の支えになると思う。
    作中でも、日本列島を竜や母親の様に擬人化していたが、まさに母なる大地だという事を感じた。

    また、作者のあとがきにあった本作を書いた動機で、太平洋戦争後の、弛緩した日本人への警鐘。

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    2024年09月16日
  • 日本沈没(上)

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    まずこの作品が50年前の作品という事に驚かされる。全然、時代を感じさせない。。。

    専門用語が多く、ほとんど科学的な部分は理解できてないが、そんなの関係なしに、後半の災害発生からの描写で一気に作品に引き込まれる。

    やはり、3.11の地震もそうだし、南海トラフの不安からも本作は、令和の今にこそ読むべき作品なのかもしれない。

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    2024年09月09日
  • 小松左京“21世紀”セレクション2 闇の中の子供/ゴルディアスの結び目 【分断と社会規範・心理の変化】編

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    科学的、歴史的な説明部分は読み流してしまいましたが
    皮肉が効いていて読み応えのある話が多かったです。
    しかも、1960年代、70年代に書かれたものが多い中で現代社会の課題とマッチしているのに驚かされます。

    しかし、そんなに前から課題を予測できている人がいたのなら、もっと早く対策できたのでは…と思う気持ちも捨てきれません。

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    2024年08月28日
  • 地には平和を

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    時間移動、タイムスリップ系のSFの大家、小松左京のここから始まった、
    「もし、あのまま戦っていたら、太平洋戦争で日本が降伏せず戦い続けたら、どうなっていたか?」という作品。

    なるほど、夢想するだにむごく厳しいことだ。

    わたしは4歳だったから知らなかったけど、後から母に聞いたところによると、「こうなったら、家族四人で死ななければならない」といったとか。父34歳母26歳、普通の勤め人、疎開して田舎の辺鄙なところに住んでいたのだが。

    まして、中学生だった作者、柔らかい頭の中に埋め込まれた気持ちの持っていきどころがなかっただろう。

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    2024年08月11日
  • 復活の日

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    ★3.5かなぁ。
    惜しい、惜しすぎる。というか日本の作家ではここまでなのかなぁ。これだけの大きいスケールとそれを裏打ちする教養は明白なのに、大法螺が決定的に足りない。
    読み進めていくうちに、この残りのページだけでいける?と思っていたら、案の定というか、悪い予感が当たったというか。
    やはりエンターテイメントでアメリカには勝てないということでしょうか、残念無念です。

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    2024年06月18日
  • 恐怖 角川ホラー文庫ベストセレクション

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    なぜこの本を予約したのかさっぱり思い出せません。ともかく読んでしまう。
    1993年角川ホラー文庫創設。そこから30年あまりの作品の中から精選収録のアンソロジー。
    竹本建治「恐怖」1983
    小松左京「骨」1972
     SFっぽさあり
    宇佐美まこと「夏休みの計画」2017
     新しいなって思う
    坂東眞砂子「正月女」1994
     女の嫉妬の怖さ
    恒川光太郎「ニョラ穴」2013
    平山夢明「或るはぐれ者の死」2007
     都会の隅で見過ごされる悲しさ
    服部まゆみ「雛」1994
     雛人形の怖さと女の情念の怖さのダブル
    小林泰三「人獣細工」1997
     ありえなくもない豚と人間の相互移植

    坂東さんの正月女は、言い伝

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    2024年02月21日
  • 日本沈没(下)

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    沈みゆく日本を頭に思い浮かべ
    あぁ私は日本が好きだなと
    そんな事を思いながら本を閉じる。

    このような事がいつ起きるか分からない恐怖と
    そうなった時に守るべきものを自分は守れるのか
    読み終わってからも暫く色々と考えてしまった。

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    2024年01月18日
  • 地には平和を

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    初期作品群を改めて読むと、多くの小松左京さんの作品の根底には、戦時の暮らしの体験が色濃く込められている。もう少し年齢が進んだら、自分も戦場に出て死ぬのだと思って暮らしていた10代。それが突然肩透かしに終わり、手のひらを返した様な世の中がやってくる体験。

    いま、読んでよかった。

    後半の短編集は、こんなに星新一ばりの作品も多かったのかと再発見した気持ちになりました。

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    2023年12月22日
  • 日本沈没(上)

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    読んでも読んでも終わらない。とにかく長い。また、話が専門的すぎて難しい。何度も読むのを諦めかけた。が、気づくと話の続きが気になって読んでしまう。下巻を読むのが楽しみ。

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    2023年10月09日
  • 厳選恐怖小説集 牛の首

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    小松左京文学忌 1931.1.28〜2011.7.26
    沈没忌 良い文学忌名だあ。
    日本沈没!復活の日‼︎ 名作多いです。
    「日本以外全部沈没」は、筒井康隆氏です。大丈夫なのこれ?と心配してましたが、小松左京氏の許可は取っていたそうです。日本以外が沈没して、日本がぎゅうぎゅうになっていく話ですよ。

    厳選恐怖小説集。短編16編。都市伝説「牛の首」を活字で読みたくて、今回はこの作品集を。
    ほんと、この話を知ってしまうと生命の危機が。誰も知らないほどの恐ろしさです。誰も知らない実体のない恐怖ですね。

    他は、文豪ホラーというより、世にも奇妙な物語風昭和的な怪談。

    「安置所の碁打ち」
    心臓が止まっ

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    2023年07月26日
  • 厳選恐怖小説集 牛の首

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    小松左京のホラー短編集。表題作の「牛の首」は名作というが僕には疑問だった。「安置所の碁打ち」は生きているということと死ぬということを考えさせられる。「十一人」「飢えた宇宙」は宇宙を舞台にしたSF色の強い読み物。「猫の首」「黒いクレジットカード」「空飛ぶ窓」「ハイネックの女」はそれぞれ毛色の違う現代ホラーに風刺を差し込んだようなストーリーで良かった。空間の捉え方がSF的で小松左京らしいと思う。

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    2023年04月24日
  • 厳選恐怖小説集 牛の首

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    ネタバレ

    “恐ろしくてとても口には出来ない”伝説の怪談「牛の首」他、恐怖と幻想の色濃い15編を収録。
    「SFならあらゆる表現が可能」と考えていた著者とあってか、宇宙が舞台の「十一人」「飢えた宇宙」は勿論のこと、収録作の殆んどがSF色が強い。他作家の作品、特に昨今なら現象だけを描写して説明を加えないような不条理な展開でも何かしらの説明なり解釈を加える(但しそれらもトンデモ系なのだが)のもこの作家の味というところか。ちょくちょく艶系な描写が混じってくるのは、収録作が執筆された昭和40年代頃、この手のSF系小説(&発表媒体)の主な読者層が成人男性だったが故の読者サービス、なのかな。
    ◆印象に残った作品

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    2023年03月31日
  • 猫は神さまの贈り物〈小説編〉

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    ネタバレ

     「猫は神さまの贈りもの」、全くそうだと思います(^-^)9人の作家の猫短編小説・詩アンソロジーです。次の4作品を楽しみました。①吉行理恵(1939~2006)「雲とトンガ」②室生犀星(1889~1962)「猫のうた」「愛猫」③佐藤春夫(1892~1964)「猫と婆さん」④宮沢賢治(1896~1933)「どんぐりと山猫」

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    2023年03月09日
  • 霧が晴れた時 自選恐怖小説集

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    小松左京の自選恐怖小説集。
    小松と言えば昭和のSFを牽引した1人。ではSFと恐怖小説の接点とは何かというところだが、著者自身による「あとがき」に、「近代SFはそのスタートのときから、伝統的なホラーをモダンホラーに仕立て上げるというひとつの伝統を持って」いたとある。なるほど、そうした側面はあったのかもしれない。

    本書収録は全15編。
    そこここで、どことなくSF的な印象を受ける。特にSFを思わせるのは、「影が重なる時」「召集令状」「蟻の園」「骨」あたりだろうか。
    冒頭の「すぐそこ」は、<近くて遠きは田舎の道>といった話に、安部公房の「砂の女」を思い出させる不条理も滲ませている。
    古代史や神話・異

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    2023年01月16日