小松左京のレビュー一覧
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下巻は災害パニック・脱出シュミレーションのスペクタクルな展開。地殻変動の崩壊活動が始まり、悲痛な悲鳴を上げながら崩れて行く日本列島。沈み行く母国から脱出する国民の姿は日本国民から“日本の難民”へと変わってゆく。
日本人の作者が自ら「日本」という陸地を屠る事で見せようとした日本民族の“姿”はしかし、いま、作者亡き後では大きな未完の書となってしまった『日本放浪記』の《第一部》であり、小松左京という「日本民族研究作家」の代表作だけあって非常に残念。
因みに『日本沈没』と同時期に書きはじめ、、先に脱稿した『果てしなき流れの果てに』において、国土を失った日本人が宇宙へ進出するという《その後》の日本人の歴 -
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1965年に発表された小松のSF長編『果てしなき流れの果てに』において、未来人が日本が海底に没した事を語るスチュエーションで日本列島を「沈める」メカニズムを考察した際、その大まかな構想が本書の基本プロットとなり、1964年から随筆が開始され、当時最先端の地球物理学、地質学のデーターを消化しつつ完成までに10年以上をかけたSF大作。
日本列島が急激なマントル活動による地殻変動で1年以内に日本海溝に沈むという超!有り得ない話。小松亡き後、今となっては筆者未完の大作『日本漂流記』において日本民族を《漂流》させるために日本本土を壊滅消滅させるプロローグとして企画した作品であった。(短編『日本漂流』はこ -
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最初に読んだのはほんのガキの頃。なるほど、こういう話であったかと、今更ながらに理解した箇所が多数あり。表紙の絵も当時のカッパ・ノヴェルズのものと同じ。文庫本の奥付を見てみますと、先の大震災からさほど時をおかずして復刊され、その後版を重ねている模様。うーん、なんだか節操がないというか。
今日、阪神大震災という現実を経てこのシミュレーション小説を読み返してみますと、都市が瓦解する情景の数々が細部に至るまで恐ろしくリアルな映像として伝わってきます。三十数年前、地震による破壊のメカニズムの一端を垣間見せた先見性はさすが、正統SF作家の真骨頂ってとこでしょうか。
政治、民族、国家等のいずれの事柄に関 -
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ただのパニックものではなく、多角度にシュミレーションされた天災パニックものです。私が生まれる以前の作品ですが、本当に時代を感じさせない、今なお通用する洗練された内容です。むしろ今読むべき作品かもしれません。
この作品を読んで一層、昨今の災害ニュースに日本国土に住む民としての危機感を感じるようになりました。創作という域を超えて普遍的な警鐘を発してるかのようで…。予言というよりかは、日本という国のひとつの個性がどんな選択をするのか、国民性や在り方を示唆しているかのような、説得力のある文章にハラハラさせられます。個人的には国土を病んだ龍に喩えた表現がとても印象的でした。何年か後にもう一度読み直したい -
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ネタバレえ?これ、最近の話?!何度もそういう場面が出てきた。1973年に書かれた日本沈没。大地震の状況は2011年のドキュメンタリーのよう。人間の心理、地震後の場景、全て何十年も前に書かれたとは思えないほどリアルで、フィクションであることを忘れさせる。
上巻では関東地方に大地震がやってくる。きっとこのようになってしまうのだろう、そう思わずにいられない。だから、読み進めると怖くて鳥肌が立ってきてしまう。
「想定外のできごとは起こらない」という態度について、何度も著者からの赤信号が送られている。3.11を経験した今、著者の言葉が身に沁みる。
3.11で起こったことを、40年も前に予想していた著者。震 -
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突如宇宙に出現した円筒形の「SS」(スーパー・ストラクチャー)目指して、ある科学者の全人格と実存を搭載したAE(人工実存)が旅をする。SSに到着したAEは、そこが全銀河系から知的生命体が集まって一斉探索を行っていることを知る…。
1992年で断筆した左京翁最後の小説を、その死に際して合本として出したもの。追悼刊行で敢えてこの作品というチョイスが何とも渋い。ただ、そのスケール感やダークマターの存在を設定に組み込んだ翁の先見性、そして符丁と科学用語と文芸作品からの引用をごたまぜにした文体や、『神曲』につながる古典文学とのリンケージなど個個の要素を見ていくと、なんとなく左京翁という人の凄さがおぼ