小松左京のレビュー一覧
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複数巻の長編を平行に読破しよう月間。さほど大作ではないが、そろそろ一旦休憩する。
セスナを手に入れた福井たちは、大阪を発って名古屋、東京と移動し仲間を見つけるが、そのこととも相まって、数々の困難に直面する。
「いまここから、自分以外誰もいなくなったら」という、小松左京お得意の消失ものの思考実験だが、今読んでも良く出来ている。
消えたことによる絶望感だけでも、開放感だけでもない。電気はいつまで持つのか、そこに災害が起こった場合の被害など、きちんとある程度検証されている。
飛行機の操縦、電力の仕組みや食品の流通、生きていくためのライフラインなど、ここまで検証してちゃんと書いている(書けている)作家は、現行において何人いるのか。
本作も、未完の完と言うかたちにするためなのかどうなのかは分からないが「ゴエモン(明日泥棒)」シリーズのように楽屋ネタを出してくる。これがまた小松左京らしくて面白い。
消失モノは、有名どころ「日本沈没」「首都消失」「復活の日」や短編「アメリカの壁」など、同じようなテーマのものがあるが、個人的には尻切れ感があるが「こちらニッポン…」「明日泥棒(ゴエモンシリーズ)」の2つがやはり好きだ。
買い直して良かった。 -
Posted by ブクログ
複数巻の長編を平行に読破しよう月間。角川で無い版では、1冊に収まっているので、さほど大作ではない。
朝目が冷めたら、周りに全く人がいなかった。しかも車も店も、直前まで人がいたかのように…。人が消えるという、非常に基本的な異変のなかでのサバイバル。
これ、思い出の1冊(1作)なんですよね。中学の頃に、上下を一瞬で読み切った記憶があり、再度手に入れようと探していた所、数年前にようやく見つけた。小松左京の同様のテーマ「復活の日」「日本沈没」「首都消失」「アメリカの壁」なんかよりも、とっつきやすい名作。
とにかく、テーマも視点が身近で、目の前から人間が一瞬で消えたら?というだけのものだが、そこから災害パニックの思考実験として展開していく。もちろん電気であったり、上巻では近畿圏の地理であったりと、ウンチクてんこ盛りなのをさらっと読ませる辺りが、小松御大の力量であろう。
キャラクターも、大阪弁と標準語、男性と女性、老人など、中途半端に似通った世代を出してこないため、混乱がない。
上巻は「人がいない」という"邂逅"から、消え残りと周辺の探索程度で、ややこしい話もなく光速で読み切ってしまう程度のないようなのだけど、そこを「読んだな」と感じさせるあたりが名作であろう。 -
Posted by ブクログ
SFベースの怪談短編集。とんでもないことが起こって、単なるオカルトかと思いきや、ちゃんとSF(あるいは科学)がしっかり基本にあるので、ぶれないため非常に読みやすい。
入りはみんなシンプルで、停電したり家の外から地響きがしたり。そこまでの引っ張りもコンパクトに収まっているのもあって、こんなに読みやすい小説もあったのだなあと感心する。
で、内容についてはどういう仕組みかを書いたらほとんど面白くなくなるので、一切書けないという、非常に困った作品集でも有る。
1本だけ異様なのがカニバリズムな話。エゲツナイ話を、安定感を持ってさらりとバナナの葉に包んで料理してしまうあたり、さすが小松作品であります。 -
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ネタバレこれはもう、「怖い、実に怖い」としか言えないくらいの恐怖を覚える内容です。まぁ怖がってばかりでも進まないんだけどさ。
大雑把なあらすじをすると、小松左京「お召し」にインスパイアされた、基本設定を少し変えた物を、ベテランSF漫画家がマンガにしました!
突然隔絶された2つの世界。もとは1つだった世界が、突然「18歳未満の人間しかいない世界」と「18歳以上の人間しかいない世界」に分けられてしまった。しかも、その世界の分け方には、年齢以上の法則性があるらしい。
大人と子供の世界が分断された。突然、子供を失った親は、冷静でいられるのか。突然、大人を失った世界に生きる子供は、生きる術を身に着けることができるのか。どちらの世界にも、それぞれの事件が起こり、穏やかに過ごすことの限界を知る。
とまぁそんな感じで、未知の力(と言い切っていいものかどうなのか)に翻弄される人間の話です。でもこの「隔絶された世界」ってのが、現実にも若干ダブる部分があるんだよね。違う世代の人間を理解できないことを、「宇宙人」と揶揄することもあるし。まぁでもこれはそういう話にはならないとわかりつつも、思い出してしまうのでした。
実は、1巻の半分を読んだくらいだと「意外と早く終わるかもしれない?」と思って見たが、後半を読み進めていくと、「いや、これは如何様にもなるなぁ…」と思い直したのでした。これを毎月待ちながら読むのも、結構つらいなぁ…。単行本でまとめて読むから、やや心が落ち着くような気もする。とりあえず、続巻を待ちます。もちろん、心して正座で。 -
Posted by ブクログ
1965年に発表された小松のSF長編『果てしなき流れの果てに』において、未来人が日本が海底に没した事を語るスチュエーションで日本列島を「沈める」メカニズムを考察した際、その大まかな構想が本書の基本プロットとなり、1964年から随筆が開始され、当時最先端の地球物理学、地質学のデーターを消化しつつ完成までに10年以上をかけたSF大作。
日本列島が急激なマントル活動による地殻変動で1年以内に日本海溝に沈むという超!有り得ない話。小松亡き後、今となっては筆者未完の大作『日本漂流記』において日本民族を《漂流》させるために日本本土を壊滅消滅させるプロローグとして企画した作品であった。(短編『日本漂流』はこの構想をパロディ化した、お気楽SF)しかし、災害シュミレーションとしての完成度も高く、読んでいる内に“有るかも知れない”という感覚に変化して、実際になったらどうなるんだろうという興味でドンドン読み進んでしまう牽引力はまさに小松左京の文体マジック。
何といってもこの作品がブームを起こした数年後に筆者は「木星をも消滅」させてしまう訳だから日本ぐらい沈めても誰も文句は言えない。 -
Posted by ブクログ
最初に読んだのはほんのガキの頃。なるほど、こういう話であったかと、今更ながらに理解した箇所が多数あり。表紙の絵も当時のカッパ・ノヴェルズのものと同じ。文庫本の奥付を見てみますと、先の大震災からさほど時をおかずして復刊され、その後版を重ねている模様。うーん、なんだか節操がないというか。
今日、阪神大震災という現実を経てこのシミュレーション小説を読み返してみますと、都市が瓦解する情景の数々が細部に至るまで恐ろしくリアルな映像として伝わってきます。三十数年前、地震による破壊のメカニズムの一端を垣間見せた先見性はさすが、正統SF作家の真骨頂ってとこでしょうか。
政治、民族、国家等のいずれの事柄に関しても、現在の情勢と照らし合わせつつ、尽きることのない興味を喚起され、最後まで面白く読み通すこととなりました。
終盤、渡老人が今際の際に発した自らの出自に当惑させられたり。そう、日本人って単一の民族ではないのだ、とあらためて思い至る。あたしゃ、そんな風に解釈するけどね。
(2005年記) -
Posted by ブクログ
ただのパニックものではなく、多角度にシュミレーションされた天災パニックものです。私が生まれる以前の作品ですが、本当に時代を感じさせない、今なお通用する洗練された内容です。むしろ今読むべき作品かもしれません。
この作品を読んで一層、昨今の災害ニュースに日本国土に住む民としての危機感を感じるようになりました。創作という域を超えて普遍的な警鐘を発してるかのようで…。予言というよりかは、日本という国のひとつの個性がどんな選択をするのか、国民性や在り方を示唆しているかのような、説得力のある文章にハラハラさせられます。個人的には国土を病んだ龍に喩えた表現がとても印象的でした。何年か後にもう一度読み直したいです。