小松左京のレビュー一覧
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昔々の『日本沈没』以来の小松左京さんの作品でした。さすが、巨匠ともいうべきSF作家です。
日常の中に潜むぞっとする瞬間を
冷静な視線で捉えて、
ぞくぞくするホラー小説に仕上げていました。
1960年代から1970年代に掲載された
ホラー短篇が15編。
舞台は山の中であったり、田舎町であったり、
太平洋戦争末期の裕福なお屋敷であったりと
さまざまなパターンの恐怖が描かれています。
「まめつま」や「くだん」「さとる」・・・
昔の日本の伝説などにでてくる妖が
この作品でも登場し、
関わり合った人々を言いようのない恐怖の世界へ陥れます。
いつ終わるとしれない不気味な世界が
作品の中でえんえんと -
Posted by ブクログ
複数巻の長編を平行に読破しよう月間。さほど大作ではないが、そろそろ一旦休憩する。
セスナを手に入れた福井たちは、大阪を発って名古屋、東京と移動し仲間を見つけるが、そのこととも相まって、数々の困難に直面する。
「いまここから、自分以外誰もいなくなったら」という、小松左京お得意の消失ものの思考実験だが、今読んでも良く出来ている。
消えたことによる絶望感だけでも、開放感だけでもない。電気はいつまで持つのか、そこに災害が起こった場合の被害など、きちんとある程度検証されている。
飛行機の操縦、電力の仕組みや食品の流通、生きていくためのライフラインなど、ここまで検証してちゃんと書いている(書けてい -
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複数巻の長編を平行に読破しよう月間。角川で無い版では、1冊に収まっているので、さほど大作ではない。
朝目が冷めたら、周りに全く人がいなかった。しかも車も店も、直前まで人がいたかのように…。人が消えるという、非常に基本的な異変のなかでのサバイバル。
これ、思い出の1冊(1作)なんですよね。中学の頃に、上下を一瞬で読み切った記憶があり、再度手に入れようと探していた所、数年前にようやく見つけた。小松左京の同様のテーマ「復活の日」「日本沈没」「首都消失」「アメリカの壁」なんかよりも、とっつきやすい名作。
とにかく、テーマも視点が身近で、目の前から人間が一瞬で消えたら?というだけのものだが、そこか -
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SFベースの怪談短編集。とんでもないことが起こって、単なるオカルトかと思いきや、ちゃんとSF(あるいは科学)がしっかり基本にあるので、ぶれないため非常に読みやすい。
入りはみんなシンプルで、停電したり家の外から地響きがしたり。そこまでの引っ張りもコンパクトに収まっているのもあって、こんなに読みやすい小説もあったのだなあと感心する。
で、内容についてはどういう仕組みかを書いたらほとんど面白くなくなるので、一切書けないという、非常に困った作品集でも有る。
1本だけ異様なのがカニバリズムな話。エゲツナイ話を、安定感を持ってさらりとバナナの葉に包んで料理してしまうあたり、さすが小松作品であります -
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ネタバレこれはもう、「怖い、実に怖い」としか言えないくらいの恐怖を覚える内容です。まぁ怖がってばかりでも進まないんだけどさ。
大雑把なあらすじをすると、小松左京「お召し」にインスパイアされた、基本設定を少し変えた物を、ベテランSF漫画家がマンガにしました!
突然隔絶された2つの世界。もとは1つだった世界が、突然「18歳未満の人間しかいない世界」と「18歳以上の人間しかいない世界」に分けられてしまった。しかも、その世界の分け方には、年齢以上の法則性があるらしい。
大人と子供の世界が分断された。突然、子供を失った親は、冷静でいられるのか。突然、大人を失った世界に生きる子供は、生きる術を身に着けること -
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下巻は災害パニック・脱出シュミレーションのスペクタクルな展開。地殻変動の崩壊活動が始まり、悲痛な悲鳴を上げながら崩れて行く日本列島。沈み行く母国から脱出する国民の姿は日本国民から“日本の難民”へと変わってゆく。
日本人の作者が自ら「日本」という陸地を屠る事で見せようとした日本民族の“姿”はしかし、いま、作者亡き後では大きな未完の書となってしまった『日本放浪記』の《第一部》であり、小松左京という「日本民族研究作家」の代表作だけあって非常に残念。
因みに『日本沈没』と同時期に書きはじめ、、先に脱稿した『果てしなき流れの果てに』において、国土を失った日本人が宇宙へ進出するという《その後》の日本人の歴 -
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1965年に発表された小松のSF長編『果てしなき流れの果てに』において、未来人が日本が海底に没した事を語るスチュエーションで日本列島を「沈める」メカニズムを考察した際、その大まかな構想が本書の基本プロットとなり、1964年から随筆が開始され、当時最先端の地球物理学、地質学のデーターを消化しつつ完成までに10年以上をかけたSF大作。
日本列島が急激なマントル活動による地殻変動で1年以内に日本海溝に沈むという超!有り得ない話。小松亡き後、今となっては筆者未完の大作『日本漂流記』において日本民族を《漂流》させるために日本本土を壊滅消滅させるプロローグとして企画した作品であった。(短編『日本漂流』はこ -
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『日本沈没』下巻。当時のノベルズ版の方は、シリーズ累計で400万部も売れてるんですね。ただのベストセラーどころじゃないですね。
下巻では政治家の世界の話も多くなってきます。この分野に疎いので分かりづらいところもあるんですが、読むことが肥やしになりますよね。こうやって、なんとなくでもいいから知らない世界のことを知っていくというのは面白いものです。
それにしても、後半の沈没に向かっていくシーンを含め、予想外のリアリティさに驚きです。正直なところ、読む前はもっと「SFチック」に、現実感のない仮想世界で日本が沈没していくのかと思っていましたが、ホントに生々しいです。震災も身近であるため、身につまさ