あらすじ
家族団欒の夜、ちょっとした地震が起こった。被害は停電だけかと思われたが、トランジスタラジオが鳴らない。車を動かそうとしたら、バッテリーがあがっている。そのうちいつもの生活に戻るだろうと高をくくっていた人々が、冬の寒空のもと、ようやく異変に気づく……。表題作ほか、山で迷った男が驚天動地のもののけに追われる「葎生(むぐらふ)の宿」、若者のささいな不謹慎が引き起こす悲劇「禁忌」ほか、トリックを超えた奇抜なしかけをちりばめた逸品揃いの一冊。
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久々の巨匠の手腕はさすがでした
初めて読んだ長編「復活の日」も、十数年ぶりに再読した短編集「夜が明けたら」も、面白かった!
特に好きなのが「葎生の宿」。あんな風にされたら、一緒に行ってしまいそう…
「海の森」は、後半クライマックス場面の緊迫感がいい!
「夜が明けたら」は、この始まりから、あのラストに発展させる発想がすごい!
小松左京様、再びの感動をありがとうございます。
Posted by ブクログ
SFベースの怪談短編集。とんでもないことが起こって、単なるオカルトかと思いきや、ちゃんとSF(あるいは科学)がしっかり基本にあるので、ぶれないため非常に読みやすい。
入りはみんなシンプルで、停電したり家の外から地響きがしたり。そこまでの引っ張りもコンパクトに収まっているのもあって、こんなに読みやすい小説もあったのだなあと感心する。
で、内容についてはどういう仕組みかを書いたらほとんど面白くなくなるので、一切書けないという、非常に困った作品集でも有る。
1本だけ異様なのがカニバリズムな話。エゲツナイ話を、安定感を持ってさらりとバナナの葉に包んで料理してしまうあたり、さすが小松作品であります。