【感想・ネタバレ】恐怖 角川ホラー文庫ベストセレクションのレビュー

あらすじ

ショッキングな幕切れで知られる竹本健治の「恐怖」を筆頭に、ノスタルジックな毒を味わえる宇佐美まことの図書館奇譚「夏休みのケイカク」、現代人の罪と罰を描いた恒川光太郎の琉球ホラー「ニョラ穴」、誰からも省みられないホームレス男性の最期を描いた平山夢明の衝撃作「或るはぐれ者の死」など、現役の人気エンタメ作家による力強い作品と、小松左京のアクロバティックな発想が光る怪奇小説「骨」、土俗的恐怖とフェミニズム的視点を融合させた直木賞作家・坂東眞砂子の「正月女」、耽美的なゴシックミステリーで没後も熱烈なファンをもつ服部まゆみの和風人形怪談「雛」、昨年11月惜しくも急逝した小林泰三氏渾身の一作「人獣細工」などレジェンド級の名品が、ホラー小説の豊かさをあらためて提示する。心霊・怪談系の作品が多かった『再生 角川ホラー文庫ベストセレクション』に対し、『恐怖 角川ホラー文庫ベストセレクション』にはSFや犯罪小説、ダークファンタジーなどの発想を用いた作品も収録。この二冊合わせ読むことで、日本のホラー小説の神髄を味わうことができる。

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Posted by ブクログ

「家が呼ぶ」に大興奮して以来、すこしずつ朝宮運河さん編纂のアンソロジーを買い集めている。今作も大興奮!

✂-----以下ネタバレです-----✂








はじめに収録されたタイトルドンピシャの「恐怖」は、短くもラストにドキッとする極上の作品。最初からこの作品…もう期待しかないが、続くは小松左京「骨」。じっくり掘り進められた恐ろしく壮大な情景が、蘇る記憶とともに一気に駆け抜ける大迫力に感動…。
「夏休みのケイカク」「正月女」は現代の割と身近な景色を思い浮かべつつ読み進めていたけど、オチに違ったカラーのダークさがあり面白い。
今回すごく好きだった「ニョラ穴」は、SFチックな作風。日本のこういう作品って初めて読んだんじゃないかな。世界が広がって面白い。アンソロジーの良さ。
「或るはぐれ者の死」、「雛」は現代のどこかで広がっている異様な光景に思いを馳せるような話。「雛」の、チラッと見たら鬼の形相になっているっていう映画的な描写良かったなあ。
そして一番怖かったのは最後の「人獣細工」!
冷たく鋭く人間の尊厳に切り込んだ作品で、一番本能的な恐怖をおぼえたかもしれない…。何度も「冒涜だ…おそろしい…」とつぶやきながら、ページを捲る手が止まらなかった。
面白かったのでシリーズ前作の「再生」も買おうっと♪

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2024年06月28日

Posted by ブクログ

角川ホラー文庫ベストセレクション第二弾。全部読んだことがあるので再読かな。しかし何度読もうと、どれもこれも文句なしの名作です。
何度読んでも恐ろしいのは坂東眞砂子「正月女」です。どこからどこまで全部怖い。柱時計の音が怖い。登場する人たちもみんな怖い。可哀想に思えるヒロインのキャラも、実はなかなかの恐ろしさなんですよね……。
久しぶりに読んだ服部まゆみ「雛」も、再読でさらに恐ろしくなったかも。そしてラスト、小林泰三「人獣細工」で締めるとは!

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2021年10月16日

Posted by ブクログ

小林泰三『人獣細工』、怪奇趣味的でもありSF的でもあり。
すごいなこれ。惜しい人を亡くしたって改めて思った……

他の作品もどれも良かったけど恒川光太郎『ニョラ穴』が特に好き。
程よく謎が謎のまま残ってて余韻のゾワゾワ感ヤバい。やっぱホラーはこういう読後感が残ってこそですよね!

ジワジワ怖い、ゾッとする不気味な印象の話が多め。
同シリーズの『再生』とは毛色の違ったアンソロジーに仕上げてきたなーって感じ。

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2023年03月20日

Posted by ブクログ

前回のベストセレクション「再生」よりもこっちのほうがずっと好み。
であるが故に、過去に読んだ話が半分くらい…
平山夢明氏と小林泰三氏が一冊に入ってるアンソロジーだから買って後悔はない。

背表紙の著者名が小林泰三氏になってて、新しく本棚に氏の本が並んだのも嬉しい。

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2021年10月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

角川ホラー文庫ベストセレクションの第二弾。今回も8名の作家の8作品だった。特に印象に残ったのは以下の3作品。
「骨」小松左京
なにかに突き動かされるように庭を掘り続ける主人公の姿が最後に悲しみを誘った。何かを思い出しかけているという描写がよかった。
「或るはぐれ者の死」平山夢明
こんなにも悲しい話だとは思わなかった。自分だけでも死者を埋葬しようとしたその清らかな心は悪意に踏み躙られる。
「人獣細工」小林泰三
この作品が最も衝撃だった。自分と父の秘密を探らずにはいられない、そのはやる気持ちが痛いほど伝わってくる。凄まじいラストだった。

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2025年05月23日

Posted by ブクログ

なぜこの本を予約したのかさっぱり思い出せません。ともかく読んでしまう。
1993年角川ホラー文庫創設。そこから30年あまりの作品の中から精選収録のアンソロジー。
竹本建治「恐怖」1983
小松左京「骨」1972
 SFっぽさあり
宇佐美まこと「夏休みの計画」2017
 新しいなって思う
坂東眞砂子「正月女」1994
 女の嫉妬の怖さ
恒川光太郎「ニョラ穴」2013
平山夢明「或るはぐれ者の死」2007
 都会の隅で見過ごされる悲しさ
服部まゆみ「雛」1994
 雛人形の怖さと女の情念の怖さのダブル
小林泰三「人獣細工」1997
 ありえなくもない豚と人間の相互移植

坂東さんの正月女は、言い伝えにまつわる話。死期が近い若い妻が死んだ後の夫への嫉妬。諦めきれない思いや、優しげだけど裏がありそうな家庭の状況等、怖いより上手し。
たぶん、坂東さん読みたかったのだと思う。
 

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2024年02月21日

Posted by ブクログ

角川ホラー文庫ベストセレクションのアンソロジー。
小松左京の「骨」は既読でしたが、久々に読んでも怖いと思った。震災の後の大洪水というくだりが東日本の震災のことを書いてるようで、それが1972年に書かれていたというところにまた戦慄。
坂東眞砂子「正月女」何かのアンソロジーで読んだか、それとも同じような別の話だったか…ホラーというよりイヤミス的な面白さだった。
小林泰三「人獣細工」のラストが一番おぞましかった。
これは角川ホラーセレクションの第二弾らしい。
第一弾「再生」の方も読みたい。

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2022年11月20日

Posted by ブクログ

坂東眞砂子さんの『正月女』と恒川光太郎さんの『ニョラ穴』が印象的。
平山夢明さんと小林泰三さんのはもう何度も作品読んだことあるけど、相変わらず好き。

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2022年04月17日

Posted by ブクログ

あまり好みの内容ではなかった。

ただ、正月女の話はばあちゃんに聞いたことある話に良く似ていた。「正月」という所が「西の女」という話だった気がするけど、昔話なんてそんなもんか。ちょっとゾッとしたけど。

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2021年09月26日

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