小松左京のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
小松左京のSF長編。
突如として現れた未知のウイルスによって人類が滅亡していく様と、感染を何とか免れ最後の人類となった一万人の人々が人類復活への道を模索して行動する様が描かれる。
ストーリーは非常に面白く、示唆的だった。
「人類の滅亡」さらに「人類の復活」という壮大なテーマを描き切ることができる作者の力量には脱帽する。
本作で人類の滅亡の直接的原因となったのは未知のウイルスだが、その背景にあるのは大国間の既知の対立である。彼らの対立がもたらす際限なき軍拡の結果として開発されたウイルスが漏出し、そしてこの事実も「軍事機密」の壁により世界の防疫体制に向けて発されることはなかった。
故に、世界中 -
Posted by ブクログ
本作品が出版されてちょうど50年とのこと。完全なるフィクション、とあるが、そうとは思えない読後感です。
相当科学は進歩したんでしょう。でも「日本沈没」が起こらないなんて言えない。
自分が突然難民になったら、なんて想像をしたことがない。そんな必要もなかった。ホント自分のいるところは平和なんだ。
著者の息子さんによる「文庫版にあたって」に、執筆動機は「戦争」だったと。「日本」を愛しているがゆえ、叱咤を込めて、日本人とは何か、日本とは何かを考え直したと。
天災も怖いが、人災も怖い。
長らく執筆をためらわれた『第二部』をしばらくしたら読んでみよう。 -
購入済み
緊迫した場面が続きますね
この巻は日本海溝の調査で終始した感じでしたね。小野寺さんは原作の第2部でも活躍しますが、この辺からしんかいのオペレーターとしての突出した技術が出てくるのが良かったですね。
数学者の中田先生が出てくるのはもう少し先なのでしょうね。この方も割とキーパーソンです。 -
ネタバレ 購入済み
良い出だしでしたね
日本沈没の原作は何度も読んでいますが、映画等はあまりちゃんと見ていません。
一色さんによるこの作品は40年ほどアップデートされていますが、基本的な登場人物は概ね一緒のようですね。玲子さんの設定はリメイク映画に近いのか、だいぶ変わっていますね。
冒頭部分とかは結構、アレンジされていますね。
主要登場人物の1人、田所教授と日本のフィクサー・渡老人の場面が1巻終盤に出てきますが、こちらは重要な場面なので、ほぼ原作依拠でしたね。
科学者としての重要な資質、田所教授の言っている通りだろうと思いますね。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ恐怖小説と銘打ちながら、結構SF寄りというか、ほぼSFです。共に行間から世界観を立ち昇らせ、読者の想像力を100%喚起することに心血を注ぐ、SFとホラーという両ジャンルの親和性の高さを見せつける短編集です。
1960〜70年代に発表された古い作品ばかりですが、今読んでも本質的に古びていないのがさすが。
どの作品も、不条理極まりない展開をしつつ、最後にちゃんと理屈をつけているのが、SFテイストを感じさせる1番の要因だと思います。まぁ、その理屈自体がとんでもない作品も多いんですけど(笑)この振れ幅の広さこそ、まさにSF。
鴨のお気に入りは、「怨霊の国」「飢えた宇宙」「葎生の宿」。「怨霊の国」は、