大阪は通天閣の下に、漫才師、奇術師、浪曲師といった芸人たちがあつまり住む一郭“てんのじ村”があった。戦前、戦後、そして高度経済成長期と、大阪芸人の活躍の場が、寄席からラジオ、テレビへと移りゆくなか、時代の波にとり残された八十二歳と五十五歳の漫才コンビ。しかし、その二人に、たった一度だけ華やかなテレビのスポット・ライトが当てられる日が来たのだが──。身を寄せあって生きていく善意の人々の哀歓を、しみじみと描いた第91回直木賞受賞作。
Posted by ブクログ 2010年08月19日
第91回直木賞。
戦後の大阪・天王寺(てんのじ)村が舞台。てんのじ村では、二流・三流芸人たちが、スポットライトの当たらない生活を送っている。
主人公は花田シゲル、夫婦漫才師。どじょうすくいなどのネタで、どさ回りではウケるが、昨今登場したラジオ・テレビにはお呼びがかからず、もんもんとしたギリギリの暮ら...続きを読む
Posted by ブクログ 2015年06月15日
戦中戦後の動乱期を生きた夫婦漫才師の夫の生涯。通天閣の下、天王寺付近の長屋での人間模様。
架空の芸人ということで話は進んでいくが、明らかに実在の人物でしか考えられないような話が有り、実際「吉田茂・東みつ子」がモデルになっている。どうやら、作中のネタも全部実在するようだが、作中で漫才の描写はほとんど...続きを読む
Posted by ブクログ 2012年04月24日
難波利三著「てんのじ村」運が人生を左右する芸人の世界。
敗戦から現代までの「てんのじ村」の善意の人々の哀歓通して描く。
地下鉄「動物園前駅」を降り、地上に出て天王寺方面に歩くとすぐの阪神高速阿倍野料金所わきに「上方芸能発祥地・てんのじ村」の記念碑が建っている。
このあ...続きを読む