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生まれ故郷の古い住宅地図には、あの少女の家だけが、なぜか記されていなかった。あの家が怖くて、ずっと帰らなかったのに。同窓会を口実に、ひさしぶりに故郷を訪ねた主人公の隠された過去、そして彼の瞼の裏側に広がる鮮やかな“緋色のイメージ”とは、一体何なのか……。直木賞受賞の傑作ホラー。表題作ほか、選考委員の激賞を受けた「ねじれた記憶」など、粒よりの七篇を収録。痺れるように怖いのに、とてつもなく懐かしい――高橋克彦ならではの独自の世界を満喫できます。
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Posted by ブクログ
東京でデザイナーをしている〈私〉は、共に盛岡での高校時代を一緒に過ごした友人である加藤から古本屋で、古い盛岡の住宅地図を買ったことを聞かされる。古い地図から過去の自分自身の記憶を振り返るのが趣味だというのだ。〈私〉には淡い記憶があった。彼に倣って住宅地図で過去を振り返ろうとした〈私〉は、記憶の中に...続きを読むある一軒の家を探した。確かにあったはずの家がどこにも見つからない。あの家の正体は。そしてあの思い出は。ラストに恐怖と切ない余韻が残る――「緋い記憶」 東北の民家が中心の画集の中に描かれた断崖の側に建てられた大きな宿屋の絵。〈私〉はその絵を見て、胸騒ぎがした。幼い頃、〈私〉はその岩手の山の奥の温泉に行ったことがある。なぜ母は郷里でもない岩手に。三十年以上の月日を隔てて、〈私〉はその宿を訪れる。母親が死んだその宿で、そこで〈私〉は美しい女性、静子と出会う。意外性もあり、奇妙な味わいのあるラストが印象的な――「ねじれた記憶」 記憶というのは、いまではなくなってしまった時点、必ずどこかがぼやけてしまっているものです。だからこそ無性に怖くなってしまう時があります。そのぼやけて、分からなくなってしまったところで、自分はとんでもないことをしでかしてしまったのではないか、と。本書は全七篇、記憶にまつわる短編が残っています。どこにでもある自然な一幕に不穏さが滲み出しくる導入と切れ味良くも決して合理では割り切ろうとしないラストが、全体的に素晴らしかったです。特に表題作の「緋い記憶」が印象的で、これからも読み継がれていって欲しい作品集だ、と思いました。
記憶をテーマにした七篇。 粒揃いな中、表題作とねじれた記憶は舌を巻く巧さ。重厚で好み一直線のホラー作品。
時代的古さを感じるけど、記憶をテーマにした短編で、記憶はセピア色のイメージだから、その古さが味を出していて逆にいい。 伝奇的ミステリーだけど、どれも人の仄暗さを覗き見する気分で、昏い楽しみがある。 共通して、岩手をテーマにしているので、遠野物語のような趣もまた風情がある。
【ねじれた記憶】 『空耳だろうか。こっそりと忍び寄る足音が聞こえる。あれは私の足音なのだ。 振り返って確かめたい欲望にかられた。 ひたひたひた。 どちらの私も息を潜めていた。 【膚の記憶】 『体の関係ができたのは半年前のことだ。ママは三十八。私の生活に割り込んでくるような野暮な女ではない。五十にも...続きを読むなって妙な言い方だが、私たちは文字通り大人の付き合いをしている。』 【霧の記憶】 『だが、すべてはロンドンの霧のようにぼやけている。記憶にも時効があるのだろうか。 私はひたすらそれを願った。 でなければ生きていけないような気がした。 咲子を殺したのは私かも知れない。』
これは、面白かった~。 読んでて背中がゾクゾク、心臓がバクバクしてました。 これは、直木賞とって当たり前といえる作品。 短編っていまいち苦手だったりすんだけど、これは一編一編が内容の濃いものになってるので短編で正解。これ以上に長いと心臓が持たなかったかも(笑) ★緋(あか)い記憶 30何年か前に...続きを読むあったはずの家が地図に載ってない。その真実を求めて、久しぶりに故郷を訪れる。 ★ねじれた記憶 ひょんなことで懐かしい人里離れた宿に泊まりに行く。実は、そこは母親が自殺した宿で、たまたま自分と同じ名前をもつ子供に出会う。。。 これは私のお気に入り。読んでてすっごく怖かった。 ★言えない記憶 昔、一緒に遊んだ仲間たちとの再会。いつの間にかに、あの日缶蹴りの思い出がよみがえって。。。しかしその真相は。。。 ★遠い記憶 取材のために昔生まれ育った土地に戻ってきた主人公は、昔一緒に遊んだ女の子と再会する。しかしその裏に隠されていた記憶とは。。。 ★膚の記憶 食中毒を起こしやすい主人公は、自分の食中毒の原因は飲み屋でもらうミネラルウォーターだとつきとめ、その水源に行ってみる。そしてその背景に隠されていたものは。。。 これも結構好き。自分の存在の意味を問われるようなミステリアスさがたまらない。 ★霧の記憶 学生の頃に旅をしたロンドンの話が30年後に復活してきて、事件の真相をしった主人公。 これは、一番読み込めなかった話。なんだかな~。ちょっと単なるミステリーに終わってしまった感じが受け入れられなかった理由かな~? ★冥(くら)い記憶 叔母たちと旅行をしてる間に、訪れる場所場所で次々と記憶がよみがえってくる話。 怖い話だったんだけど、結局殺したのは誰だったんだ?壁から出てきた鬼ってなんだったんだ? なんか読み終わった後「???」って思った。。。 この短編全部、東北が舞台になってるの。 この日本の東北が今、被災してる最中にたまたま手に取った本が東北が舞台。 なんか因縁めいたものを感じます。 でもね、本の中ではホントに怖い印象のある東北地方も今は被災して、それ以上に怖い恐ろしい状態にあるんだよね。 一日も早い復旧作業が出来、そして復興して、またこういう素晴らしい本の舞台になれるようにみんなで支援していきたいと思います。
記憶をテーマとしたホラー短編集。 ふと思い出した記憶を探るためジグソーパズルを埋めるように遡っていく人々の話。 記憶は現実にだぶるものだと思う。記憶と現実とは重なるわけがないけれど何か繋がりがあり、そこに欠落を感じる。 その欠落が何かを理解するために、納得するために現実をほっぽって過去へと向かう、途...続きを読む中で恐ろしいものが行き止まりにはあると考えても行き着くまで止まることはない。 破滅を呼ぶわけでもないのに、忘れる事がよく生きるコツなのかとさえ思う。 好きな作品は捻れた記憶と膚の記憶。
あとがきで川村湊さんが、 岩井出身の“みちのく”作家。 心の中の “みちのく”の情景を描く。 と、上手こと表現している。 直木賞の人生の曖昧となった記憶を物語とした 7編の記憶シリーズ。舞台も東北が多い。 どの短編も、記憶から欠けた時間を探し始めるところから始まる。そこに記憶を封じなければならなかっ...続きを読むた事情を思い出していくという構成。 各作品、設定も展開も工夫されて、とても素敵な短編集です。 「緋い記憶」 故郷での緋色の記憶。そこに残る少女との思い出。なぜか、住宅地図には、その家の記録がない。 「ねじれた記憶」 男は母との記憶が残る寂れた温泉宿へ。そこは、母親の自殺した場所。母親とよく似た女性との出会い。自殺前の時間がねじれた記憶。 「言えない記憶」 子供時代の不確かな記憶と鮮明な記憶。 缶蹴りの途中で行方不明のまま亡くなった少女の本当の死因。 「遠い記憶」 忘れていた幼児期の記憶。家だと思っていたのは、父親の愛人の家。忘れてていたのは、鴨居にぶら下がる愛人とそれを見る母親。 「膚の記憶」 食中毒かアレルギーに苦しむ男。 原因を探すうち天然水と思い至る。母親の故郷の水。水源地に沈んでいたものは。 「霧の記憶」 若い日のロンドンでの曖昧となった記憶。小説家となった男の古い作品から、当時行方不明になった女性の痕跡を探す。 「冥い記憶」 一人の少女の死を思い出させるための青森ツアー。 これは、短編だとわかりにくい。結末がよくわからなかった。
特別面白い話があったわけではないけど、作者特有のジメッた空気感がとても好き。 ″ねじれた″と″虜の″が好き。
タイトル通り「記憶」がテーマの短編集。 遠い過去の記憶がいつの間にか都合よく書き換えられているのですが、書き換えられるには必ず相応の理由があり、それを思い出す過程で忘れたかった忌々しい真実が明らかになるという同じパターンの構成となっている。 今から30年近く前にも書かれた作品であり、その当時に過去を...続きを読む振り返っているので、高度成長期を迎える前の東北地方という日本の原風景的な描写が少しだけ怖い雰囲気ながらどこか懐かしい印象を受けます。 高橋氏といえば東北地方を舞台にした歴史ものか浮世絵シリーズという印象だったので、こんな作品を書いていて、かつそれで直木賞を獲ったなんて意外でした。
記憶をテーマにし、作者の東北の故郷を舞台にした物語が連なる短編集。各話の主人公らはふとしたことをきっかけに自分の過去の記憶を掘り下げることで、忌まわしい事実が明らかになっていく。焦燥感と緊張感に飲み込まれて、ぞわぞわしながらいっきによみました。
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