本当に困っている人はだれ? 市の福祉事務所に勤めるケースワーカーの仕事は、毎日が事件の連続だ。金もなく、子どもと公園で野宿する女性は、それでも働こうとしない。ケースワーカーを脅迫するバーのママ。結婚詐欺を繰り返してきた72歳の老女。アルコールに人生を蝕まれた男。かつては成功しながら栄養失調で保護された作家。社会からはみだした、ときにしたたかな「弱者」たちにどう対したら良いのか、日々奮闘するワーカーたちの事件を描いた連作短篇集。
Posted by ブクログ 2016年01月15日
福祉事務所のケースワーカーを題材にした短編集。各作品で様々な役職の職員を主人公に、人生の悲哀を描くのだが、そこは篠田節子だけあって、ウェットに絡みつくような憎悪や恐怖を混ぜ込んでくる。
最初の作品の書き出しから、「死体を見るのも慣れっこ」という感じで始まるが、全体にそういうシーンはないので問題なし...続きを読む
Posted by ブクログ 2009年10月04日
世の中って、キビしいよなあ・・この小説を読んでつくづくそう思った。
「ケースワーカー」とは、福祉事務所において生活保護を受けている人に対して、様々な働きかけをする職員のことを呼ぶそうだ。
この小説の舞台は新宿に近い「稲荷町」という町の福祉事務所。
そして8つの短編に、この福祉事務所に勤めている...続きを読む
Posted by ブクログ 2017年01月11日
市の福祉事務所のケースワーカーの連作短編 8つの話
一応解決するけれど、その後は大丈夫なのか?と思うような終わり方
『花道』はイラッとする人が多かった男に寄生して生きていく綾。ひょんなことから、ケースワーカーの赤倉は自分のダンナを綾に取られてしまう、でも、結局赤倉のダンナの仕事が危うくなると、働き...続きを読む
Posted by ブクログ 2011年08月05日
福祉事務所に勤めるケースワーカー、彼らが担当する様々なケースたち。
虐待、家庭問題、アル中、浮浪者etc・・・
単語を見ると、新聞で目にすることだって珍しくない。
けれどそれらにはみんな、個別の背景があって。
「社会的弱者」が、必ずしも弱いわけじゃないし、ケースワーカーだってそんなに強くない。
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