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Posted by ブクログ
今更読んだが、非常に良かった。さすが半藤さん。幅広い記述(局所的な戦闘から独ソの交渉まで)を自由自在に行き来しながら、月ごとにイベントを辿る形式は頭に入りやすかった。淡々としすぎず、ときに半藤さんの抑えきれない怒りが記述されているのも良かった。
特に印象的な箇所 (p363):
「ドイツ国防軍の将星のほとんどが、長いあいだのヒトラーへの阿諛追従や無抵抗従順になれきってしまっており、まともな判断力を喪失していたかのように思われる。強力な独裁者のもとでは良識や常識は不必要であり、必要なのはいつでも保身のための判断停止という手続きなのである。」
政治家や官僚に対しても同じことが言える国が、多くあるように思う。
Posted by ブクログ
2024.08.18〜10.04
自分が賢いと思っている奴ほど哀れな奴はいない。
そんな奴らに踊らされてしまう奴らも、また哀れである。
都合の悪いことはひた隠し、言葉を巧みに操って誤魔化す。
そんな最低のことをして、日本を苦しめたにも関わらず、戦後、のうのうと生き、しかも国会議員にまでなる。どんな神経をしているのか、疑ってしまう。立候補するのも凄いが、そいつを選んだ国民も凄い。
今の世の中って、そんな歴史の上にたっているんだ、と思うと、納得する部分もある。綺麗事では済まないことも多いかと思う。しかし、それを良しとしまうのは間違いだよね?私の考えは、甘いのだろうか。
本当に戦時中の人間の心はわからない。
Posted by ブクログ
ノモンハンでの凄惨な戦闘と、それを生起させた要因について精緻に、分かりやすい筆致で語りかけてくれる。
しかし、そもそも満州国を建国するとなればソ連と長大な国境を接すること、日中戦争を進めるためにはその手当をしながらでなければならないこと、南進すれば北にも相応の兵力を残置しなければならず、米国からの石油輸入も止められることを想定しなければならないこと・・歴史の結果を知っている我々は何故日中戦争、ノモンハンの事変、太平洋戦争へと突き進んでいったのか理解に苦しむのであるが、その時の時間軸にいた人々はそのようなことは見えない。歴史の本質なのかもしれない、と思う一方、我々は歴史から学び、今この時間軸から未来にかけてより平和な世の中にしていく責務があるのだと実感。
まずはお勧めしたい一冊
先頃亡くなられた半藤氏の渾身の一作です。当時の陸軍(関東軍)の首脳部がいかに堕落した組織だったかよくわかります。
関東軍が統帥権という彼らにとっての絶対的なコンプライアンスを無視して、自分達の利益(見栄や権威も)を追求する事に夢中になっているという事が詳細に書かれています(その一方で敵対する者達には「統帥権干犯!」とヒステリックに騒ぐ)。
そして際立つのは辻政信という怪人の存在。彼だけに全責任を負わせる事は出来ませんが、間違いなく渦の中心にいた人物です。
そういった事変の表と裏について解り易く書かれています。ノモンハン事変について知りたいならば是非お勧めしたい一冊です。
Posted by ブクログ
まさに、著者渾身の作品である。著者が、当時の日記や史料を引き写しながら、地団駄を踏み、鉛筆の芯を折りつつ書く作品というのは私はこれまであまり聞いたことがないが、著者が思わず地団駄を踏まざるを得ないほど、あるいは、鉛筆を折りたくなるほど陸軍参謀本部作戦課、関東軍作戦課のエリートたちが無能であったということだろう。
その指導部の優柔不断、無責任体制ゆえに、関東軍の暴走を許すこととなり、亡くならなくても良かった多くの兵士の命を奪い、結果的にソ蒙軍に惨敗を喫したとすれば、その指導部に対する「お前ら何をやっていたんだ!?」という著者の憤懣やる方ない気持ちも理解できる。果たして、この著作1冊を書き上げるまでに、半藤氏は何本鉛筆を折ったのだろうか。
「ノモンハン事件」は、私は高校の頃、山川『詳説日本史』で歴史用語として覚えた記憶があって、名称や極めて大まかな概要は知っていた。しかし具体的にどんな戦闘が繰り広げられたのか、どんな人たちがそこに関わっていて、どんな命令系統があり、どんな力関係があり、どんな作戦があったのかといったことはまるで知らなかったから、著者の膨大な取材と、膨大な資料に裏打ちされた(と思わせる、いや、ある1行を読むとその1行の背後に膨大な史料・資料の影が立ち現れてくるのだ!)丁寧な記述に、まさに目を開かされた。加えて、ヒトラー、スターリンらの動向を並行して描きながら、目まぐるしく動く国際情勢の中で翻弄されていく我が国の姿を克明に描いている点も優れた記述であると感じた。
今年(2025年)は戦後80年だ。テレビや新聞などでは戦後80年の特集や、第二次世界大戦の特集が組まれているが、その多くはヒロシマ、ナガサキの原爆、日本各地の大空襲、敗戦(終戦)というところにフォーカスされているようである。確かに、1945年からカウントして80年目なのだから、原爆や敗戦(8月15日)に目が向かうのは当然である。しかし戦後80年と言って第二次世界大戦という大きな戦争を考える時、1939年(昭和14年)という敗戦から6年も前の段階で、極東の田舎で満州事変に慢心し、西欧諸国間の微妙なかけひきに翻弄され(それが平沼騏一郎の複雑怪奇発言だろう)、崖を踏み外して既に敗戦への暗い道を我が国が歩み始めていたことを知るのは、重要であるように思われる。
半藤氏の渾身の本書は、それゆえに文庫で450ページを超える大著であり、登場人物も多く、聞き慣れない軍事用語なども多々出てきて時に迷子になり、途中、このままどうなるんだろう?と果てしなき砂漠で途方に暮れて挫折しそうにもなったが、8月の章に入った頃から、ぐんと読むスピードが上がり読破することができた。人気小説のような「一気読み!」という本ではないが、現在にあっても、また今後も本書は重要な歴史書(歴史的文献)であり続けるだろう(特に、本書では軍隊の軍旗に対する姿勢についての記述があり、私は目を開かれた。こうした事実は本書のような歴史書に当たらねばなかなか知ることは難しいように思われる)。同時に、現在の政治、社会、世界情勢を、冷静な視点で見すえるとき、大切な視座を与えてくれる一冊である。その意味で、何度挫折してもいいから一度は読んでおく一冊だろうと思っている。
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