Posted by ブクログ
2019年10月03日
IWGPシリーズはすべて既読で他にも石田衣良さんの本は何冊か(4・5冊?)読んでる。
今回コンプリートガイドが出たということで、熱が再燃して購入。
結論からいうと面白かった!ファンなら買って損はない。十数年前に活字倶楽部のインタビューでも読んだのだが、石田衣良の執筆スタイルや着想、IWGPの裏話が聞...続きを読むけて興味深い。「小説を書くなら30代半ばはちょうどいい」の言葉に励まされる物書き志望も多いのでは?
石田衣良は私の中で東野圭吾と同じジャンルに入る。言ってみればスカしたおじさん枠なのだが、フラットな姿勢が楽ちん。
辻村深月との対談も楽しく読んだ。彼女の本は3・4冊程度しか読んでないが、ミーハー全開でIWGPワールドへの愛を語っているので、特にタカシやマコトに萌えてる女性読者は共感できるのでは?
「私は断然キング派」「タカシと結婚したい」と主張し、作者に「いや結婚はやめたほうがいいんじゃ……」と素で止められるシーンが面白すぎ。
作中の舞台になった写真入りのマップや、各話に登場したクラシックの索引なども付いてお得。今はユーチューブの動画を無料で見れるので、気になった曲は探してみるといい。
単行本の表紙の写真を手がけたカメラマンのコメントも載っているのだが、これが予想外に面白い。凄く文章が巧くて、この人のエッセイを読みたいと本気で思った。別にエッセイじゃなくてもいいが。
おまけの短編はクーとリンが大活躍するので、二人が好きならおススメ。特にリーは意外すぎる犬デレの素顔を見せ、好感度アップうけあい。マコトは相変わらず子どもに甘い。
にしてもマンガやアニメの文化は齧るもののあまりハマらないというわりに、「目の中に危険なハートマークが浮かんだ」とか、漫画的表現が多いな……。
なんと堤幸彦監督のインタビューも収録されているので、当時、または再放送でドラマにハマったひとはぜひ見てほしい。タカシが銭湯に入るシーンのエキストラは本物のギャングのヘッドとか聞くと観直したくなる。
一点不満を挙げるならキャラクター紹介のイラスト。
妙にデザインタッチというか、公報の挿絵っぽい感じで原作のイメージにそぐわない……別になくてもよかったんじゃ?
どうしても付けるならコミカライズを担当した有藤せなかきたがわ翔に頼むとかできなかったのだろうか。
と思ったがコンプリートガイドでも漫画版の存在はスルーされてるので、なかったことにされてるのかもしれない……切ないなあ。
「サイコメトラー」の朝基まさしが昔「少年マガジン」で連載してた「電子の星」の漫画版も好きだったので、コンプリートと称するならそれぞれの漫画版にも触れてほしかった。
(ちなみにこの中では朝基まさしのマコトのビジュアルが一番しっくりくる)