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舞台俳優・家福をさいなみ続ける亡き妻の記憶。彼女はなぜあの男と関係したのかを追う「ドライブ・マイ・カー」。妻に去られた男は会社を辞めバーを始めたが、ある時を境に店を怪しい気配が包み謎に追いかけられる「木野」。封印されていた記憶の数々を解くには今しかない。見慣れたはずのこの世界に潜む秘密を探る6つの物語。村上春樹の最新短篇集。
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Posted by ブクログ
村上春樹は短編が苦手と、前書きで言っていたが、本書に含まれていた全ての作品に村上春樹らしさを見つけることができた気がする。妻が何らかの理由で自分の元を離れた男の話の中には必ず、現実世界と別世界を繋ぐための夢が出てきたし、普通に生活をしてるのにどこか自分の存在に違和感を感じて生活を破壊しようとする男の...続きを読む姿を儚げに描き出すのはとてもお見事だった。個人的には、やはり長編小説で腰を据えてゆっくり読みたいのが村上春樹先生の作品かもしれない。
村上春樹やっぱり好きだなぁと思った作品でした。しばらく読めなくなってて、「夏帆」を読むにあたり準備体操のようなつもりで読みましたが、ノルウェイの森が大好きなわたしにはとってもよかったです。 全員が不倫とか浮気とかセックスとかしてるのはもう作風だと思ってるので(だから苦手だ、とオットは言います)それは...続きを読むそれで置いておいて、出てくる人の不思議な話、もっと続きが読みたいのに、と終わるその感じとかとても面白いと思いました。シェエラザードとか、えっ!?その看護学校2年の時の話はァ!?続きお願いしまぁす!!って思ってしまったし。木野の話も、木野がまたあのバーに戻れることを祈ってしまう。 出てくるどの人も、村上春樹風なのもとても好きです。みんな、コリコリとネジを巻くように、清潔に生きている人たち。
前書きからアクセル全快の短編集。村上春樹自身が「四〇〇字詰め原稿用紙八十枚」の長めに書いたと語るように、文量、ストーリー展開ともに分厚めの作品集です。どの作品も読み応えがありますが、一番気に入ったのは「木野」。村上作品お決まりのジャズバーで各々が読書や音楽、物思いに耽る場面はさすがの描写力だと思いま...続きを読むすし、一人で何かに没頭することは本当に贅沢な時間の使い方だなと結婚した今思います。また、蛇の登場から始まる時間•空間の転位は『ねじ巻き鳥クロニクル』を思わせる展開。他の作品を含めて何度夜中に電話のベルがなったり、ドアがノックされたのか分かりませんが、遂にその相手の正体と真意が明らかに。なるほどと思わずにはいられない結末でした。
映画がとても良かったので買って読んだ。映画の要素が、この本の短編のあちこちから寄せ集められたものと分かった。村上春樹は初めて読んだが、「解決されない問い建て」が新鮮に見えた。
はじめの短編「ドライブ・マイ・カー」(のちに映画化され、アカデミー賞を獲得した)で扱っているテーマは、人の心理をよく考えたり臨床心理的な本を読んだりしている人にとってはとても響くと思った。そうじゃなくても、人の心理の機微というものに興味をいだくきっかけとなりうる作品ではないだろうか、と思った。 続...続きを読むいて「イエスタデイ」。若者たちが抱える個人的な(かつ普遍的でもある)問題と彼らは真剣に向き合っている。でも深刻さとは距離を置いている。おそらく意識的に。真剣さに溺れて深刻にならないよう、ときに発せられるユーモアが弛緩を生んでいて、それが読者にとっては意識下で希求していた心理的解決と感じられるだろうと思う(過剰なまで真剣になると体に力が入り過ぎて水の中に沈んでいきます。泳ぐことにも生きることにも、すこしの「弛緩」は必要です)。登場人物たちが会話や語りにユーモアをまじえるのは、もしかすると生存本能によるものなのかもしれない。それはそれとして別のところに置いておいていえるのは、最高の短編だった、ということ。僕はこういう作品が大好物だ。余談的につけたすと、ヒロインの栗谷えりかさんは、生田絵梨花さんを想起させて仕方なかった。いくちゃーん! って想いながら読んでいた。 次の「独立器官」もそうなんだけど、登場人物が過去を回想し、それがその小説の大事な軸になっているというのがある。その回想の過程というものはカウンセリング的なものなのかもしれなくて、そこに読者は癒しを感じていやしないかなあ、と思った。読者は読んだ内容を実体験として受容しなくとも、登場人物が回想する過程を追体験することで自分の未開拓の心領域に道を見つけやしないか。 その次は「シェラザード」。女性と親密な時間を過ごすことには、現実を無効化する意味がある、との箇所が気持ちいい。そのくらい言い得ていると、個人的に感じられた。 続く「木野」については、村上春樹節という感じがした。すらすら書きあがったものではなく直しに時間がかかったようだけど、それでもそう感じられた。重要なテーマである「空虚」というものの解釈に、異化作用があった。「なるほど、そう考えるのか」と肯定的に読んでいくとモノの見え方が変わるようになっている。 表題作にもなっている、書下ろしの最後の短編「女のいない男たち」。鋭いセンスと豊かな技術で饒舌に語られる小説。腕っぷしに魅せられる読書体験。そして、『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』や『街と、その不確かな壁』へつながる一角獣というモチーフと喪失というテーマ。これはこれでまた、「木野」とは別の村上春樹節なのだった。彼の実力が自然と生み出すワザのように感じられた。 というわけだが、村上春樹さんの『女のいない男たち』は、各短編の最後には、その物語的に、あるいは哲学的にというか気持ち的にというか、ちゃんと腑に落ちるというように「オチ」がついて終わる構造ばかりだった。こういう形はすっきりするのだけど、僕は近ごろ名づけようのない気持ちや状況などで終わるものに興味があって、ならばまあ自分でトライするといいのだけれど、他者にもそれを求めてしまってるような心持ちがしているのに気づいた。 また、それがステレオタイプと気づかずにステレオタイプなセリフや行動の描写に接すると、読み手にとって負荷が少なく心地よいものなのかもしれないことにも気づかされた。常套句や当たり前のように感じられる考え方などがでてくると、それはステレオタイプなのかもしれなくても、ほっとするところがある。嘘は潤滑油で本音は抜き身の刀、なんて言った著名な心理療法家の方がいたけれど、この場合の嘘ってステレオタイプに寄せる意味を持つ、という言葉だったりしないだろうか。良いか悪いかは別として、人はそれで安心するのだった。 久しぶりの村上春樹作品でしたが、存分に楽しめました。
タイトルの通り"女のいない男たち"の物語。 いろんな形の女のいない男が登場し、さまざまな深層心理を描いていた。個人的には恋に落ちてしまったプレイボーイの末路"独立器官"がとても面白かった。今までは上手に女性との関係性を気づいていた男が本気で恋に落ち、心を翻弄さ...続きを読むれていく様は恋愛に伴う恐怖を思い出させてくれた。とても面白かった。
村上春樹を一冊読むのは初めてかもしれない。 短編集で面白いものもあればそうでもないものもあった。登場人物の大半が浮気なり不倫をしていた気がするが、それは置いておこう。 面白かったのは「独立機関」。まさかの恋の病で死ぬ人の話。 面白くなかったが心に残ったのが「女のいない男たち」。2年前に恋仲だった恋...続きを読む人の訃報を受けた後の心情を描いたものだ。 男性の恋愛は失恋したときに始まると何かで聞いた事がある。私にも覚えはあるし凡そ同意できる金言だ。しかし昔付き合うっていた初恋の女性の死でこれほど長い物思いにふけられるとは思いもしなかった。私もいずれそういう時が来るかもしれないが、笑ってしまった。決して長い話ではないが、心情を語るだけの話としては長すぎる。
ドライブマイカーを観に行ったことがあり、以前から読みたいと思っていた。また、彼女に振られて間もなかったのでちょうどいいと思い読んだ。 最後の章は表現が繰り返されるところがなんだか良かったなあ。 まだ大学生なのでいろんな本と女性に出会っていきたい。
映画「ドライブマイカー」が好きだと話したら、原作を貸してもらったので久々の村上春樹。 感想としては、どのお話も綺麗で魅力的な文だなと思う一方やっぱりまどろっこしくて難しい。笑 「ドライブ・マイ・カー」はまずこの短編を3時間の大作に仕上げ、見た後も深く考えたくなる余韻残る映画にした映画監督にも改めて...続きを読む感銘受けたし 本は本で短いのに、文章が濃くて読み応えあって、それなのに白黒決してはっきりさせない文調のTHE春樹節を久々浴びて楽しかった。 そして、当作の中の「シェエラザード」も映画のエッセンスになってたので映画を見た上でこの本読むと解釈深まってより楽しい。 この本は「女のいない男たち」をテーマにした短編集となってるが、共通して男の人達が惹かれているのは性に奔放で手に何を考えてるか分かりきる事のできないミステリアスな女性ばかり。 春樹にとって女性とはずっとそうなのであろう。 そういった男女の相容れない様子が多く描写されている中、 女の私も本書の内容で共感した事は、恋愛って失った後受け入れ難いくらい辛い思いをすることもあるけど"何もない日"はそれはそれで素っ気ないからやっぱ人生において必要な営みだなと。 意外と"独立器官“が面白かったな。 人を愛さず遊んでばかりだった男が最終的には恋の病で死んでく。 それでも何もない人生より良かったんではないかな。
女にいなくなられた男たちと、彼らに纏わる女たちの話。 女は突然現れ、突然去っていく。女の登場とともに新たな世界が生まれ、その女の消失とともに世界が失われていく。そして男は孤独になる。 男女差として語るのは乱暴かもしれないが、男は恋愛を生活そのものに結び付けて捉え、女は恋愛を人生の一部として切り分...続きを読むけて捉えているように感じた。だから女性は恋愛に一喜一憂しながらも、仕事や生活をある程度継続できる。一方で男は、恋愛の状態が仕事や私生活にまで露骨に影響してしまうことがある。 もっとも、男の生活をそこまで侵食するのは、誰に対してでもではない。月並みだが、“一生に一度”のような相手に出会った時だけだと思う。渡会の言葉ではないが、色恋をそれなりに経験してきた人間ですら、その相手に出会った時の抗体は持っていない。一撃必殺の猛毒とも言えるかもしれない。 猛毒だと分かっていながら自ら口にし、気付いた時には手遅れになっている。いや、むしろその毒に侵されることすら望み、自ら渦中に留まり続けて破滅へ向かっていくのだろう。その苦しみさえ愛おしく感じてしまうのだ。 逆に、自分に強制的に蓋をしてしまえば、何か大事なものを置き忘れたような、木野さんのような状態に陥るのかもしれない。 この短編集を読んで思ったのは、結局、人は傷付く可能性を引き受けないと、本当に大切なものには触れられないということ。 とはいえ、現実的な教訓として言えるのは、「遊び相手はさておき、本命には去られない努力をしろ」という、ライフハックかもしれない。
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