あらすじ
舞台俳優・家福をさいなみ続ける亡き妻の記憶。彼女はなぜあの男と関係したのかを追う「ドライブ・マイ・カー」。妻に去られた男は会社を辞めバーを始めたが、ある時を境に店を怪しい気配が包み謎に追いかけられる「木野」。封印されていた記憶の数々を解くには今しかない。見慣れたはずのこの世界に潜む秘密を探る6つの物語。村上春樹の最新短篇集。
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村上春樹の小説は読後感がとてもいい。さっぱりした気分になれる。
木野も良かったが、シェエラザードが1番良かった。男にとって女とは、女なんて、やっぱり女。
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村上春樹さん 文藝春秋2016年10月発行
短編6つ 読んだあとちょっと寂しさが残る物語
・ドライブ・マイ・カー
専属運転手みさきの本籍地「北海道上十二滝町」って「羊をめぐる冒険」では十二滝!なんか嬉しい
・イエスタデイ
聞いたことはないけど、へんてこな歌詞がとても気になる…
・独立器官
恋煩いで亡くなってしまう
その選択は、身近な人にはとても辛い
・シェエラザード
片思いの彼の家に、あえて留守に行ってしまうところは、ドキドキする
・木野
路地の奥の小さな酒場で、古いLPレコードを聴きながら過ごしてみたかった
・女のいない男たち
なにはともあれ、電話をもらったせいで思いを巡らせる…そうでなければ、思い出さないか
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(ドライブ・マイ・カー感想)
村上春樹の小説ってどうしてこんなに感想を書くのが難しいのだろうか。セックスについて語る事もままあるし、浮気(?)のようなテーマを扱う事も多い。しかしとても上品でメロドラマのような下品な感じは無い。いつも思うのだがこの人は文章から作者がどんな人物なのか掴めない。いや掴めない人物だということが感じ取れる。何事もしっかり受け止めてから過去に流しているというか、落ち着き払っていて達観しているのかと思えば弱い人間を描く事も出来るのが不思議というか。雲を掴むような、霞を食らっているような文章で酷い言い方をすれば印象に残らない、のだが言外の余韻のようなものが心地よくて結局読んでしまう。読むと、一種の禅のように、自分が抱えている焦りを煙に巻いてくれるのがこの人の作品の良い点なんじゃないかと現時点で結論付けたい。ドライブ・マイ・カーの感想というよりはこれ以降の彼の作品の感想を作る肩ならしをさせて貰った。
(独立器官感想)
劣等感だとか、反権威的な感情だとかがやる気を失うくらいに上品な文章。医師の謙遜や悩みは本来唾棄すべき、神経を逆撫でされるようなもの。でもその生き方が普通でないというだけで、本来は尊敬に値する人物だということ、そのような完全に近い人物が弱みを見せているということに対して一般人の自分も親しみを覚えずには居られない。
(木野感想)
煙草の痕だらけの女とかの流石にフィクションだろうけど現実世界のどこかには存在してそう、という純文学然とした感じが好き。バーで読書するの影響されてやっちゃった。
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木野が最も心に残りました。
失ったときにしっかりと喪失を向き合い傷つくことが実はとても大切でした。
こんな風に書くととても陳腐ですが、素敵な舞台装置と巧みな言葉使いでこんなにも感動的なお話になるのかと。
とても面白い。
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映画『ドライブ・マイ・カー』を観たあとに読んだ。この本1冊が映画になったのだなあと感じた。
男にとって、女にはどこまでいっても理解のできない部分があるという論旨はそうなのかもなあと考えさせられた。
Posted by ブクログ
面白い!!けど長編読んだ後だと短編は物足りないなあ〜〜〜
でもやっと情事をしてるシーンを村上春樹さんの言葉で初めて読むことができたので、なるほどこう描かれるんだなと分かったのは嬉しい。
一番好きなのは木野。ハイテクストに慣れてないのでまた考察力、理解力を深めてから読み直したいな。
Posted by ブクログ
いちばんかもしれないと思える作品だった。
村上春樹の文章には読者のための「スペース」が用意されていて、各々の過去を思い出しながら自分なりに共感することができる(少なくとも私は強い共感や親近感を感じている)点がひとつの大きな魅力だと思っている。本作は、強く思いをかけた女性を失うことという主題で、その色が比較的強く現れていたと思う。
イエスタデイが1番好きだった。
『そしてあるときには、一人の女性を失うというのは、すべての女性を失うことでもある。』
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様々な理由で女を失った男たちの話。短編集。
私は女だから男の人の心理は一生分からないけど、少しはそれを覗けたような気がする。
それくらい丁寧に、くどいくらいに(村上春樹の場合くどいは褒め言葉)、心の中の動きを描写していて感動した。
「木野」が個人的には好きでした。
Posted by ブクログ
初めての村上春樹。めちゃくちゃ偏見ですが、音楽、猫、文学的性描写…といったイメージがあって、そして概ね間違っていませんでした。
日本版アメリカンジョークとでも言えばいいのか、例えば、表題作「女のいない男たち」の書き出しのところの「真夜中の電話のベルはいつも荒々しい。~人類の一員として僕はそれをやめさせなくてはならない。」とか。大袈裟で小粋な感じ。
あと登場人物に漂うやれやれ感。
村上春樹を浴びたーっていうのはこういうことなんでしょうか。
「木野」が特に良かった。
カミタから突如店を閉めろと告げられた場面以降の緊張感が凄くて、ページをめくる速度が上がった。
分からないけど、男性のほうがやっぱりロマンチストで女々しいんでしょうか。
最近どこかで誰かが言ってた「男って、別れた女が自分のことをいつまでも好きだと思ってる節がある」っていうのを思い出しました。
まあ男女関係なく人によるよねって思うけど。
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村上春樹の短編集。村上春樹の長編はけっこう読んだけど、短編集は初めて。三宅香帆さんが村上春樹は短編集がめちゃくちゃいいと力説してたので手に取った。
短編集は内容がわかりやすかった。私の読解力では解釈できなかったり、メタファーがイメージできなかったりするものは出てこなかった。つまり、壁とか騎士団長とか鈴とか井戸とかそういうものが出てこないことにびっくりしてしまった。短編集は全部こんな感じなのかな?
わかりやすいけど深みがある短編集だったな。特に「独立器官」が好き。「木野」も結構すき。喪の作業、めちゃくちゃ大切。
Posted by ブクログ
ドライブマイカーの映画からたどり着いた短編集。
書き下ろしの「女のいない男たち」だけ好きじゃなかったけど、他は高品質な作品揃い。
・ドライブ・マイ・カー
すごく好き。好きすぎる。
映画見たから情景浮かびやすいっていうのはあるけど、ものすごく世界に入り込んで読めた。
心の葛藤は純小説向きですね。
上十二滝町って。羊をめぐる冒険に出てきた十二滝町じゃないですか。
・イエスタデイ
芦屋出身で標準語の谷村と、田園調布在住で関西弁の木樽と、木樽の幼なじみで彼女のえりか。二浪で勉強しない、自分の確固たる、そして独特な考えを持つ木樽への谷村の感情と感傷がとても良かった。
・独立器官
美容外科医で独身50代の渡会。語り手は渡会の親友らしき「僕」はイエスタデイの主人公、谷村と思われる。
谷村視点での語りがメイン。すごく想像できて、すごく惹き込まれた。
・シェエラザード
ものすごく面白かった。
やつめうなぎ。愛の盗賊。鉛筆とタンポン。
性欲に支配された狂気的な行動を淡々と語る。たまらない。
・木野
妻に浮気されて離婚した木野は、伯母に借りた物件でバーを営む。坊主頭の客がカウンター奥に座っている。
オカルトテイストを含みつつ、人間の内面深くの葛藤が見事に描かれていて、とても好き。
・女のいない男たち
死んだM。水夫。
これ書いてて楽しかっただろうなぁ。やりたい放題の一人語り。
Posted by ブクログ
村上氏の短篇は幾つか読みました。
私の感覚では、彼の短篇というのは、偶然知り合った人から聞いた世にも稀なるお話、ややシュールな感じのお話が多いという印象があります。
具体的な近似を述べれば、『ナショナル・ストーリー・プロジェクト』みたいな作風でしょうか。不思議、超自然、はたまた偶然。それを淡々と、微熱感のある興奮とともに綴る。
で、本作『女のいない男たち』は、よりテーマ性のある短篇に感じました。
タイトル通り、女性に去られた男性が過去を回顧するようなお話です。そしてそこに不思議、超自然、はたまた偶然、という村上節は従前同様にブレンドされています。
・・・
全部で六つの短篇で構成されています。どれもなかなか良かったかなと思います。
「ドライブ・マイ・カー」
妻と死別した舞台役者による、臨時運転手への独白。妻(女優)が浮気していたどうでもない男たち(同業者)の一人と友人になってしまったという話。妻の浮気心への謎を考える役者の未解消な心を描く。
「イエスタディ」
「僕」の学生時代のバイト先の友人、木樽の回顧。田園調布住まいの早稲田志望の二浪の木樽はバイト先でネイティブ並み関西弁(なにしろ天王寺にホームステイまでした)で、神戸出身で標準語の「僕」と会話する。木樽の幼馴染で恋人だった栗谷と20年後に偶然出会った「僕」は木樽の現在と栗谷のピュアな心に感傷・安心を覚える。
「独立器官」
独身主義の美容整形外科医院を営む渡会の話。ほどほどに女性と遊ぶことを旨としていた渡会が40を過ぎてから本気になってしまった女性。渡会は恋煩いといってもよい拒食症による心不全で死亡。その後の顛末を「僕」は秘書でゲイの後藤から聞く。そしてその女性と家族の顛末も驚くようなもので…。
「シェエラザード」
本作の中で最もSF色が強い作品。「ハウス」に隔離され匿われた羽原。定期的に彼の元を訪ねてくる家政婦(兼性欲処理?)の通称「シェエラザード」。ベッドの後で、彼女はいつも不可思議な話を語り、そして4時になると夕食の支度があるといそいそと「ハウス」を後にする。
「木野」
バーの店長、木野の話。彼はもともと陸上選手で、けがで夢破れ、スポーツメーカーに就職。後に結婚し、地味ながら充実した日々を送っていた。ところがとある日、出張から早く帰ってくると、そこには不貞を働く妻の姿が。しかも不貞の相手は彼の同僚であった。そんな木野が退職をし、バーを持ってから来るようになった不思議な常連「カミタ」とその後に起きた不可思議な出来事について。
「女のいない男たち」
これは正直良く分かりませんでした。物語というより独白だけの短い文章でした。
・・・
ということで久方ぶりの村上氏の短篇集でした。
だからどうなの、意味は?とかいう読み方ではなく、不思議な出来事が世の中にはあるねえ、という鷹揚な構えのもと楽しむような作品ではないかと思います。
私はなかなか好きです。
Posted by ブクログ
映画「ドライブ・マイ・カー」の原作を含め、6つの短編が入っている。
最後の、本のタイトル「女のいない男たち」以外は全部面白かった。
最後の短編は全然意味が分からなかった。
Posted by ブクログ
村上春樹はあまり読んだことがなかった。ファンが多いから独特で難解な表現ばかりなのかと敬遠していたが、読んでみると分かりやすくさくさくと読めた。かと言って簡素なわけでなく、言葉にしづらい気持ちや事象を私たちの心にすんなり落としていくような表現で伝えてくれる文章だ。様々な女に去られた男たちの余韻が不思議な魅力として染みてくる一冊。
Posted by ブクログ
多様な形で女性と別れることになった男性陣を、様々な角度から眺めた短編六篇が収められている。
タイトルに惹かれて書店で手に取り、購入した。どうやらその判断は適切だったみたいだ。あの寂しげだが温かい、独特の余韻を残す素敵な読書体験ができたのだった。
さて僕は村上春樹の小説を読むと、昔から不思議な感覚に見舞われる。
脳の奥深くの、最深部といっていいほど深い、どこか得体の知れないデリケートな場所。あたかもそこをスコップでせっせと掘り、自分の中に眠っている(というと烏滸がましいが)創造の泉を探り当てようとされるかのような、不思議な感覚だ。
正直なところ、遠い昔はこういう感覚にはしんどいものを感じた。それは多分僕自身における外的な経験が不足していて、そのために創造の泉が充分に湧いていなかったからだ。当時の僕は、自分の中の極めてプライベートな領域を、必死に守っていたように見受けられる。
しかし今では、この感覚は決して不快なものではない。むしろ創造的な感性のエネルギーを、こんな僕からも掘り出してくれる、村上春樹の力強さにただただ感動し、感謝さえもするのである。たぶん僕自身の外的内的な経験が、それなりに充ちてきたということもあるだろう。
彼の作品をオープンに読むためには、まず自分自身がオープンになっていることが必要なのだ。
さてこの短編集だが、それぞれの短編がそれぞれの経験を読者に要求する。だがその要求を満たした読者には、報酬として彼一流の、喪失感と創造性を伴った感情の波のようなフルコースが、村上春樹シェフから振る舞われることになる。
そこにはどんな方にも響く料理がきっとあるはずだ。そこで僕が唸った短編を挙げてみよう。
『イエスタデイ』
氷でできた月と表現される初恋の淡さ儚さを、美しく描く初々しい短編だ。
風変わりな登場人物による恋物語であるが、同じく風変わりな僕だから、とても深いところの感情を揺り起こされた。そしてそこから発掘されたものを感じとることができた。
この感情の揺れを言語化するのは甚だ難しい。だが多分このような経験のある方は、知らず知らずのうちに涙腺がほんのりと緩み、胸が熱くなるような体験ができることだろう。
概して、風変わりな人の普通ではない(けれども誰にも迷惑をかけない)振る舞いは、その人がロマンチストであることの証明であるのだろう。
『木野』
芸術的感性と瞑想的直観の混在する、村上春樹特有のあの世界観が炸裂している短編だ。
カミタと名乗るミステリアスな魅力を湛えた、何かしら守り神のような男性。そして主人公木野の周りを渦巻く、どこか薄暗く湿っぽい不穏な空気。
その不穏は木野の周りに自ずと集まったものかもしれないし、木野が進んで招いたと言えるものかもしれない。
感性と直観が混在していると書いたが、この作品が読者により多く要求しているものは後者である。それもかなり高度な力だ。ゆえに難解な作品ということができるだろう。
主人公木野が、そういう直観力に乏しい人物として描かれているのがユニークなところだ。予感を予感のまま余韻として味わうところに、この作品のキモがある。
『女のいない男たち』
この短編集の総括として書き下ろされた作品。エレベーター音楽だとか、そういうお洒落なものは僕にはわからないが、女のいない男たちの一員として、雰囲気は存分に味わうことができた。
物語の導くままに、天国のように何もない寂寞とした空間に立たされた僕は、ふと昔の女性のことを思った。
この先僕に再び女性ができるかわからない。また仮にできたとしても、それは彼女以外の誰かだ。いかなる人間も、彼女の代わりを完全に演じ切ることはできない。
そう考えると、寂しさはいよいよ募るばかりだったが、同時にまた家族とか、身内とか、職場で繋がりを持ってくれている人とか、そういう人たちとの絆を大切にしたいと思った。
彼ら彼女らの代わりを務められる人間もまた、他にはいないのだ。僕らは皆、唯一無二の人間なのである。
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6編が収録された短編集。村上春樹作品はこれまで何作か読んできたが、短編集は初めてだったので楽しめました。どの話も最後は哀愁漂うような印象で、特に『イエスタデイ』が好みでした。タイトル通り、女のいない男たちというテーマが一貫していて、村上春樹成分が凝縮されていた。
映画ドライブマイカーはこの短編集のうち「ドライブマイカー」を軸にしながら「シェエラザード」「木野」あたりの短編のイメージも用いながら再構成した話になっているのかな。
男と女、男のプライド(といってもパターナルな男性像ではなく、一見するとリベラルな男性の持つある種のプライド)。男は自分の内側の傷とうまく向き合えず、それを共有する仲間も持てず、妻や友人に本当の意味で自分の弱みをさらけ出せない。そんな男性性を描いてる作品だと思った。
ドライブマイカーの映画が楽しみ
ドライブマイカーは絵になると言うか、情景が浮かぶ良いストーリーでした。その他のお話は独立機関、シェラザード、木野と表題作まで、女性を何らかの形で求める男の満たされない気持ちがあふれているように感じました。コロナで人々のふれあいが不自由になる中で求めていたショートピースを一個いただきました。
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しんみりさせられた。俺をしんみりさせられる作家ってそうそういない、村上春樹はなんだかんだ言われるけど好き。『女のいない男たち』を読んでピンとこないって人はたぶん・・・人生に深みが足らない(個人的な感想でした)
Posted by ブクログ
ドライブマイカー
妻の不倫相手に接近して話を聞くという展開はほかにない感じがした。そもそもなんで話をしたいと思ったのか。そしてなぜ途中で連絡を取らなくなったのか。よく理解できない面白さがある。「女のいない男たち」というテーマの中でドライバーの女がいて、話を聞いてくれるという僅かな救いがあったように思う。
イエスタデイ
幼馴染との温度感というのも面白いテーマになっていた。幼馴染欲しい。
独立器官
まったく理解できない。不倫を好き放題できる人の感情はこんな感じなのかな。
シェエラザード
まったく理解できない。というかちょっと気持ち悪い。わざとこのような表現を使って印象に残る感じの作りにしている?
木野
最初は落ち着いたバーの雰囲気で淡々と話が進んでいたのに、急に幻想的な雰囲気になっていって村上春樹っぽさを感じた。悲しいときはとことん悲しむべきというのは腑に落ちるけど、それを文学的に書くとこうなるのかって感じ。
女のいない男たち
表題作ということで身構えていたが、ほかの作品の総論的に作っている構成で、これ自体が面白いというより、全体で一つの物語になるように作った作品っぽい。「女がいない」のではなく「女を失った」ということにまとめることで、「孤独」というより「喪失」、「空虚感」ではなく「残響」が描かれている。俺は「女を知らない男たち」になるので、ワンランク下のステージにいるのかもしれない。
Posted by ブクログ
村上春樹、登場する女の人たちの胸のサイズについて毎度ご丁寧に教えてくれる
最後の表題作が1番好み、相変わらず当たり前に性的だけど
あまりにも自然で見逃しそうになるくらいだよ
Posted by ブクログ
様々な形で女がいなくなった男の話。
「本当に他人をみたいなら、自分自身を深く真っ直ぐ見つめるしかないんです。」 どれだけ愛してても、その人のことを真に分かることは無いんだな、としみじみ感じました。
木場が1番自分の心にささりました。非日常感が好き
Posted by ブクログ
村上春樹による、タイトル通り女のいない男たちをテーマとした短編集。
村上春樹小説は学生の頃、一時期読んでいたが、おそらく10年ぶりくらいに読んだと思う。
全編を通して嫌というほど浴びせられる村上文学をそれぞれ短いながらも強く体感できる。
それぞれのストーリーにおいて、大なり小なりあるが少し奇妙な感覚を味わうことになる。それは登場人物の性格であったり、関係性であったり、多少の超常現象だったりと多種多様である。
テーマは前述のとおりタイトルがそのままテーマとなっており、様々な事情により女性に去られた(または去られる)男たちの心情やその周りの回想を描いた物語となっている。
例に漏れず主人公もしくはその周りの人物の心情描写が多く、また全員話が回りくどい。なんだか鼻に付く喋り方だなぁ、とも思うがいつの間にか心の深いところに染み込んでくる。
ミステリーを主に読む読者からすると、驚くような展開もないし、推理するような内容でもないのでストーリーは面白いのか面白くないのかよく分からなくなるが、やはり心理描写や情景描写は圧倒的濃度である。
「ドライブ・マイ・カー」
映画化もされた一編だが、正直よく分からなかった。妻に先立たれた家福と女性運転手渡利の関係性は好きだが、家福の妻の元浮気相手との回想は掴みどころがなく、何をしたいのか、考えてるのかが見えなかった。久しぶりの村上春樹の一編目ということもあるかもしれない。
ただやはり、全編を通して一番村上春樹味を感じられるような気がする。
「イエスタデイ」
木樽のキャラクターは嫌いじゃない。ドライブ・マイ・カーの家福にも通ずるが、演じることで自己を保っているように思う。本当はメンタルが強くないのに強がっている。木樽は個性が強く描かれているが、男というのは誰しもこういう一面を持っているのではないか。最後は少し切ない終わり方だが、全編を通しても悪くない結末と感じた。
「独立器官」
おそらく渡会医師の本当の意味での初恋と初失恋のような物語。彼の感情は初めて恋した中学生かのように描写されている。はじめは純愛の話かと思っていたが、それは渡会医師の方だけであったことが明かされる。全編を通しても最も悲惨な結末なのではないだろうか。
「シェラザード」
この小説の中には、多くの個性的な男性達が登場するが、ここでは不思議な女性が登場する。
愛するが故に片思いしていた人の家に空き巣に入り、欲望を満たしていた過去を持つ女性との不思議な夜の営みの話。空き巣していた頃の回想の描写がとてもリアルで緊張感を感じられた。リアルすぎて気味の悪さも同時に感じたが。この話では明確に女性が去ったかどうかは分からない、読者の想像に委ねられる形での結末となっていた。
「木野」
個人的には一番好きな話だった。
木野と神田のキャラクターがかっこいいし、木野の心情に感情移入できる。特にラストシーン、自分が深く傷ついていることに自覚して涙を流す瞬間は最も好きなシーンである。
この話はもっと広げて長編でも良かったのではないか、と思うほど設定が多く、しかも最後まで謎は明かされない。
木野から去った女性としては、元妻や常連客の女性だけでなく、一番最初の来訪者である雌猫も彼から離れている。
神田や叔母は何者か、突然現れた蛇は何だったのか、最後にノックしてきた者の正体は何だったのか、これらは現実なのか、もしくは木野の精神世界の話なのか、様々考えされられながらラストを迎えた。
「女のいない男たち」
タイトル通り、ここまでのストーリーのまとめのような話だった。
主人公の昔付き合っていた彼女の訃報が夫を名乗る男から届くところから物語はスタートする。
元彼女との回想どこまでが彼の妄想でどこまでが現実なのかよく分からないように描写されている。
彼や元彼女の夫は「女のいない男たち」となり、世界一もしくは世界二の孤独となったが、彼らだけでなく、誰しもが「女のいない男たち」となる可能性を読者に示唆している。要するに本書の主人公はかなり個性的ではあるが、読者それぞれを現しているということなのだろう。
たしかに全編を通して、失恋したときの感情に近いものも多かったように思う。
そして気付けばこの感想も回りくどく、何が言いたいのか分からなくなってきたので、ここで締めたいと思う。
結局私も村上春樹の書く文章にのめり込んでいるということなのだろう。
Posted by ブクログ
ときどき急に村上作品を読みたくなる。
こんな季節の変わり目の時はとくに。
個人的に、木野、が一番すきでした。
もっと話的には展開していってほしい、という思いが強かったですが。
村上作品に触れると圧倒的な孤独感を強く抱きます。
とても感傷的な気持ちになるんです。
それをなぜか自分が求めているというなんとも形容し難いですが、事実です。
おもしろいとかおもしろくないかというよりもこの文体に浸っていたいという、そのために読むのです。
私でもふしぎですが、村上作品からしか得られない養分があるのは事実です。
Posted by ブクログ
村上春樹の短編は久し振りに読んだ。面白くはあったけれど、長編小説を読むほどの充実感はなかった。
「さあ、これからどうなるんだろう」と思うところで、つまり、導入があり、展開があり、さあこれからと思うところで終わる感じがしてならなかった。そして、転結を省略する代わりに、一種まとめ的なパートがあり、そのあたりも説明的であまり好きになれなかった。書き下ろしの「女のいない男たち」に至っては、全体がそういった説明的なまとめに過ぎないような印象さえ会った(文章は印象的であったが)。どの作品も、「これで物語が語られ尽くした」という気持ちで読み終えることができなかったのは、作者の狙いかもしれないが、個人的には不満が残る。
ただ、それは別として、物語世界はとても興味深くあれこれと考えさせるものだった。僕が20代とか30代だったら別の感じ方をしたかもしれない。たとえば「イエスタデイ」についてなら、語り手と彼女が再開するあたりに一番心を打たれた。過ぎていった月日を遠くから眺めながら、やり残した何かにガツガツしない姿が、何か一種もの悲しい真実をみるような気がした。
一番気に入ったのは、作者自身が一番苦労したと述べている作品である。日常の中に静かに「何か」が忍び込みやがて現実を侵食していく様子、現実と非現実の境界線がいつの間にか曖昧になっていく不気味さが、いくつか長編を思わせた。そして、主人公の持つ欠落が、読んでいる僕自身にとっても極めて切実に感じられ、ラストの描写がまるで自分事のように苦しく感じられた。他の短編(というより中編)以上に「先が読みたい」と思う気持ちが強く、いつかこれを元にした長編を書いてくれないかと、読み終わって思った。
かつてのような凄みは感じられないけれど、どこかを確実に抉っていく村上春樹の小説を、命つきるまでこれからもゆっくり読んでいこうと思う。
Posted by ブクログ
言葉の美しさとオシャレな雰囲気を纏った作品ですが、総じて暗く、繊細で深い傷を負ってしまった男性たちの話。これ、逆に「男のいない女たち」ってことだったら、結構爽快な明るい話になったりして・・と思ってしまった。一番面白かったのはシェラザードかな。
Posted by ブクログ
収録作のドライブ・マイ・カー、映画が気になってまずは本から読んでみて、意外にシンプルなストーリーでした。次に映画を見て、他の村上春樹作品でイメージが大分ふくらませてあるのが分かって、どちらも良かったです。
さて、この本、短編集ですが比較的読みやすいシンプルな話が多く、でも村上春樹らしい雰囲気は感じられて、良かったです。
最後の表題作、女のいない男たち、は、この前に読んだ初期短編「ある晴れた朝に100%の女の子に出会う」とつながっているのかなと思いました。出会いというのは必要なあるとき(女のいない、では、14歳)になされないといけないのだな、と。それはそれでとても良く分かるのですが、でも、そういう完全さを追い求めるのは、糸のような細い道を外れずにたどり続けるような危うさがありますよね。村上春樹の小説は、いつもそういう完全さを追求している気がします。
Posted by ブクログ
村上春樹にしては読みやすくてしっかり理解もできたᴗ ̫ ᴗめちゃくちゃ面白いかと言われればそうでもないけど、豊かな感性が滲み出る表現が端々にあって読むの楽しかった
最後の方は村上春樹全開だったけど❗️❗️
Posted by ブクログ
ドライブマイカー、面白かった。村上春樹らしくなく話が分かりやすいし、らしく文章も流れるよう。シエェザラードまで、徐々に難解になってくるけどなんか腑に落ちる感じ、珍しい。
木野の後半から少々事情が変わって来てワールド全開、最後の表題もまさに村上春樹だった。まぁ面白いんだけどね。リズムがいいからよく分かんないけど読んじゃうってのが正しいのかも。。
「エレベーター音楽」とは?
「喪失感」が色濃くなり円熟期をむかえた村上春樹の短編6作品。「女のいない・・・」というわりに努力しなくても女の人とかかわり、時に深く交わってしまう村上ワールド。歌詞が全部知りたくなる、そしてあるあるのイエスタデイ、思春期特有のいけないことをしてしまう話のシェエラザード、ねじまき鳥クロニクルのような夢のような不思議な展開の木野が印象に残った。そして書き下ろしの表題作では、パーシー・フェイス「夏の日の恋」を聴きながら読みました。一角獣は茗荷谷にいます。
Posted by ブクログ
ついこの間まで岩波の千一夜を読んでいたので、シェエラザードに違和感(笑。
空き巣の話にはゾワゾワしましたわー。
でも続き、気になる。
主人公も謎めいてるし、これだけで長編のプロローグになりそうな雰囲気。
木野も良かったかも。
どちらも好きなストーリーと言うよりは、気になるストーリー。
やっぱり分からん
村上春樹の小説は何作か読んだが、どの作品もスッキリさせてくれない。そこが作者の狙いかも知れないが、私はダメだ。どうでもいい事をややこしい単語と言い回しで難しげにしているだけで、内容が入ってこない。今回もやられた感が強いな〜