【感想・ネタバレ】女のいない男たちのレビュー

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年01月06日

⚫︎受け取ったメッセージ
人を好きになり、分かりあうことの難しさを思った
現実味のある村上ワールド



⚫︎感想
映画化された「ドライブ・マイ・カー」


村上氏はずっと「意識と無意識」をテーマに書いているとのことで見せ方は異なれど、常に一貫している。


・ドライブ・マイ・カー
映画化もされた作...続きを読む品。映画も見たが、映画は本作にかなり忠実にベースにした上、広がりやイメージも付加されている。本作も映画もとてもいいと思った。また読みたいし、見たいと思う。

妻の浮気相手である高槻は「どれだけ理解し合っているはずの相手であれ、どれだけ愛している相手であれ、他人の心をそっくりのぞき込むなんて、それは出来ない相談です。そんなことを求めても、自分が辛くなるだけです。しかし、それが自分自身の心であれば、努力さえすれば、努力しただけしっかり覗き込むことはできるはずです。ですから、結局のところ、僕らがやらなくちゃならないのは、自分の心と上手に正直に折り合いをつけていくことじゃないでしょうか 本当に他人を見たいの望むのなら、自分自身を、深くまっすぐ見つめるしかないんです。僕はそう思います。」という言葉に打たれ、家福の心に届く場面が好きだ。結局は、家福は妻の深いところに入りきれず、不倫を見なかったことにし、妻の前でも良き夫の演技をし、嫉妬していたり、遠慮したりしている自分自身も見て見ぬふりをしてきたのだった。役者である家福は、それを自然にやってのけられる技量があるせいで、それは無意識的に自分を守るためだったかもしれない。

みさきの、若いのに達観している格好よさには惚れ惚れする。家福が自分の心を素直にみさきに吐露するところ、みさきが、他人の理解し得ない部分を「病」と簡潔に言ってのけるところが、いい。もやもやした部分に名前を与えることで、みさきは家福を救っている。そして家福の娘(幼年で亡くなったが)と同年齢設定にしてあるところもいい。よく考えられた作品だと思った。

※他印象に残った作品

・イエスタデイ
関西生まれではないのに後付けでコテコテの完璧な関西弁を身につけて話す大学生時代の友達。ユニークで切ない気持ちになる作品だった。

・独立器官
そつなく生きてきた50過ぎの美容外科医の男を通して描かれる作品。スマートに恋愛を謳歌してきた恋をして食べ物が喉に通らなくなり拒食症のようになり死んでしまう。それまでの上部の恋愛しか知らなかったそれまでの彼と、相手の質はどうあれ、そこまで恋焦がれ、身を滅ぼした彼と、どちらが幸せなのかはわからない…が、そんな男がいたということを忘れないために、書いたという設定。

・木野
傷つくべきときに十分傷つかないと、感情を押し殺してしまっては、中身のない虚ろな心を抱き続けることになる。最後に自分の心と向き合い、自分のために涙できて良かった。


人は、無意識に自分を守ろうとしてしまう。無意識の領域なので、何かに侵食されていても気づかない。そういったものが、意識的には平気なのに、体調不良、肌荒れなどに現れてくる。ああ、自分が意識している以上にストレスを感じているのだなぁという経験がある。
しっかり問題と向き合うことは、たしかに苦しい。が、腰を据え、一度自分の中で問題部分を見つめ、時間をかけ、言葉にし、乗り越え納得することができたときには、本当に苦しみから解放される。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年04月13日

女のいない男たちをあらゆる角度からこんなにも切実に、もの悲しく書けるのかと驚いた。
登場人物たちが実在しているかのような語り口にたまにどきっとするし、それがまた読後もゆるやかな余韻を残していく。
比喩やら何やらで頭がごちゃついて理解が追いついていないのに、なぜか心地よい。よく分からないけれどなんだか...続きを読む分かるような気がして好きな文章、の連続だった。
もっとこの人たちの話を聞いていたかった。どれを読んでも短編じゃ物足りない!と思ってしまった。中でも「独立器官」と「木野」が気に入った。

「ドライブ・マイ・カー」で語られていた、内で静かに血が流れつづけている感覚。それは「木野」にも共通する部分に思えたが、『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』も彷彿とさせた。あれも好きな作品だったな。また読み直そう。

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Posted by ブクログ 2024年04月09日

女性との出会いとか過去とかそんな男の短編集。
長編小説がダルくなってきている私にはピッタリで楽しめました。
映画のドライブマイカー見てから、何の気無しに買ってみましたが、映画のあれとはまた全然違いますね。この短編の幾つかのモチーフが混ざっているような、、、。
喫茶店で1人のんびり過ごしている時の隣の...続きを読む席の人の人生を覗いているような、そんな身近で少し刹那な日常の描写が印象的でした。
これで私の考え方が変わった部分はないが、兎に角人生のタイミングとか分かれ道とか誰と会うかとかは、その時々の自分と相手の選択で成り立っているんだな。と改めて思いました。

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Posted by ブクログ 2023年12月29日

村上春樹の短編小説集。
個人的に好きな話はイエスタデイ。人が成長する過程として、「若いときにはそういう淋しく厳しい磁気を経験するのも、ある程度必要なんじゃないかしら?」「樹木がたくましく大きくなるには、厳しい冬をくぐり抜けることが必要なみたいに。いつも暖かく穏やかな気候だと、年輪だってできないでしょ...続きを読むう。」というセリフがとても印象的だった。ここでは、恋愛の話の中でのフレーズだが、恋愛に限らず人間関係や自分個人にも当てはまる話で、心に留めておきたいと思う。また収録さている「木野」も好きな作品である。妻の浮気から現実逃避し、傷つくべき時に傷つかなかった主人公が、現実逃避先の新たな環境で、少しずつ自分を見つめ直していく話。猫や蛇、神田、謎の女などの登場人物との関わりで綺麗に書かれていたと思う。面白かった。

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Posted by ブクログ 2024年02月01日

あまりタイトルからして好感が持て無かったがそこそこ面白かった。男女の関係の中にある複雑な要素を追体験したような感じ。アタシにはわかんないけど

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