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Posted by ブクログ
5人の女と1人の男目線で描かれる情愛を通した「人の弱さ」の話であったように思う。
単純に1〜10で人の心を強弱つけるとしたら、6から上が強いと言うことになるのだろう。
だとするとこの世界の人たちは1か2だと感じた。でもすべての話を通して見上げるように読んでしまった。
嘘の女も、初の女も、悔の女も、買の男も、母の女も、愛の女も。
明らかに少数派の人たちを眩しいと感じた。それが花房観音氏が描く上品な色気やどこか既視感を覚える描写故なのかはわからない。
6人に共通することは、総じて褒められるような人たちではないということ。人格者でもなければおよそ等身大でもない。が、読み終えたときこの6人を責める気持ちや卑下する気持ちは自分の中になかった。
ただ達成感というには霞がかかったような気持ちと、胸の奥を握られたような焦燥感にも似た気持ちがあった。
「桜色の、ほどよく上品で、うるさくなく、少女趣味一歩手前のピンク」
これは舞台のラブホテルの内装を描写した一文だ。この文が一番強く印象に残った。自分の中でこの本を表す一文だと感じた。
ここから先は自分の目で確かめてほしい。
大したレビューじゃないが参考までに。
Posted by ブクログ
花房観音『愛の宿』文春文庫。
ラブホテルを舞台に様々な男女の姿を描いた6編から成る短編集。全ての短編が「もし、あの夜、あのホテルに泊まらなければ ーどうなっていた……」という後悔とも取れる一文から始まる。ラブホテルで女性の死者が出たことから、多くの男女が足止めを食らうという特異なシチュエーションが面白い。様々な男女の姿と各々の未来が垣間見える。
『嘘の宿』。ラブホテルで不倫を重ねる男女。将来、男と一緒になることを夢見て来た独身の女と巧みに女の騙しながら関係を続ける妻子ある男……
『初の宿』。初体験を迎える19歳の女の子と2つ歳上の男。男の初体験の相手という歳上女性に嫉妬する女の子。初めての相手に抱くのは幻想か……
『悔の宿』。44歳の既婚の女性が同級会で再会したのは初体験の相手。盛り上がった勢いでラブホテルに行き、体の関係を持つが……良い思い出は心の奥に仕舞っておいた方が良い。
『買の宿』。出会い系サイトで知り合った女子大生とラブホテルに入った34歳の素人童貞。意外にも救いのある物語だった。
『母の宿』。冒頭で死んだ女性について詳細が明かされる。前の4編とは異なり、ラブホテルの経営者の女性の物語が描かれる。経営者の女性の過去と事件をきっかけに広がり始める未来……
『愛の宿』。完結編。ラブホテルで死んだ女性の真相が全て明かされる。
本体価格700円
★★★★★
Posted by ブクログ
もし、あの夜、あのホテルに泊まらなければーーの冒頭からはじまる短編六つ。
ここでいう、「あのホテル」はラブホテルのことを指している。本編において舞台となるのは、京都の繁華街にあるとあるラブホテル。セックスという、おおっぴらには外でできない行為を、ほかにする場所がないという事情、つまり不倫、援交、未成年といった、さまざまな理由を抱えた人が、それでもセックスをするために利用する場所である。
そこで、ある夜、女が死んでいた。その事情聴取のため、ホテル利用者は全員、翌日夕方までホテルからでられない。
みんな、後ろめたい理由があって、ラブホテルを利用している。配偶者に嘘をついているもの、親に嘘をついているもの、関係を偽っているもの、身分を偽っているもの。その嘘が、「現実にかえれない、ホテルからでられない」ことで強制的に剥がされていく様子がみえました。セックスという行為の意味は何だろう、と考えさせられた作品でした。
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