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片思いレシピ
ママが中国へ取材旅行に行っている間に、親友の妻沼柚子ちゃんと一緒に通ってる学習塾の先生が、誰かに殺されちゃった! お人形のような美少女の柚子ちゃんをえこ贔屓して、こっそりお菓子をあげたりしていた先生なんだ。どういうわけか柚子ちゃんのお祖父さんや、ちょっと風変わりなお兄さんなど、妻沼家のご家族が事件の捜査にのり出してきちゃって、ってちょっとちょっとパパ聞いてるの!? あの柚木草平の愛娘、小学校六年生の加奈子ちゃんの探偵行と淡い恋心を瑞々しい筆致で描く、さわやかな余韻が秀逸なミステリ。著者あとがき=樋口有介/解説=岡田育 -
踊るジョーカー
類稀な推理力を持つ友人の音野順のため、推理作家の白瀬白夜は仕事場の一角に探偵事務所を開設する。しかし当の音野は放っておくと暗いところへ暗いところへと逃げ込んでしまう、世界一気弱な名探偵だった。依頼人から持ち込まれた不思議な事件を解決するため、音野は白瀬に無理矢理引っ張り出され、お弁当持参でおそるおそる事件現場に向かう……。大量のトランプが散らばった密室での殺人事件、見えないダイイング・メッセージ、令嬢の婿取り雪だるまコンテストで起きた不可能犯罪など五つの難事件を収録。キュートでコミカル、しかし心は本格ミステリ。名探偵音野順、第一の事件簿。 -
手焼き煎餅の密室 美波の事件簿4
同じ中学に通う親友・直海の祖母の住む、浅草の家を訪問した倉西美波。落語の名人の妻だった彼女は、今でも弟子の面倒をみている。二人が訪ねたときも、ちょうど稽古の最中だった。突然の来訪も歓迎してくれた彼女は、お茶うけを出そうと台所へ向かうが、そこには近所の男の子が忍び込んでいた! 家主に見つかった少年はあわてて逃げようとするが、かなわないと見て、思いもよらぬ行動を……(表題作)。周りで起きる奇妙な事件の真相を、「水島のじいちゃん」は華麗に解き明かしていく。修矢編二作、美波・直海編二作に、書き下ろしのかのこ編一作を含む、ライトな本格ミステリ短編集。好評《美波の事件簿》シリーズ、前日譚。 -
模倣の殺意
七月七日の午後七時、新進作家、坂井正夫が青酸カリによる服毒死を遂げた。遺書はなかったが、世を儚んでの自殺として処理された。坂井に編集雑務を頼んでいた医学書系の出版社に勤める中田秋子は、彼の部屋で偶然行きあわせた遠賀野律子の存在が気になり、独自に調査を始める。一方、ルポライターの津久見伸助は、同人誌仲間だった坂井の死を記事にするよう雑誌社から依頼され、調べを進める内に、坂井がようやくの思いで発表にこぎつけた受賞後第一作が、さる有名作家の短編の盗作である疑惑が持ち上がり、坂井と確執のあった編集者、柳沢邦夫を追及していく。著者が絶対の自信を持って読者に仕掛ける超絶のトリック。記念すべきデビュー長編の改稿決定版! -
囲碁殺人事件
第七期棋幽戦第二局は、〈碁の鬼〉と称される槇野猛章九段の凄まじい妙手で一日目を終えた。翌日の朝、対局の時間に槇野九段は現れず、近くの滝の岩棚で首無し屍体となって発見される。死の二週間前に目撃された「鬼の首を取る」奇妙な詰碁は殺人予告だったのか。槇野九段が首を切断された理由とは。山林で発見された腐乱死体は事件と如何なる関係があるのか。知能指数208の天才少年・牧場智久と姉の典子、そして大脳生理学者・須堂信一郎のトリオが不可解な謎に挑む。名作『匣の中の失楽』に続いて放たれた著者初期の傑作本格推理。ゲーム三部作第一弾、牧場智久シリーズ開幕。 -
田舎の刑事の動物記
【2012年1月5日スタート、ドラマ「デカ黒川鈴木」原作】町で野生のサルの被害が問題になり、変人学者の主張でサル対策を警察が主動しなければならなくなった。しかも不可解な状況で発生したボスザルの死の謎をも解き明かす必要に迫られ、黒川刑事はしぶしぶ捜査に乗り出す――表題作「田舎の刑事の動物記」をはじめ六編を収録。猿を追いかけ、蜂に追いかけられ、奥さんと台湾旅行に出かけて散々な目にあう黒川、今回は殺人事件にも遭遇します。田舎でだって難事件は起こる。鬼刑事黒川鈴木、今日も奮闘中。ミステリーズ!新人賞受賞作家が描く大好評シリーズ第二弾、肩の力を抜いてお楽しみください。 -
田舎の刑事の趣味とお仕事
【2012年1月5日スタート、ドラマ「デカ黒川鈴木」原作】彼の名は黒川鈴木。姓名どちらも姓に見える点で、まあ珍名の部類に入る。職業は警察官。階級は巡査部長。既婚で子供はない。酒もタバコもやらない。ギャンブルなど論外。ふだんは大いにヒマながら、事件が起これば無能な白石と真面目な赤木、二人の部下と共に現場に急行する。起こる事件は本ワサビの大量盗難、コンビニ立てこもり、カラス騒動にトーテムポール損壊……のどかな田舎だって難事件は起きる。第三回ミステリーズ!新人賞を受賞した表題作から始まる脱力系ミステリ《田舎の刑事》シリーズ第一集。肩の力を抜いてお楽しみください。 -
仔羊の巣 ひきこもり探偵シリーズ2
季節はめぐり、僕、坂木司と鳥井真一の間にもゆっくりと変化の兆しは訪れていた。ひそやかだが確実な羽ばたきの予感、それが僕を不安にさせる。鳥井がひどい風邪をこじらせたある日、僕は同僚の吉成哲夫から、同期の女性の様子がおかしいと相談される。病気の鳥井に代わって慣れない探偵役をつとめることになった僕は・・・・・・。また、木工教室を開くようになった木村栄三郎さんのもとで出会った男性、そして地下鉄の駅構内で見掛けた少年が抱える悩み、そして僕自身に降りかかる悪意の連続、それらの真実を鳥井はどう解くのか――。坂木と鳥井に加わる、新たな仲間と風。ひきこもり探偵シリーズ第二弾。 -
二度のお別れ
《黒川博行警察小説コレクション》 4月1日午前11時34分、三協銀行新大阪支店に強盗が侵入。400万円を奪い、客の一人をピストルで撃ったのち、彼を人質にして逃走した。大阪府警捜査一課は即刻追跡を開始したが、強奪金額を不服として犯人は人質の身代金1億円を要求、かくして犯人と捜査陣の知恵比べが始まる。名手の記念すべきデビュー作となった、シリーズ第1弾! ※本作品はKADOKAWA/角川書店、東京創元社、文藝春秋で同一タイトルの作品が販売されております。本編内容は同じとなりますので予めご了承下さい。既に同作品をご購入されているお客様におかれましてはご注意下さい。 -
四人の署名【阿部知二訳】
ある日ホームズのもとへうら若き女性の依頼人が現れた。 インドから帰国した父親が、女性が17歳のときに失踪してしまった。ところがそれから後毎年のように、ひと粒の美しい真珠が送り届けられるようになった。 だれが送ってくれるのか、その正体はまったくの謎。 ところが今年は、妙な招待状が届いたというのだ。 「・・・あなたは不当に虐待されている女性ですから、正当なつぐないを受けさせてあげます。・・・」 無限の冨を持つとみられる軍人の怪死からはじめて明るみに出た“四人の署名”の秘密。 インド王族の秘宝をめぐり、ロンドンの水路を舞台に繰り広げられる争奪戦。 シャーロック・ホームズものの長編第2弾、ここに登場。 -
フレンチ警部と毒蛇の謎
ジョージ・サリッジは英国第二の動物園で園長を務めている。申し分ない地位に就いてはいるが、博打で首は回らず、夫婦仲は崩壊寸前、ふと愛人に走る始末で、老い先短い叔母の財産に起死回生の望みを託す。その叔母がいよいよ他界し、遺言状の検認がすめば晴れて遺産は我が手に、と思いきや……。目算の狂ったジョージは、しょうことなく悪事に加担する道を選ぶ。自分たちに疑いは向けられない、万一の場合もジョージが泥をかぶることはない、と相手は言う。そう、良心の呵責を別にすれば事はうまく運んでいた。フレンチというスコットランドヤードの首席警部が横槍を入れるまでは――。 -
渦動破壊者 レンズマン・シリーズ7
原子爆発で生じた、すさまじい破壊力を持つエネルギー渦動――“原子渦動”。渦動制御研究所の次長であった核物理学者ニール・クラウド自身も、この不滅にして制御不能な新種の災害に見舞われ、一瞬にして愛する妻子を失った。だがそれと引き換えに渦動を破壊するアイデアを得たクラウドは、勇躍渦動に挑みかかり、瀕死の重傷を負ってしまう。しかし彼は、レンズマンの助力を得てよみがえった――その名も“渦動破壊者”として。やがてクラウドは、渦動の陰にひそむ邪悪な陰謀に気づく・・・・・・。『第二段階レンズマン』の後の時代を舞台にした外伝作品にして、シリーズの掉尾を飾る雄編! -
〈歌人探偵定家〉シリーズ
1187年。平家一門の生き残り・平保盛は、前年鎌倉から帰ってきた静御前の乗った牛車と、都で行き逢う。愛する源義経が兄・頼朝との確執から行方をくらまし、彼との子を失った現状を冷静に語る彼女の姿は、保盛に深い印象を残した。一方、後白河院の命を受け、藤原俊成が編纂している勅撰和歌集の完成がいよいよ迫っており、新進気鋭の歌人・定家も父の手伝いに駆り出されていた。ある日保盛は俊成邸にいる定家を訪れるが、門前で若者の屍を発見してしまう。屍には、なぜか清少納言の和歌が書かれた卒塔婆が刺さっていた。和歌が汚されたと激昂した定家は、下手人を探すべく探索に乗り出すが……。/【目次】一「よにあふさかの せきはゆるさじ」なぜ屍には、清少納言の和歌が書かれた卒塔婆が刺さっていたのか?/二「わがみよにふる ながめせしまに」空から降ってきたとしか思えない、小野小町の和歌が留められた屍はどこから来たのか?/三「わがころもでに ゆきはふりつつ」定家の父・俊成の邸の庭に、大量の人の手がばらまかれた理由とは?/四「わがたつそまに すみぞめのそで」高僧でもある歌人・慈円の秘密の隠れ家を突き止め、荒らしたのは誰か?/五「やまのおくにも しかぞなくなる」定家と俊成の周りで起きた怪事件。その裏に隠された秘密とは?/あとがき/参考文献・史料 -
三人書房
大正8年(1919年)東京・本郷区駒込団子坂、平井太郎は弟二人とともに《三人書房》という古書店を開く。二年に満たない、わずかな期間で閉業を余儀なくされたが、店には女優・松井須磨子の遺書らしい手紙をはじめ、奇妙な謎が次々と持ち込まれた──。同時代を生きた、宮沢賢治や宮武外骨、横山大観、高村光太郎たちとの交流と、数々の不可解な事件の顛末を、若き日の平井太郎=江戸川乱歩の姿を通じて描く。第18回ミステリーズ!新人賞を史上最高齢の69歳で受賞した著者による、滋味深い連作集。/【目次】三人書房/北の詩人からの手紙/謎の娘師/秘仏堂幻影/光太郎の〈首〉/文庫版あとがき/解説=辻真先 -
絶滅の牙
近未来。野生の象は絶滅し、シベリアには遺伝子工学で復活したマンモスの保護区が創設されていた。かつて象を保護する生物学者だったダミラは死後一世紀を経て、その意識を一頭のマンモスに転送し、群れを率いる存在となる。一方、保護区には、マンモスを狙う密猟者の息子で広い世界を夢見る少年スヴャトスラフや、大金を積んで合法的にマンモス狩りの権利を得た富豪の夫で、狩りに疑問を覚えるウラジーミルらが集まりつつあった――大自然と人間の相剋をSFならではの視点で描ききった俊英のヒューゴー賞受賞、ネビュラ賞・ローカス賞候補作。/解説=勝山海百合 -
凍える島
ひどくなまぬるかった、あの夏――喫茶店〈北斎屋〉店長の野坂あやめは、得意客やその友人を含む男女八名で、瀬戸内海の真ん中に浮かぶS島を訪れた。数年前まで新興宗教の聖地だったという無人島に建つ別荘で、良質な退屈を楽しむはずが、到着翌日に死体が発見され事態は一変する。無惨絵のような刺殺体は、朱に染まった密室に横たわっていたのだ。それが悲劇の幕開けとばかりに、一人また一人と殺され、疑心暗鬼に陥る一行。霧に包まれ、交通と連絡の手段がない孤島でいったい何が起きているのか? 著者の出発点たる第4回鮎川哲也賞受賞作。/解説=杉江松恋 -
ウは宇宙船のウ ブラッドベリ自選傑作集
SFの叙情詩人ブラッドベリが、若い読者に向けて自ら選んだ傑作集。「この本は、イリノイ州の小さな町で育ち、宇宙時代の到来を──そうなってほしいと願い、そうなることを夢見たとおりに──生きて目にした男の子の手になるものなのだ。これらの物語をすべての男の子たちに捧げる」(はしがきより)。宇宙船乗りに選抜されることを夢見る15歳の少年の日々を描いた高名な表題短編を巻頭に、代表作「霧笛」「太陽の金色のりんご」「霜と炎」などの17編を収録した。/【目次】ウは宇宙船のウ/初めの終わり/霧笛/宇宙船/宇宙船乗組員/太陽の金色のりんご/雷の音/長雨/亡命者たち/此の地に虎あり/いちご色の窓/ドラゴン/贈りもの/霜と炎/アイナーおじさん/タイム・マシン/駆けまわる夏の足音/解説=牧眞司 -
不等辺五角形
避暑地の別荘で、事件は起こった。三十歳を間近に控え、久しぶりに顔を揃えた五人の男女。インターナショナルスクールで出会って以来二十年以上の付き合いになる重成、聡也、梨愛、夏澄、雛乃は、海外赴任が決まった重成の送別も兼ねて、葉山にある聡也の別荘で旧交を温めていた。ところが深夜、雛乃が頭から血を流した状態で死体となって発見される。続けて梨愛が「私が殺したの」と告げ、警察に連行されてしまう。五人の関係は、一夜にしてひとりが被害者に、ひとりが被疑者になる悲劇へ転じた。幼馴染みの面会も拒否し、殺害の動機を語ろうとしない被疑者。弁護士は、残された関係者三人の証言をあつめる。しかし、同じ出来事を語っていても、当事者たちの思惑は三者三様に異なり、証言を重ねるごとに人物像と関係性はめまぐるしく変貌していく。果たして五人の間には何があったのか。あの夜、なぜ事件は起きたのか。関係者の証言から展開される、息を呑む心理劇の結末は――。 -
電報予告殺人事件
ヴィクトリア朝大英帝国の巨大情報網の核となった電信事業。それを担う一員である電信士ローラ・テンパートンは、仕事と家庭を持つという夢の間で悩む日々を送っていた。ある晩、彼女は電信局を訪れた局長アクトンの甥ネイト・ホーキンスを案内するが、アクトンは密室と化した局長室で死体となって発見された。容疑者と目されたネイトの無実を確信したローラは、自らの職能を活かして調査に乗り出す。翌日、警察署には謎めいた電報が届くが、そこには被害者アクトンともう一つ別の名が記されており……。本格ミステリならではの趣向を随所に凝らした第三十三回鮎川哲也賞受賞第一作。 -
〈秘密の階段建築社〉の事件簿
“ひらけごま”と唱えると現れる秘密の読書室や、秘密の花園に通じるドアが隠された柱時計。だれもが一度は夢見た仕掛けに特化した工務店〈秘密の階段建築社〉がテンペスト・ラージの家業だ。イリュージョニストとしてラスヴェガスで活躍していた彼女だったが、ある事故の責任をとらされて、サンフランシスコに帰郷せざるをえなくなり、この家業を手伝うことに。だがその初日、仕事先の古い屋敷の壁を崩したところ、そこから死体が見つかる騒ぎが……。ラージ家に伝わる、あの呪いと関係があるのか? 楽しい不思議が満載のシリーズ第1弾! -
白薔薇殺人事件
ミステリ作家の卵であるアニーは、大叔母の住むキャッスルノール村に招かれた。大叔母は16歳のときに占い師から告げられた、いつかおまえは殺されるという予言を信じつづけており、大邸宅に住む奇妙な老婦人として知られている。屋敷を訪れると、大叔母は図書室で死んでいた。両手には血の痕があり、床には茎の長い白薔薇が落ちていた。予言が的中して自分が殺されてしまったときのために、大叔母は約60年をかけて親族や村人たちを調査していた。その膨大な調査記録を手がかりに、アニーは犯人探しに挑む。新鋭が贈る犯人当てミステリの大傑作!/解説=千街晶之 -
アンソロジー 舞台!
役を生きる俳優の輝き、世界観を作り出す舞台装置、息を潜めた客席の雰囲気。すべてが合わさって生まれる「舞台」は、同じものは二度と生まれない特別な空間です。きらびやかで華やかな非日常を楽しむ場所であると同時に、「誰かの人生を演じてみる」「そこに自分の人生を重ねてみる」意外に身近な場所なのかもしれません。自分という「役」を演じながら日々を過ごすわたしたちにとって、毎日が自分だけの「舞台」とも言えます。ミュージカル、バレエ、ストレート・プレイ、2・5次元……さまざまな舞台をテーマに描かれた五つの物語を収録した文庫オリジナル・アンソロジー、開幕です。/【目次】ここにいるぼくら=近藤史恵/宝石さがし=笹原千波/おかえり牛魔王=白尾 悠/ダンス・デッサン=雛倉さりえ/モコさんというひと=乾 ルカ/解説=三宅香帆 -
潜水鐘に乗って
【サマセット・モーム賞受賞、ホリヤー・アン・ゴフ賞受賞】48年ぶりに夫と再会するため、旧式の潜水鐘で海にはいっていく老婦人(表題作)、身体が石になる予兆を感じた女性が過ごす最後の一日(「石の乙女たち」)、やがて巨人になる少年と、人間の少女のなにげない日常のひととき(「巨人の墓場」)、数百年を生き、語るべき話を失いながらも再び物語を紡ごうとする語り部(「語り部(ドロール・テラー)の物語」)……妖精、巨人、精霊、願い事をかなえる木、魔犬……さまざまな伝説や伝承がいまなお息づく現代の英国コーンウォール地方を舞台に、現実と幻が交錯する日々をあるがまま受け入れ、つつましく暮らす人々の姿を、新鋭ルーシー・ウッドが繊細かつ瑞々しい筆致で描く12編を収録した短編集。/【目次】潜水鐘に乗って/石の乙女たち/緑のこびと/窓辺の灯り/カササギ/巨人の墓場/浜辺にて/精霊たちの家/願いがかなう木/ミセス・ティボリ/魔犬(ウイシット)/語り部(ドロール・テラー)の物語/訳者あとがき=木下淳子 -
11枚のとらんぷ
真敷市公民館で行われている奇術ショウの舞台で、仕掛けの中から飛び出すはずの水田志摩子が現れない。それどころか彼女は自分のマンションで殺されていた。しかも死体の周囲には、同じ奇術クラブの仲間、鹿川舜平が書いた「11枚のとらんぷ」に鏤められた11のトリックを構成する小道具類が毀されて置かれていた。秘密の儀式めいたトランプ奇術殺人は何を意味するのか。著者の鹿川舜平が辿りついた事件の真相とは。自らも数多くの奇術を生み出し、石田天海賞を受けているマジシャン泡坂妻夫が、小説家としてのスタートを飾った記念すべき第一長編。/解説=相沢沙呼 -
死の10パーセント フレドリック・ブラウン短編傑作選
“これから起こる殺人”を通報してきた男に翻弄され、不可能犯罪の謎に挑む刑事を描いた「死の警告」。『シカゴ・ブルース』で忘れがたい印象を残した青年探偵エドとアムおじが活躍する「女が男を殺すとき」「消えた役者」。検死局で起きた不可解な死体損壊事件「球形の食屍鬼(グール)」。稼ぎの10パーセントと引き換えに、ある男に自分のマネジメントを任せた俳優志望の青年の数奇な物語「死の10パーセント」など、本邦初訳3作を含む全13編。謎解きミステリ、〈奇妙な味〉等、『短編ミステリの二百年』の編者が選りすぐった多彩な名作短編のフルコース!/【目次】序文――フレッド・ブラウンを思い起こして=ウィリアム・F・ノーラン/5セントのお月さま/へま/女が男を殺すとき/消えた役者/どうしてなんだベニー、いったいどうして/球形の食屍鬼(グール)/フルートと短機関銃のための組曲/死の警告/愛しのラム/殺しのプレミアショー/殺意のジャズソング/死の10パーセント/最終列車/編者解説=小森収 -
リディア・チン&ビル・スミス・シリーズ
「証明してくれよ、おれが犯人だと」銃を持って私立探偵ビル・スミスの家に押しかけてきた男はそう言った。彼の名はサム・テイバー。かつての依頼人で殺人者だ。収監された刑務所で絵の才能を見出されて仮釈放となり、現在は画家として活躍中。記憶も証拠もないが、最近ニューヨークで起きた二件の女性殺害事件は自分の犯行だと主張するサムの話の真偽を調べるため、ビルはサムと交流のある美術業界の関係者を相棒リディアと訪ねる。だがその矢先に、第三の犠牲者が……。必読の現代ハードボイルド〈リディア・チン&ビル・スミス〉シリーズ!/解説=吉野仁 -
銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件/奇妙という名の五人兄妹
妻が奇妙な強盗事件に遭遇した。犯人はお金に興味を示さず、居合わせた人々から「もっとも思い入れのあるもの」を奪っていったという。以来、なぜだか妻の身長は縮んでいき……(『銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件』)。祖母の授けた不思議な〈力〉に悩まされてきた五人兄妹。ある日、祖母から〈力〉を消してやると告げられた三女は、ひと癖もふた癖もある兄妹たちを集めるために奔走する(『奇妙という名の五人兄妹』)。――おかしな運命が照らし出す、夫婦の、兄妹の、家族のつながり。カウフマンの輝きに満ちた小説世界を2冊合本で贈る。/解説=牧眞司 -
蝶の墓標
半身を覆う蘇芳色の痣と虚弱な心臓を持ちながら、同級生からの揶揄に対して苛烈なまでの矜持を示した少女・夏野(かや)。小学校時代、ほんの一瞬だけ彼女と交流を持った瑞葉(みずは)は、高校生となって再会したとき、さなぎから蝶に羽化したような夏野に魅了された。数年前に奇妙な自殺を遂げたかつての同級生の死を調査するなかで、二人は距離を縮めていく。自殺した少年・要(かなめ)は夏野の痣の絵を描いたという理由でいじめを受け、それを苦に死を選んだと思われていた。彼を罰するかのように、要の死体は肌の半分を赤い絵の具で痣のように汚されていた――。 -
11文字の檻 青崎有吾短編集成
『体育館の殺人』の衝撃のデビューから10年。“平成のエラリー・クイーン”と称された青崎有吾は、短編の書き手としても高い評価を獲得し、作品の幅を広げ続けている。JR福知山線脱線事故を題材にした人間ドラマ「加速してゆく」、全面ガラス張りの屋敷で起きた不可能殺人の顚末「噤ヶ森の硝子屋敷」、観測不能な最強の姉妹を追う女たちの旅路「恋澤姉妹」、奇妙な刑務所に囚われた男たちの知力を尽くした挑戦を描く力作書き下ろし「11文字の檻」に、人気コミックのトリビュート作やショートショートまで、10年の昇華である全8編を収録。/【目次】まえがき/加速してゆく/噤ヶ森の硝子屋敷/前髪は空を向いている/your name/飽くまで/クレープまでは終わらせない/恋澤姉妹/11文字の檻/著者による各話解説 -
〈イモージェン・クワイ〉シリーズ
1992年の静かな2月なかばの朝。ケンブリッジ大学の古色蒼然たる貧乏学寮セント・アガサ・カレッジの学寮付き保健師(カレッジ・ナース)イモージェン・クワイのもとに、学寮長が駆け込んできた。キャンパス内のおかしな規約で知られる〈ウィンダム図書館〉で、学生の死体が発見されたのだ。学生は何らかの理由で倒れた拍子にテーブルの角に頭をぶつけたと見られ、その遺体のそばには古書が一冊。たんなる事故なのか、それとも……? 巨匠セイヤーズのピーター・ウィムジイ卿シリーズを書き継ぐことを託されたほどの実力派作家による、英国ミステリの逸品登場!/解説=三橋曉 -
矢吹駆シリーズ
中央アフリカで発見された謎の病、アブバジ病に罹患したパストゥール研究所の学者フランソワ。病床の彼から預かった資料を、ナディア・モガールと矢吹駆は、フランソワの師・マドック博士に届けるため、アテネへと旅立った。しかし博士は、エーゲ海の孤島・ミノタウロス島に渡っていた。彼を追うナディアと駆。島の館・ダイダロス館には、二人を含む十人の男女が集まったが、嵐で島は孤立、ギリシア神話をなぞるように装飾された客たちの死体が次々に発見される。奇怪な連続殺人の真相は? シリーズ中白眉といわれる、記念碑的傑作本格ミステリ。/解説=飯城勇三 -
探偵は友人ではない
わたし、海砂真史(うみすなまふみ)の幼馴染み・鳥飼歩(とりかいあゆむ)はなぜか中学校に通っておらず、頭は切れるが自由気儘な性格で、素直じゃない。でも、奇妙な謎に遭遇して困ったわたしがお菓子を持って訪ねていくと、話を聞くだけで解決してくれた。彼は変人だけど、頼りになる名探偵なのだ。歩の許に次々と新たな謎――洋菓子店の暗号クイズや美術室での奇妙な出来事――を持ち込む日々のなかで、ふと思う。依頼人と探偵として繋がっているわたしたちは、友人とは言えない。ただ、わたしは謎がなくても、友人らしい理由で歩に会いたいと思っているのに。シリーズ第2弾! -
天藤真推理小説全集
わたしが結婚し、そしてこの手で殺した男は、背が高くて東大出だった――高学歴かつ高収入、長身の彼とゴールインし、少女時代からの夢を叶えたわたし。ところが結婚生活はあまりに散文的で、理想と現実の逕庭は蔽うべくもない。台風の迫る山荘の一夜を経て、衝撃的な手記を綴ることになろうとは……表題作「背が高くて東大出」のほか、実体験に材を得、長編化もされた「日曜日は殺しの日」や、殺人の目撃者捜しが二転三転、意想外の結末にもつれこむ「死神はコーナーに待つ」など、短編集成五巻目となる本書には、七一年~七六年発表の十編を収める。/【収録作】背が高くて東大出/父子像/背面の悪魔/女子高生事件/死の色は紅/日曜日は殺しの日/三枚の千円札/死神はコーナーに待つ/札吹雪/誰が為に鐘は鳴る -
図書館島
文字を持たぬ辺境の島に生まれ、異国の師に導かれて書物に耽溺して育った青年は、長じて憧れの帝都に旅立つ。だが航海中、不治の病に冒された娘と出会ったがために、彼の運命は一変する。世界じゅうの書物を収めた巨大な王立図書館のある島で幽閉された彼は、書き記された〈文字〉を奉じる人々と、語り伝える〈声〉を信じる人々の戦いに巻き込まれてゆく――デビュー長編にして世界幻想文学大賞、英国幻想文学大賞、ジョン・W・キャンベル新人賞、クロフォード賞の四冠を制覇した驚異の新人による、書物と言葉をめぐる傑作本格ファンタジイ。/解説=乾石智子 -
エンタングル:ガール
映画監督を志す守凪了子(カミナギリヨーコ)は舞浜南高校に進学し、憧れの映画研究部に入部する。仲間たちとともに、AIを駆使した長編映画を製作し、コンテストに応募するのだ。作品提出期限は夏休み最終日。だが、撮影を続けるなかで、了子たちはあちこちで奇妙な齟齬に出会う。それはこの高校だけでなく、舞浜という街自体に隠された〈世界のほころび〉だった――。新進気鋭のハードSF作家が新たな着想で綴るゼロ年代最高の本格SFアニメ『ゼーガペイン』の語られざるエピソード。巻末に文庫版ボーナストラックを加えた。/【目次】プロローグ/第一章 なぜ守凪了子(カミナギリヨーコ)は映画監督になれないのか/第二章 ホログラフィック・ノイズ/第三章 守凪組/第四章 n番目の祝祭/第五章 ダークディスク/第六章 シェルタリング・サマー/第七章 からまる夏の守凪了子/第八章 エントロピック・アシンメトリ/第九章 舞浜南高校映画研究部/第十章 オケアノス――世界の海/第十一章 夏を継ぐもの/第十二章 831/エピローグ/ポストクレジットシーン ホロニックワールド・エンタングルメント/単行本版あとがき/文庫版あとがき/解説=花澤香菜 -
ただし、無音に限り
疑いを差し挟む余地のない、資産家の老人の死。しかし彼の娘は、財産の大部分を相続する中学生の孫に疑惑の目を向けた。あれは本当に自然死だったのか? すでに遺体は荼毘に付され検視は不可能、疑惑を解決するための困難極まりない調査は弁護士を介して特殊能力を持つ私立探偵に持ち込まれた。その探偵が――俺だ。霊の記憶を読み取ることができる探偵、天野春近の調査と推理を描く書き下ろし中編二編を収録。『記憶屋』が話題を呼んだ新鋭の野心作。 -
やおよろず神異録 鎌倉奇聞
精霊の恵み豊かな地、遠谷(おちだに)。そこは“流れ神”がこの世にあらわれる地でもあった。遠谷に生まれ、薬の行商で各地をまわる真人(まひと)は、祭りのために帰郷した。だが、祭りを目前にしたその日、村を正体不明の武士の集団が襲った。彼らは村人を殺し、神域を穢し、神社から御神刀を奪っていった。それだけでなく、真人の大切な友、颯(はやて)も彼らに連れていかれてしまったらしい。友を救うべく、真人は刀に引き寄せられてきた流れ神と一緒に、武士たちが向かったとおぼしき鎌倉を目指す。二代将軍頼家の時代の鎌倉を舞台にした、華麗なファンタジイ絵巻登場。 -
創元日本SFアンソロジー
ベテランから日本SF界の未来を担う新鋭まで、現代SF界を牽引する書き手が集結。新時代を創る書き下ろしアンソロジーシリーズ第4巻。第12回創元SF短編賞正賞・優秀賞受賞作を掲載。/【目次】はじめに/小川一水「未明のシンビオシス」/川野芽生「いつか明ける夜を」/宮内悠介「1ヘクタールのフェイク・ファー」/宮澤伊織「ときときチャンネル#2【時間飼ってみた】」/小田雅久仁「ラムディアンズ・キューブ」/高山羽根子「ほんとうの旅」/鈴木力「SFの新時代へ」/溝渕久美子「神の豚」〔第12回創元SF短編賞優秀賞受賞作〕/松樹凛「射手座の香る夏」〔第12回創元SF短編賞正賞受賞作〕/第12回創元SF短編賞選考経過および選評/ちいさなあとがき/編集部より -
星巡りの瞳
双眸に星を宿した天の申し子。人々を真なる道に導く――そう予言され生まれてきた柳宮家の嫡男白珠は、ある事件をきっかけに右目ばかりか宮城内での地位もすべて失い、世捨て人のような生活を送っていた。だが、妹の代わりに旧都香久の御所守を買ってでたことから、運命の歯車は大きく回り始める。うち捨てられ、鬼の巣窟となったかつての都。そこに巣くっていたのは、元は人でありながらも妄執に囚われ鬼と化した、鬼の王陽炎だった。『星砕きの娘』から遡ること数百年、星の目を持つ男と鬼との壮絶な闘いを描いたファンタジイ大作!/解説=東雅夫 -
リバーサイド・チルドレン
カンボジアの地を彷徨う日本人少年は、現地のストリートチルドレンに拾われた。「迷惑はな、かけるものなんだよ」過酷な環境下でも、そこには仲間がいて、笑いがあり、信頼があった。しかし、あまりにもささやかな安息の日々は、ある朝突然破られる――。彼らを襲う、動機不明の連続殺人。少年が苦悩の果てに辿り着いた、胸を抉る真相とは? 激賞を浴びた第5回ミステリーズ!新人賞受賞作「砂漠を走る船の道」を巻頭に据え、連作化した『叫びと祈り』で2011年本屋大賞にノミネートされた俊英が放った、渾身の第一長編。第16回大藪春彦賞受賞作。/解説=吉田伸子 -
四分の一世界旅行記
Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞作家、空前絶後のセミ・フィクション旅行記。2017年初夏。未発表の短編小説の原稿を携え、作家・石川宗生は日本を発った。中国、パキスタン、キルギス、ウズベキスタン、アゼルバイジャン、ジョージア、アルメニア、トルコ、ブルガリア、ギリシャ、マケドニア、セルビア……。時には旅先で出会った仲間と、また時にはイマジナリーフレンドを道連れに、現実と虚構を自在に旅した半年間の物語。/【目次】パスポートナンバー TK49494949の叫び/落下の山村/笑いを灯す人/摂氏四五・一度の異邦人/世界の終わりとアンダーグラウンド・モスク/時の旅人たち/浴室/旅のゆくえ/ポータブル・ブコウスキー/オン・ザ・エンディング・ロード/特別対談 宮内悠介×石川宗生 -
放課後探偵団2 書き下ろし学園ミステリ・アンソロジー
大好評を博したアンソロジー『放課後探偵団』が10年の時を経て復活! 第22回鮎川哲也賞受賞『体育館の殺人』にはじまる〈裏染天馬〉シリーズが大人気の若き平成のエラリー・クイーンこと青崎有吾、『楽園とは探偵の不在なり』で注目を集める斜線堂有紀、〈響け!ユーフォニアム〉シリーズが大ヒットし話題を呼んだ武田綾乃、『あの日の交換日記』がスマッシュヒットした辻堂ゆめ、『タスキメシ』などのスポーツものから吹奏楽など幅広い形の青春ドラマを描き続ける額賀澪。以上1990年代生まれの俊英5人が描く、学園探偵たちの推理と青春。【収録作】武田綾乃「その爪先を彩る赤」/斜線堂有紀「東雲高校文芸部の崩壊と殺人」/辻堂ゆめ「黒塗り楽譜と転校生」/額賀澪「願わくば海の底で」/青崎有吾「あるいは紙の」 -
暗黒の羊
轢き逃げや通り魔事件の動画をSNSにアップしたことから死の女神と崇められ、過激な動画の投稿がやめられなくなり、暴走してゆく女。仲間外れの黒い羊になることを恐れ、仲間の死を願う女子高校生。家にいる男は夫ではないと怯える妻と困惑する隣人。年齢も育ちも違う羊たちの運命が交錯し、そして絡み合う。その影に蠢くのは、“羊目の女”なのか。かつて美人姉妹が殺し合ったという、いわくつきの洋館で、“羊目の女”に「私の身代わりの羊は××です」と殺したい人間の名前を三度唱えると……。『強欲な羊』の恐怖はまだ終わっていなかった。著者の真骨頂を文庫オリジナルで贈る。 -
サーチライトと誘蛾灯
ホームレスを強制退去させた公園の治安を守るため、ボランティアで見回り隊が結成された。ある夜、見回り中の吉森は、公園にいた奇妙な来訪者たちを追いだす。ところが翌朝、そのうちのひとりが死体で発見された! 事件が気になる吉森に、公園で出会った昆虫オタクのとぼけた青年・エリ沢が、真相を解き明かす。観光地化に失敗した高原での密かな計画、〈ナナフシ〉というバーの常連客を襲った悲劇の謎。5つの事件の構図は、エリ沢の名推理で鮮やかに反転する! 第10回ミステリーズ!新人賞を受賞した表題作を含む、軽快な筆致で描くミステリ連作集。/【収録作】「サーチライトと誘蛾灯」/「ホバリング・バタフライ」/「ナナフシの夜」/「火事と標本」/「アドベントの繭」/あとがき/解説=宇田川拓也 -
チャイルド・ファインダー 雪の少女
周囲を雪と氷に覆われた山。両親の車から降りた5歳の少女は、次の瞬間深い森に消えていた。折しも降り始めた雪は吹雪となり少女の足跡を消して、捜索を困難にした。3年の月日がむなしく過ぎ、みな少女は死んでしまったものと考えた……少女の両親以外は。そして両親は、“子ども見つけ屋(チャイルド・ファインダー)”のナオミに最後の望みを託した。自らも過去に消すことのできない傷を負ったナオミは、行方不明の子どもを見つけ出すことに自分のすべてを捧げていた。生きていようが死んでいようが、必ず見つけ出す。深い森に閉ざされた山のなか、ナオミの闘いが始まる。 -
月虹の夜市
江戸は浅草川に浮かぶ島、箱崎の小さな船宿「若狭屋」を切り盛りする女将のお涼。彼女は父親譲りの見えてしまう体質で、その面倒見の良い人柄からか、あやかしたちの世話をつい焼いてしまうのだった。探し物をしている片目片足の小僧、小さな蹴鞠の神様たち……。人間以外のお客が今日もまたお涼の元をふらりと訪れる。あの世とこの世をつなぐ不思議な船宿を舞台に贈る、愛おしくてあたたかい、あやかし奇譚。好評シリーズ第2弾。 -
一週間のしごと
優等生だがほかに取り立てて特徴のない高校生・開沢恭平は、日曜日に幼なじみの青柳菜加に呼びつけられ、一方的に相談された。昨日渋谷の雑踏で母親から置き去りにされた幼児を保護し、家まで送り届けたが、荒れ果てた無人の室内に危機感を覚え自宅に連れてきたという。これまでにも猫や犬、果てはアルマジロと様々な生き物を拾っては周囲を奔走させてきた前科を持つ菜加は、事の重大さをまったく認識していなかった。「誘拐罪。おまえがやったのは、れっきとした犯罪だ」――警察を含めた大人たちを頼らず、幼児を然るべき場所に送り届けるため、恭平たちの波瀾の一週間が幕を開ける!/解説=光原百合 -
鐘は歌う
ロンドン塔からレイヴンが消え、橋という橋は落ち、ロンドンは瓦礫の街と化した。文字による記録は失われ、新たな支配者〈オーダー〉は鐘の音で人々を支配している。両親を亡くした少年サイモンは、母が遺したひとつの名前とひとつのメロディを胸に、住み慣れた農場を離れ、混沌のロンドンに向かった。そこで彼は、河の底から呼びかける不思議な銀色の音を聞き、奇妙な白い眼を持つ少年リューシャンに出会う……。世界幻想文学大賞受賞、ブッカー賞候補にも挙がった幻想文学の名作登場! -
黒の扉は秘密の印 第二の夢の書
夢の世界で危機を切り抜け、学校の美形男子四人組のひとりヘンリーとつきあいはじめたリヴ。幸せいっぱいのはずだったが、運命の女神はそう甘くなかった。義理の祖母(予定)の大事な植木を破壊したことがみんなにばれるし、妹のミアは夢遊病にかかるし、夢の世界では〈死の将軍〉なる怪しい人物に追いかけられるし……。おまけにある秘密をめぐって、大好きな彼ともぎくしゃくする始末。どうするリヴ! 大人気の〈夢の書〉三部作、第二弾。 -
タイトルはそこにある
謎の人物が主催する、行方不明の女性の誕生会。そこで浮かび上がる醜い人間関係――第一話「主役のいない誕生会」。クリスマスイブの夜、ホテルで繰り広げられる過去の暴露大会――第二話「ニンジンなんてキュウリなんだよ」。互いに何かを隠しつつ進む、二人の男の愛憎渦巻く会話劇――第三話「おしゃべりな男たち」。あなたは必ずやり直せる。さあ立って。自首する前に、ご家族に会いに行きましょう――第四話「雪月花の女たち」。大女優の舞台出演を実現させるため、大御所脚本家が遺した最後のクイズに五人の男女が挑む――第五話「タイトルはそこにある」。編集者が次々繰り出す難題に、鬼才はどう応えたか? ベストセラーとなった『公開処刑人 森のくまさん』の著者が贈る、全編書き下ろしの作品集。巻末には本書の成立過程を記したあとがきを収録する。 -
スタートボタンを押してください ゲームSF傑作選
外食チェーンで深夜のワンオペバイトを続けるノーフューチャーな青年。ある晩彼は強盗に襲われる……だが、それは想像を絶する事態の幕開けにすぎなかった!(リスポーン)捕まえた若者をあえて逃がす決意をした賞金稼ぎ。その理由は、若者が作ったゲームに隠されていた(時計仕掛けの兵隊)――ケン・リュウ、桜坂洋、アンディ・ウィアーら現代SFを牽引する豪華執筆陣が集結し、ゲームと小説の新たな可能性に挑む。本邦初登場11編を含む、傑作オリジナルSFアンソロジー。【収録】序文=アーネスト・クライン/「リスポーン」桜坂 洋/「救助よろ」デヴィッド・バー・カートリー/「1アップ」ホリー・ブラック/「NPC」チャールズ・ユウ/「猫の王権」チャーリー・ジェーン・アンダース/「神モード」ダニエル・H・ウィルソン/「リコイル!」ミッキー・ニールソン/「サバイバルホラー」ショーナン・マグワイア/「キャラクター選択」ヒュー・ハウイー/「ツウォリア」アンディ・ウィアー/「アンダのゲーム」コリイ・ドクトロウ/「時計仕掛けの兵隊」ケン・リュウ/解説=米光一成 -
そしてミランダを殺す
ある日、ヒースロー空港のバーで、離陸までの時間をつぶしていたテッドは、見知らぬ美女リリーに声をかけられる。彼は酔った勢いで、1週間前に妻のミランダの浮気を知ったことを話し、冗談半分で「妻を殺したい」と漏らす。話を聞いたリリーは、ミランダは殺されて当然と断じ、殺人を正当化する独自の理論を展開してテッドの妻殺害への協力を申し出る。だがふたりの殺人計画が具体化され、決行の日が近づいたとき、予想外の事件が起こり……。男女4人のモノローグで、殺す者と殺される者、追う者と追われる者の攻防が語られる鮮烈な傑作犯罪小説。/解説=三橋曉 -
龍の騎手
領地を荒らすグリフォンの群れを退治してほしいという、メリーボーン卿の要請に応えてやってきたのは五人の騎手。騎手といえば誇り高く高潔な人物……のはずだが、メリーボーン荘園の事務官の次女アリザと、龍の騎手アラステア・デアレッドの出会いは最悪だった。アリザが仲良くしている庭妖精たちと争いになってしまったのだ。なんて高慢ちきでいやな奴! だが、グリフォンは大事な妹を殺した憎い敵。アリザは騎手たちのグリフォン退治に案内役として同行するが……。『高慢と偏見』×ドラゴンの世界を描いたロマンティック・ファンタジー。 -
何が困るかって
小説でしか表現できない〈奇妙な味〉が横溢した、短いけど忘れがたい、不思議なお話を読んでみませんか?――子供じみた嫉妬から仕掛けられた「いじわるゲーム」の行方、夜更けの酒場で披露される「怖い話」の意外な結末、バスの車内で静かに熾烈に繰り広げられる「勝負」、あなたの日常を見守るけなげな「洗面台」の独白、「鍵のかからない部屋」から出たくてたまらない“私”の物語――日常と非日常のあわいに見える18の情景をさまざまな筆致で描きだす、『青空の卵』や『和菓子のアン』の名手が贈る珠玉のショートストーリー集。巻末に「ホリデーが肉だと先生が困る」を特別併載。/解説=東雅夫 -
修道女フィデルマの挑戦 修道女フィデルマ短編集
法廷弁護士にして裁判官の資格を持つ美貌の修道女フィデルマ。彼女がまだ修道女になる前、モラン師が学院長をつとめるタラの学問所に入学した時に出合った、フィデルマ最初の事件「化粧ポウチ」、フィデルマが学問所の最終試験として出された事件の謎を解く「痣」、ドーリィーの資格を得、修道女になってからの事件、三晩続けて聞かれた死を告げるバンシーの声の正体「バンシー」、有名なローマ第九ヒスパニア軍団の鷲の謎にフィデルマが挑む「消えた鷲」など全6編を収録。若き日のフィデルマに会える、人気シリーズ日本オリジナル短編集第4弾。/解説=大矢博子 -
鳥籠の家
豪商天鵺家の跡継ぎ、鷹丸の遊び相手として迎え入れられた勇敢な少女茜。だが、屋敷での日々は、奇怪で謎に満ちたものだった。天鵺家に伝わる数々のしきたり、異様に虫を恐れる人々、鳥女と呼ばれる守り神……。茜がようやく慣れてきた矢先、屋敷の背後に広がる黒い森から鷹丸の命を狙って人ならぬものが襲撃してくる。それは、かつて富と引き換えに魔物に捧げられた天鵺家の女、揚羽姫の怨霊だった。一族の跡継ぎにのしかかる負の鎖を断ち切るため、茜と鷹丸は黒い森へ向かう。〈妖怪の子預かります〉シリーズで人気の著者が放つ時代ファンタジー。/解説=井辻朱美(単行本版タイトル『鵺の家』を改題した文庫版を底本といたしました) -
穢れた風
風力発電施設建設会社のビルの中で、夜警の死体が発見された。一見、階段を踏み外したための事故死に思われたが、監視カメラに侵入者が写っていたことで、にわかに殺人の様相を呈する。奇妙なことに、社長室のデスクの上になぜかハムスターの死骸が残されていた。これは一体何を意味しているのか? 風力発電の利権をめぐって次々に容疑者が浮かびあがり、さらに第二の殺人が。再生可能エネルギーにかかわる国家的犯罪なのか? 人々の欲望と、巨大な陰謀に呑み込まれる刑事オリヴァーとピア。〈ドイツミステリの女王〉による新たな傑作が誕生!/解説=大矢博子 -
アマンダの影
マロリーが殺された? 部下の報告で検視局に駆けつけたライカーが見たのは、彼女の名前の入ったブレザーを着た別人の死体だった。身元を突き止めたマロリーとライカーは、被害者アマンダ・ボッシュの住居を調査する。くまなく掃除された部屋。消去された名簿ファイル。彼女自身のことを書いたと思われる小説原稿。そして猫――唯一の目撃者? マロリーは復元した名簿を手がかりに高級コンドミニアムに潜入し、容疑者たちに仮借ない捜査の手を伸ばす。上流階級の虚飾の下に澱む策謀と欲望。ひとりの女を死に追いこんだ「嘘つき」は誰なのか? 善悪の彼岸に立つ、非情にして無垢なヒロインの活躍を描く、シリーズ第2弾!/解説=川出正樹 -
宝石鳥
神の遣いである宝石鳥の子孫が治めるシリーシャ島。島を訪れた植物学者と恋に落ちた女王は、その身を二つに分け、半身を島に残し、自らは恋人と海を渡った。だが身を二つに分けるなど所詮無理なこと、女王は一枚の肖像画を遺して消えてしまう。そして百年後、島では新たな女王即位の儀式が迫っていた……。不思議な力を持つ仮面の女、女王の魂を引き継ぐ儀式、喪われた半身。第2回創元ファンタジイ新人賞受賞、死と再生の傑作ファンタジイ。/第2回創元ファンタジイ新人賞選考経過、選評=井辻朱美、乾石智子、三村美衣 -
処刑人
ナタリーが大学に入学するまで三週間ほどを残して迎えた初秋の日曜日の午後。鼻持ちならない文筆家の父と、夫への軽蔑を隠さない母が催したホームパーティでの“悪夢”を経て、初めての寮生活を迎えた17才のナタリーは、大きく変わった生活環境に戸惑いを隠せないでいた。同年代の少女への優越感と劣等感の狭間で揺れ動く中、風変わりな女生徒トニーとの出会いによって真の安寧を手にしたかに見えたが……思春期の少女の危うい精神の揺らぎを、残酷さと一掬の愛情を交えて描く。『ずっとお城で暮らしてる』の著者の初期を代表する傑作長編小説。/解説=深緑野分 -
うどん キツネつきの
パチンコ店の屋上で拾った奇妙な犬を飼育する三姉妹の人生を繊細かつユーモラスに描いて第1回創元SF短編賞佳作となった表題作をはじめ、郊外のぼろアパートで暮らす多言語の住人たちの可笑しな日々「シキ零レイ零 ミドリ荘」、15人姉妹の家が建つ孤島をある日見舞った異常事態「母のいる島」、謎めいた子供たちの日記で幕を開ける不可思議な冒険「おやすみラジオ」、ねぶたの街・青森を舞台に時を超えて紡がれる美麗な幻想譚「巨きなものの還る場所」の全5編を収録。新時代の感性が描く、シュールで愛しい物語。第36回日本SF大賞候補作。/解説=大野万紀 -
ミハスの落日
スペインはミハスに住まう大富豪に突如呼び寄せられた青年、ジュアン。面識もない老紳士が語るのはジュアンの亡き母との苦い記憶だった。三十年の月日を隔てて密室殺人の謎が明かされる表題作の他、青年と警察の視点で綴るストックホルムの悲劇的な殺人、疑惑の未亡人を探るサンフランシスコの保険調査員、ジャカルタで発生した連続娼婦殺人事件、カイロを訪れたアメリカ人美女の秘密など、ストーリーテリングの名手が異国を舞台にその土地で生きる人々の悲痛な叫びをすくい取る。あまねく襲う衝撃の結末が深い余韻を残す、至高のミステリ全5編。/解説=村上貴史 -
星読島に星は流れた
天文学者サラ・ディライト・ローウェル博士は、自分の住む孤島で毎年、天体観測の集いを開いていた。ネット上の天文フォーラムで参加者を募り、招待される客は毎年、ほぼ異なる顔ぶれになるという。それほど天文に興味はないものの、家庭訪問医の加藤盤も参加の申し込みをしたところ、凄まじい倍率をくぐり抜け招待客のひとりとなる。この天体観測の集いへの応募が毎年驚くべき倍率になるのには、ある理由があった。孤島に上陸した招待客たちのあいだに静かな緊張が走るなか、滞在三日目、ひとりが死体となって海に浮かぶ――奇蹟の島で起きた殺人事件を描く、俊英会心の長編推理! -
ハイ・ライズ
【映画化原作】ロンドン中心部に聳え立つ、知的専門職の人々が暮らす、新築の40階建の巨大住宅。1000戸2000人を擁し、マーケット、プール、ジム、レストランから、銀行、小学校までを備えたこの一個の世界は事実上、10階までの下層部、35階までの中層部、その上の最上部に階層化されていた。その全室が入居済みとなり、ある夜起こった停電をきっかけに、建物全体を不穏な空気が支配しはじめた。3カ月にわたる異常状況を、中層部の医師、下層部のテレビ・プロデューサー、最上層の40階に住むこのマンションの設計者が交互に語る。バラード中期の傑作。/解説=渡邊利道 -
書店猫ハムレットのお散歩
ダーラが経営するニューヨークの書店では、最近、店のマスコットの黒猫ハムレットの元気がない。愛想がないのはいつもどおりだけれど、お客をひとりも追い出していないし、買い物袋を爪で引き裂いたりもしていない。これはおかしい。“猫の行動の共感力者”と名乗る猫のセラピストによると、自分を出来損ないのように感じているという。あのふてぶてしいハムレットがそんなふうに思っているとは! 愕然とするダーラだったが、通っている武術道場で、さらに驚きのできごとが……。名探偵(かもしれない)黒猫が大活躍するコージー・ミステリ! シリーズ第2弾。 -
夜愁
1947年、ロンドン。第二次世界大戦の爪痕が残る街で、人々はしぶとく毎日を生きていた。戦争を通じて巡り合ったケイ、ジュリアとその同居人のヘレン、ヴィヴとダンカンの姉弟たちも。今日もまた、一日が終わり――夜が来る。彼女たちが積み重ねてきた歳月を、容赦なく引きはがす夜が。想いは過去へとさかのぼり、隠された真実を、心の傷を、さらけ出していく。『半身』『荊の城』で示したたぐい稀なる語り口にはさらに磨きがかかり、読者をとらえて放さない。ウォーターズが贈る、めくるめく物語が、いまここに。ブッカー賞、オレンジ賞最終候補作。 -
辛い飴
唐島英治クインテットのテナーサックス奏者・永見緋太郎は、天才的な技術とは裏腹に、相変わらず音楽以外に興味を持たない日々。しかし、ひとたび謎や不思議な出来事に遭遇すると、大胆にも的確にその真相を突いてくる。名古屋のライヴハウスに現れたという伝説のブルースマンにまつわる謎、九州地方の島で唐島と永見が出合った風変わりな音楽とのセッションの顛末、“密室”から忽然と消失したグランドピアノの行方、など7編に、特別編「さっちゃんのアルト」を収録。ライヴ感溢れる、日常の謎的ジャズミステリ〈永見緋太郎の事件簿〉第2弾。/解説=山田正紀 -
星のダンスを見においで
西銀河じゅうにその悪名を轟かせた伝説の宇宙海賊ジャンピング・ジャック・フラッシュが姿を消して18年が過ぎた。かつて副官だったアレックスは、ジャックの足取りを追ううち、辺鄙な後進惑星にたどり着いた――地球である。それも、時は現代。横須賀のどぶ板通りで、戦場帰りを装って奇妙な骨董品屋を営んでいたジャックは、かつての部下たちから所構わぬ大攻撃を喰らい、横須賀沖に沈めてあった宇宙艇で再び宇宙へ飛び立った――事情を知るよしもない、女子高生の唯佳を乗せて。著者の真骨頂たるスペース・オペレーションSFを二分冊で贈る。/解説=堺光保 -
黒百合
昭和27年の夏休み。14歳だった「私」こと進と一彦は、六甲山にあるヒョウタン池のほとりで、不思議な雰囲気を纏った同い年の少女と出会う。池の精を名乗ったその香という少女は、近隣の事業家・倉沢家の娘だった。三人は出会った翌日からピクニックや山登りを通して親交を深めてゆく。自然の中で育まれる少年少女の淡い恋模様を軸に、昭和10年のベルリン、昭和15年の阪神間を経由して、物語は徐々にその相貌を明らかにしてゆく。そして、最後のピースが嵌るとき、あらゆる読者の想像を超える驚愕の真相が描かれる。数々の佳品をものした才人による、工芸品のように繊細な傑作ミステリ。/解説=戸川安宣