20世紀を代表するアメリカ人画家の一人であるエドワード・ホッパーの作品は、写実的だが郷愁を感じさせるタッチ。現代的な孤独感。描かれる人物の物憂げな表情。ありふれた構図なのだが何故か惹かれるものがある。
そんな魅力に惹かれる作家も多く、この本の編者であり著者の一人が、これまたアメリカ探偵小説の雄ローレ
...続きを読むンス・ブロック。ホッパーの作品から発想された短篇小説を創り出すというアンソロジーの企画に賛同したのは、彼と交友関係のある多彩なアメリカ人文筆家達。
18枚のホッパーの作品に、ブロックを含め、17人の作家が描く17編の短編は、ミステリー、サスペンス、ハードボイルド、スパイモノ、ホラー、ヒューマンドラマ、コンゲーム、ラブロマンスと幅広いジャンルの作品が揃う。
翻訳陣もニクイ。スティーブン・キングには白石朗、マイケル・コナリーには古沢嘉道と、過去に夫々の作家の翻訳を手掛けた人を起用している。
贅沢な一冊。
個人的にはロス市警を退職し私立探偵となったハリー・ボッシュが登場するマイケル・コナリーの『夜鷹 ナイトホークス』が一押し。