小林宏明のレビュー一覧
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1882年に生まれ、1967年に亡くなった、エドワード・ホッパーというアメリカの画家の17の作品を題材にして、17人の作家が、それぞれの絵に対しての短編物語をつくるというコンセプトの本。要するに、エドワード・ホッパーの17の作品に対して、17編の短編が書かれ、本書はそれを収めた短編集だ。
アイデアを思いつき、物語をつくることに参加を呼びかけたのは、ローレンス・ブロックである。ローレンス・ブロックは私の最も好きな作家の一人なので、読んでみることにしたのだが、ローレンス・ブロックが書いた短編だけではなく、面白い短編が多かった。ローレンス・ブロック以外にも、マイクル・コナリー、ジェフリー・ディーバー -
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20世紀を代表するアメリカ人画家の一人であるエドワード・ホッパーの作品は、写実的だが郷愁を感じさせるタッチ。現代的な孤独感。描かれる人物の物憂げな表情。ありふれた構図なのだが何故か惹かれるものがある。
そんな魅力に惹かれる作家も多く、この本の編者であり著者の一人が、これまたアメリカ探偵小説の雄ローレンス・ブロック。ホッパーの作品から発想された短篇小説を創り出すというアンソロジーの企画に賛同したのは、彼と交友関係のある多彩なアメリカ人文筆家達。
18枚のホッパーの作品に、ブロックを含め、17人の作家が描く17編の短編は、ミステリー、サスペンス、ハードボイルド、スパイモノ、ホラー、ヒューマンドラマ -
Posted by ブクログ
映画を見てのけぞったのが遠い過去の記憶。
ホワイトジャズを読んで、「もうお腹いっぱい」という気分で数年経過して、ようやく読んでみようかと。
再びそのエネルギッシュな何者かへのほとばしる憎悪と自己爆破とでもいうべき執拗な露悪的な「抉る」筆致に、土下座して詫びたい気分になるのに疾走する巨大エンターテイメント。
こういうのを読むとアメリカの作家魂というか、もはや体力的に何かが完全に異なると思えてしまいます。
これは暴力的な権力批判でありつつも、男と男と(時折女性の)超絶に遠回りするふれなば切られそうな熱い友情ものでもあるところが、サイコー。
しかし、疲れた。 -
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Posted by ブクログ
悪徳と陰謀渦巻く五十年代のLAを舞台に、それぞれ立場も性格も異なる三人の警官と三つの事件を軸に時代のうねりを描く大作。
まず三人の警官の対比がいい。
上昇志向が強く潔癖なエリート警官エクスリーと少年期のトラウマから女への暴力を憎むバド、誤って市民を射殺した過去をもつゴミ缶ジャック。血のクリスマス事件で出世の明暗を分け反目しあう三人がそれぞれの譲れないものを胸に共闘に至る過程に引き込まれる。
特にエクスリーの人間的弱さに惹かれる。
父親へのコンプレックスを払拭しきれず、「完全なる正義」の有り方について苦悩し続けた彼の終盤の選択に胸が熱くなる。
互いに憎み合っていたバドとの間に芽生える同志として -
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Posted by ブクログ
圧倒された。
世にジェイムズ・エルロイのエピゴーネン数多けれど、この凄まじい情念の噴出を真似る事など不可能だろう。登場する人物殆どがまともではない。主人公は、考え方も生き方も違う三人の警官。憎しみ合いながらも、根源的なところで繋がり、最後には結び付く。正義と悪に境目など元から存在せず、本能の命ずるままに、眼前に立ちはだかる、己らよりも卑しい巨悪を粉砕するのみ。後ろに積み上げられた屍の山こそが正義の証しだと言わんばかりに。
虚無的な終焉は、次の始まりを予感させるものだ。先に待ち受けるものとは、血と暴力の官能的世界、ホワイト・ジャズに他ならない。 -
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