東京創元社作品一覧

  • 神保町の怪人
    3.0
    百貨店の催事で古書展覧会が行なわれるようになった昭和42年春。詩集のコレクターである大沢から、古書収集の極意は「殺意」と聞かされた喜多は、彼が本を借りてはそのまま私物化しているという噂を耳にする。その後大沢が居合わせた展覧会で、稀覯書が忽然と消え失せた……本を手に入れるためなら手段は選ばない収集家の闇を描く「展覧会の客」、古書オークション開催者に翻弄される喜多が最後に意外な真相に辿り着く「『憂鬱な愛人』事件」、古書店で起きた盗難事件と、図書館での司書強殺。「電網恢々事件」の三編を収録する。/【目次】第一話 展覧会の客/第二話 『憂鬱な愛人』事件/第三話 電網恢々事件/あとがき/文庫版刊行にあたって/解説=北原尚彦
  • ウェッジフィールド館の殺人
    3.0
    ジェーンは英国の領主屋敷(マナーハウス)に滞在していた。いっしょに旅行している叔母が館の主である男爵とかつて恋仲で、ふたりのあいだに生まれた娘が男爵の養女になっていたのだ。ある晩、館の使用人が主の車を運転中に事故で死亡。車を調べてみると、ブレーキに細工されていたことがわかる。娘の身を心配する叔母に頼まれたジェーンは、折よく館を訪ねてきたレドヴァースと事件を調べはじめる。だが、ジェーンが操縦を教わっている複葉機の部品が壊されたり、怪しい人影が目撃されたりと不審な出来事が続き……。アガサ賞最優秀デビュー長編賞受賞シリーズ。
  • 七月七日
    3.0
    七夕の夜、ユアンは留学で中国を離れる恋人ヂィンに会いに出かけた。別れを惜しむ二人のもとに、どこからともなくカササギの大群が現れ――東アジア全域にわたり伝えられている七夕伝説をはじめとし、中国の春節に絡んだ年獣伝説、不老不死の薬を求める徐福伝説、済州島に伝わる巨人伝説など、さまざまな伝説や神話からインスピレーションを得て書かれた十の幻想譚。日中韓三ヵ国の著者によるアンソロジー。/【目次】「七月七日」ケン・リュウ/「年の物語」レジーナ・カンユー・ワン/「九十九の野獣が死んだら」ホン・ジウン/「巨人少女」ナム・ユハ/「徐福が去った宇宙で」ナム・セオ/「海を流れる川の先」藤井太洋/「……やっちまった!」クァク・ジェシク/「不毛の故郷」イ・ヨンイン/「ソーシャル巫堂指数」ユン・ヨギョン/「紅真国大別相伝」イ・ギョンヒ
  • あなたは月面に倒れている
    3.0
    スパムメールがヒトの姿を借りて、ある日玄関先にあらわれたら?――現実の少し先にあって、けれど決定的な変貌を遂げた日本社会を若者たちの視点から活き活きと描いた近未来SF「二本の足で」にはじまり、独特の浮遊感ただよう幻想小説「あかるかれエレクトロ」や、タイポグラフィを駆使した実験小説「夕暮にゆうくりなき声満ちて風」まで。柔軟にして力強いイマジネーションの結晶9編を収めた、書き下ろしを含む初の独立短編集。/【目次】二本の足で/トーキョーを食べて育った/おうち/再突入/天国にも雨は降る/夕暮にゆうくりなき声満ちて風/あなたは月面に倒れている/生首/あかるかれエレクトロ/あとがき
  • 原作と映像の交叉光線 ミステリ映像の現在形
    3.0
    映画、テレビドラマ、アニメにも、原作付きの作品が多くを占めている現代。中でもミステリを原作とした映像化作品は人気が高く、続々と製作されている。国内ミステリ映画の名作『犬神家の一族』は、映画だけでなくテレビドラマとしても幾度となく製作されているほどである。同作をはじめ、映像ならではの魅力を駆使した全28作品について、ミステリ評論家・千街晶之が切り込んでゆく、読み応えある評論集。/【目次】まえがき/第一部 謎解きのカレイドスコープ/簞笥の奥の闇――『犬神家の一族』/裏切りの永劫螺旋――『アンフェア』/銀幕観相術――『アヒルと鴨のコインロッカー』/銀色のミスディレクション――『姑獲鳥の夏』/海峡を越えた女王――『ゼロ時間の謎』/牙を剝く聖都――『天使と悪魔』/彼らの愛した数式――『オックスフォード連続殺人』/第二部 幻影のアルバム/プティ・トリアノンの百七人――『理由』/窯変の牢獄――『46億年の恋』/風とマレビト――『六番目の小夜子』/五衰の檻――『おろち』/純粋すぎる風景――『GOTH』/独身者のゴースト――『イノセンス』/東京怪談――『パレード』/第三部 過去へのタイムマシン/死美人狂想曲――『ブラック・ダリア』/奇術(マジック)と魔術(マジック)――『プレステージ』/見えない翼――『点と線』/イリュージョンの陰画――『幻影師アイゼンハイム』/芳香の救世主――『パフューム ある人殺しの物語』/昭和闇迷宮――『ロストクライム―閃光―』/第四部 善悪のラビリンス/迷走の遊戯、暴走の正義――『DEATH NOTE』/眼球都市の死角――『マイノリティ・リポート』/最も危険な賭け――『ミスト』/失われた時間――『オールド・ボーイ』/二〇世紀のスパイの肖像――『007/カジノ・ロワイヤル』/記憶の旅の果て――『アンティーク~西洋骨董洋菓子店~』/凸面鏡に舞う――『告白』/敗戦の考現学――『UN-GO』/主要参考文献/DVD情報/作品一覧/
  • ロボット・アップライジング AIロボット反乱SF傑作選
    3.0
    人類よ、恐怖せよ――進化を続けるAIやロボットは猛烈な勢いで現代文明に浸透しつつあるが、もしもそれらがくびきを逃れ、反旗を翻したら? 『フランケンシュタイン』から『2001年宇宙の旅』『ターミネーター』『マトリックス』まで、繰り返し扱われてきた一大テーマに気鋭の作家たちが挑む。1955年にAI(人工知能)という言葉を初めて提示した伝説的科学者ジョン・マッカーシーの短編を始め、アレステア・レナルズ、イアン・マクドナルド、ヒュー・ハウイー、アーネスト・クライン、コリイ・ドクトロウらの傑作を収録したアンソロジー。/【目次】序文=ダニエル・H・ウィルソン/神コンプレックスの行方=スコット・シグラー/毎朝=チャールズ・ユウ/執行可能(エクセキユータブル)=ヒュー・ハウイー/オムニボット事件=アーネスト・クライン/時代=コリイ・ドクトロウ/〈ゴールデンアワー〉=ジュリアナ・バゴット/スリープオーバー=アレステア・レナルズ/ナノノート対ちっぽけなデスサブ=イアン・マクドナルド/死にゆく英雄たちと不滅の武勲について=ロビン・ワッサーマン/ロボットと赤ちゃん=ジョン・マッカーシー/ビロード戦争で残されたいびつなおもちゃたち=ショーニン・マグワイア/芸術家のクモ=ンネディ・オコラフォー/小さなもの=ダニエル・H・ウィルソン/謝辞/解説=渡邊利道/編者紹介/訳者紹介
  • シェフ探偵パールの事件簿
    3.0
    年に一度のオイスター・フェスティバルを目前にした海辺の町ウィスタブル。シーフードレストランを経営するシェフのパールは、警察官になるというかつての夢をあきらめきれず副業で探偵をはじめたばかりだ。そんなパールのもとに依頼人が。ある漁師に貸した金が返ってこないので、彼の経済状態を探ってほしいというのだ。じつはその漁師はパールの友人で、依頼は断ったものの、気になって彼の釣り船に行ってみると、変わり果てた友人の姿を見つけてしまい……。英国のリゾート地を舞台に、シェフ兼新米探偵パールが事件に挑むシリーズ第一弾。
  • アイリス
    3.0
    1巻1,699円 (税込)
    映画『アイリス』に子役として出演し、脚光を浴びた瞳介は、その後俳優として成功できずに高校卒業前に芸能界をやめた。だが、映画で妹役を演じ、現在も俳優として人気を集めている浮遊子との関係は断てずにいる。『アイリス』の栄光が、彼を過去へと縛りつけていた。そしてそれは、監督の漆谷も同じだった。二十八歳で撮った『アイリス』は数々の賞を受賞したが、彼自身はそれ以降どれだけ評価を得ても、この作品を超えられないという葛藤を抱えていた。ひとつの映画が変えた俳優と監督の未来。人生の絶頂の、そのむこうの物語。
  • 折鶴
    3.0
    新内節を語れる友禅差しの模様師・脇田は、旅先で三味線弾きの芸者・彩子と出会う。脇田は彼女に惹かれるが、彩子と、酒と女で身を持ちくずした彼女の師匠の名新内語りが、以前ある殺人事件に巻き込まれたことを知る、「忍火山恋唄」。縫箔の職人・田毎は、自分の名前を騙る人物が温泉宿に宿泊し、デパートの館内放送で呼び出されるという奇妙な出来事に見舞われていた。そんな折、パーティで元恋人の鶴子と再会した時の出来事を思い出し……。ふたりの再会が悲劇に繋がる「折鶴」など全4編。ミステリの技巧を凝らした第16回泉鏡花文学賞受賞作。/【目次】忍火山恋唄/駈落/角館にて/折鶴/解説=末國善己
  • なぜではなく、どんなふうに
    3.0
    大学で政治学とグローバリゼーションを講じながら子育てをするイタリア系女性ブルーナは、自立心が強く進歩的だ。しかし医師でもある夫もその両親も保守的で差別と偏見に満ちている。両親に逆らえない夫、性同一性障害の幼い息子……。仕事と家庭の板挟みに苦しむブルーナの人生が教え子のムスリム青年の出現で覆る。そして彼の突然のISISへの出立。人種差別、性差別、移民問題……分断化が進む現代アメリカ社会で生きる彼女の人生が、今を生きる私たちすべての人生に重なり、訴えかけてくる。本書は著者のデビュー作で、イタリアの著名なジャーナリスト(イタリアの表現の自由・報道の自由のシンボル的存在で、『死都ゴモラ』や『コカイン ゼロゼロゼロ』といったノンフィクションで日本でも知られる)ロベルト・サヴィアーノ監修のフィクション&ノンフィクションのシリーズ「弾薬庫(ムニツィオーニ)」叢書の第一弾として刊行された作品である。
  • オイディプス症候群
    3.0
    中央アフリカで発見された謎の病、アブバジ病に罹患したパストゥール研究所の学者フランソワ。病床の彼から預かった資料を、ナディア・モガールと矢吹駆は、フランソワの師・マドック博士に届けるため、アテネへと旅立った。しかし博士は、エーゲ海の孤島・ミノタウロス島に渡っていた。彼を追うナディアと駆。島の館・ダイダロス館には、二人を含む十人の男女が集まったが、嵐で島は孤立、ギリシア神話をなぞるように装飾された客たちの死体が次々に発見される。奇怪な連続殺人の真相は? シリーズ中白眉といわれる、記念碑的傑作本格ミステリ。/解説=飯城勇三
  • 虹の涯
    3.0
    1巻1,799円 (税込)
    元治元年三月、筑波山で蹶起(けつき)した天狗党の首領格・藤田小四郎は、攘夷の使命に燃える水戸藩士であった。武芸に秀で責任感が強いが、向こう見ずな性格でもある。安政江戸地震で家屋の下敷きになったとされる、父・東湖の死の真相。小四郎自らが巻き込まれた蔵の中での不可能殺人。天狗党を援助する大店での傷害事件。それらを同じ手習所で学んだ昔馴染み、漢方医・山川穂継と共に検めてゆく。さらに最終話では、過酷な真冬の行軍だったとされる天狗党西上の際、戦場に度々現れた殺人鬼〈化人(けにん)〉の謎を大ボリュームで活写する。天狗党の向かう虹の涯(はて)には何が──。『恋牡丹』『雪旅籠』で注目の著者が贈る、最新連作長編。/【目次】天地揺らぐ/蔵の中/分かれ道/幾山河
  • 紅はこべ【圷香織訳】
    3.0
    1789年、フランス革命が勃発。なんの罪もない貴族たちまで、共和国への叛逆者として次々と血に飢えたギロチンに送りこまれていった。そんななか、窮地に陥った貴族たちに海を挟んだ隣の国イギリスから救いの手を差し伸べたのが、謎の集団〈紅はこべ〉。その計画は大胆無比、紅はこべの花をかたどった小さなしるしが入った予告状が届いて数時間のうちに、厳重な警備をあざ笑うかのような鮮やかな手並みで、王党派や貴族たちを安全なイギリスの地に逃がしてしまうのだ。激動の時代の英仏を舞台に繰り広げられる絢爛たる歴史冒険大ロマン小説。
  • 世界の終わりの天文台
    3.0
    どうやら、人類は滅亡するらしい。最後の撤収便に乗らず、北極圏の天文台にひとり残ることを選んだ孤独な老学者オーガスティンは、取り残された見知らぬ少女とふたりきりの奇妙な同居生活を始める。一方、帰還途中だった木星探査船の乗組員サリーは、地球との通信が途絶えて不安に駆られながらも、仲間たちと航行を続ける。終末を迎える惑星の片隅で、広漠たる宇宙の大海の中で、長い旅路の果てに彼らは何を失い、何を見つけるのか? 終わりゆく世界を生きる人々のSF感動作。ジョージ・クルーニー監督主演映画『ミッドナイト・スカイ』原作。/解説=勝山海百合
  • ヴェネツィアの陰の末裔
    3.0
    ベネデットには、11歳で孤児院に拾われるまでの記憶がない。あるのは繰り返し見る両親の死の悪夢だけだ。魔力を発現して以来、彼の護衛剣士に志願した同じ孤児院出身のリザベッタと共にヴェネツィア共和国の魔術師の一員として、陰の世界に生きている。あるとき魔術師たちはハプスブルクの暗殺者による、元首(ドージェ)暗殺計画の情報を掴んだ。計画は未然に防いだが、背後にはベネデットらを巻き込む恐るべき陰謀が……。16世紀、異端と迫害されながらも、列強の権謀術数のただ中に身を置く魔術師の姿を描いた、第5回創元ファンタジイ新人賞佳作作品。/第5回創元ファンタジイ新人賞選評=井辻朱美、乾石智子、三村美衣
  • 悪い弁護士は死んだ 上
    3.0
    その日は犯罪捜査部のベックストレーム警部にとって、人生最良の日だった。マフィアお抱え弁護士として警察を悩ませてきたエリクソンが殺されたのだ。ベックストレームは部下を率いて捜査を開始。殺害場所は被害者の自宅らしく、死因は鈍器による殴打、部屋からは被害者が発射した銃弾の跡が発見された。だが奇妙なことに、主人が殺害された四時間後に、飼い犬が喉を掻き切られて殺されていたのだ。なぜ犯人はわざわざ引き返して犬を殺したのか。エリクソンを恨んでいた人物は多数いるはずだが……。CWAインターナショナル・ダガー賞最終候補作。
  • ただし、無音に限り
    3.0
    推理小説の名探偵に憧れて開設した〈天野春近探偵事務所〉。主な依頼は浮気調査ばかりと理想どおりにはいかないが、ときにいかにも探偵らしい仕事が舞い込むこともある。しかしその大半は、春近の“霊の記憶が視える”という特異な能力を当てにした無茶なものだった。制約の多いその力に振り回されながらも、春近は霊と人を救うため調査を開始する。事件性なしと判断されたはずの資産家の死、二年前に借金を残して行方をくらましていた生死不明の失踪人の「死体」捜索――霊視探偵・天野春近が解き明かす二つの事件を描いた霊能力×ミステリ!/解説=大山誠一郎
  • 戦争獣戦争 上
    3.0
    1994年冬、北朝鮮・寧辺の核処理施設の査察に訪れた国連職員が目撃したのは、使用済み核燃料の沈むプールの中で泳ぐ二体の奇妙な生物だった――その正体は、戦争によって生まれるエントロピーを糧に成長する四次元生命体〈戦争獣〉。生態系ならぬ死態系に潜む死命(シノチ)の最優勢種である彼らは、華麗島で独自の文化に基づき生きる超人〈異人(ホカヒビト)〉のみ扱うことができる。敵対し合う二体の戦争獣、そして異人たちの前に現れる謎めいた男女の双子。彼らが人類にもたらすのは破滅か、救済か。奔放な想像力が生み出す傑作長編。
  • 死の黙劇
    3.0
    月のない夜、華奢な欄干を破り、一台のタクシーが崖下に転落した。運転手は一命を取り留めたが、乗客の男は即死する。死者は顔いちめんに包帯を巻きつけていたものの、その下にはなぜか傷ひとつなかった。さらに死者の所持品からは探偵砧順之介の名刺が発見されたが、その名刺を死者が所持することは論理上不可能だった――奇怪な謎が読者を魅了する表題作ほか、書籍未収録の犯人当て短編などを所収。職業作家の道を選ばず、生涯に亙って緻密極まりない作品を執筆、巨匠鮎川哲也も畏敬した本格推理作家、山沢晴雄。その作風を一望できる作品を精選して贈る〈山沢晴雄セレクション〉。/【目次】砧最初の事件/死の黙劇/銀知恵の輪/金知恵の輪/見えない時間/ふしぎな死体/ロッカーの中の美人/密室の夜/京都発“あさしお7号”/編者解題=戸田和光
  • パズラー 謎と論理のエンタテインメント
    3.0
    高校の同窓会に出席する予定の小説家・日能は、幹事から衝撃の事実を聞く。ずっと亡くなったと思っていたクラスメイトが、実は生きていたのだ。何をどう勘違いしてそう捉えていたのか、訝しみながら同窓会当日を迎えると、さらに謎は深まるばかり……「蓮華の花」。数年ぶりに訪れた書店で購入した文庫本に、謎のメッセージが挟まれており、そこから小学生時代のある出来事に結びつく「時計じかけの小鳥」。師と仰ぐ、都筑道夫の代表作〈退職刑事〉シリーズのパスティーシュ、「贋作『退職刑事』」など、論理的な謎解きにこだわった、六編を収録。/【収録作】蓮華の花/卵が割れた後で/時計じかけの小鳥/贋作「退職刑事」/チープ・トリック/アリバイ・ジ・アンビバレンス/集英社文庫版解説=巽昌章/創元推理文庫版解説=阿津川辰海
  • アメリカのシャーロック・ホームズ 殺人、法科学、アメリカのCSIの誕生
    3.0
    1920年代のアメリカでは、禁酒法の影響で犯罪が激増しているにもかかわらず、未だ直感や不充分な情況証拠に頼る捜査が主流だった。そんな時代に、捜査に科学的手法を導入した犯罪学者がいた――その男の名は、オスカー・ハインリッヒ。数々の難事件の捜査に、筆跡や弾道、血痕パターンの分析など、現代では当然のように思われている技術を用いたオスカーは、いつしか“アメリカのシャーロック・ホームズ”と称されるに至った――。全米を揺るがした列車強盗事件、有名喜劇俳優が容疑者となった殺人事件など、実際にオスカーが手掛けた事件を紹介しながら、知られざる科学捜査の歴史と、そのパイオニアたる人物の生涯を描く、瞠目のノンフィクション!/【目次】プロローグ 記録文書からの物語──拳銃、顎骨、そして愛の詩┴第一章 血まみれの現場──アレン・ラムソンの浴室の事例(1)┴第二章 天才──オスカー・ハインリッヒにとっての悪の源の事例┴第三章 異教徒──パン職人の筆跡の事例(1)┴第四章 パイオニア──パン職人の筆跡の事例(2)┴第五章 非難──人気俳優の指紋の事例(1)┴第六章 憤慨──人気俳優の指紋の事例(2)┴第七章 二重の十三──大列車強盗の事例┴第八章 悪の化学──計算高い化学者の事例┴第九章 断片──ベシー・ファーガソンの耳の事例┴第十章 引き金──マーティン・コルウェルの銃の事例┴第十一章 断罪された者──アレン・ラムソンの浴室の事例(2)┴エピローグ 解決済みの事件┴謝辞┴解説=三橋曉
  • イングランド・イングランド
    3.0
    ブッカー賞受賞作家が描くテーマパーク・イングランド。そこにはウェストミンスター寺院、ガーデニング、ロビン・フッド、紅茶、シェイクスピア、生ぬるいビール、ハロッズ、王室までもがある。そんなプロジェクトに参加したマーサだったが。レプリカが本物を凌駕するのか。アイロニーと風刺に満ちた傑作!/解説=古川日出男
  • 龍の刻
    3.0
    恐るべき力を秘めた古(いにしえ)の呪術品〈アーリマンの心臓〉を手に入れた黒魔術師。彼は〈心臓〉の用法に熟達した大神官を3000年間の死から蘇生させた。世界再編のためネメディア国を動かし、西方のアキロニア国を打ち倒すのだ。かの国の王は北の国から訪れた蛮族の子孫――その名をコナンといった。だが勇猛果敢をもって鳴るコナンさえ、大神官の妖術の前では虜囚となり果てる。逆襲はなるか? 30歳で夭折した天才作家が創造し、すべてのヒロイック・ファンタジーの源(みなもと)となった傑作シリーズを、最新の校訂研究にもとづいて贈る全集はここに完結する。/【収録作】「龍の刻」/資料編「I・M・ハワード博士からH・P・ラヴクラフトへの手紙」/「I・M・ハワード博士からE・ホフマン・プライスへの手紙」/解説=中村融
  • 死体は嘘をつかない 全米トップ検死医が語る死と真実
    3.0
    男は黒人少年を射殺した犯罪者か、正当防衛で発砲した市民か。それは死体の傷口から一目瞭然である──。全米を揺るがした大事件などを題材として、四十五年間に九千件もの解剖を行った練達の検死医が、知られざる検死の世界を語る。法医学的に鮮やかに明かされる意外な真相の数々から目が離せない、傑作ノンフィクション。/【目次】序文 パズルこそすべて=ジャン・ガラヴァグリア/1 白と黒の死/2 “ホワイ”切開/3 空っぽのゆりかご/4 身元不明の爆死体/5 リー・ハーヴェイ・オズワルドを掘り起こす/6 日常にひそむ怪物/7 秘密とパズル/8 死と法とセレブリティ/9 ウェストメンフィスの亡霊/10 フィンセント・ファン・ゴッホの死の謎/エピローグ/謝辞/訳者あとがき
  • 寄宿学校の天才探偵2 エリンガム最後のメッセージ
    3.0
    生徒の不審死、さらに容疑者の失踪と、エリンガム・アカデミーでの事件が相次ぎ、スティヴィは無理やり家に連れもどされてしまう。せっかく学校にも馴染み、念願だった80年前の事件の再捜査も進んできたところなのに。そこに上院議員のエドワード・キングが現れ、息子のデヴィッドが放校されないように協力してくれるなら、スティヴィを学校に戻してやると言ってきた。他に手はなく、役目を引き受けたスティヴィだったが、アカデミーでさらなる事件が……。天才を集めた学校での事件に挑む、少女探偵スティヴィの活躍を描いたシリーズ第2弾。
  • 菖蒲狂い
    3.0
    柳橋の船宿に居候する、“若さま”と呼ばれる謎の侍がいた。姓名も身分も一切不明だが、事件の話を聞いただけで真相を言い当てる名探偵でもあった。扇に秘められた暗号の謎を解く「舞扇の謎」。菖蒲作りの名人の娘が殺され、些細な手がかりから犯人の異様な動機に辿り着く「菖蒲狂い」。祭りで同じ酒を飲んだ4人のうちひとりが毒殺された。犯人がどのように毒を仕込んだのかを暴く「面妖殺し」など、250編近い短編から厳選した25編を収録。「五大捕物帳」の一つにして、〈隅の老人〉に連なる、伝説の安楽椅子探偵シリーズの決定版、登場!/【収録作】「舞扇の謎」/「かすみ八卦」/「曲輪奇談」/「亡者殺し」/「心中歌さばき」/「尻取り経文」/「十六剣通し」/「からくり蝋燭」/「菖蒲狂い」/「二本傘の秘密」/「金の実る木」/「あやふや人形」/「さくら船」/「お色検校」/「雪見酒」/「花見船」/「天狗矢ごろし」/「下手人作り」/「勘兵衛参上」/「命の恋」/「女狐ごろし」/「無筆の恋文」/「生首人形」/「友二郎幽霊」/「面妖殺し」/編者解説=末國善己
  • 寄宿学校の天才探偵
    3.0
    エリンガム・アカデミー、そこは天才や革新者を輩出してきた全寮制の学校。願書も入学試験もなし、ドアを叩いた生徒のなかにきらめきが見えたら、入学が許される。新入生のスティヴィは推理マニアで、80年前に起きたアカデミーの創始者で大富豪、エリンガムの妻と娘が誘拐された事件を調べている。身代金が払われたにもかかわらず、妻は殺され、娘は行方不明のまま、犯人の正体も分からずじまいだった。入学の際の課題としてスティヴィは事件を調べ直すが、そんなとき新たに殺人が……。NYタイムズベストセラー作家が書いた本格ミステリ。
  • 知りすぎた男
    3.0
    「我々は知りすぎているんです。お互いのこと、自分のことを知りすぎている。だから、僕は今、自分の知らない一つのことに本当に興味をおぼえるんです──あの気の毒な男がなぜ死んだか、ですよ」新進気鋭の記者ハロルド・マーチは財務大臣との面会に向かう途中で出会った奇妙な釣師とともに自動車が断崖から転落するさまを目撃する。後に残されたのは車の残骸と男の死体だった。なぜ彼は昼日中見晴らしの良い崖から転落したのか? 国際情勢への鋭い眼差しが光る、英国的諧謔精神に満ちた連作ミステリ集を新訳にて贈る。創元推理文庫初収録作。/【収録作】「標的の顔」/「消えたプリンス」/「少年の心」/「底なしの井戸」/「塀の穴」/「釣師のこだわり」/「一家の馬鹿息子」/「彫像の復讐」/解説=大山誠一郎
  • 見習い警官殺し 上
    3.0
    死体の第一発見者は、早朝の犬の散歩から戻ってきたマンションの住人だった。被害者の名はリンダ、母親のマンションの部屋に滞在していた警察大学の学生だ。彼女は強姦されたうえ絞殺されていた。県警本部長は腕利き揃いの国家犯罪捜査局の殺人捜査特別班に応援を要請する。それに応じて派遣されたのはエーヴェルト・ベックストレーム警部、伝説の国家殺人班の中では、少々外れた存在だ。現地に入ったベックストレーム率いる捜査チームは、早速捜査を開始する。CWA賞・ガラスの鍵賞など5冠に輝く『許されざる者』の著者の最新シリーズ第1弾。
  • ごきげんいかが、ワトスン博士 上
    3.0
    1889年夏。アイリーン・アドラーと親友のペネロピーは、パリで意識を失った男性を助ける。偶然にも、彼はペネロピーが家庭教師をしていたときの知人クウェンティンだった。医師の診察により、昏倒したのは毒物が原因だと判明するが、彼は詳細を語らない。だが、アイリーンの家で療養中に狙撃されたことで事情を打ち明ける。かつて戦場で助けられた軍医に迫る危機を知らせるため、危険を承知で彼を捜しているというのだ。軍医の名はワトスン――。アイリーンたちはアフガニスタンに端を発する事件をめぐり、名探偵ホームズとまたもや相まみえる!
  • パリンプセスト
    3.0
    夢の中で訪れることのできる街パリンプセストに魅せられた四人の男女。彼らは肌にパリンプセストの地図を持つ相手と次々に体を重ね、眠りの中で街を歩く。失われたものを取り戻せる街パリンプセストでは、鮫頭の将軍を打ち負かし勝者となった女カシミラが移住者を求めていた。何度か夢で訪れるうちに四人の男女は次第にパリンプセストに永住したいと願うようになるが……。ミソピーイク賞、アンドレ・ノートン賞作家がおくる、幻想と夢が交錯する摩訶不思議な物語。
  • 宙を数える 書き下ろし宇宙SFアンソロジー
    3.0
    【東京創元社文庫創刊60周年記念刊行】創元SF短編賞正賞・優秀賞受賞者、佳作入選者が競演。〈宇宙編〉には高山羽根子(第1回佳作)、酉島伝法(第2回正賞)、理山貞二(第3回正賞)、オキシタケヒコ(第3回優秀賞)、宮西建礼(第4回正賞)、宮澤伊織(第6回正賞)の6名の傑作を収録。ソロバンを携え銀河を旅する交易船、海に覆われた惑星に棲息する音をあやつる生き物たちの旅路、航行中の宇宙船で起こった前代未聞の連続殺人──2020年代のSF界を牽引する“東京創元社生まれ”の気鋭作家陣が贈る、書き下ろしテーマ・アンソロジー。【収録作】はじめに 東京創元社編集部/「平林君と魚(いお)の裔(すえ)」オキシタケヒコ/「もしもぼくらが生まれていたら」宮西建礼/「黙唱」酉島伝法/「ときときチャンネル#1【宇宙飲んでみた】」宮澤伊織/「蜂蜜いりのハーブ茶」高山羽根子/「ディセロス」理山貞二/ちいさなあとがき
  • 目覚めの森の美女 森と水の14の物語
    3.0
    「シンデレラ」「赤ずきん」「ラプンツェル」「ヘンゼルとグレーテル」「ルンペルシュティルツヒェン」「フェアとブラウンとトレンブリング」「白雪姫」「人魚姫」「カエルの王子さま」「青髭」「ロバの皮」「ガチョウ番の女」「美女と野獣」「眠れる森の美女」。14のよく知られたおとぎ話にひねりを加え再話した、血と陰謀、裏切りと魅惑の匂いが漂う短編集。CBI最優秀児童図書賞などアイルランドのYA三章受賞。ダークで美しく、力強い幻想譚。/【目次】あなたがこれからふみこむのは、新しくなった昔話のなか/森の物語/「靴をはいた娘(シンデレラ)」/「きこりの花嫁(赤ずきん)」/「生まれておいで、愛されるために(ラプンツェル)」/「あなたが苦しむことはない(ヘンゼルとグレーテル)」/「名なしの魔物は友だちと名乗った(ルンペルシュティルツヒェン)」/「フェアという名の娘(フェアとブラウンとトレンブリング)」/「白灰姫(白雪姫)」/水の物語/「食いつくすか食いつくされるか(人魚姫)」/「うまくふるまうこと(カエルの王子さま)」/「やさしい重み(青髭)」/「川床(ロバの皮)」/「小さな贈り物(ガチョウ番の女)」/「美女と盤(ボード)(美女と野獣)」/そして物語は終わる。こんなふうに……/「目覚めの森の美女(眠れる森の美女)」/訳者あとがき
  • 果てなき護り 上
    3.0
    人類が住めなくなった地球を逃れ、新天地の惑星カナンを目指す世代宇宙船《ノア》は、旅の347年目に入っていた。数万人以上の乗員が特殊な〈能力(タレント)〉を活用し、閉じられたシステムの中で暮らす艦内で、ひそかに異常事態が続発していた――ひき肉のような状態の死体が次々に見つかるのだ。しかもその事実をなぜか、実質的な権力を持つ情報保安局(アイセック)が隠蔽していた。ブリーディング・デューティーと呼ばれる出産義務を終え、都市計画局の仕事に復帰したハナは、先輩を失った捜査官バレンズとともに事件の真相を追いはじめるが。新鋭が放つ傑作宇宙SF!
  • 二万人の目撃者
    3.0
    1巻110円 (税込)
    美しい琵琶湖を臨む高校の保健室に、雨貝先生はいた。「自殺と処理された親友の死をもう一度調べて欲しい」。わたしの願いに雨貝先生は優しく頷いてくれた。けれど身重の純奈を淀川に突き落とした男、人気ユーチューバーであるシイガの鉄壁のアリバイを証明するのは、二万人の視聴者だった……。第16回ミステリーズ!新人賞受賞作。/第16回ミステリーズ!新人賞選考経過、選評=大倉崇裕 大崎梢 米澤穂信/(本電子書籍は『ミステリーズ! vol.97』(2019年10月初版発行)に掲載の同作品を電子書籍化したものです。)
  • 幻獣遁走曲 猫丸先輩のアルバイト探偵ノート
    3.0
    ある時は幻の珍獣アカマダラタガマモドキの捜索隊員、ある時は松茸狩りの案内人、ある時は新薬実験モニター、そしてある時は戦隊ショーの怪人役と、いっぷう変わったアルバイトに明け暮れる神出鬼没の名探偵・猫丸先輩が遭遇した五つの事件。猫コンテスト会場での指輪盗難事件と壮絶なドタバタを描いた「猫の日の事件」、幻の珍獣の存在を示す報告書焼失の裏に隠された真相に呆然とさせられる「幻獣遁走曲」、意外な真実が爽やかな余韻を呼ぶ「たたかえ、よりきり仮面」ほか2編を収録。著者の真骨頂である優しさとユーモア、そして謎解きの楽しさが遺憾なく発揮された愉快な連作集。/解説=光原百合/新版刊行によせて=倉知淳
  • 京都東山 美術館と夜のアート
    3.0
    神戸静河は学芸員志望だったものの、縁あって採用されたのはイチビこと、地元の市立美術館の常駐警備員。警備システムの解除や正面玄関の開錠など、展覧会スタッフたちを迎えるためにいち早く出勤しなければならない。これが施設常駐の警備員のオシゴトである――。深夜に美術館裏の庭園で遭遇した不審な男の正体は? 巡回中の展示室で見た浮世絵が新発見の写楽? 展示物のブログ紹介がきっかけで神社の失われた御神刀が発見されたが……などなど、地道な警備のオシゴトと美術ミステリのコラボレーション! ミステリーズ!新人賞受賞作家が、京都の町と美術館を舞台に描く、連作短編集。
  • 櫛の文字 銭形平次ミステリ傑作選
    3.0
    神田明神下に住む、凄腕の岡っ引・銭形平次。投げ銭と卓越した推理力を武器にして、子分のガラッ八と共に、江戸で起こる不思議な事件に立ち向かっていく! 見せ世物小屋にて、水槽で泳ぐ美女ふたりのうちひとりが殺された謎を解く「人魚の死」。暗号が彫られた櫛をきっかけに殺人が起こる「櫛の文字」。評判の良い美人の妾が奉公した材木屋で、店を脅かす事態が発生する「小便組貞女」。世間を騒がす怪盗の意外な正体を暴く「鼬小僧の正体」。383編にも及ぶ捕物帳のスーパーヒーローの活躍譚から、ミステリに特化した17編を収録した決定版。【収録作】「振袖源太」「人肌地蔵」「人魚の死」「平次女難」「花見の仇討」「がらッ八手柄話」「女の足跡」「雪の夜」「槍の折れ」「生き葬い」「櫛の文字」「小便組貞女」「罠に落ちた女」「風呂場の秘密」「鼬小僧の正体」「三つの菓子」「猫の首環」/編者解説=末國善己
  • 退職刑事3
    3.0
    話半ばで目を閉じ、眠ってしまったかに見える父だが、油断はできない。こうしているときに思考回路はめまぐるしく動いているに違いないのだ。それが証拠に、私にはおよそ目鼻をつけられなかった事件が、鮮やかに解きほぐされていく……。ダイイング・メッセージから犯人を割り出す「乾いた死体」や暗号もどきを解読する「筆まめな死体」など、現職刑事の手に余る難題に往年の辣腕を揮う、退職刑事の事件簿7編を収録。国産の《安楽椅子探偵小説》定番中の定番として揺るぎない地位を占める、名シリーズ第3集。/【収録作】「大魔術の死体」/「仮面の死体」/「人形の死体」/「散歩する死体」/「乾いた死体」/「筆まめな死体」/「料金不足の死体」/解説=新保博久
  • 奇商クラブ
    3.0
    優れた法曹家でありながら法廷で発狂し、今は隠棲しているバジル・グラントと友人たちは、善良な大佐を見舞う恐ろしい陰謀や、奇妙な拉致事件の被害者となった牧師が語る信じ難い体験談などに接するうちに、あるクラブの会員たちと出会う。会員は既存のいかなる商売のバリエーションにもあたらない「完全に新しい商売」を発明し、それによって生活を支えなければならない――この一風変わった結社は「奇商クラブ」と呼ばれていた。チェスタトンが〈ブラウン神父〉シリーズに先駆けて発表した六篇を新訳で贈る。/解説=小森収
  • 恋牡丹
    3.0
    北町奉行所に勤め、若き日より『八丁堀の鷹』と称される同心戸田惣左衛門と息子清之介が出合う謎の数々。神田八軒町の長屋で絞殺されていたお貞。化粧の最中の凶行で、鍋には豆腐が煮えていた。長屋の者は皆花見に出かけており……「花狂い」。七夕の夜、吉原で用心棒を頼まれた惣左衛門の目の前で、見世の主が殺害された。衝立と惣左衛門の見張りによって密室状態だったはずなのだが……「願い笹」。惣左衛門と清之介親子を主人公に描く、滋味溢れる時代ミステリ連作集。移りゆく江戸末期の混乱を丁寧に活写した、第27回鮎川哲也賞最終候補作。
  • 天国通り殺人事件
    3.0
    刑事時代、逃走する犯人の車輛の前に立ちはだかったことから、集団自殺するというネズミにちなんで“レミング”と呼ばれているヴァリシュ。ある日、カフェで見知らぬ男に絡まれる。店を出て路地に逃げ込むと、そこには白い手袋をつけピストルを握った男がいた。白手袋の男は、カフェから“レミング”を追ってきた男の頭を撃ち、“レミング”にピストルを渡して立ち去った。このままでは殺人犯にされてしまう! 真相を突き止めるため、“レミング”は被害者が勤めていた療養所に患者として潜入するが……。ブルグドルファー・ミステリ大賞受賞作。
  • ガイコツは眠らず捜査する
    3.0
    大学講師のジョージアと高校生の娘マディソン、それに動いて喋る骸骨シドの三名が愉快に暮らすサッカリー家。マディソンが所属する演劇クラブの『ハムレット』公演に、シドも(頭蓋骨だけ)出演することになった。ところが練習中のある日、彼女はうっかりシドの頭を学校に置いてきてしまう。翌日、無事に回収されたシドは、意外なことを言いだした。夜、何者かの口論と“殺人”の音を聞いたというのだ。その後それらしき死体は見つからないが、ジョージアはシドのため“事件”を調べることに……。母娘と骸骨の絆が魅力の、痛快ミステリ第2弾。/解説=大矢博子
  • 本格ミステリ漫画ゼミ
    3.0
    個性的な名探偵や謎解きをビジュアルで描く本格ミステリ漫画は、多くのミステリ作家やファンを育ててきた。その歴史を概観し、魅力的な作家と作品を紹介することが本書の目的である。 乱歩作品、ホームズ、ルパンなどのコミカライズから、『金田一少年の事件簿』『名探偵コナン』『Q.E.D.証明終了』『スパイラル~推理の絆~』『DEATH NOTE』などオリジナルまで。ミステリ漫画はこんなにも面白い! 『Webミステリーズ!』に連載されたコラムを大幅に加筆・改稿。本格ミステリ大賞受賞の書評家が贈る、ミステリ漫画史を辿る史上初のブックガイド!
  • 悪女
    3.0
    20世紀初頭のバルセロナ。町では幼い子どもが何人も失踪し、子どもをさらって貪る化け物の仕業だという噂が立つ。そして今日また一人、新たな子どもが姿を消し、さらに頸動脈を噛みちぎられた男の死体まで発見された。血に飢えたその化け物の名は、エンリケタ・マルティ。人間の魂を刈り取る「私」という全知の存在が、失踪事件を追う刑事たちやエンリケタの手下、家族などさまざまな人物の視点で、「吸血鬼」と呼ばれた稀代の悪女の恐ろしさとおぞましさを語り尽くす。犯罪捜査官である著者が、犯罪者の実話に材を得て描いた戦慄の物語。
  • 動く標的
    3.0
    私立探偵リュー・アーチャーは、石油業界の大物サンプソンの夫人から、消えた夫を捜してほしいという依頼を受けた。ロスアンジェルスの空港からお抱えパイロットをまいて失踪したというのだ。その後、夫人宛に本人の署名入りの手紙が届く。取引きに必要な十万ドルを用意せよと。誘拐か? だとしたら誰がなぜ? 彼の安否は? 怪しげな聖人、往年の映画女優、ピアノ弾きの女、バー経営者らとの関係は? 連続する殺人事件は何を語る? マーロウ、スペイドとともにハードボイルド史上不滅の探偵リュー・アーチャー初登場の記念碑的名作、新訳版。/解説=柿沼瑛子
  • ペインスケール
    3.0
    ロングビーチ市の高級住宅街で、下院議員の息子ベントン三世の妻と幼い子どもたちが殺害された。強盗から政治がらみの怨恨までさまざまな動機が考えられたが、刑事のダニーは壁に飾られた一家の写真を見て不自然さを感じる。子持ちの家庭なら子どもを中心にした写真を飾るのが一般的だろうが、主であるベントン三世の写真ばかりだったのだ。手がかりはそこに? 過去の事件で負った体と心の痛みを抱え、捜査に没頭する刑事ダニーと、静かに彼を支え続ける相棒の女性刑事ジェン。緻密極まりない捜査の魅力と男女刑事コンビの絆を描く警察小説!/解説=若林踏
  • 月下の蘭/殺人はちょっと面倒
    3.0
    温室での洋蘭の栽培に全身全霊を捧げる美しい義姉。彼女が育てる人面花を巡る悲劇と戦慄の真相を描いた表題作ほか、花・星・蟲・鳥を題材として、幽玄の世界のうちに技巧を尽くした傑作ミステリ短篇集『月下の蘭』。かつて公安警察の鬼と呼ばれた盲目の老人と、彼の愛娘が伴った謎の客との会話が思わぬ過去を暴き出す「夜のジャスミン」ほか、男女の愛憎を中心に据え、鮮やかなツイストで読者を唸らせる『殺人はちょっと面倒』。幻の2冊を合本にて贈る。『血の季節』『弁護側の証人』など大胆な仕掛けで世を驚倒せしめた著者が、歌舞伎、能楽などの古典芸能をモチーフとした8篇を収録。【収録作】『月下の蘭』「月下の蘭――春は花」「残酷なオルフェ――夏は星」「宵闇の彼方より――秋は蟲」「ロドルフ大公の恋人――冬は鳥」/『殺人はちょっと面倒』「ラヴ・ホテル〈瀧〉にて」「殺人はちょっと面倒」「夜のジャスミン」「空白の研究 A Study in Blank」/『月下の蘭』初刊本あとがき/編者解題=日下三蔵
  • ポンド氏の逆説
    3.0
    温厚で小柄な紳士ポンド氏には、穏当な筋のとおった談話の最中に奇妙な発言をまじえる癖があった。死刑執行延期命令書を携えた兵士が途中で死んだせいで、囚人は解放された。二人の意見が完全に一致したために、片方がもう一人を殺した……など、辻褄の合わないポンド氏の発言が明らかにする、さまざまな事件に隠された、論理的だがあまりにも奇妙な真相。巨匠自らが逆説集と銘打った珠玉の短編集を新訳決定版にて贈る。文豪ボルヘスも驚嘆した「黙示録の三人の騎者」など、全8編を収録する、新訳決定版。【収録作】「黙示録の三人の騎者」「ガヘガン大尉の罪」「博士の意見が一致する時」「ポンドのパンタルーン」「名前を出せぬ男」「恋人たちの指輪」「恐ろしき色男」「高すぎる話」/解説=西崎憲
  • 熾天使の夏
    3.0
    学生運動に伴うリンチ事件の主謀者として三年間の刑務所生活を終え、男はひっそりと暮らしていた。ある日彼は、自分が尾行されていることに気づく。待ち伏せてみるとそれは昔の仲間であったのだが……。完璧な自殺それが問題だ――頭蓋の奥で響く小さな呟きを意識しながら、植民地都市へ向かい、飛翔を試みた、かつて革命の時を生きた男は何を思い、何を求めるのか? 矢吹駆の罪と罰を描いた、シリーズ第ゼロ作にして、笠井潔の原点! 幻の処女長編テロリズム小説。/講談社文庫版解説=竹田青嗣、創元推理文庫版解説=小森健太朗
  • 老人犯罪団の逆襲
    3.0
    国立美術館の絵画誘拐と身代金奪取をまんまと成功させ、大金を手にした老人犯罪一味ネンキナー団の面々。ほとぼりが冷めるまでと、ラスベガスでカジノ三昧の日々を送っていたが、さすがに故郷が恋しくなってきた。それに福祉崩壊の皺寄せを受けている老人たちのための資金は、まだまだ足りない。メッタをリーダーとする5人の団員は新たな犯罪に着手すべく、再びスウェーデンに。だが、せっかく入手したアジトである一軒家の隣は、バイク族バンドエンジェルズの巣窟だった。危うしネンキナー団。老人たちの痛快無比な活躍を描くシリーズ第2弾。
  • ブラウン神父の醜聞
    3.0
    その古書を開いた者は跡形もなく消えてしまう──そう伝えられるとおりの事件が起きる「古書の呪い」を始め、閉ざされた現場で発生した奇妙な殺人の謎がこのうえなく鮮やかに解かれる「《ブルー》氏の追跡」、陸へ上がったばかりの提督が殺害された奇妙な事件とブラウン神父の鮮やかな推理が光る「緑の人」や「共産主義者の犯罪」など、いずれもチェスタトン特有のユーモアと、逆説にあふれた、粒よりの9編を収録する。全編が必読にして傑作という、奇跡のような〈ブラウン神父〉シリーズ、堂々の最終巻!/解説=若島 正
  • 月の部屋で会いましょう
    3.0
    モリーに宇宙服が出はじめたのは春だった――肌が宇宙服に変わり、やがて宇宙に飛び立ってしまう病気に引き裂かれる恋人たち(僕らが天王星に着くころ)、彼女の手編みセーターの中で迷子になる男(セーター)、だれもが常に巨大な金魚鉢を持ち歩かねばならない星での不思議なバカンス(休暇旅行)、自分の寝言を録音したはずが、再生されるのは謎の会話(ささやき)……不世出の天才作家による、とびきり奇妙で、どこか優しく、切ない作品の数々。2001年度P・K・ディック賞候補となった33編の短編集に、本邦初訳1編を増補。/解説=渡邊利道
  • 007/ロシアから愛をこめて【井上一夫訳】
    3.0
    ソ連情報部は、このところの失策続きを、なんとか挽回しようとしていた。そこで槍玉に挙げられたのが、英国秘密情報部。なかでも腕利きのスパイとして知られる、007ことジェームズ・ボンドだった。こうしてソ連の公式殺人機関スメルシュの、ジェームズ・ボンドに対する死刑執行計画が動き始める。舞台はイスタンブール。ヨーロッパとアジアが交わる混沌とした街。ボンドに恋するソ連情報部の美女との、豪華なオリエント急行での逃避行。二重三重に仕かけられた巧妙な罠に、さしものジェームズ・ボンドも、次第に搦めとられていく。シリーズ最高峰の傑作。/解説=戸川安宣
  • 幻夢の聖域
    3.0
    「あたしの一族は死神に狙われているの。だからそいつを追い払うために、幻魔法師を探している」峠の宿屋で手伝いをしていたハーブラギスに、旅の薬師見習いミリナはそう告げた。だが、ハーブラギスがミリナの旅に同行することを決めたのは、彼女が持っていた金貨のせいだった。遠い昔に消えた王国エディムーンの金貨。ハーブラギスが子供の頃暮らしていた施設で、面倒を見てくれた不思議な女性が持っていた本に描かれていた紋章と同じだったのだ。エディムーンとは何なのか? 第1回創元ファンタジイ新人賞選考委員特別賞受賞後第1作!
  • 探偵レミングの災難
    3.0
    レオポルト・ヴァリシュ、あだ名は“レミング”。刑事時代、犯人の逃走車輛の前に思わず飛び出したのを、集団自殺するネズミのようだと言われ、以来その名前で呼ばれている。訳あって警察を辞め、現在は興信所の調査員だ。ある日、浮気調査で元教師を尾行したところ、目を離した一瞬の隙に彼が殺害されてしまう!警察に犯人扱いされ、興信所の所長に事件に首を突っ込むなと言われるが、犯人捜しをあきらめられず、衝動的に辞めてしまい……。後先考えないお人よしの探偵が、殺人の真相を求めウィーンを駆ける。ドイツ推理作家協会賞新人賞受賞作。
  • 蘭の館 上
    3.0
    レマン湖のほとりに建つおとぎ話の城のような館〈アトランティス〉。主は世界中から赤ん坊を迎え、この館で養育する。養女たちはプレアデス星団にちなんで命名され、愛情をこめて育てられた……。長女マイアはロンドンで養父の突然の死の知らせを受けた。至急館に帰ったものの、養父の遺体は遺言によってすでに水葬されてしまっていた。なぜ娘たちに秘密で葬られなくてはならなかったのか? マイアは自分たちが養父について何も知らないことに愕然とする。幾重にも張り巡らされた謎また謎。世界的ベストセラー作家による壮大なプロジェクト開幕。
  • 不良品探偵
    3.0
    馬鹿ファンタジスタ、手遅れ確定のダメ人間、ネジの抜け落ちた規格外の頭脳を太い鉄筋でつなぎとめている男。白城一馬の変わり者の先輩、藍須救武を評する言葉は数あれど、端的に言うならば、まさにこの言葉がふさわしい。すなわち「伝説の不良品」。普段はしようもない言動で一馬を振りまわす藍須だが、自らの高校で、バイト先であるお寺やたこ焼き屋で、ひとたび謎を前にすると謎解きの天才になる?! ミステリーズ!新人賞受賞作家が贈る新シリーズが開幕する! 伝説の不良品探偵・藍須救武の活躍と白城一馬の毒舌をどうぞお楽しみください。
  • 花嫁首 眠狂四郎ミステリ傑作選
    3.0
    ころび伴天連(バテレン)の父と武士の娘である母を持ち、虚無をまとう孤高の剣士・眠狂四郎。彼は時に老中・水野忠邦の側頭役から依頼を受け、時に旅で訪れた土地で謎と遭遇して、数々の難事件を解決する名探偵でもあった。密室状態にある大名屋敷の湯殿で、奥女中が相次いで不可解な死を遂げる「湯殿の謎」。寝室で花嫁の首が刎ねられ、代りに罪人の首が継ぎ合せられていた「花嫁首」。偶然助太刀した武士の妻の仇討ちに隠された、意外な真相が明かされる「悪女仇討」。時代小説の大家が生み出した異色の名探偵が奇怪な事件に挑む、珠玉の21編を収録する。【収録作】「雛の首」「禁苑の怪」「悪魔祭」「千両箱異聞」「切腹心中」「皇后悪夢像」「湯殿の謎」「疑惑の棺」「妖異碓氷峠」「家康騒動」「毒と虚無僧」「謎の春雪」「からくり門」「芳香異変」「髑髏屋敷」「狂い部屋」「恋慕幽霊」「美女放心」「消えた兇器」「花嫁首」「悪女仇討」/編者解説=末國善己
  • ブラウン神父の知恵
    3.0
    逆説の論理の魔術師チェスタトンを代表する、名シリーズの第2集。トリックの凄みでは、名作揃いの巨匠チェスタトン作品のなかでもトップクラスに位置する「通路の人影」、ポオの「盗まれた手紙」にも比肩する「銅鑼の神」、仮装舞踏会を舞台に神父の心理試験反対論を織りまぜた「機械のあやまち」など、いずれ劣らぬ名作12編を収録する。小柄で不恰好、手にした帽子と蝙蝠傘をまるで大荷物のように扱いかねている――とても名探偵とは思えない外見のブラウン神父が明かす事件の真相は、読む者の度肝を抜く!【収録作】「グラス氏の失踪」「泥棒天国」「イルシュ博士の決闘」「通路の人影」「機械のあやまち」「シーザーの頭」「紫の鬘」「ペンドラゴン一族の滅亡」「銅鑼の神」「クレイ大佐のサラダ」「ジョン・ブルノワの珍犯罪」「ブラウン神父のお伽噺」/解説=巽昌章
  • 花魁さんと書道ガール
    3.0
    書道一筋の内気な大学生・多摩子は、祖母の部屋で古びた簪を見つけた夜、春風と名乗る花魁の幽霊に取り憑かれてしまう。「本物の恋を見ることができれば成仏するかもしれないよ」という幽霊の言葉を信じた多摩子は、春風に体を貸して恋に悩む人の相談にのり、花魁の巧みな手練手管で恋愛を成就させることに。かくして妖艶な花魁と地味な書道ガールによる「最強の恋愛アドバイザー」が誕生した。
  • 魔物のためのニューヨーク案内
    3.0
    その求人広告は冴えない書店の掲示板に貼られていた。まさにゾーイが求めていた仕事。地方都市で雑誌の仕事をしていたが、既婚者の上司と恋愛関係になった挙句、ぼろぼろになってニューヨークに帰ってきた。大好きなこの街のガイドブックの仕事ができれば、願ったりだ。大喜びで応募したゾーイだったが、なぜか会社側はゾーイでは会社に馴染めないの一点張り。経歴も実力にも自信のあるのになぜ? 食い下がって面接にこぎつけたものの、そこで彼女が目にしたのは、とんでもない世界だった。おしゃれな街NYを舞台にしたポップなファンタジー。
  • 翻訳家の蔵書
    3.0
    ラヴクラフトの翻訳研究で知られる翻訳家が、浩瀚な蔵書により蓄積された知識と翻訳作法、半生における書物や人物との出会いを綴る希少な一冊。
  • 大佐
    3.0
    舞台は『ブラインドサイト』の7年後。現代随一のハードSF作家が、自由意志と神の本質に挑む。【新作長編『エコープラクシア』の序章となる短編】宇宙船〈テーセウス〉が太陽系外縁で異星の知性体と遭遇してから7年。地球では、集合精神を構築するカルト教団が不可解な動きを見せる。彼らの狙いを探る情報部のムーア大佐に、教団は予想外の情報を告げる――星雲賞ほか全世界7冠制覇の傑作長編ハードSF『ブラインドサイト』と続編『エコープラクシア』をつなぐ、予告編的短編。/カバーイラスト=加藤直之 *本書はピーター・ワッツ『エコープラクシア 反響動作』(創元SF文庫、2017年1月刊行)下巻の収録作を単体で電子書籍化・先行発売したものです。
  • ダブル・ミステリ
    3.0
    1巻1,934円 (税込)
    直球のフーダニットとトリッキーなサスペンス、二本の中編を収録。驚愕の結末は、巻末に──。数々の不可能犯罪を解決してきた弁護士・森江春策。彼は幻の映画の上映会に招かれ、潮が満ちると孤島と化す地・天眼峡に建つホテル《月琴亭》にやってきた。しかしそこに集った他の四人は、それぞれ異なる理由で呼び出されたことが判明する。クローズド・サークルで起きた殺人事件に名探偵が挑む直球のフーダニット!(「月琴亭の殺人」)磯島健太が死んだ。いい加減なのに憎めない、わたしの元恋人が――。頼りない恋人を見切ってシングルマザーという選択肢を選んだライターの“わたし”は、妊婦が電車内でトラブルに見舞われて急死した事件を取材中、奇妙な違和感を覚えた。被害者女性の周辺では事故死が相次いでいるのだ。この不気味な事実に着目したわたしだが……。(「ノンシリアル・キラー」)2つのミステリが重なるとき、世界は反転する──芦辺拓、一世一代の大仕掛け!※収録しております「ノンシリアル・キラー」「解決編」は、電子書籍版収録にあたり、紙書籍版と仕様が異なる部分がございます。
  • 詩人と狂人たち
    3.0
    ある時は、心理学者の下宿する家で発見された開かれた窓と金魚鉢から恐るべき事態を推察し、高名な化石研究者の“消失”の背景に隠された異様な真相を看破する。またある時は不吉なシンボルで飾り立てられた家の宴の13人目の客となってしまい……平穏な風景のなかに覗く微かな異和感から奇妙な謎を見出し、逆説と諧謔に満ちた探偵術で解き明かす、画家にして詩人であるガブリエル・ゲイルの活躍を描く8編の探偵譚を収録する。チェスタトンの真骨頂ともいうべき幻想ミステリの傑作を、新訳決定版にて贈る。/解説=鳥飼否宇
  • 深夜の市長
    3.0
    昼とは全く別の姿を見せる真夜中の東京“大都市T”。奇怪な人々が闇に潜む不思議な都市を支配するのが、謎の老人・深夜の市長である。ある晩の殺人事件をきっかけに、彼の存在を知った僕。果たして深夜の市長の正体は? 傑作都市ミステリ「深夜の市長」。祖父とも思う資産家の老人が亡くなった後、少年が取った行動が予想外の事態を招く「仲々死なぬ彼奴」。人間の興奮をグラフにした“興奮曲線”によって、殺人犯を特定した博士が陥った悲劇を描く「キド効果」など珠玉の11編を収録。日本SFの先駆者にして唯一無二の奇想で彩る作品を描いた著者の真髄を示す、傑作ミステリ短編集。
  • 松谷警部と向島の血
    3.0
    これが現職最後の担当事件か──松谷警部が駆けつけた現場は両国国技館から歩いて行ける距離にあった。被害者は五稜郭光夫、渡島部屋の十両力士だという。胸部を刺されており、傍らに「コノ者、相撲道ニ悖ル」と印刷された紙片が。やがて先輩格の鴎島、葛灘が相次いで殺害され、同じメッセージが残っていた。狭い社会だけに関係者は限られるが、三件全部にアリバイがない者はおらず、動機やメッセージの真意も定かではない。苦心惨憺の末、白石巡査部長が真相に至ったのは、実に警部の退職二日前だった!/解説=神命明
  • 技師は数字を愛しすぎた
    3.0
    パリ郊外にある原子力関連施設で、突然銃声が鳴り響いた。人々が駆けつけると、技師長のソルビエが撃ち殺され、金庫からは重さ二十キロほどの核燃料チューブが消えていた。そのチューブは、パリ市民を核爆発、放射能汚染の恐怖にさらす危険物だった。司法警察の捜査が開始されたが、なんと犯行現場は完全な密室状況にあったことが判明する。その部屋には、誰も入っていかなかったし、そこから誰も出てはこなかったのだ! 更に重なる不可能状況での事件……。フランス・ミステリ界を代表するコンビ作家による、密室テーマの傑作本格ミステリ。/解説=戸川安宣
  • 古書贋作師
    3.0
    ニューヨーク州東端の町で、アダムという男が後頭部を殴打され、両手首を切断された状態で発見される。周囲には稀覯本や貴重な原稿が散乱していた。彼は、コナン・ドイルなど著名作家の直筆を偽造する贋作師だった。アダムの妹ミーガンと交際しているわたしも、かつて名を馳せた贋作師。だが逮捕されたことを契機に足を洗い、今は古書オークションハウスで働いている。ディケンズやドイルなどの文豪の筆跡で書かれた、正体を暴いてやるとの脅迫状に怯えながら。稀覯本の世界へ読者を誘う、異色のミステリ。/解説=三橋曉
  • 旋舞の千年都市 上
    3.0
    ナノテク革命と低炭素経済がもたらす活況に沸く巨大都市。突如起こった、犠牲者ゼロの奇妙な自爆テロの真相とは? ボットを操り、テロ現場にいた謎のドローンを追う探偵志望の少年、AIが飛び交う国際金融市場に一大詐欺をしかけるトレーダー、革命的ナノテク技術の研究者と出会った新米マーケッター、伝説の「蜜人」を探す美術商……東洋と西洋、過去と未来、科学と神秘が混じりあう千年都市を舞台に描かれる、緻密にして壮大な未来世界のリアルなヴィジョン。キャンベル記念賞と英国SF協会賞をダブル受賞した、至近未来SFの傑作登場!
  • 残照 アリスの国の墓誌
    3.0
    1巻1,731円 (税込)
    新宿ゴールデン街に店を構えるバー『蟻巣』。ミステリ好きの客たちが夜な夜な推理を戦わした日々も今は昔、ついに閉店の日を迎える。大家に鍵を返却するまでのわずかな時間、ママの近江由布子と常連客たちが思い出すのは、看板猫・チェシャをなでながらパイプをくゆらせていた物静かな巨匠、やはり常連客だった今は亡きマンガ家・那珂一兵の姿――。別れの酒の肴にと語られた、一兵が遭遇したというふたつの衝撃的な事件の経緯と真相とは? 『蟻巣』閉店までの数時間を昭和のマンガ・アニメ史とともに描く本格ミステリ。日本推理作家協会賞受賞の『アリスの国の殺人』より35年、辻ミステリの集大成! オールスターキャストで贈る長編ミステリ。
  • 【東京創元社無料読本】〈憧れの国〉へのガイドブック
    無料あり
    3.0
    1巻0円 (税込)
    2016年5月中旬、カルチャーセンターで出会った少女4人が、講座で起こる事件の謎に挑む、校外活動青春ミステリ『日曜は憧れの国』を刊行いたしました。その魅力を多くの皆様に楽しんでいただくため、『日曜は憧れの国』収録の「レフトオーバーズ」をまるごと一編立読み増量版として、また、より作品世界を楽しんでいただけるよう、著者のロングインタビューをあわせてお届けいたします。

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  • 猫が死体を連れてきた
    3.0
    身を切るような秋風がたちはじめたバラクラヴァ。新たな騒動の始まりを告げたのは、シャンディ教授の家政婦ミセス・ローマックスの飼い猫、エドモンドがくわえてきたかつらだった。持ち主にしてローマックス家の下宿人でもあるアングレー名誉教授に返却すべくさがしに出かけると、当の本人は博物館(になる予定のクラブハウス)の裏手で冷たくなっていた。第一発見者になったミセス・ローマックスの要請で駆けつけたシャンディ教授が少し調べただけで、不審な点がいくつも見つかり……? 農業大学の町が舞台の、明るく楽しいシリーズ第4弾。/解説=澤木喬
  • 密室の鎮魂歌
    3.0
    世界的に成功した、ある女流画家の個展会場で、『汝、レクイエムを聴け』という作品を見た女が、悲鳴をあげて失神した。失踪した自分の夫の居場所をこの画家が知っているにちがいない、というのが彼女の不可解な主張だった。しかし、画家と失踪した男に接点はなかった。五年前の失踪事件は謎に満ちていた。そして五年後の今、ふたたびその失踪事件の現場だった家で事件が起きる。今度は密室殺人事件。さらに密室殺人は続く。問題の絵に隠された驚くべき真実! 魅力的な謎といくつもの密室に彩られた第14回鮎川哲也賞受賞の傑作本格ミステリ。/解説=村上貴史
  • マジシャンは騙りを破る
    3.0
    ミネソタ州ミネアポリスとセントポール。ツインシティと呼ばれるこのあたりには多くの洞窟があることで有名な川沿いの断崖がある。そのなかの洞窟のひとつで、死後の世界と交信できるという男のショーが今夜テレビで生中継される。マジシャンのぼくの役どころは、それがただのマジックにすぎないと証明すること。種明かしすることなく彼のインチキを暴いた翌日、ぼくは警察に連れていかれる。件の男が殺されて、ぼくが容疑者のひとりだというのだ。マジシャン探偵登場の、ライトなミステリ・シリーズ第1弾。
  • ガンメタル・ゴースト
    3.0
    第二次世界大戦中、英空軍で活躍する不死身のエース・パイロット“高射砲(アクアク)”マカーク。隻眼、葉巻と二丁拳銃がトレードマークの彼はある日、禁断の真実を知る――本当の彼は仮想空間に囚われた、人ならぬ存在だったのだ! 西暦2059年の世界で目覚めたマカークは、彼を救出した若き皇太子メロヴィクや人工脳を装着した元記者ヴィクトリアらとともに、三人を陥れた謎の集団を追う。彼らは仮想現実と人格移植研究に潜む陰謀を暴き、地球と火星に迫る危機を阻止できるのか? 英国SF協会賞を『叛逆航路』と同時受賞した拡張現実SFの傑作登場!
  • 魔人の地
    3.0
    腕利きの絨毯乗りターリクは、絨毯競争の最中にひとりの女を助けた。太守の待女だというその女は彼に、絨毯でサマルカンドを脱出し、カリフの治めるバグダッドに行ってほしいともちかける。だが絨毯に乗るのも町を出るのも死罪。そのうえ町の外に広がる砂漠には恐ろしい魔人がいる。いったんは断ったものの、仲が悪いとはいえたったひとりの弟が女の口車に乗せられてバグダッドに向かうのを知り、あわててあとを追う。かつてターリクはバグダッドをめざしたことがあった……。千夜一夜的世界を舞台に繰り広げられる魔法ファンタジー三部作開幕。
  • 王国は誰のもの
    3.0
    わたしはどこにも行き場のない人間だ――そう思い悩む女子高校生の莉世は、帰宅途中に大きな帽子をかぶったひ弱そうな少年・丈と出会う。家からほど近い、蕪坂という大金持ちが築いた王国に招かれた丈に同行することになった莉世。ところが中世欧州風に造られたリッフェントローフ城内で、不可解な殺人事件に巻き込まれてしまう。パーティの晩、王が何者かに殺害されたというのだ! 王位を巡る権力争いなのか? 容疑者はなんと、吸血鬼、狼男、ミイラ男、ゾンビと怪人だらけ。彼らを地下牢に閉じこめたはずなのに、第二、第三の殺人が発生して……。鮎川賞作家・アマン先生が満を持して放つ、“超変”ミステリ!
  • プリズムの瞳
    3.0
    かつてはロボット研究が生み出した最先端機種として、期待を集めていた人型ロボット〈ピイ・シリーズ〉。しかし、現在ではその役割を終え、絵を描くだけの無用の〈残存種(レリクト)〉と呼ばれ、各地を放浪していた。恋人との仲に悩む女性、周囲にとけ込めない中年男性、人生を踏み外しかけた青年――ピイと出会った人々は、姿だけを人と同じくするロボットの瞳に何を見いだすのか。感情を持たないピイ、その傍に寄り添う歳をとらない少女。かれらとの対話を通して揺らぐ人々のこころを柔らかに描き出す、すぐそこの未来の、希望と祈りに満ちたSF連作短編集。/解説=三村美衣
  • 【東京創元社無料読本】ベストセレクション〈2015 Summer〉
    無料あり
    3.0
    『ビール、枝豆、ミステリ』は夏の新しい習慣! 今年もまた「ベストセレクションフェア」の季節になりました。今回のラインナップは読み継がれている東京創元社の定番中の定番をはじめ、これから新たな定番になる新作・話題作など目白押しです。本電子書籍は、フェアのガイドブックとしてお役立ていただけるよう、ベストセレクションフェア・ラインナップ作品の立読み版(電子書籍を配信している作品に限る)を収録しております。どうぞお楽しみください。/立読み版収録作品=『体育館の殺人』青崎有吾、『アヒルと鴨のコインロッカー』『夜の国のクーパー』伊坂幸太郎、『聴き屋の芸術学部祭』市井豊、『夜の写本師』乾石智子、『配達あかずきん』大崎梢、『二度のお別れ』黒川博行、『青空の卵』坂木司、『模倣の殺意』中町信、『まもなく電車が出現します』似鳥鶏、『慟哭』貫井徳郎、『ハルさん』藤野恵美、『もう年はとれない』ダニエル・フリードマン/野口百合子 訳、『星を継ぐもの』ジェイムズ・P・ホーガン/池央耿 訳、『シャドウ』道尾秀介、『盤上の夜』宮内悠介
  • 海辺の幽霊ゲストハウス
    3.0
    ニュージャージーの海辺に建つヴィクトリア様式の屋敷を買ったアリソン。シングルマザーの彼女は、築百年以上のこの屋敷を自らリフォームしてゲストハウスにし、9歳の娘メリッサと新しい生活を始めようとしていた。だがひょんなことから、屋敷に取り憑いているふたりの幽霊が見えるようになってしまう。それは、屋敷の前オーナーでツンツンしたマキシーと、気弱な私立探偵のポール。誰に殺されたか調べてほしいというポールの頼みで、調査を手伝うことにしたアリソンだったが、事件が起きてしまい……。明るく楽しい、コージーミステリ・シリーズ第1弾。
  • 【東京創元社無料読本】乾ルカからの招待 ここだけの『ミツハの一族』
    無料あり
    3.0
    1巻0円 (税込)
    2015年4月、大正時代の北海道を舞台に、水辺を守る一族を鋭く描いた著者渾身の連作ミステリ『ミツハの一族』を刊行いたしました。その魅力を、多くの皆様に楽しんでいただくため、『ミツハの一族』収録の短編「水面水鬼」をまるごと一編立読み増量版として、また、より作品世界を楽しんでいただけるよう、本作にも登場する北海道大学について語ったエッセイ「北海道大学とわたし」、メールインタビュー「ミツハを楽しむ十の質問」をあわせてお届けいたします。
  • リレーミステリ 吹雪の山荘
    3.0
    雪の舞う大晦日、山荘村である清沢郷へそれぞれの思惑を胸に人々がやってきた。矢吹駆の痕跡を追うナディア・モガール。山荘村の管理人として出稼ぎに来ていた刈谷正雄。休暇を過ごすために訪れたブッキーこと《私》と、若竹七海。原稿執筆のためにカンヅメを計画している法月綸太郎。幽霊山荘のリサーチに来た、大学生・有栖川有栖。やがて新年へと日付が変わるころ、幽霊山荘を探索していたメンバーは首なし死体を発見する! 次々に不気味な事件が起こる中、彼らは真相を暴けるのか? 豪華キャラクター6人の競演で贈る、本格リレーミステリ!
  • 夫に出会わないためのTo Doリスト
    3.0
    カティとフェーリクスは運命的な出会いで結ばれた幸せな夫婦。だが夫は忙しいうえ、カティと夫の家族や親友との相性は最悪、夫婦の間には隙間風が吹き始めていた。そんなときカティが出会ったのは、信じられないくらい素敵な青い瞳のマティアス。あっという間にひかれ合うふたり。なにもかも忘れてマティアスの胸に飛び込もうとしたカティだが、とんでもない運命のいたずらで、迫り来る電車の前に落ちてしまう。そして目覚めたのは……。恋愛、運命そして……タイムトラベル!いきなり5年前の過去に引き戻されたカティは?人生をやりなおすチャンスを与えられたら?等身大のヒロインが幸せを求めて孤軍奮闘、右往左往。ドイツでカリスマ的な人気を誇る著者の、恋していてもいなくても、すべての大人必読の書!
  • 第三閲覧室
    3.0
    誠和学園大学図書館の第三閲覧室は、大学の正式な施設でありながら、内実は学長の稀覯本コレクションを収めた個人的な書庫と化していた。その室内で有毒ガスを吸い込んだ死体が発見される。事件の背景にあるのは学内の複雑な人間関係か、それとも膨大な数の稀覯本か? 図書館運営主任に嫌疑がかけられるなか、彼の無実を確信する古書店主が事件の調査に乗り出す。第三閲覧室周辺で目撃された謎の女性や奇妙なダイイング・メッセージなど、事件には不可解な点が散見されて……。本に関するさまざまな情報のなかに緻密な企みを埋め込んだ、紀田ミステリを代表する傑作長編本格推理。
  • オランダ水牛の謎
    3.0
    上海生まれの口をきくアンティークの安楽椅子、アーチーとの出会いから半年。小学6年生になった衛が道端で拾った封筒には、“オランダ水牛”“植民地”“スパイ”と記され、葉つきの木の枝が中に入っていた。いかにも怪しい封筒と、その3つの言葉は何を意味しているのか? 上海時代のアーチーの持ち主・鈴木老人も加わって3人(?)の推理合戦の顛末を描いた表題作ほか、衛のひと夏の冒険譚「アメリカ珈琲の謎」など、クイーンよろしく〈国名シリーズ〉全5編。正真正銘の安楽椅子探偵アーチーと衛の心優しく、ユーモラスな連作ミステリ第2弾。

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  • 人形の部屋
    3.0
    ねえ、お父さん。この謎、解ける? きっかけはほんのちょっとした小さな謎。だが、八駒家の食卓にのぼると、それは一篇のミステリに姿を変える――家主の敬典は、旅行会社の有能なる社員から、専業主夫に転身。家事に追われながらも平和な日々を過ごしていたが、ある日、元先輩が可憐なフランス人形を持ちこんできた。それも、左足の先が粉々に砕けた人形を。なんとかしてくれと懇願され、持ち主まで怒鳴りこんできても、敬典はなぜか悠然とかまえている。そんな父に、中学生の娘つばさは憤慨するが、敬典の頭にはある推理が浮かんでいた……。父と娘が織りなす、温かなおうちミステリ。

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  • ロマネスク
    3.0
    讃大仁(サンドニ)の英雄バシリスクは盗まれた秘宝を捜す旅の途上、ケ・イキョー国に足を止めた。前王ヨードの崩御に始まる内紛と外敵の脅威に揺れるその国には三択の刑があり、重罪を犯した者は『胡戎魯(コジユール)の迷宮』『芽出臼(メデイウス)の回廊』『占犂牟(ウラリム)の坩堝(るつぼ)』から一つを選ばねばならない。暫定王位に就いているレツと、ヨードの子ライモスを推す老臣エゼカイオらとの確執に巻き込まれたバシリスクは三択の刑を科され、まず回廊に、次いで迷宮に挑む。自身の使命を全うできず焦りを募らせながらも、ケ・イキョーの行く末を案じて幾多の謎に立ち向かうバシリスク。秘宝は見つかるのか、そして王位は誰の手に?架空の国を舞台に展開する、ファンタスティック・ミステリ!解説=城平京

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  • 逆回りの時計
    3.0
    高木あずさは、脳梗塞で倒れたあと寝たきりになっている母に呼び出された。家の権利証と実印を森戸浩二に渡せ、これは償いだと必死に訴える母。億の単位に届く不動産をなぜその男に? 母からは理由を聞き出せず、あずさは仕方なく独力で事情を探り始めた。一方、ホテルのプールで起こった殺人事件の捜査中あずさに接触した菊地は、彼女を通じて貴重な情報を入手。その結果、過去数カ月間に発生していた事件が共通の背景を持つことを見出し、全容の解明に奔走する。練り上げられた筋立てと過去に根ざす衝撃の真相、シリーズ掉尾を飾る長編推理。

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  • ポケットに地球儀 探偵作家アマンと謎の密室魔
    3.0
    尊徳社の編集者である鹿堀は、実際の謎を探偵作家アマンに解明させるという企画を思いつき、雑誌ナゾーンに「あなたの『謎』募集」と掲載した。毎朝電車で乗り合わせる女が取る不可解な行動の謎を解いて欲しいなど、アマンのもとへ持ち込まれる四つの謎。だが謎を解く過程で必ず、あの手この手と、脱出不可能に思える空間に閉じ込められてしまう――。二人は密室から脱出し、持ち込まれた謎を解明できるのか? 鮎川哲也賞受賞作家が新たな境地で描く、密室愛に溢れたユーモア連作ミステリ。文庫オリジナル。

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  • 怪樹の腕 〈ウィアード・テールズ〉戦前邦訳傑作選
    3.0
    1巻2,514円 (税込)
    戦前の日本では、現在ほどではないにせよ相当な早さで海外の小説が翻訳紹介されていた。完全訳は少なく、豊かな翻案的作品が大衆小説誌の誌上を飾っていた。本書は、そのような戦前に紹介された作品のなかから、アメリカの著名な怪奇小説専門誌〈ウィアード・テールズ〉に発表されたホラー短編の秀作怪作を選り抜き、当時の文章のまま現代によみがえらせたものである。各編ごとに詳細な解説を付し、巻末には日本への〈ウィアード・テールズ〉掲載作の移入状況を俯瞰する論考を収めた。

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  • 幽霊屋敷の謎
    3.0
    『古時計の秘密』事件で、少女探偵として名をあげたナンシー。今度は、友人の依頼で、彼女の大おばとその母親の老婦人が住む幽霊屋敷の調査に乗り出すことになった。屋敷では二週間ほど前から奇妙な現象が立て続けに起きているうえ、なんと盗難まであったという。ナンシーは、さっそく屋敷に行って調査を始めるが、“幽霊”の正体はいっこうにつかめない。一方、鉄道橋建設のために、鉄道会社側の弁護士を務めるナンシーの父の身に反対派の魔の手が……。正義感が強く、行動力抜群の魅力的な少女探偵ナンシーが活躍する、シリーズ第2弾。

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  • 赤ちゃんがいっぱい
    3.0
    1巻550円 (税込)
    アルバイト先の助産院をリストラされた陽奈は、急場を凌ぐために胎内育児を目的とする〈ハローベイビー研究所〉に就職したが、そこでまたしても奇妙な騒動に巻き込まれる。クリーニングの引換券やくずかごなど、価値のないものばかりが次々と盗まれ、さらに十八年前を再現したかのような赤ちゃん置き去り事件が起きるが、上層部はどうやら事件を警察に届けたくないらしく――いったい研究所内で何が進行しているのか?「伝説のカリスマ助産婦」にして安楽椅子探偵・明楽先生の推理が再び冴える。爽やかなユーモアと伏線の妙を楽しめる長編本格ミステリ、助産婦探偵シリーズ第二弾!

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  • 死の内幕
    3.0
    1巻440円 (税込)
    柏木啓子を中心にした内縁関係を続ける女性たちのグループは、メンバーの小田ます子から、長く付き合っていた愛人を過って殺してしまった、と告白される。彼らは架空の犯人をでっち上げたのだが、たまたまそっくりの人間が実在したことから、事態は思わぬ方向に向かい始める……。斬新な設定と、ユーモラスな展開、そして意外な結末――天藤真の真骨頂!

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  • 日本殺人事件
    3.0
    1巻605円 (税込)
    その国に辿り着いたわたしを出迎えてくれたのは、カンノン様のありがたい巨大な微笑だった――。人生を一からやり直すため、長年憧れ続けた日本へ赴いた私立探偵トウキョー・サム。そこは、伝統と現代が奇妙に交錯し、神とホトケ、そしてサムライ・スピリットがいまなお息づく神秘の国であった。異国の風物や習慣に驚嘆し、戸惑いながらも、真のサムライにならんと意気込むトウキョー・サム。そんなサムが遭遇した奇妙なセップク事件、茶室の密室、オイラン見立て連続殺人! 徹底した趣向とアクロバティックな論理の結実が、本格ミステリのさらなる可能性を切り拓いた、山口ミステリの真骨頂。日本推理作家協会賞受賞作。

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  • 仲のいい死体 郷原部長刑事シリーズ3
    3.0
    1巻550円 (税込)
    山間の町のブドウ畑から突然噴き出た温泉。即席の野天風呂に連日数百人の人がやってくる一方で、温泉ホテル建設の話まで持ち上がり、町はちょっとした温泉ブームに沸いていた。そんな折、寺の境内で男女の変死体が発見される。一見したところ心中事件だが、温泉が湧いた土地を所有する美貌の未亡人が、冴えない妻子持ちの中年男と心中するとは思えない。東京からこの町に移住していた郷原部長は、まったく頼りにならない上司や部下たちと捜査を進めるが・・・・・・。ひとり奮闘する郷原部長は真相にたどり着けるのか? 著者の初期を代表する長編推理。

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  • サーチライトと誘蛾灯
    2.3
    1巻110円 (税込)
    わが街のドングリ公園は、住民から愛されるちょっとしたオアシスだ。治安を維持するため、吉森らボランティアの「見回り隊」が毎日パトロールしている。今夜の巡回も無事に終わると思いきや、いきなり喧嘩腰のカップルに絡まれるわ、怪しげな男が道具を組み立てているわ、さらには……。ここではいったい、何が起こっているのか? 夜の公園を訪れる奇妙な客たち。彼らの来訪と共に起きた事件の、意外な真相とは? ユーモアあふれる筆致で贈る、第10回ミステリーズ!新人賞受賞作。

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  • 邂逅
    1.0
    シドニーのあるマリーナで、海底からスチール製の収納ボックスが発見される。1メートル四方の箱には、傷だらけの少女の遺体が収められており、周囲から同じような遺体の入ったボックスが20も見つかった。シドニー州都警察殺人捜査課に異動してきた刑事フランクは、新たに相棒になった署内一の敏腕女性刑事エデンと共に未曾有の大量死体遺棄事件を追う。だが、以前の相棒が犯罪者に撃たれ殉職したばかりだというエデンは、何か秘密を抱えているようで――。オーストラリア推理作家協会賞を2年連続で受賞した、鮮烈な警察小説シリーズ開幕!
  • 鼓動
    NEW
    -
    P分署近くに捨てられていた赤子の親を探して奔走する捜査班の刑事たち。だが事態は次第に思わぬ展開へ……イタリア発の人気警察小説、〈21世紀の87分署〉シリーズ最新刊!

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