無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで201万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
物語はその昔、ゴールドラッシュに湧いたニュージーランド南島の小さな町の人質事件から始まる
皆がなぜ?と思う善良な市民の家族をギャングたちが人質にとる
そして主犯格のギャングと家の主人が姿を消す…
一体なぜ?どこに消えたのか?
二人を追うのはニックとトーブの歳の離れた警察官
とにかくこのバディがいい!
ニックの一人称で語られる章、逃走している二人を描く章、嵐を描く章…
この3つのパートの繰り返しで物語が進む
ニュージーランドの気候やゴールドラッシュなどの歴史、土着のマオリとヨーロッパ系・中国系移民との確執…
それらに絡んだミステリーという設定が大変興味深く、おもしろい
嵐のなか、ニックとトーブが逃走した二人を追うシーンはもう決死のサバイバル
ただ、洞窟のシーンは坑道好きの私とはいえイメージするのに苦労した…(笑)
そして最後にニックがとった行動はなかなかにショッキング…そして深く考えさせられる
それまでのニックのキャラクターやニックとトーブの関係がさらに掘り下げられていればニックの行動にもさらに説得力があったのかも…
最後の一文には救われた…
Posted by ブクログ
『死んだレモン』で衝撃的翻訳デビューを果たしたフィン・ベルは、作風もオリジナリティ豊か、発想も豊かだが、相当に毛色の変わった作家である。1978年アフリカ生まれ。ふうむ、若い! 法心理学者で受刑者のカウンセラー。ふうむ、やるな。ニュージーランドへ移住。思い切った人生転換。毛色の変わった作家だが、『死んだレモン』も電子書籍で自費出版したと言う。コロナの時代、作家になるのも新手の手法が出現しているとは驚愕の至り。それでもニュージーランド国内のミステリー文学賞を受賞しているのだ。強引だが個性的な作品が受けたのだろう。本業の知識経験ももちろん作品の材料になっているように思う。
それは本作でもまさにそう思う。ミステリーのようであり、秘境アドベンチャー小説のようでもあり、本格ミステリーみたいな意外性たっぷりな結末と言い、小説の作り方は上手だし、精神の世界に踏み込んでのキャラクター間の会話が何だか意味深い。とりわけ語り手の主人公ニックと先輩刑事トーブの間の語りは本書の前半の読みどころになっている。
舞台は金鉱採掘の時代を終えたトンネルだらけの南島の僻村。南と言っても反対側の半球であり、南極大陸に限りなく近い島。季節は初冬。雪だ。中国系移民家族所有の孤立した農場。犯罪者に人質となっている一家。包囲する無数の警官。そんなクライマックスみたいな状況で本書は開幕する。そして直後の爆発。ギャングたちの死体。行方をくらました一部のマフィア。その人質となった父親ジェイムズ・チェン。彼らを追う組織犯罪対策本部の我らがヒーローズ二人。
ニュージーランドが金山で賑わった歴史にも触れつつ、古い坑道を舞台にしたシーンがほとんどでありながら、不可解な事件の背景への推理も二転三転する。坑道の中で展開するアクションと推理劇。そして主人公ニックと救出される側の中国系開拓者の末裔ジェイムズの二人の葛藤劇。小説というよりも舞台劇みたいで、動きがあるようでなく、静かな独白の多い坑道内部での描写。その息苦しさを読者は味わわなくてはならない。
作中の大半を占める暗黒と寒さと迫りくる吹雪と追走劇。ギャングとの対決アクションや、部分崩壊をする古い坑道の恐怖などなど、気が休まる時間がほとんどないままに独白が展開する。この物語はどこに向かうのか、不安さえ感じるが、最後にはしっかり決着をつける。この決着について読者がどう感じるかは、それぞれだと思うが、ミステリーとしての意外性と、結末のどんでん返しなどは娯楽小説としてしっかり用意されているのでご安心を。
しかし、ミステリー内容はともかく、ラストに至る長々とした描写が、辛かった。インディー・ジョーンズが出てきそうなほど非現実的なアドベンチャー・ワールド。坑道内の描写は読みにくく、異次元に過ぎ、想像力が情景に上手く届かない。ラストの逆転劇と意外な主人公の決断とが、かろうじて本書の印象をアップさせているかな? それにしても『死んだレモン』と比較すると、ちと辛い。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
小説・文芸
小説・文芸