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虚魚
怪談師を生業としている三咲は、訳あって“本当に人が死ぬ”怪談を探している。相棒は「呪いか祟りで死にたい」というカナちゃんだ。新たな怪談が見つかると、死ねるかどうか確かめてくれる。 ある日、カナちゃんが「釣ると死ぬ魚」の噂を聞きつける。静岡県のある川の河口付近で見たこともない魚を釣った人が、数日のうちに死んでしまったというのだ。類似する怪談を知らなかった三咲は、噂の発生源を辿って取材を始める。すると、その川沿いには不思議なほどに怪談の舞台が集まっていることが分かってきた。これは偶然か、それとも狗竜川には怪異の原因が隠されているのだろうか。 自分が生涯追い求めてきた“本物”の怪談の気配を感じ、三咲は調査にのめりこんでいく。しかし、うまくいくということは、カナちゃんが死んでしまうということだ。自分はそれを望んでいるのだろうか――? 解説:小野不由美 -
パンとペンの事件簿
新聞雑誌の原稿に、翻訳、暗号文の解読……。 文章に関する依頼、何でも引き受けます。 どんな無理難題もペン一本で解決してみせる〝売文社″のもとには、 今日も不思議な依頼が持ち込まれて――。 ある日、暴漢に襲われた“ぼく”を救ってくれた風変りな人々。彼らは「文章に関する依頼であれば、何でも引き受けます」という変わった看板を掲げる会社――その名も「売文社」の人たちだった。さらに社長の堺利彦さんを始め、この会社の人間は皆が皆、世間が極悪人と呼ぶ社会主義者だという。そんな怪しい集団を信じていいのか? 悩む“ぼく”に対して、堺さんはある方法で暴漢を退治してやると持ち掛けるが……。 暗号解読ミッション、人攫いグループの調査……。社に持ち込まれる数々の事件を、「売文社一味」はペンの力で解決する! 世の不条理に知恵とユーモアで立ち向かえ。驚きと感動が詰まった珠玉の推理録! -
箱庭クロニクル
『嘘つき姫』で鮮烈デビュー、2作目『海岸通り』で芥川賞候補。 ファンタジックな世界観と異国情緒ただよう文体で読者を魅了する、2024年最大の新人が、文芸界に風穴を開ける。 次世代の「本物」を探すみなさま、この「才能」を、見つけてください。 ~~~~~~ 手のひらのミクロコスモス。地獄の口に何度でも出くわす人生、でも私だけの天国に続く糸も確かに光り、ここにある。この物語の中に。 ーー 一穂ミチ とびきり美しい物語群の中に暗さや裏切りがあって、人間の光と影を同時に見せてくる…才能って“これ”のことね!? ーー佐伯ポインティ 孤立と連帯のあわいを揺れる不器用な人間の心。その迷宮の出口は、意外なところに開いている。 ーー千街晶之 注目作家の変幻自在っぷりが炸裂。一編一編異なる魂を持つ、驚異的な短編集。 ーー瀧井朝世 坂崎さんの紡ぐ、宝石箱がきらめくような言葉づかいに、もう、夢中です!!! ーー三宅香帆 ~~~~~~ ★収録作品★ 「ベルを鳴らして」(日本推理作家協会賞短編部門受賞作) そこにひとつの戯画がある。家一軒ほどの大きさのタイプライターだ。 「イン・ザ・ヘブン」 地獄はどこにでもある。内とか外とか関係ない。 「名前をつけてやる」 これは「バッグ・クロージャ―」これは「ランチャーム」これは「ポイ」 「あしながおばさん」 拝啓 盛夏の候、時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。 「あたたかくもやわらかくもないそれ」 ゾンビは治る。マツモトキヨシに薬が売ってる。 「渦とコリオリ」 水流は左に渦を巻いている。 邦文タイピストの少女がついた歴史を変える嘘や、禁書運動家の母親を持つ少女の始祖サンドで繋がれた絆、流行り病「ゾンビ」で親友を亡くした女性の不思議な一晩etc. 人生ベストの一編が、ここに。 -
おごさま
北関東の実家から逃げ出し、東京の歓楽街に行き着いて、ホストにはまってしまった18歳のさあや。彼女は推しのカイトに身体を使ってつくった大金を注ぎ込んでいた。しかし、カイトの「一緒に暮らそう」という口約束が果たされることはなく、売り掛けの借金がかさんでいくばかりだった……。進退きわまったさあやは、実家に伝わる「おごさま」という繭のような形をした呪具を使用することを思いつく。亡くなった祖母は「おごさまはなんでも願いを叶えてくれるが、その代償として身体の一部を捧げないといけない、だから絶対に使ってはいけない」と言い残していた。しかし、どうしてもカイトの身も心も手に入れたいさあやは「おごさま」を使う儀式を開始する。……それが、取り返しのつかない惨劇のはじまりだった。 -
日の出
「あんなふうになって死ぬのは絶対にいやだ」――明治の終わり、戦争で変わり果てた父を見た13歳の清作は、徴兵から逃れ故郷を飛びだす。北陸から九州、そして横浜へと逃れながらも、商家の息子・幸三郎の協力のもと、鍛冶職人として生きる清作を、数々の試練が襲いつづける。一方、清作を曾祖父にもつ現代の女子大生・あさひは、中学校の社会科教師になったばかり。先祖を調べていたある日、学校で朝鮮半島の歴史問題に直面し…。時代をへだてたふたりの希望の光が、小さく輝きはじめる。各メディアが大絶賛! 数多くの高校受験向けの教材で使用された感動長編!! -
中野のお父さん
新迷探偵コンビ登場!? 文芸編集者の娘と高校国語教師の父が、出版社の「日常の謎」に挑む! 主人公は大手出版社「文宝出版」に勤める田川美希。 女性誌から晴れて希望の文芸部門への配属がかなうと、 大学時代までバスケットボール部で鍛えたバイタリティを活かし、 仕事に燃える毎日だ。 ある日、文宝推理新人賞の最終候補を決める会議で、 有力な候補作品「夢の風車」の担当となった美希は、 その候補者へお知らせの電話をかけた。が、まさかの返事を聞くことになる。 「――応募していませんよ、私は」、と。 一昨年までは新人賞へ投稿していた候補者の男性だが、 まったく芽が出ずに今回は応募をしていないというのだ。 何とかこの作品を世に送り出したいと願う美希は、さまざまな可能性を探るが、 どこからこの原稿が届いたのかまるで見当がつかない。 ふと、父親にことの顛末を話してみようと思った。 ..高校教師をしている父は百科事典タイプの人間で、 インターネットで分からなかった疑問を解決してくれたりもする。 相談役として誠に便利な存在だからだ。 娘の相談にお父さんが導き出した真実とは果たして? 大作家同士の手紙、スケッチを映した写真、落語の解釈、 マラソン大会でのハプニングなど、中野の実家に住む父は 抜群の知的推理で謎を次々に解き明かす。 「日常の謎」の名手が、自らのフィールドを最大限に楽しみつつ、 新たに送り出したユーモアとけれん味たっぷりの名探偵シリーズ。 解説=佐藤夕子 単行本 2015年9月 文藝春秋刊 文庫版 2018年9月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。 -
日比野豆腐店
ベストセラー『ひと』の著者による じんわりと心に染みる家族小説 東京の町なかにひっそりと佇む「日比野豆腐店」。 店主の清道を亡くした日比野家は、 厳しいながらも手を取り合って店を切り盛りしていた。 店を終わらせようとしている祖母の初。 亡くなった夫の代わりに店を続けたい母の咲子。 店を継ぎたいのかどうか、将来に悩む令哉。 そして、「ある人」と一緒に三人を見守る飼い猫の福。 「日々の豆腐」という意味も込められた豆腐屋で、 ひたむきに生きる人たちを描いた心揺さぶる家族小説。 ●著者より● 『日比野豆腐店』。僕自身の主食とも言える豆腐を扱った作品です。 何というか、もう、書くこと自体が楽しい小説でした。 つらいことも起きますが、それでも楽しいのだから不思議です。 そしてそれは僕にとってとても大事なことです。 その楽しさは読んでくださるかたがたにちゃんと伝わるでしょうから。 皆好きななかで特に好きな登場人物(?)は日比野福です。 家族に豆腐に福。すべてを楽しんでいただけたらうれしいです。 ●目次● 日比野初 -断章 日比野福- 日比野咲子 -断章 日比野福- 神田七太 -断章 日比野福- 日比野令哉 -断章 日比野福- -
百年かぞえ歌
百年という時の流れの背後に埋もれた人々の思い、 そして、愛する作家と文学館に自分が出来ること―― 里海町の町役場で働く由佳利は、二週間前に婚約破棄をされてしまい人生行き詰まり中。 そんな中、担当している地元出身作家の文学館「貴地崇彦生家館」に関して、刑事二人が聞き込みに来た。貴地は明治末期の生まれで戦後に活躍した作家だ。没後二十年以上になるが知名度はまだまだ高い。 刑事は収蔵物について聞きたいということだったが、なにやら裏に不穏な事件があるらしい。 調べると、数日前に発見された身元不明の青年遺体のポケットから、貴地にまつわる葉書が発見されたようだ。 驚き戸惑う由佳利のもとに、以前いちどだけ会った老齢女性の艶子が訪れる。艶子は若いころ貴地の愛人だったと噂される存在だ。 生前の貴地先生から、やり残したことがあると聞いていたという艶子。その勢いに呑まれて調べを続けた先で由佳利は、中学高校で同級生だった夏央にも再会する。彼も調査に加わり、3人の凸凹チームが誕生した。 やがて、貴地が謎の「かぞえ歌」を残していたことが分かり、そこに隠された秘密を辿るのだが……。 思いがつながる、著者初の文学館ミステリ。 ある作家をめぐる「百年」に、あなたは何を見つけますか。 -
お口に合いませんでした
フードデリバリーの冷めたシチュー、北欧家具店のミートボール、激安居酒屋の肉寿司…… タワマンを遥か頭上に見上げ、気鋭の文筆家が都市生活の不満を嘆く憂鬱グルメ小説。 食事はいつもおいしくて満たされて幸せ、なんてやっぱり嘘だった。 ——高瀬隼子(『おいしいごはんが食べられますように』)推薦! 体調を崩した私は初めてデリバリーを注文するが、届いたシチューからは独特の冷えて固まった油のような匂いがして……(ゴースト・レストラン)。10年ぶりの同窓会、クラスのLINEグループに「完全個室創作和食バル★肉寿司食べ放題! 3時間飲み放題付き2980円」の食べログURLが送られてくる(Girl meats Boy)。おいしくない食事の記憶から都市生活のままならなさと孤独を描く、憂鬱なグルメ小説13篇を収録。 -
ポップ・フィクション
エンタメの深層をつかめ。 大正時代、出版華やかなりし頃。 「市民公論」編集部の松川は、窮地に立たされていた。 担当した企画のせいで、筆者が大学を追われることになったのだ。 奔走する松川に、主幹は驚きの決断を下す。 同じころ、当代きっての人気作家・菊谷は、 「書きたいものを書く」ための雑誌を立ち上げようとして…… 「100万部突破の常勝雑誌を作る」宿願は叶うのか? 徳川夢声、谷崎潤一郎―― 作家や文化人たちが侃々諤々の議論を交わしながら、 面白いものを作ろうと奮闘する様を描く。 刊行点数200冊に迫るエンタメ界のトップランナーが送る、出版お仕事小説。 -
ミニシアターの六人
上映最終日前日、午後四時五十分の回の奇跡。 銀座のミニシアターで、二年前に亡くなった末永静男監督の追悼上映が行われている。二十一年前に公開された『夜、街の隙間』、上映は一週間だけ。最終日前日、午後四時五十分の回。天気は雨、観客は六人だった。 この映画館で働いていた三輪善乃は、公開当時にチケット売場の窓口にいた。山下春子にとっては、大学の同級生と成り行きで観に行った作品だ。自主映画を撮っていた安尾昇治は、末永のデビュー作でその才能を目の当たりにし、道を諦めた過去がある。沢田英和は、この作品に元恋人との苦い思い出があった。誕生日デートのはずだった川越小夏は、一人でスクリーンを眺めている。映画監督を目指す本木洋央は、生物学上の父親が撮った作品を観に来ていた……。 観客たちの人生と、『夜、街の隙間』のストーリーを行き来しながら、出会いとすれ違い、別れを繰り返す日々の中にある奇跡を鮮やかに描く。 『ひと』『まち』『いえ』の著者が、銀座という街とミニシアター、そこに集う人々、そして映画への愛を描き切った渾身の人生讃歌。 限られた人生の中で「映画」と出会えた幸福を、この小説はあらためて教えてくれた。 ──脚本家・向井康介さん(解説より) ※この作品は過去に単行本として配信されていた『ミニシアターの六人』 の文庫版となります。 -
廃遊園地の殺人
失われた夢の国へようこそ 巨大すぎるクローズドサークルで連続殺人発生!? 衝撃の全編リライト! 待望の文庫化!! 銃乱射事件で閉鎖された遊園地・イリュジオンランドへ、廃墟コレクターの資産家・十嶋庵が二十年ぶりに人々を招く。廃墟マニアの元コンビニ店員・眞上永太郎をはじめとした招待客が、廃園の所有権を賭けた宝探しに挑戦する最中、串刺しになった血まみれの着ぐるみが見つかり……。驚愕の廃墟×本格ミステリ長編! 文庫版あとがき収録。 【目次】 プロローグ 第一章 失われた夢の国 第二章 着ぐるみに死す 第三章 燃える迷宮 第四章 事件は巡る、星は回る エピローグ 文庫版あとがき カバーイラスト/Add your name カバーデザイン/坂野公一(welle design) -
とるに足りない細部
1949年8月、ナクバ(大災厄)渦中のパレスチナ/イスラエルで起きたレイプ殺人と、現代でその痕跡を辿るパレスチナ人女性。二つの時代における極限状況下の〈日常〉を抉る傑作中篇。 この作品の「細部」に宿っているものは、私の精神世界を激しく揺さぶり、皮膚の内側を震えさせる。この本の中の言葉の粒子に引き摺り込まれ、永遠に忘れられない体験になり今も私を切り刻んでいる。 ——村田沙耶香氏(作家) かき消された声、かき消された瞬間と共にあるために、この小説は血を流している。 ——西加奈子氏(作家) *2023年、本作はドイツの文学賞であるリベラトゥール賞を受賞。しかし同年10月、イスラエルによるガザへの攻撃が激化するなか、フランクフルト・ブックフェアで開催予定だった授賞式は同賞の主催団体リトプロムによって中止され、ブックフェアは「イスラエル側に完全に連帯する」との声明を出した。この決定に対しては、作家や出版関係者を中心に、世界中から抗議の声が上がっている。 -
探偵はパシられる
「パシリ」によって培われた、知識と経験で謎を解け! 発売前から話題騒然! 現役書店員芸人であり、「アメトーーク!」で読書芸人として話題のカモシダせぶん氏、まさかの小説デビュー作。 物語史上最弱主人公爆誕。中学時代、カツアゲにあった、あの頃の俺に贈りたい本。――山里亮太さん(南海キャンディーズ・芸人) 令和のパシリと番長は一味違う! 新しいのにどこか懐かしい一冊です。――宮島未奈さん(小説家) 芸人で書店員のカモシダくんがとうとう小説まで書いちゃった!? これは事件です!!――東村アキコさん(漫画家) 〈STORY〉神奈川県立N高校の番長・丸木のパシリである岡部太朗は、「お使い先」で数々の事件に巻き込まれる。丸木のもとに早く戻らなければならない太朗は、最速で事件を解決する!? N高への転校早々、舐められないようにカツアゲをすることにした原田は、岡部太朗という生徒から金を巻き上げることに成功する。しかし太朗から、逆にカツアゲの不手際を指摘されてしまい……(「ファーストカツアゲ」) 仕事前にあんパンを買うことを日課にしている木梨は、残りひとつしかないあんパンを巡り、太朗と取り合いに。番長のために絶対にあんパンを買うと言い張る太朗に対し、木梨にも譲れない理由があり……(「最後のあんパン」) ――など、爆笑と衝撃の全9編を収録。 -
新 謎解きはディナーのあとで2
シリーズ大ヒット!新章始動から3年ぶりの第2弾! 執事探偵×令嬢刑事コンビの国民的ユーモアミステリ、 新章スタートから3年ぶりの第2弾! 「お嬢様の素晴らしすぎるお考えは、 残念ながら『休むに似たり』でございます」 1 笠原邸の殺人 自宅にて、絞殺死体で発見された資産家の老人。 現場にはなぜ割れた大皿が散らばっていたのか。 2 灰色の血文字 アイドルの撮影中にスタジオで芸能事務所の社長が殺された。 ダイイング・メッセージらしき血文字“アキラ”の意味は? 3 浜辺のパラソルの問題 別荘のある島での婚約披露パーティに招かれた麗子と影山。 しかし、主役がビーチパラソルの下で死体となって見つかる。 4 服を脱がされた男 多摩川の河川敷で全裸の変死体が発見された。 犯人はなぜ被害者の衣服を奪ったのか。 5 四回殺された女 ワンルームで見つかった若い女の首吊り死体。 殴って絞めて刺して吊るして――前代未聞の殺し方の理由とは!? “迷”推理を繰り広げる風祭警部に、“空気読めない”後輩の愛里ちゃん。 2人に振り回されながら、麗子は影山と5つの難事件に挑む! (底本 2024年9月発行作品) -
いいえ私は幻の女
忘れられたら楽なのに――。 傷ついた言葉。消せない過ち。ふたりだけの約束。 すべてなかったことにしよう。この人生が変わるなら。 ミステリーの新鋭が贈る、奇妙であたたかな“忘れられない”物語。 小江戸川越の街にひっそりと佇む「Memory」は、“記憶を消してくれる”カフェ。不思議な力を持つ家入蘭のもとに、過去の失恋やトラウマに苦しむ人々が、今日も引き寄せられるようにやってくる。 最愛の人に先立たれ生きる気力をなくした坂下麻季は、自分のことは忘れてほしいという亡き恋人の遺志にしたがい、Memoryを訪れた。 記憶が完全に消去されるまでの間、川越の街をぶらつく麻季。そこに死んだはずの恋人が現れて……。 麻季の最後のデートを描いた「あなたに似た人」や、表題作「いいえ私は幻の女」のほか、驚きと感動せまる追憶の物語集。 -
舞台には誰もいない
舞台のリハーサル中、不可解な死を遂げたひとりの女優。 事故なのか、自殺なのか、それとも――。 女はみんな、誰かを演じて生きている。 舞台の上でも、日常でも、 演じることをやめられなかった女優を描く、 今、大注目の著者があぶり出す女のリアル。 他人を演じている間だけは、ここにいていいんだと思える。 ゲネプロの最中に一人の女優が命を落とした。彼女の名は遠野茉莉子。開幕を直前に控えた舞台で主役を演じる予定だった。舞台演劇界で高い評判を得て、名声をほしいままにしていた茉莉子。彼女をその地位に押し上げたのは、劇作家の名倉敏史だった。 茉莉子の死からほどなくして、舞台の関係者が一堂に会するなか、名倉は重い口を開く。「遠野茉莉子を殺したのは、ぼくです」。やがて関係者たちも次々に、彼女について語りだす。茉莉子の「死」の真相を探るほどに、次第に彼女の「生」が露わになっていき――。 -
半島へ
「海松」を超えた、究極の「半島物語」。東京を離れ、志摩半島を望む町で暮らし始めた中年女性。孤独な暮らしのなか、彼女がそこで見つめたものは? 川端賞受賞作「海松」を超えた、究極の「半島物語」。谷崎潤一郎賞、中日文化賞、親鸞賞受賞作! その春、「私」は半島に来た。森と海のそば、美しい「休暇」を過ごすつもりで――。たったひとりで、もう一度、人生を始めるために――。川端賞受賞の名作「海松(みる)」を超えた、究極の「半島小説」 顔を上げると、樹間で朝を待つものたちの気配がした。たぶんメジロやウグイス。どこに巣があるのかわからないが、葉擦れや枝のこすれとは違う音がする。寝覚めの脳に届いたのは身じろぎする鳥たちの気配だったのかもしれない。やがて、森のあちこちに青みを帯びた筋が差しこむ。樹間に広がる光の筋は、やがて明るい金色を帯びていった。途端に森の奥から、鳥の声がにぎやかに聞えてきた。なかに「リッカ、リッカ、ピイィ」と鳴く鳥がいる。そういえば、今日は立夏。東京から半島にきて、もう一ヵ月がたっていた。――<本文より> 第47回谷崎潤一郎賞受賞作 解説・木村朗子 -
後宮に紅花の咲く~濤国死籤事変伝~
入宮した高明珠は、困窮する実家への仕送りのため、他の妃たちに「男児が産まれない」護符や怪しげな品々を密かに売っていた。濤国には、帝の男児を産んだ母は殺される貴母投法という習わしがあり、妃たちは男児を生みたくなかったのだ。十分に気をつけていた明珠だが、突然帝に呼び出され、商売の交換条件として、ある探索を命じられる。帝は貴母投法を廃そうと、密かに動いていたのだった。明珠に課された探索とは――! -
イッツ・ダ・ボム
阿部智里、額賀澪、川越宗一、波木銅らを輩出した 第31回松本清張賞受賞作! 森見登美彦さんが「もはやズルい」と、 米澤穂信さんが「夜の光を放つ、ささやかで切実な犯罪小説――圧倒的だった」と 激賞した鮮烈なデビュー作! ◆◆◆ グラフィティ graffiti おもにエアゾールスプレーやマーカーを用いて街に書かれた名前や絵柄。 ボム bomb 街にグラフィティを書いたり、ステッカーを貼ったりする行為。またはその痕跡。 特に違法に行われるものを指す。 ◆◆◆ 「日本のバンクシー」と耳目を集めるグラフィティライター界の新鋭・ブラックロータス。 公共物を破壊しないスマートな手法で鮮やかにメッセージを伝えるこの人物の正体、 そして真の思惑とは。うだつの上がらぬウェブライターは衝撃の事実に辿り着く。 (第一部 オン・ザ・ストリート) 20年近くストリートに立っているグラフィティライター・TEEL(テエル)。 ある晩、HEDと名乗る青年と出会う。 彼はイカしたステッカーを街中にボムっていた。 馬が合った二人はともに夜の街に出るようになる。 しかし、HEDは驚愕の“宣戦布告”をTEELに突き付ける。 (第二部 イッツ・ダ・ボム) 「俺はここにいるぞ」と叫ぶ声が響く、いま一番クールでアツい小説! -
働く女子に明日は来る!
働く女子にエールを!超前向きお仕事小説。 「やれることをやれ、目の前の仕事に全力で取り組め。そうしているうちに…動かねえと思ってたもんが動き出したりするもんなんだ」そんなメッセージが込められた人気小説が文庫化です。 今日も明日も、心身共にハードワークが待っている…! そこは、テレビドラマ制作の現場。主人公の時崎七菜(31才)は、制作会社のアシスタントプロデューサ-(AP)。尊敬するプロデューサー(P)の上司・頼子をお手本に、連続TVドラマ『半熟たまご』の現場で日々格闘中。クセの強い面々との仕事には、毎日トラブルが頻発状態。元来マジメで不器用な七菜は、トラブルがあった時も、美味しいロケ飯を心の支えにひとつひとつ乗り越えていく。そんなある日、先輩の頼子からPを引き継ぐことに。次々と襲いかかるピンチ。そして、ついには前代未聞の大ピンチに!果たして、七菜はどうする? 働き方改革、パワハラ、モラハラ、働く女子の恋愛事情・・・・・・イマドキのお仕事問題をはらみつつも、ハートフル。働く女子の背中を包み込み、優しく押してくれる、令和版前向きお仕事小説です。読めば元気になること、間違いなし、です! ※この作品は過去に単行本として配信されていた『働く女子に明日は来る!』 の文庫版となります。 -
波の上のキネマ
尼崎に祖父が創業した小さな映画館「波の上キネマ」を継ぐ安室俊介。座席数100余りの小さな映画館は、収益を上げることは年々難しくなっており、ついに新聞に「年内に閉館する見通し」との記事が出てしまう。そんなある日、創業者である祖父の名前を出した問い合わせが入る。それがきっかけとなり、祖父の前半生に興味を持った俊介は南へ向かう。祖父は脱出不可能な絶海の島で苛酷な労働を強いられていたが、そこにはジャングルの中に映画館があったという。祖父はなぜその島に行ったのか。なぜ映画館があったのか。運命に抗う祖父が見たものは……。壮大なスケールで描く驚嘆と希望の長編小説。 -
コロラド・キッド 他二篇
恐怖の帝王、デビュー50周年記念刊行の第4弾は、日本オリジナル中篇集。 日本初登場の「浮かびゆく男」に、幻の中篇2作をカップリングする豪華仕様! 「浮かびゆく男」 舞台はあのキャッスルロック。ITデザイナーのバツイチ独身40男スコットは190cm、120キロはあろうかという大男だ。ところが、外見はまったく変わらないのに、体重だけが減りつづけるという不思議な現象に悩まされていた……。 ホラーストーリーにもなりそうな設定から、まさかのハートウォーミング展開という、意表を突く一篇だ。 「コロラド・キッド」 メイン州の小さな島の新聞社にインターンでやってきたステファニーが、ふたりの老記者ヴィンスとデイヴから聞かされる奇妙な物語――。 今をさること20年前のある朝、島の海岸でごみ箱に寄りかかってこと切れていた身元不明の男の遺体が見つかる。ヴィンスとデイヴは「コロラド・キッド」と呼ばれるようになった男が、なぜ縁もゆかりもない島にやってきて命を失うことになったのかを執拗に追ったが……。 かつて『ダークタワー』シリーズのノベルティとして抽選で配布された非売品、という幻の作品が、18年の時を経て一般発売。 「ライディング・ザ・ブレット」 メイン州立大学に通うぼくに、ある夜電話がかかってきた。母ひとり子ひとりでぼくを育ててくれた母が倒れたというのだ。ぼくはヒッチハイクで夜を徹して病院に向かうことを決意する。ところが乗り継いだ車の運転手の様子がどうもおかしい――。 2000年に単行本で刊行されてから、長く幻の一冊になっていたホラー中篇が復刻。 -
Phantom ファントム
FIREの先は薔薇色なのか? 幻影に覆われた現代を巧みに描いた傑作小説 外資系食料品メーカーの事務職として働く元地下アイドルの華美は、 生活費を切り詰め株に投資することで、 給与収入と同じ配当を生む分身(システム)の構築を目論んでいる。 恋人の直幸は「使わないお金は死んでいる」と華美を笑うが、 とある人物率いるオンラインコミュニティ活動にのめり込んでゆく。 そのアップデートされた物々交換の世界は、 マネーゲームに明け暮れる現代の金融システムを乗り越えゆくのだ、と。 やがて会員たちと集団生活を始めた直幸を取り戻すべく、 華美は《分身》の力を使おうとするのだが……。 高度に発達した資本主義、その欠陥を衝くように生まれる新たな幻影。 自らの価値観と生き方を問われる、いま読まれるべき傑作小説! ※この電子書籍は2021年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
少女マクベス
「神」とまで呼ばれた天才少女はなぜ、自身の手がける舞台の上演中に死んだのか? 演劇女子学校に入学した結城さやかは、劇作家を目指している。同学年には同じく劇作家志望で、学内一の天才と謳われる設楽了がいた。了は俳優の能力を引き出し、観客を魅了する舞台を作り上げる卓越した才能をもっていた。了の手がける舞台に上がりたい、了に認められたいと俳優志望の生徒達はこぞって渇望する。次第に周囲から「神」とまで崇められた了は、横暴な振る舞いをしても良い舞台を作るためだと許された。しかしそんな了は突然、自分の手がける演劇の上演中に舞台から転落死する。不幸な事故だと片づけられたが、翌年の春に入学してきた新入生・藤代貴水は全校生徒の前で高らかに宣言した。「わたしは、設楽了の死の真相を調べに来ました」――さやかは貴水に巻き込まれる形で、了と生前の関わりのあった生徒を調べることになり・・・・・・演劇を愛する生徒達が内に潜んだ「殺人者」を暴き出す、眩く鮮烈な学園ミステリー! -
終着点
ロンドンの集合住宅に住む女性モリーのもとへ、娘のように親しくするエラから電話がかかってくる。駆けつけると、エラのそばには死体が転がっていた。見知らぬ男に襲われ、身を守るために殺してしまったのだという。警察の介入を望まず、死体を隠すふたり。しかしその後、モリーは複数の矛盾点からエラの「正当防衛」に疑問を抱く……冒頭で事件が描かれたのち、過去へ遡る章と未来へ進む章が交互に置かれ、物語はたくらみに満ちた「始まり」と、すべてが暴かれる「終わり」に向けて疾走する。英国ミステリ界の俊英が放つ、衝撃と慟哭の傑作。/解説=三橋曉 -
日下警部補シリーズ
41年目の誘拐再捜査! 連続ドラマ化! 東名高速道路の裾野バス停付近で、高齢男性の遺体が発見された。事件を捜査する静岡県警裾野警察署の日下悟警部補は、被害者・須藤勲の長男・尾畑守が、昭和49年に誘拐死体遺棄事件に巻き込まれていたことを知る。誘拐事件は、時効直前の昭和63年に再捜査が行われていた。日下は、再捜査の陣頭指揮を取った当時の管理官・重藤成一郎元警視に捜査への協力を願い出る。 平成と昭和、時代を越えた刑事たちの熱い思いは「真犯人」に届くのか。二度敗北を喫した静岡県警の意地と矜持を賭けた三度目の捜査が始まる! -
復讐の泥沼
『このミス』大賞・文庫グランプリ受賞作 『レモンと殺人鬼』 の著者が放つ新たな衝撃 企みに満ちた 戦慄のサイコサスペンス 彼を見殺しにした男達を私は許さない 純真な愛の果て! (あらすじ) 古民家カフェの崩壊事故に巻き込まれ、一緒にいた盛岡颯一を喪った日羽光は、彼を見捨てた医療従事者らしき二人の男を探す。なぜ彼らは颯一を助けようとしなかったのか、問いたださねば気が済まなかったのだ。やがて光は男のひとりの身許を特定して接触を図るが、彼は突如として何者かに銃殺されてしまう。一方、もうひとりの男・薬師も光の行方を捜していた。戦慄のサイコサスペンス! (著者プロフィール) くわがきあゆ 1987年生まれ、京都府出身。京都府立大学卒業。第8回「暮らしの小説大賞」を受賞し、『焼けた釘』(産業編集センター)で2021年にデビュー。2022年、『レモンと殺人鬼』(宝島社)で第21回『このミステリーがすごい!』大賞・文庫グランプリを受賞。 -
赤パンラプソディ
「クセつよ」家族の愛おしく波瀾万丈な日々。 長年の夢であった小説家デビューを果たしたものの、担当編集者から「ボツ」をくらい二作目を出せず鬱々とする古都子は、漫画家である娘たちから60歳の誕生日を祝われ、赤いパンツをプレゼントされるがまったく喜べない。運動不足が祟り「脂肪肝」と診断され落ち込む長女・杏菜と、頑固でコミュ障だが天才気質の次女・瑠花、家族中から世紀末的に嫌われている夫と、愛猫のカンちゃん……。個性の強い4人+1匹の暮らしは一筋縄にはいかない。あるとき次女が、夫が建てた家を自分たちで稼いだお金でリフォームすると言い出して!? 46歳で大学入学、61歳で小説家デビューした著者が、自身の波瀾万丈な人生をベースに書いた、たくさん笑ってたくさん泣ける痛快「クセつよ」還暦小説!! -
5分で読める! 誰かに話したくなる怖いはなし
岩井志麻子 岡崎琢磨 小田雅久仁 尾八原ジュージ 北沢陶 澤村伊智 斜線堂有紀 背筋 林由美子 平山夢明 身の毛もよだつ恐怖体験! 最短1ページ、どこからでも読める“超”短編全30話 (あらすじ) 小説家の小田が行きつけのバーでJから聞いた話――不気味な仮面をかぶり、道端に寝そべっている男。先輩は「近づくな、無視しろ」と言って……(「寝そべり男」小田雅久仁)。引っ越し直後の私の元に、前住人宛ての郵便物が届き続ける。ついにはとんでもないものが誤配され――(「前の住人の話」斜線堂有紀)。ほか『近畿地方のある場所について』背筋、『ぼっけえ、きょうてえ』岩井志麻子ら豪華執筆陣による全30話の恐怖。 -
骨と肉
臼原市で死体遺棄事件が起きた。被害女性の遺体は強姦の跡があっただけでなく、身体の一部が切り取られており著しく傷つけられていた。数日後、ふたたび臼原署管轄内で女性が惨殺遺体で発見される。捜査本部に参加する千葉県警本部の刑事・八島武瑠はある事件を思い出していた。二十年前に三鷹で起きた連続女性遺体遺棄事件。今回と同じく遺体はひどく損傷し、彼女たちの容姿も似通っていた。捜査をすすめる武瑠に、従弟の願示が急に接近してくる。彼は独自に調べるうちに、真相に至ったと話す。二十年前の事件の犯人は亡くなった双子の弟で、いま起こっている事件の犯人はその模倣犯だ――武瑠の周囲に暗雲が垂れ込み始める。すべて根源は、壊れかけた家族にあった。 『死刑にいたる病』などで注目の作家が描くサスペンスミステリー。 -
バベルの古書
札幌市近郊の町、荏原市で発生した女子大生殺人事件。遺体の首と両手は切断されて持ち去られ、現場にはフランツ・カフカの『変身』の一節が残されていた。その猟奇的な手口は5年前に発生した『グレゴール・キラー事件』に酷似しており、ほどなくして更なる被害者も現れる。グレゴール・キラーに相棒を殺された過去を持つ刑事、加地谷と新米刑事の浅羽は、事件の捜査を進めるうち、被害者の霊を目撃したという青年に遭遇する。最初は半信半疑な刑事たちだったが、青年の証言により新たな犠牲者が出たことを知り、逃走した犯人を追う。連続殺人鬼グレゴール・キラーは何故、現場に『変身』の一節を残すのか。被害者の共通点は何なのか。それらの謎を解き明かし、猟奇殺人犯へと迫る加地谷と浅羽が目にする事件の真相とは……。そして、謎の古書が導く物語は、さらなる事件とともに下巻へと続く。猟奇事件×スーパーナチュラルミステリー第一弾! -
いずれ傾国悪女と呼ばれる宮女は、冷帝の愛し妃
不吉の象徴と忌まれる白髪を持つ、林王朝の公女・紅玉。ある日彼女は、反乱で後宮を焼け出され全てを失った。 それから五年――紅林と名乗り、貧しい平民暮らしをしていた彼女は、かつて反乱を起こした現皇帝・関ショウ(※)の後宮に入ることに。公女時代の知識を使い、問題だらけの後宮で頭角を現す紅林は、変わり者の衛兵にまで気に入られてしまう。だが彼の正体こそ、後宮に姿を現さない女嫌いと噂の冷帝・関ショウで……。 互いの正体を知らない二人が紡ぐ、新・後宮シンデレラロマンス! (※関ショウ:「ショウ」は「王へんに召」) 《登場人物紹介》 ◆紅林 前皇帝の娘。正体を隠し、ただの宮女として静かに生きようとするが、 後宮の問題に巻き込まれては解決してしまう。 ◆関ショウ 翠月国の若き現皇帝。冷帝と畏れられるが、実際は情に厚い青年。 とある理由から後宮に立ち入ろうとしない。 -
深夜0時の司書見習い
高校生の美原アンが夏休みにホームステイすることになったのは、札幌の郊外に佇む私設図書館、通称「図書屋敷」。不愛想な館主・セージに告げられたルールを破り、アンは真夜中の図書館に迷い込んでしまう。そこは荒廃した裏の世界――“物語の幻影”が彷徨する「図書迷宮」だった! 迷宮の司書を務めることになったアンは「図書館の本を多くの人間に読ませ、迷宮を復興する」よう命じられて……!? 美しい自然に囲まれた古屋敷で、自信のない少女の“物語”が色づき始める――。 -
ぼくの家族はみんな誰かを殺してる
わが家は全員嘘つきで、人殺しだ。 世界27カ国で刊行!伏線だらけの謎解きミステリー。 すべての真相を、見抜けますか? 雪山で起きた連続殺人。容疑者は一家全員。 ぼくたちカニンガム家は曰くつきの一族だ。35年前に父が警官を殺したあの日以来、世間からは白い目で見られている。そんな家族が3年ぶりに雪山のロッジに集まることになったのだから、何も起こらないはずがない─その予感は当たり、ぼくらがロッジに到着した翌日、見知らぬ男の死体が雪山で発見された。家族9人、それぞれが何かを隠し、怪しい動きを見せるなか、やがて第2の殺人が起こり……。 古典的なフーダニットに、ウィットに富んだひねりを加えた作品。スティーヴンソンは「公平な探偵」を演じるだけでなく見事なミステリー・ゲームを創りだした―― Washington Post まさに巧妙。一度目は楽しく読み、二度目は真相を確かめるために読む、二度読み必至作――CriminalElement.com 非常に巧みで面白い。著者はこの力作を、見えそうで見えないトリックを巧妙に操るマジシャンのごとく生みだした――Publishers Weekly +++++++++++++++++++ フーダニットの特徴を網羅した本書は、数々の謎を読者に提示するとともに、ロナルド・ノックスの十戒を忠実に守り、その謎を解く手掛かりをすべて織りこんでいる。果たして犯人は誰なのか? 謎を解くカギは、作中で探偵の役割を果たすアーネスト・カニンガム同様、読者にもすべて与えられている。それらを正しく繋げることができれば、この問いの答えは明らかになる。読者の誰もが名探偵になれるのだ。さあ、あなたも謎解きに挑戦し、思う存分推理の楽しみを味わおう。(訳者あとがきより) -
小説のように
ある夜、一冊の本を読み始めた音楽家の女性。その物語では、音楽教師として教えながら、夫との不和を抱えていた若き日の彼女自身の姿が、どこか面影のある少女の目を通じて綴られていた――表題作「小説のように」ほか、孤独に暮らす女性と逃走中の殺人犯との対話が震えるほどの余韻をもたらす「遊離基(フリーラジカル)」や、長じてのち、少女の日の無邪気な行いが回想される「子供の遊び」など、ありふれた人生ががらりと様相を変える瞬間を捉えた十の物語。ノーベル文学賞、国際ブッカー賞受賞の「短篇小説の女王」が魂を込めて書き上げた燦然たる作品集。/【目次】次元/小説のように/ウェンロック・エッジ/深い穴/遊離基(フリーラジカル)/顔/女たち/子供の遊び/木/あまりに幸せ/謝辞/訳者あとがき/創元文芸文庫版訳者あとがき/解説=井上荒野 -
少女ソフィアの夏 新版
日本語に翻訳されて30年。「ムーミン」を作り上げたトーベ・ヤンソンの透明感に満ちた至極の短編集が、読みやすく改訂され、美しい新装版になりました。 夏の孤島を舞台とした、母を亡くした少女と祖母の小さくとも豊かな物語です。 人生の扉を開けたばかりの少女ソフィアと、人生の出口にたたずむ祖母。 70も年齢の違うふたりが思うままを対等に、率直にぶつけあいながらも、 たがいにさりげなく思いやるーー。 北欧の自然描写の美しさ、自分らしさを大切にする生き方。 ふたりをそっと見守る国際アンデルセン賞受賞作家トーベ・ヤンソンの優しいまなざし。 今こそ、私たちが大切にしたい物語が輝きます。 ●著者紹介 トーベ・ヤンソン 作・絵 画家・作家。1914年8月9日フィンランドの首都ヘルシンキに生まれる。父は彫刻家、母は画家という芸術一家に育ち、15歳のころには、挿絵画家としての仕事をはじめた。雑誌『ガルム』の社会風刺画で一躍有名となる。ストックホルムとパリで絵を学び、1948年に出版した『たのしいムーミン一家』が世界中で評判に。1966年国際アンデルセン大賞、1984年フィンランド国民文学賞受賞。おもな作品に「ムーミン全集」シリーズ(全9巻)のほか、『少女ソフィアの夏』『彫刻家の娘』、絵本『それから どうなるの?」、『ムーミン』コミックスなどがある。2001年6月逝去。 渡部翠 訳 中国・大連に生まれる。日本フィンランド文学協会会員。フィンランド文学研究のためにたびたびフィンランドに滞在し、ヘルシンキ大学の講師をつとめたこともある。主な翻訳に『それから どうなるの?』(作・絵/トーベ・ヤンソン 講談社)をはじめとするムーミン絵本シリーズや、『オンネリとアンネリのおうち』シリーズ(作/マリヤッタ・クレンニエミ 絵/マイヤ・カルマ 福音館)などがある。 ●内容紹介 わたし泳ぎたい 月あかり おばけ森 凪 夏至祭 ソフィアの嵐 など22作 -
海岸通り
【第171回芥川賞候補作】 踊る、それがわたしたちの自由 海辺の老人ホームに集う女たちのゆるやかなつながり。 いま最も注目される新鋭の最新作。 「これってフツー?」 「わたしの中じゃね」 「クズミさんのフツー、ちょっとヘン」(本文より) 海辺の老人ホーム「雲母園」で派遣の清掃員として働くわたし、クズミ。 ウガンダから来た同僚マリアさん。 サボりぐせのある元同僚の神崎さん。 ニセモノのバス停で来ないバスを毎日待っている入居者のサトウさん。 さまざまな人物が、正しさとまちがい、本物とニセモノの境をこえて踊る、静かな物語。 -
鴨川食堂
京都発! 思い出の「味」、捜します。 第一話 鍋焼きうどん―― 一番おいしかったものにもう一度出会うのは難しい。 窪山秀治は数年前に妻を亡くし、定年後に新たな伴侶と巡り会った。彼女は秀治の大好物だけうまく作れないという。 第二話 ビーフシチュー――プロポーズされたレストランが思い出せない!? 師走に入ると、京の都もせわしない。二人の老婦人が、55年の食を求めて看板もない食堂に入っていった。 第三話 鯖寿司――おいしさに勝るのは、思い出というスパイス。 総理大臣である岩倉友海が探しているのは、50年も前食べさせてもらったおやつがわりの品だった。 第四話 とんかつ――“おいしい”の一言を、忘れる料理人はいない。 大分でピアノ教師をしている広瀬須也子の元夫は、京都でとんかつ屋を開いていたが、余命三ヶ月だという。 第五話 ナポリタン――おいしいものを食べると、泣けてくる。 浜松に住む女子大生・美月明日香が探しているのは、祖父が旅行先で食べさせてくれた黄色いスパゲティだった。 第六話 肉じゃが――男のソウルフードは、おふくろの味。 六本木ヒルズ在住の実業家・伊達久彦は、亡き母が作ってくれた肉じゃがを食べてみたいという。 -
モルグ館の客人
完全犯罪を成し遂げた者が集うパーティが開かれる館。新聞記者ジェイコブと名探偵レイチェルは謎の女にパーティへ招かれるが…… -
死蝋の匣
茨城県の住宅で顔面に劇薬をかけられ滅多刺しにされた男女の死体が発見される。 現場には犯人の下足痕・指紋・DNAまでもが残されていた。 関係者を洗う敷鑑班に割り振られた捜査一課の和井田は、被害者たちがジュニアアイドル事務所を経営し、12歳以下の幼い少年少女にきわどい仕事をさせていたとの情報を掴む。 多方面から恨みを買っていたと確信する和井田のもとへ指紋鑑定の結果が。 指紋は椎野千草という女性のデータと一致し、彼女はかつて起こった一家心中事件の生き残りで、和井田の親友・白石が家裁調査官として担当した少女だった。 和井田は千草の話を聞くために白石を訪れるが、白石は「彼女に人は殺せない」と主張。 それには千草の父親が起こした一家心中事件が深くかかわっていた。 -
ショローの女
新しい生活が始まった。 熊本―東京を行き来するあたしを待つのは、 愛犬(三歳)、植物(八十鉢)、学生たち(数百人)。 ハマる事象、加齢の実状、 一人の寂しさ、そして、自由。 老いの体感をリアルに刻む最新エッセイ。 熱く共感を集めて大好評の 『閉経記』『たそがれてゆく子さん』に続く 〈伊藤比呂美の今〉 週一で早稲田に通勤 こんやくにハマる 熱中症になりかける 鉢植えをどんどん買う 靴が合わない ズンバに行かない 父の寂しさを思う 食べるのがめんどくさい 入浴剤に凝る サンディエゴに帰る オヤジたちに絶望する 『ボヘミアン・ラプソディ』礼讃 高齢者の運転を考える しょうゆ味に回帰 仔猫を拾う LINVEがおもしろすぎる 甘くない食パンが食べたい 姿勢が悪い 不安がひたひたと沁みてくる ロボット掃除機を購入 友人にマスクを送る 空港への道を忘れた 車を買う びんのふたが開けられない 学生とオンライン飲み会 母のコートを着る 譲渡犬のサイトを見る…………本書のエピソードより -
鑑識写真係リタとうるさい幽霊
幼い頃から幽霊が見えるリタは、その力ゆえに孤立し故郷のナボハ居留地を去った過去を持つ。一方で霊能力は鑑識の仕事に役立つ面も。霊が事件の手がかりを示すことがあるのだ。ある日、自分は殺されたと主張する被害者の霊が現れた。強い力を持つ霊に殺人犯への復讐を強いられたリタは独自調査を行うことに―― -
九人のレジェンドと愚か者が一人
26年前、パ・リーグのペナントレースを制した阪和バーバリアンズ。6回2死まで0封された後、満塁ホームラン3本が飛び出して9点差をひっくり返すという史上稀に見る逆転試合をきっかけに、リーグ優勝、そして日本一へと駆け上った。その後の低迷期を経てこの夏、来季の新監督に抜擢されたのは、当時4番を務めた夏川誠だ。大阪毎朝放送がレジェンドと呼ばれたメンバーたちのインタビューと再現試合で構成する特別番組を企画。取材を進める中で、10人目のレジェンドともいえるマネージャーの存在が浮かび上がる。ところが、あの試合中に盗難事件があり、疑われたマネージャーは退団、そののち非業の死を遂げたという……。チーム思いのマネージャーがなぜ盗難を行ったのか? 主要メンバー9人の中に、嘘をついた人物がいるのではないか? そして仲間を裏切った愚か者は誰なのか――。吉川英治文学新人賞作家が贈る、企みに満ちた長編ミステリ。 -
おもみいたします 凍空と日だまりと
「生きねばなりません。 そのお手伝い、 させていただきます」 切腹を命じられた武士を お梅は療治できるのか? 読むと身も心もやわらぐ時代小説 【あらすじ】 五歳の時に光を失い、 揉み療治を生業としているお梅。 市井の人々に大評判で、一年先まで申し込みが 埋まっている。ところが今すぐ主の腕が動くよう 療治してほしいという武士が現れた。 お梅でなければ駄目なのだと。 武士から「張りつめた者」の気配を 感じ取ったお梅は、 三日後、主のものとへ向かう! 「人は、どこか緩めないと生きていけない」 【著者からのコメント】 江戸の揉み師、お梅の物語、その二作目です。 お梅は、早とちりもするし、とても弱い部分 もある少女です。でも、人の芯に凛とした気迫 を宿してもいます。盲目だからこそ見え、 感じる世界と共に、お梅の凛々しい生き方を 読んでいただけたら嬉しいです。 ■主な登場人物■ お梅 五歳の時に光を失い、人に揉みを 施すことを生業としている十七歳。 十丸 お梅の用心棒。 人には白い大きな犬に見える。 お筆 豆大福が評判の紅葉屋を出している。 揉み仕事の依頼を受けお梅に取り次ぐ。 お昌 両親を亡くし、祖母のお筆と暮らして いる。お梅の仕事の段取りを担う。 先生 お梅に揉み師の才を見抜いた者。人には 白茶の天竺鼠に見えている。 お酒に目がない。
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