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読んでいる間、ずっと幸福でした。――川上弘美
保坂委員が説明の途中で嗚咽した場面は
野間新人賞の選考の歴史に刻まれよう。――長嶋 有
選考委員--小川洋子、川上弘美、高橋源一郎、長嶋 有、保坂和志--
満場一致の、第43回野間文芸新人賞受賞作
【あらすじ】
児童養護施設に住む、小学五年生の集。
一緒に暮らす年下の親友ひじりと、近所を流れる淀川へ亀を見に行くのが楽しみだ。
繊細な言葉で子どもたちの目に映る景色をそのままに描く表題作と、
詩人である著者の小説第一作「膨張」を収録。
選考委員の絶賛を呼び、史上初の満場一致で選ばれた、第43回野間文芸新人賞受賞作。
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Posted by ブクログ
二篇ともめちゃくちゃよかった。
読みにくくて挫折とかは、私は感じなかった。
見えるものや聞こえる音、視点の移り変わりが全部書かれているので、圧倒的に主人公が「生きている」感じが表現されていて凄いと思った。
【ここはとても速い川】
心に残る場面はいくつもあるけれど、
32ページの『列に続いてないとおばあさんも気づいてまうやろう。屋根もないから太陽も雨も先に生えてるもんたちと分け合えるやろう。』
これは植え替えられた花についての一文として読んだけど、施設で生活している子とそうでない子の比喩なのかな?と感じた。
集もひじりもどうか幸せに暮らしていてほしいと思うラスト。
【膨張】
アドレスホッパーという単語だけは知っていてもあまりどんな暮らしをしているのかは知らなかったので面白く読んだ。ただ、これは解説にもあったけれど新しいライフスタイルを説く話では全然なくて。
後半、すごく苦しく切なかった。
Posted by ブクログ
「ここはとても速い川」
施設で暮らす主人公「集」は5年生。
一緒に生活している一つ下の親友「ひじり」とのやり取りや、ひょんな事から知り合う若者「モツモツ」と決行したある作戦、夏休みの宿泊訓練など、日々の出来事が集の目線で語られます。
ダダーっと一気にしかも次々に話題が移っていくこの文体がすごくいい。整っていなくて子どもが話しているそのままの感じ。あっちこっちに飛びながら時々フッと出てくる言い回しや比喩によって、この世界にググッと近づく感覚が読んでいておもしろい。
子どもらしい文章の中に急に差し込まれる、集やひじりの抱える問題にギクッとしたり。集の心境が垣間見えて切なくなったり。出てくるアイテム(亀ゼリー、スライム、アガパンサス、絶品チーズバーガー…他多数)もいちいち情緒的。
「膨張」
主人公「あいり」は特定の定住する住居を持たず、ゲストハウスやホテルなどを転々としています。
こちらもあいり目線で心情がつらつら移り変わっていく文体。そこに乗っかってあいりを追体験しようとするのですが、掴みどころがない。なんとかくらいつくもラストでは見事に振り落とされました。えーっ?何なに!?
これは、他の井戸川作品も気になる〜
Posted by ブクログ
「ここはとても速い川」と「膨張」の2編が入っていて、星4はほぼ前者向けです。
「ここはとても速い川」は、小学5年生の男子が一人称の関西弁で、頭の中に浮かんだことを全部書き出してる感じ。ナレーション的なものがないので、わかりにくい部分もあるけど、これが本当に小学5年生の子どもの全思考だとすると、ストレートな強い感情とともに繊細な思いもたくさんある、というところに感動しました。
「膨張」は出だしから「?」の連続。こちらも一人称で書かれていて、しばらくは訳がわからなかった。
ようやく状況がわかってくると、まあまあ面白くなるんだけど、いろいろと共感できない点が多くて、突然の終盤がプツッと終わった時、作者は何が言いたかったんだろうなと思いました。
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