袋綴じですぜ親分、ぐひひひ
(嫌われてる方の親分についてる岡っ引きのイメージで!好かれてる方の親分に対する妬みや対抗心から町人たちにつらく当たってしまうけど実は情に厚く、今回も夫が殺されて幼い娘と二人残され悪人たちに付け狙われる後家さんを助けるため奮闘するが、実力不足で悪人たちに取り囲まれたところを
...続きを読む好かれてる方の親分に危機一髪で助けられ、美味しいところを持っていかれた上にほのかな恋心を持っていた後家さんは親戚筋を頼って江戸を離れることになり、町人たちには「あの野郎が人助けなんてするもんか」と信じてもらえないが、最後の最後に母娘を見送った峠で最初は嫌われていた幼い娘に「親分ありがとう」と一輪の野菊を手渡され涙ぐむ親分を見て、親分の心の底にある優しさを最初から信じていて一緒に涙ぐむところを、照れ隠しに「おい、ぼやぼやすんな!江戸の町が心配だ行くぞ!」といつもの調子で怒られ、グスンと鼻をすすって「へい、親分!」と親分を追って日が昇る江戸の町に戻って行く方の岡っ引きのイメージで!)
前にもどこかで書いたんですが、自分(基本的には)推理しない読者なんですね
犯人は誰だ!?とかこのトリックは?!とかに興味がないわけじゃないんですよ
むしろ本格ものは大好きです
人より好きな自負もあります
自分で解き明かしたいと思わないだけで
なので急に「名探偵ジョセフ・スペクターが導き出した答えにたどり着いたという自信のある方は、封を切り、先へお進みください。」とか言われても困るわけです
こちとら袋綴じと言われたら下衆な考えしか思い浮かばない側の人間ですからね
トリックを解き明かすのが一番の目的ではないんですよ!
カーやクイーンやクロフツの先人たちの名作の数々が名作として語り継がれるのはなにもそのトリックの秀逸さだけが要因ではないわけですよ
そこにある人間ドラマが魂を揺さぶるからですよ!
では本作に魂を揺さぶる人間ドラマがあったのか?というとそこはイマイチでした
なので名作とまでは言えませんが、やはり古典的本格推理を彷彿とさせる内容には好感しかなく、面白かったです
とくにジョン・ディクスン・カーへのオマージュが半端なく、本家を読み返したくなりました
また作者は「謝辞」の中で刺激を受けた作家として島田荘司さんを挙げていて、イギリスの作家に影響を与える島田荘司さんてやっぱすげーな『占星術殺人事件』もやはりどこかで読まねばなと思うのでした
ぐひひひ