あらすじ
1936年、ロンドン。高名な心理学者リーズ博士が、自宅の書斎で何者かに殺されているのが発見された。現場は密室状態。凶器も見つからず、死の直前に博士を訪れた謎の男の正体もわからなかった。この不可能犯罪に、元奇術師の探偵ジョセフ・スペクターが挑む。読者への挑戦状付きの本格ミステリ/紙書籍版は15章からエピローグが袋とじ部分になります
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Posted by ブクログ
高名な心理学者アンセルム・リーズ博士が殺害された。現場は完全な密室状態。事件直前、博士を訪ねてきた謎の男。容疑者には博士の3人の患者。フリント警部補は元奇術師の探偵ジョゼフ・スペクターに捜査の協力を求めるが、容疑者の1人が住むマンションのエレベーター係が密室状態で殺害され、フリント警部補は何者かに銃撃される。
リーズ博士の事件の状況がなんとなく『三つの棺』のようだった。事件の展開もグレート・マーリニのようなスペクターも魅力的で好み。事件の真相も良く出来ていて感心。続編と『帽子から飛び出した死』を読みたくなった。
Posted by ブクログ
やっと全て読めました。事件編のみを先読みで読ませていただいていました。それで推理するのですが、全くの大はずれ。これだけミステリー読んでるのにがっかり、、。記述を全て活かしてすっきりと終わっていました。こんなにうまくいくの?と若干の懸念はあるものの、スペクター、見事です。湯川先生か古畑さんか、っていうくらいです。またお目にかかりたいです。
Posted by ブクログ
『死と奇術師』トム•ミード
楽しかったー!!
娘の習い事の待ち時間、ふらっと本屋に立ち寄り
ボーッと眺めてた新刊コーナー。
一冊だけ、小説なのに変わったポケットサイズに
透明ビニールカバーのかかった本が…
『なんだろ?この本?』
手に取ると、本の帯にイギリスのミステリーとの紹介が。しかも、解決編が赤い袋とじになってるぅぅぅー!!
『なにっ?この本?すごく気になるっ!』
娘のお迎えの時間までしばらく悩みに悩んで、買ってしまいました…。
本格ミステリ…よく分からないのですが、読んでる途中わくわくしっばなし。
そして、最後の解決編、
赤い袋とじに、『名探偵ジョセフ•スペクターが導き出した答えにたどり着いたという自信のある方は封を切り、先へお進みください。』
という言葉をスルーして、謎は全く解けないまま、袋とじをピリピリっと破く楽しさったら!
一体どんな答えがまってるのー!
ほぇぇぇぇー!
そんな答え全然思いつかなかった!
えっ?この謎を解いて、袋とじ開けられる人いるの?
いま、私はこの本の謎を解いて、袋とじを開けられる人がいるのかが気になってます。(^^)
袋とじ頼りでしたが、それでも全ての謎が解けた時の心地よさ、たまりませんでした。
楽しかったです。
Posted by ブクログ
袋綴じですぜ親分、ぐひひひ
(嫌われてる方の親分についてる岡っ引きのイメージで!好かれてる方の親分に対する妬みや対抗心から町人たちにつらく当たってしまうけど実は情に厚く、今回も夫が殺されて幼い娘と二人残され悪人たちに付け狙われる後家さんを助けるため奮闘するが、実力不足で悪人たちに取り囲まれたところを好かれてる方の親分に危機一髪で助けられ、美味しいところを持っていかれた上にほのかな恋心を持っていた後家さんは親戚筋を頼って江戸を離れることになり、町人たちには「あの野郎が人助けなんてするもんか」と信じてもらえないが、最後の最後に母娘を見送った峠で最初は嫌われていた幼い娘に「親分ありがとう」と一輪の野菊を手渡され涙ぐむ親分を見て、親分の心の底にある優しさを最初から信じていて一緒に涙ぐむところを、照れ隠しに「おい、ぼやぼやすんな!江戸の町が心配だ行くぞ!」といつもの調子で怒られ、グスンと鼻をすすって「へい、親分!」と親分を追って日が昇る江戸の町に戻って行く方の岡っ引きのイメージで!)
前にもどこかで書いたんですが、自分(基本的には)推理しない読者なんですね
犯人は誰だ!?とかこのトリックは?!とかに興味がないわけじゃないんですよ
むしろ本格ものは大好きです
人より好きな自負もあります
自分で解き明かしたいと思わないだけで
なので急に「名探偵ジョセフ・スペクターが導き出した答えにたどり着いたという自信のある方は、封を切り、先へお進みください。」とか言われても困るわけです
こちとら袋綴じと言われたら下衆な考えしか思い浮かばない側の人間ですからね
トリックを解き明かすのが一番の目的ではないんですよ!
カーやクイーンやクロフツの先人たちの名作の数々が名作として語り継がれるのはなにもそのトリックの秀逸さだけが要因ではないわけですよ
そこにある人間ドラマが魂を揺さぶるからですよ!
では本作に魂を揺さぶる人間ドラマがあったのか?というとそこはイマイチでした
なので名作とまでは言えませんが、やはり古典的本格推理を彷彿とさせる内容には好感しかなく、面白かったです
とくにジョン・ディクスン・カーへのオマージュが半端なく、本家を読み返したくなりました
また作者は「謝辞」の中で刺激を受けた作家として島田荘司さんを挙げていて、イギリスの作家に影響を与える島田荘司さんてやっぱすげーな『占星術殺人事件』もやはりどこかで読まねばなと思うのでした
ぐひひひ
Posted by ブクログ
楽しかった!もちろん真相なんてさっぱりわからなかったけれど。袋とじの中を読みながら、えぇ?!そんなの読者に分かるー?嘘でしょ〜??と思いつつ、久しぶりに黄金時代と呼ばれる英国ミステリの雰囲気を楽しめたのでどうもありがとう次作の翻訳も楽しみにしております。
あとこれ千街さんの解説が好きだな。
Posted by ブクログ
【解決篇袋とじ】黄金時代の本格ミステリーを楽しもう! あなたは密室殺人事件が解けるか #死と奇術師
■きっと読みたくなるレビュー
まず、こんな本格ミステリーを体験させてくれたことにお礼を言いたい。
密室殺人、不可能犯罪、怪しい容疑者と背後に見える秘め事、タレント性抜群の名探偵。そしてなんといっても、袋とじの解決篇ですよ。こんなのワクワクが止まらない。
実際に読み進めてみると、期待通りのプロットが展開されます。かつて私が若かりし頃のミステリーがそこにあり、夢中になって読み漁っていたのを思い出しました。
本書はミステリーに対する「潔さ」が素晴らしいんです。
強引に社会性を入れたり、無理な動機付け、奇妙なキャラ立てなどの小細工を行わず、実直に不可能犯罪だけに向き合っている。作品としての筋が通っていて、読んでいて気持ちがいい。
またありがたいことに、かなり優しい文章や構成で読みやすいんですよ。
古典ミステリは味わいがあっていいんですが、当時の文化や文体などわかりづらいことも多く、粘り強く読むことも必要だったりします。本書は初心者さんにも理解しやすくて、おすすめできます。
登場人物のイチオシは女優のデラ・クックソンですね~ ど真ん中の本格ミステリーの登場人物。自身の環境、背景に揺れに揺れながらも、熱い精神で凛として立っている姿が想像できる。一輪の薔薇のようで、超カッコよくないですか。もう惚れちゃう。
そして待ちに待った、解決篇袋とじですよ。
まずはメイントリックがポイントなんですが、読者を考えさせる仕掛けが上手い。なんとなーくは見えた気がしてたのですが、こんな真相が待ち受けているとは…
そして隠された謎解きロジックも、かつての名作を思い出させてくれるような内容で素敵でした。
今年を代表する海外版 本格ミステリーになりそうで、これからの作品にも期待しちゃいますね。
■ぜっさん推しポイント
書評家千街さん解説がめっちゃ面白い。ミステリーをこの上なく愛する人たちの歴史、研究を垣間見ることができて、超胸アツですよ。ファンとしてはこれだけで価値がある。
本格ミステリーは一般ウケされづらかったりして、いつも残念な気持ちになるのですけど、本書は謎解きを楽しんでもらおうとする仕掛けが嬉しいですね。ミステリー愛が溢れる作品に出会えてうれしかったです。
Posted by ブクログ
トム・ミードの初翻訳。
解決編は袋綴じで、早川書店さんの本気が垣間見える(ポケミスがあんなに平積みされてたの初めて見ました笑)。
舞台は1930年代と、いわゆる黄金期。密室で首を切られた博士の死体が発見される。いかにして犯人は密室から消えたか。また、直前まで博士を訪問していた謎の男。外連味ある不可能犯罪に挑むのは引退した年齢不詳の奇術師スペクター。読者への挑戦に加え、解決編が袋綴じになった作品。
よくぞここまでカーの作品に寄せたなと笑!
正直、全体としては面白いけど残念な時のカー作品のよう。それでも楽しめたのは、なんとなくみんな推理できる、そのちょうどいいレベルにあったんじゃないかなと。
パズラーとしての完成度の高さはホロヴィッツに軍配が上がるが、これからが楽しみな作家。次作もぜひ袋綴じで笑
Posted by ブクログ
ミステリ。密室。
奇術師が探偵役を務めるミステリ。
一定の水準の品質はあると思うが、どこかインパクトが欠ける印象。
不可能犯罪の解決シーンって、もっとカタルシスがあるものじゃなかったっけ?自分が慣れただけか?
とはいえ、全体的な雰囲気は好きだし、フリント警部補のキャラクターが意外と親しみやすく、普通に楽しめた。
Posted by ブクログ
良いところ
今どき貴重な袋綴じの読者への挑戦
1930年代のロンドンが舞台
あんまりなところ
トリックの描写が複雑過ぎる(特に落とし戸を自動的に戻すゴムシート)
設定が荒い
"読者への挑戦"の袋綴じっていうだけで読む価値があると思う
でも、内容は単調で、あんまり魅力を感じない
全員のキャラクター像も最後まで掴めなかった
例えばウィーバー。彼が動く車のタイヤを一発でパンクさせられる程の射撃技術をもっていて、尚且つそれをあの場でできる豪胆な人物とは到底思えなかった
Posted by ブクログ
ミステリーチャンネル、クローズドサークル小説のおすすめ20選から。
クローズドサークルというより完全に密室殺人に重きをおいた作品だった。
今までミステリーはそこそこ読んできたけれど好みがクローズドサークルなのもあって密室殺人ものは全く読んだ記憶がなかったので新鮮な気持ちで楽しむことができた。
お恥ずかしながら外国のミステリーはアガサ・クリスティやティーンズ向けの冒険譚しか嗜んだことがないので本書で話題になる密室殺人もののパイオニア、ジョン・ディスクン・カー氏も初耳で機会があれば読んでみたいなあと思いました。
内容としては登場人物みんな魅力的で全員に裏がありそうで展開がどうなっていくのかワクワクしながら読むことができて良かった。
精神病患者のほとんどが嘘でできていたというのは都合が良すぎる気がするけど、それもある意味人間らしさなのかなぁ。
Posted by ブクログ
エラリークイーンみたいに、謎解きの段階になると、読者への挑戦として、ここまでに全ての材料が提供されており、推理力だけで解決に導くことができる、という手法が使われている。
解決編を袋とじに入れることで、雰囲気を盛り上げている。精神科医が密室となっている書斎で発見される。使用人が密室となっている経緯を証言する。被疑者は患者の3人、音楽家、女優、作家、それに被害者の娘とその許婚。誰も犯行時間帯のアリバイはしっかりしている。捜査が進むにつれ、精神科医の過去の患者で自殺した事件が浮上する。袋とじの前では謎解きはできなかったが、袋とじのなかの解説は淡々と進み、容易に犯行が可能であるように語られているが、すっきりしない。確かに、これで密室の謎を解いているのだろうが、手間がかかりすぎだし、犯行を見られるリスクを軽視している。期待した分の納得感は得られなかった。