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神様の通う屋内釣り堀カープ・キャッチャーの景品棚には、高得点でもらえる伝説の白い箱があった。箱の中身を知りたいバイトの明、箱を狙う父親、店主を脅す女性、幽霊を撮影する兄妹、謎のヒツギム人らが釣り堀に集う時、運命は動く。一匹の鯉を巡り、悩める者たちが人生をかけた大勝負。怒涛の展開で大興奮、超絶技巧、名手道尾秀介の人生を変えるミステリー。
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Posted by ブクログ
妻子と別れ落ちぶれた風情の『大洞』。娘『明』に良いところを見せようと、世話を任されていた鯉を盗み、彼女のバイト先の釣り堀『カープ・キャッチャー』へ放すが失敗。一方明は、Wev受講しているヒツギム語の講師が拉致されるのを目撃してしまって以来、身に危険を感じていた。 その後大洞は鯉の持ち主である富豪の老...続きを読む婦人『霧山』から大金で捜索を依頼され釣り堀に向かうも、その鯉は『神』と呼ばれる釣り名人『ヨネトモ』に釣られた後だった。大洞と明、明に一目ぼれした引きこもりの『賢史』と妹の『智』、ヨネトモ、さらには訳ありそうな婦人『市子』が集まり、夜の川で鯉の捕獲作戦を決行する。 場末の釣り堀から始まる群像劇。短いターンで人物が変わり同時進行で事件が進んでいく。ハラハラドキドキしながら時に笑いを挟み鮮やかに結末にまとまっている。それがここで使われるか!という具合に小道具も使い切る手腕は流石。 二人でそれぞれNovel版とmovie版を捜索したようだが、映画化もされているのかな?映像でも面白そう。
あー面白かった!! 上質コメディです。 道尾秀介さんの小説って映像が浮かぶんですよね。もうコメディドラマか漫画を見ているようでした。 一つ一つのエピソードは重いのに、どうしてもこんなに軽やかな読後感。爽快感半端ない! 本当に楽しいひとときをもらいました。 ヒツギム語、本当にあるの?と思って検索しち...続きを読むゃいました。笑 ずらかれがモヤシッコ、ただいまがイソジンって…もう作者、遊びすぎでしょ!!
表紙の奇抜さに惹かれて購入。ずば抜けたトリックや盛り上がりはないが、一人一人の人生の一部が誰かの一部と重なり交差して地続きとなって今ここにいる、それぞれの人たちの思いや人生観に目を向け描いた小説でした。 道尾さん作品は両手じゃきかない数を読んできましたが、やはり表現の仕方や読んでいて頭の中にありあ...続きを読むりとその映像が浮かぶところが好きです。
「ミステリー」と一括りにジャンルを分ける事があるが、それはあくまで大枠であり、小さく絞っていけば他種多様な枠組みに落とし込む事が出来る。 筆者の作品は、単純にミステリーという大枠にありながら、かなり独創的な、彼にしか思いつかない様なストーリーを読者に提示する。(いかにエンターテイメントとして読者を...続きを読む楽しませるか。その努力は小説だけではなく様々なチャレンジをしており、驚かされる。) 今作も簡単に言ってしまえば街でたまに見かける室内釣り堀の話が起点だ。その事を土台に、どの様な話になるのか。と序盤は全く意味不明だったが、これを「ミステリー」のジャンルまで引き上げ、こんなに面白い作品に仕上げてしまうのだから脱帽だ。 構成、イメージは「カラスの親指」に似ている。 作風として、登場人物それぞれの過去のトラウマ、後悔をベースにしながら、「鯉」の捕獲という共通の目標に向けて全てのキャラクター達を集結させ、怒涛の如く伏線を回収していき、エピローグまで繋げていく。圧巻の物語だ。 最初から登場人物達には癖や影が存在しており、プロローグにおいては全く訳の分からない話だったが、だんだんと関わりが広がっていく。文庫版では最初の数ページが登場人物達をモチーフにした絵画風のデッサンになっており、それが各章の構成とリンクしている事もこの小説の魅力だ。 気になる点は、余りにも伏線を繋げすぎているため、驚嘆が小さくなってしまう点だ。本当に物語の1mmまで伏線を繋げてくるのでいよいよ疲れて苦笑いしてしまった。伏線回収は小説やあらゆるエンタメの肝だが、物語の分量に応じて適切で無ければ胃もたれする事がわかってしまった。(大好きなお菓子を食べ過ぎて後悔する時と似てる(笑))もしくは、せっかくならもっと話を長くして、店長やポーさんなどスポットライトが少なかったメンバーまでも回収していればもっと凄い着地になったのかもしれない(胃もたれすると言ってはいるが、好きなものは好きなんだ) 総じてとても面白かった。子供の頃の様な、無邪気さと少し残酷な部分が混ざった様な作品だった。
あらすじがあってないような、たくさんのダメ人間が登場する、好き嫌いが分かれるであろう作品。 作者のセンスがふんだんに出てる、自分はこういうの大好き❗️ ヒツギム語、クッサイ(最高)‼️
ドタバタコメディなのか?ミステリーなのか? 登場人物みんな、様々な悩みや過去を抱えてる。そんなみんなが、あることをきっかけに、いつのまにか出会い繋がっていく……そして、一匹の鯉を捕まえようと奮闘。 一体どういう話なんだ?って思いますが、最後はちゃんとスッキリします。
目次の次にちょっとおかしなキャラクターカード SATOSI TOMO MAKOTO MEI YONETOMO ICHIKO MISA HIKIDAS KOI 釣り堀のカープ・キャッチャーのシステムとキャラクターひとりずつのずつの紹介のような語りが続く。それで??と思い...続きを読むながら読んでいたら彼らの今までが絡み合って複雑な様相を見せ始める。前のページと行ったり来たりするのが面倒になった後は先へ進むだけ。なにこれ! と同時に何だかおもしろかったと感じちょっぴり不思議な気分
プロローグ読むだけだとストーリーの方向性がまったくわからず、始まってみれば釣り堀が舞台みたいだし、釣りに興味ない私は、『面白いのかなこれ?』とやや疑心暗鬼に。 でも結果から言うと、大丈夫でした!(笑) 登場人物たちそれぞれの事情がわかってくるし、彼らの行動に繋がりも見え始めるので、そこからは途端...続きを読むに先が気になって一気読み。釣りのこと知らなくても問題なく楽しめた。 ハラハラドキドキするシーンや深刻な場面もあるんだけど、全体的にちょっと遊んでるなって感じがあって。コミカルなところも多かった。小説には珍しく、何度か小さく吹き出したくらい。 意外な展開をこまかく繰り返しつつのラスト。割とみんないいところに着地してて良かったんだけど、ラストの後はどうなったのかな。あれっ終わり?という物足りなさが少し残った。 でもストーリー以外のところでも楽しめたので、読後の満足感は大きかった。 それはヒツギム語。何度も登場してくる異国のことば。ツボにハマってしまい、ずっとニヤニヤしたりプッと笑ったりしながら読んでた。 一番理解に時間がかかったヒツギム語は「アラマタシノ」で、一番好きなヒツギム語は「デマカサズ」です。 昔、ともだちとバル語というのを作って、日本語から変換しては大笑いしていたことを思い出した。青春。 最初の方に、登場人物がタロットカードみたいに描かれているページがある。読む前に見ると『雰囲気があるイラストだな』くらいで終わるんだけど、読み終えてから見ると全部意味がわかるので楽しい。 余談。 タイトルに「the Novel」とついているからノベライズなのかと気になっていたところ、最後に書いてあった。 『道尾秀介とケラリーノ・サンドロヴィッチ、二人が打ち合わせを重ねてひとつのコンセプトを創り上げ、』と。映画版の「the Movie」は制作中らしい。それはともかく、ケラリーノ・サンドロヴィッチって誰よ?と思って調べたら、有頂天のケラさんだったのでびっくり。知らなかった! いやケラさんのこと特に詳しくはないけども。ナゴムレコードの主宰者と知って二度びっくり。 そして超余談。 この本、本屋さんで手にとってしばらく眺めて、買おうかなと思って少し歩いたんだけど、さっきブラシを買ったしなあ…と思ってやめて。 そしたらそれを見ていた次女がこっそり買ってくれていて、お誕生日プレゼントで渡してくれたのでした。うれしかったよ。
過去の失敗や後悔、そのトラウマなどにより、謂わば「人生の時計の針が止まったまま」の癖の強い登場人物が集結し、ドタバタ劇を経て、彼らの人生が前に動き出してゆく。 生きていると心のうちでとぐろを巻くような辛さ、嫌な感じ、閉塞感といったようなものがあるが、結構重たいものを抱えていた登場人物たちの人生が動き...続きを読む出すところを見て、自分の心にあるそういった感情がほんの少しときほぐれてゆくような…。なによりも、単純に読んでいて面白いコメディ小説でした。
面白かった!! バラバラだった登場人物たちがどんどん繋がっていって、バタバタのコメディなのに、ちゃんと心に刺さってくる。 道尾秀介作品はこれで3作目だが、この作品は伊坂幸太郎作品の展開を感じさせた。だからすごく好き。 登場人物がみんな魅力的。 わっちゃわっちゃな展開から、結局みんながハッピーになる...続きを読むエンドに収まっていく高揚感。 現実はいろいろと悲しいこととか多いから、読んでいる物語がハッピーエンドになるのはすごく嬉しくなる。 ホラーやミステリーではない、道尾秀介の違う面を楽しめた。
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